世界はジョークで出来ている (文春新書)

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気の利いた会話のヒントになる

本書は、中国、アメリカ、ロシア、北朝鮮、韓国、中東、日本をネタにしたジョークが多数掲載されています。ジョークには各国の本当の姿が隠されており、国際情勢を楽しむことができると著者は言います。また、本書に掲載されているジョークを自分なりにアレンジすることで、発想力のトレーニングをするのも良いでしょう。

早坂 隆 (著)
出版社 : 文藝春秋 (2018/6/20)、出典:出版社HP

はじめに

ジョークには、その国がそれまで培ってきた文化や歴史、風土、政治体制、民族性などが、織糸のように編まれている。それら織糸の間には、人々の本音が滲むようにして混ざる。
ヘブライ語ではジョークのことを「ホフマ」と呼ぶが、この言葉には「知恵」や「叡智」といった意味が含まれる。ユダヤ人社会には、「知的な者ほどよく笑う」という諺もある。「退屈」「つまらない」といった感情は、知識や教養の不足から、そこにあるはずの「面白さ」に気付けていないだけなのかもしれない。「知的な勘」とも言える発想力の不足も、笑いの機会を逃すことになる。本田技研工業の創業者である本田宗一郎はこう言っている。「すぐれたジョークは、すぐれたアイデアに通じる」裏を返せば、ジョークを通じて教養や発想力を深めていくこともできるということになろう。憚りながら本書はそれを目指し、二十世紀に世界で人気を博した定番ジョークから、二十一世紀の最新ジョークまで幅広く収録した。定番の中には、以前の著作で紹介したものと同じ構成ながら、時代に合わせてアップデートされたものが二、三あるが、設定や登場人物が変わることで、より面白くなるのだからジョークの世界は奥が深い。

本書で紹介するジョークを自分なりにアレンジするのも、発想力のトレーニングになるだろう。
人生も社会も、その本質は気まぐれな「混沌」か。だからこそ「ハンドルの遊び」のごとき余裕やユーモアが大切である。人生の勾配を登ったり降りたりするのに、「遊び」のない運転はいかにも危うい。こういった部分は、日本人には苦手なところかもしれない。

ジョークも「ハンドルの遊び」のようなもの。ジョークの世界には、ロシア人は「酔っぱらい」、日本人は「何を考えているのかわからない」といったステレオタイプの役回りがあり、その中には偏見に近いものもあるが、これも「遊び」と受け流せる社会のほうが、みんな暮らしやすいのではないだろうか。
思考に幅が生まれれば、会話も豊かになる。ちょっとした楽しい会話が、人生の旅路を豊かに彩る。肩肘張らず、気軽にジョークを楽しみたい。

早坂 隆 (著)
出版社 : 文藝春秋 (2018/6/20)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章中国
1大国化
●注意喚起一
2共産主義国家
●科学的●段階●定義
3文革後
●扉●船旅
4習近平
●プラカード
5領土的野心
●二枚の紙●地獄の言葉
6腐敗
●労働●退職後
7メディアル
●作家の行方●検閲
8軍事力
●三つのボタン
9経済
●安い部屋
10環境破壊
●スモッグ
11偽物
●考古学者
2マナーの悪さ
●ビジネスクラス

第2章アメリカ
1多民族国家
●どこから来た?●ビーチにて●裸
2戦争
●野蛮
3クリントン政権
●アンケート●質問●再会
4ブッシュ政権
●証明●二つのコップ●ピザ
5オバマ政権
●差別?
6トランプ政権
●ノミ●骨折●切手の行方●実験●奇病
7アメリカ第一主義
●三つの薬●冷蔵庫●大手術●大統領の行方
8核戦略め
●墜落●FAX_●子孫
9経済
●願い
10民族的性格外
●前向きな男
11離婚大国
●離婚の理由
12訴訟大国
●ケガ●片付け

第3章ロシア
1ソ連時代
●出生率●楽園●刑期●三つの罪●スローガン●三つの要素
2ソ連崩壊
●値段●行列
3プーチン政権
●羊
4軍事大国
●幸福感●民主主義
5お酒
●とりあえず●階段●忘却
●W杯●窃盗団●酒場の外にて●二つの願いごと●飲酒運転●交通事故●酒と体調

第4章北朝鮮
1建国
●国境の家●酒場の風景●批判と自己批判●外国語
2金正恩政権
●進化●数年後●死後の世界●特別ショー●太陽と石油●番犬
3主体思想
●錆び●主体思想とは?●防空壕
4粛清
●逮捕●脳挫傷●テレビ
5米朝関係
●旅費
6軍の実力
●戦車●潜水艦

第5章韓国
1日本との関係
●スープ●二つの頭蓋骨●二発の銃弾●あと十年
2朴槿恵政権が
●元大統領●英雄●電話●国の仕組み●面接試験●ジャングル
3文在寅政権
●カバンの中身●本音
4韓国発祥院
●発見●七段階

第6章中東
1イスラム教
●スピード違反●三つ子●砂漠
2禁酒
●サボテン●飲酒
3食文化
●好物
4一夫多妻制
●ネックレス●それぞれの告白
5イラク
●捨てる●ハリネズミ●カッコー時計
6イスラエル・パレスチナ
●モーゼ●十戒その一●十戒その二●豆●鼻の穴●見たことがないもの

最終章日本
1経済大国
●煙草●通学●セールスマン
2バブル崩壊
●日本の不況
3技術大国叫
●揺れ●エンジニアの外科医●ヘリコプター●異音の原因●最新型ナビゲーション
4不思議な国四
●返答●笑い●相違点●天国の激変

おわりに

カバー・本文イラスト村上テツヤ

早坂 隆 (著)
出版社 : 文藝春秋 (2018/6/20)、出典:出版社HP