基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書

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物流の知識と手法がよくわかる

ドライバー不足や通信販売の拡大、働き方改革などにより、これまでできていた物流が、従来通りにはできなくなってしまう可能性が出てきました。調達を含めた生産、販売、物流を最適化するロジティクスは経営そのもので、物流の中心に位置します。本書は、そのロジティクスの基本を押さえた上で、明日からの業務に活用できるような、実務に則した内容になっています。

中谷 祐治 (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2020/3/27)、出典:出版社HP

はじめに

あなたにとって物流やロジスティクスは、どんな位置づけですか?現在、物流業界はとても厳しい環境下にあります。これまでできていた物流が、従来どおりにはできなくなってしまう危機が、すぐそこまで来ています。ドライバー不足は深刻で、若手のなり手が少ない中で高齢化が進んでいます。また、通信販売の拡大や働き方改革も大きく影響しています。働き方改革は、そもそも長時問労働となっている現状を是正するということですから、他の業界と同じ環境となれば、ますます労働力不足が加速することが予測されます。

今まであまり取りあげられることがなかった物流に注目が集まることは良いことですが、より良いものにするために変えていくべきことはまだまだ多いように思います。今まで物流は「縁の下の力持ち」のような位置付けで、企業の生産や販売を支え、確実に行なわれることで評価されてきました。ところが、その基礎の部分が大きく揺らいでいるのです。海外では、ロジスティクスの本家ともいえる軍隊がさまざまな研究を行っています。また、ロジスティクスを専門に学ぶ大学の学部や学科も多く、ここでもさまざまな研究がなされ、人材が輩出されています。そうした人材が、企業においてロジスティクスを担当したり、CLO(Chief Logistics Officer)と呼ばれるロジスティクス担当役員に任命されたりしています。この様に海外は、ロジスティクスに重きを置いていますが、日本では残念ながらこのような体制までできていないのが実情です。

調達を含めた生産、販売、物流を最適化するロジスティクスは経営そのものです。そして、物流はその中心に位置します。そのような物流が「縁の下の力持ち」でないことは明白ですし、地位向上が必要なことはいうまでもありません。言い換えれば「ハーモニーを奏でるオーケストラには、その中心にスポットライトを浴びるコンダクターがいるように、企業において中心にいるのはロジスティクスであり、物流である。」と言うことです。

本書はロジスティクスを学問として理解するのでなく、基本を押さえたうえで、明日からの業務に活用できるような、実務に則した内容としています。

お読みいただく読者は、次のような方がたを想定して執筆しました。
・ロジスティクスや物流の部門に配置転換された中堅ビジネスパーソン(10年目)
・学生時代に若干学んだが、実務がわからず悩んでいる物流部門スタッフ

また、本書の構成は次のとおりです。
・基本企業経営とロジスティクス(第1章)
・Plan戦略立案/推進(第2章)、企画立案/推進(第3章)
・Do/Check管理推進(第4章)
・Act改善推進(第5章)、改善実務(第6章)
・動向ロジスティクスが抱える課題とその解決策(第7章)

本書が、皆さまの実務に活用され、ひいては物流業界の地位向上に少しでもつながれば幸いです。

最後に、今回の出版に当たりお世話になりました公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会・橋爪茂久専務理事、ロジ・ソリューション株式会社戦略コンサル事業部の皆さん、日本能率協会マネジメントセンター渡辺敏郎氏をはじめ、多くの方々にこの場を借りてお礼申しあげます。合わせて、執筆活動に協力してくれた妻と2人の子供たちにも感謝いたします。

2020年3月
中谷 祐治

中谷 祐治 (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2020/3/27)、出典:出版社HP

目次

はじめに
各章のポイント

第1章 企業経営とロジスティクス
1»物流とは
●定義
●6つの機能
●物流の分類トレードオフ

2»ロジスティクスとは
●定義
●ロジスティクス活動

3»サプライチェーン・マネジメントとは
●定義
●サプライチェーン・ロジスティクス

4»商流と物流
●調達物流の効率化
●通信販売の配送料

5»自家物流とアウトソーシング

6»ロジスティクス・物流に対する考え方の変化
●「大量生産・広域販売」の時代
●「小口・多頻度化」の時代
●「労働力不足」の時代

7»物流関連法規面の変化
●規制緩和
●規制の適正化
●標準貨物自動車運送約款の改正
●荷主勧告制度

8»ロジスティクス・物流の位置付け
●事業価値を高める
●社会的責任を果たす
●ロジスティクス・物流の位置付け

9»これからの経営の考え方
●取り巻くプレイヤーから求められること
●これからの経営スタイル
Column1 覚えておきたい物流の専門用語

第2章 ロジスティクス戦略の立案と推進
1»ロジスティクス戦略
●必要性
●ロジスティクス戦略の立案
●ロジスティクス戦略の推進と進捗管理

2»中期計画と予算
●単年度予算と複数年度予算

3»組織整備
●物流の発展段階と物流部門の設置
●物流管理組織の整備

4»アウトソーシング
●物流子会社
●委託方針と委託先管理

5»3PLの活用
●定義
●3PLと元請物流事業者や物流子会社との違い
●3PL事業者委託のねらい
●3PL事業者への委託範囲
●3PLの事業特性

第3章 物流企画の立案と推進
1»物流サービス
●顧客満足とサービスの特性
●物流サービスの設計
●物流ネットワークと在庫配置
●物流サービス規格化の考え方
●物流サービス規格化の進め方
●規格化した基準運用のコツ

2»物流ネットワーク
●輸送
●共同化
●拠点立地
●シミュレーションの活用
●拠点設計

3»在庫管理
●2つの在庫管理
●在庫管理の目的
●在庫分析
●適正在庫と補充
●SCMと在庫
●S&OPとは

4»情報システム
●全社システムと物流システム
●ERP
●OMS/WMS/TMS

5»物流業務委託先の見直し
●見直しの考え方
●選定ステップ
●提案会社の評価と委託先決定
●決定後のアクション
●契約書の整備
●契約内容の工夫

6»人材
●改革/改善推進力
●プレゼンテーションカ
●資料作成力(ドキュメントカ)
●外部活用の考え方
●物流コンサルティング会社の選定

第4章 物流管理の推進
1»物流管理の考え方
●管理の進め方
●管理のポイント
●安全管理
●データや情報の収集と活用

2»KPI管理
●KPI管理の基本的な考え方
●KPIの体系
●KPI管理の導入
●荷主と物流事業者のKPI管理
●荷主のKPI管理

3»物流管理の手法
●管理手法の導入
Column2 物流人材育成のあれこれ

第5章 物流改善の推進
1»物流業務の棚卸
●物流業務の棚卸とは
●物流業務の棚卸の進め方

2»物流改善の進め方
●現状把握の考え方
●現状把握と結果評価
●問題点の整理
●課題の設定と改革/改善策の抽出
●効果期待値の試算(ポテンシャル試算)
●評価とシナリオ作成

3»物流改善活動の推進
●計画推進の考え方
●計画推進に必要な知識
●改善活動の進め方(荷主と物流事業者)
●新規物流センター稼働とリスク管理

第6章 物流改善の実務
1»環境整備
●5Sとは
●5S推進のポイント

2»輸配送
●輸配送改善の切り口

3»荷役
●作業改善とIE
●現状把握
●マテハン合理化の原則ピッキングの効率化
●省力化/自動化機器の導入

4»保管
●改善の基本的な考え方
●保管効率の向上
●保管レイアウトの改善

5»包装
●ユニットロード
●包装モジュール

6»情報システム
●情報システム開発の現状
●情報システムの改善
●情報システムの開発手法

7»国際物流
●しくみ、貿易条件
●よくある問題点
●改善の進め方

8»改善の進むしくみ
●効率化につながる料金体系
●成果配分

9»改善手法
●改善手法(基本情報の整理)
●改善手法(物流ABC)
●改善手法(インタビュー、アンケート)
●改善手法(観測)
●改善手法(アイデア抽出)
●改善手法(QC七つ道具)
●改善手法(IE七つ道具)
Column3 物流改善

第7章 ロジスティクスが抱える課題とその解決策
1»人手不足への対応
●人手不足の現状
●電子商取引(EC)の伸長
●働き方改革
●人手不足に対する省庁の対応

2»企業評価の見方が変わることへの対応
●グリーンロジスティクス
●事業継続計画(BCP)
●持続可能な開発目標(SDGs)

3»強い物流への対応
●総合物流施策大綱(2017~2020年度)
●Society5.0
●先端技術

4»課題解決のために

中谷 祐治 (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2020/3/27)、出典:出版社HP