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現代の新しい地政学を学ぶ
国際関係には常に地政学的要素があります。21世紀の地政学はグローバリゼーション以後の地政学であり、国境を楽々と突き破る技術革新ののちに生まれた地政学です。本書は、様々な角度から、現代の地政学の再台頭と言われるものの諸側面を浮かび上がらせていきます。
新しい地政学―目次
序章 古い地政学と新しい地政学 北岡伸一
【1】地政学の復興への道
【2】軍事力、経済力、規範
【3】地政学と地理
【4】地政学と歴史
【5】国内格差とアイデンティティ
【6】暫定的な処方箋
第Ⅰ部 理論的に考える
第1章 新しい地政学の時代へ―冷戦後における国際秩序の転換 細谷雄一
【1】蘇る地政学
「鉄のカーテン」なき後/古典的地政学から新しい地政学へ
【2】古典的な地政学の時代―大陸と海洋
地政学とは何か/大陸国家と海洋国家/戦後アメリカにおける地政学的思考
【3】冷戦後のリベラルな国際秩序―「ジャングルの掟」から「法の支配」へ
「新世界秩序」の夢/リベラリズムの限界
【4】新しい地政学の時代へ―「法の支配」から「ジャングルの掟」へ
国家の復権/「歴史」の復権
【5】新しい世界秩序の構図と日本
新しい地政学的な思考/中国台頭の影響/「インド太平洋」という地政学的空間/地政学の「第五次元」
【6】世界はこれからどうなるのか
第2章 武器としての経済力とその限界―経済と地政学 田所昌幸
【1】押し寄せるグローバリゼーションの波
冷戦後のグローバル経済
【2】経済と国カのジレンマ
経済の戦略的意義/経済とパワー/独立≠鎖国
【3】ジレンマから解放された戦後の自由主義陣営
経済の脱政治化/冷戦戦略としての経済自由化
【4】リベラルの自信過剰と自信喪失
アメリカ一強の時代/リベラリズムの後退
【5】中国による経済力の行使
レアアース規制/中国は独自の援助の動き/アメリカを排した多国間制度/中国に依存し始める国々/意識させずに浸透する
【6】武器としての経済の限界
経済は万能ではない/制裁の反作用も/政治的影響は持続可能か
【7】日本の経済的安全保障のために
経済力と安全保障/援助外交のあり方/長期的経済関係の構築
第3章 国際紛争の全体図と性格―紛争解決と地政学 篠田英朗
【1】現代世界の紛争の全体図
地政学の視点とは/武力紛争の増加/安定した地域、しない地域/サヘル地帯/南アジアの紛争
【2】地政学から見た紛争多発ベルト地帯の性格
マッキンダーの「ハートランド」/アフガニスタン侵攻の余波/長期化・複雑化する紛争/東アフリカ周辺国の状況/スーダンの位置づけ/中央アフリカでの軍事介入/テロ組織の活発化
【3】ハートランドのロシアとリムランドの帰趨
大国と紛争地帯①ロシア/大国と紛争地帯②アメリカ
【4】一帯一路とインド太平洋
地政学上の両生類?/超大国中国の影響
【5】紛争解決の活動と仕組み
PKO派遣地域の偏り/西側諸国による平和活動/地域機構と国連/平和活動の真空地帯/パートナーシップPKOの時代/地政学に基づく安全保障空間
第Ⅱ部 規範・制度で考える
第4章 人権の普遍性とその濫用の危険性―人権概念の発展と地政学 熊谷奈緒子
【1】ヨーロッパ近代から現代へ―人権概念の誕生と発展
人権と主権国家の関係/人権の考え方の歴史/自然権の登場と国家間関係への影響/戦争における人権/世界人権宣言―国際的価値としての人権の確立
【2】冷戦下の地政学と人権
集団的安全保障体制と米ソ冷戦対立/冷戦対立における人権/自決権と植民地独立/自決権と天然資源への主権/人権の東西共通理解から冷戦終結へ
【3】冷戦後の地政学と人権
人権の普遍性の国際的確認/民族紛争と人道的介入/民族紛争における文民保護/紛争下の戦略としての女性と子どもへの暴力/内戦後の人権保障―国家再建における選挙と移行期正義/民族主義と国際秩序/テロリズムと市民的自由
【4】人権の普遍性への挑戦、道義としての人権とその濫用
相対主義、人権の否定/歴史的不正行為の現代的是正―道徳としての人権/奴隷制・植民地支配への謝罪問題/戦後補償問題としての日韓慰安婦問題―過度の人権言説/人権規範の趣勢
第5章 国際協力という可能性―グローバル・ガバナンスと地政学 詫摩佳代
【1】地政学と保健ガバナンス―歴史的な視点から
国際協力とパワーバランス/高まる保健協力のインセンティブ/植民地統治が生み出した保健協力/第一次世界大戦中のマラリアとインフルエンザ/国際連盟保健機関の設立/政治対立を超えた協力とその限界
【2】戦後の保健協力
戦後国際秩序の構築と保健協力/地政学的考慮のぶつかり合い/アメリカの冷戦戦略とマラリア根絶事業/ソ連の対抗策としての天然痘根絶事業/冷戦を超えた協力/ポリオをめぐる米ソの協力
【3】アメリカと国際保健協力
多様なチャンネルを通じた関与/関与のインセンティブ―PEPFARを通じた考察
【4】中国と保健協力
外交ツールとしての保健協力/一帯一路構想と保健協力/中国の潜在力の行方
【5】国際保健協力の行方
国際協調主義の衰退?/アメリカが国際保健協力にとどまる理由/強まる独自路線
【6】保健協力は国際協調の砦となりうるのか?
第Ⅲ部 地域で考える
第6章 プーチンのグランド・ストラテジーと「狭間の政治学」―ロシアと地政学 廣瀬陽子
【1】ロシアにとって不可欠な地政学
【2】ドゥーギンの地政学
ロシアの外交志向/ドゥーギンの地政学の議論/生き残るためのフィンランド化/ドゥーギンの具体的な構想
【3】プーチンのグランド・ストラテジーと「狭間の政治学」
グランド・ストラテジー/「狭間の政治学」/ロシアの地政学的思考の果実―クリミア併合/ロシアにおけるクリミアの意味/「クリミア共和国」の独立宣言/ロシアの主張/ロシアの地政学的リベンジ
【4】ロシアが目指す今後の地政学的戦略
ロシアの地政学的外交の現実/「ハイブリッド戦争」/新しくて古い手法/NATOへの危機感/ユーラシア連合と一帯一路/親露国を増やす試み/ロシアが目指す今後の地政学的戦略
第7章 「アフリカの角」と地政学 遠藤貢
【1】「アフリカの角」地域をめぐる地政学
【2】「アフリカの角」地域
「アフリカの角」概念/「アフリカの角」の政治力学の基層
【3】「アフリカの角」の歴史的背景
ソマリ民族の動態/「覇権国」エチオピアとその国際関係
【4】冷戦後の「アフリカの角」の重要性の変遷
エチオピアの不安定化への対応/エチオピア・エリトリア戦争とその余波/「テロとの戦い」、ソマリア沖海賊問題、そして「一帯一路」へ
【5】「アフリカの角」をめぐる今日的対立/協調図式―流動化する中東との接近
「アフリカの角」をめぐる図式/イランからサウジアラビアへ/ソマリアへのトルコ進出―連邦制への関与、大使館、軍事訓練基地建設/港湾開発への関与と中東国際関係の波及/「大エチオピア・ルネッサンス・ダム」建設とエジプトをめぐる動態
【6】「アフリカの角」地域の再編と不安定化
第8章 「非国家主体」の台頭と「地域大国」―中東と地政学 池内恵
【1】地政学が作った中東
マハンの「中東」/伸縮する「中東」/「中東人」「中東国」「中東政府」は存在しない
【2】なぜ中東は地政学的に重要なのか
相対的に重要視されてきた中東/豊富な資源による重要性/宗教的価値観が与える影響
【3】中東地政学の変容
中東を二分した「アラブの春」/各国の台頭と大国の思惑
終章 中曽根康弘の地政学―1950年の世界一周旅行 北岡伸一
【1】政治家になるまで
生い立ちと教育/内務省と海軍/敗戦から政治家へ/他の内務省官僚との比較/蘇峰との出会い/1950年の世界
【2】講和から吉田退陣まで
講和問題とマッカーサー/安保条約への反対/防衛問題と天皇退位問題/南原繁の天皇退位論/米ソ中を見る/鳩山内閣の外交
【3】中曽根憲法改正論の展開
三度、南原繁と中曽根康弘/国民主権と天皇の地位
【4】岸内閣から池田内閣へ
岸内閣の成立/安保改定と中曽根/安保改定ののち
【5】おわりに―湾岸戦争から世界平和憲法草案へ
あとがき
新しい地政学における国際秩序を考える研究会
編者・執筆者紹介と執筆担当章