ビールは楽しい!

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絵で読むビールの教科書

ビールの原料や醸造法などの基本情報からビアスタイルについて、ビールに合う食材の組み合わせなど、ビールがもっと楽しくなる、新鮮な情報が満載です。とってもかわいいイラストがたくさん使われていてかなり分かりやすく説明されています。ビールのことを楽しく学べる一冊です。

ギレック・オベール (著), 河 清美 (翻訳)
出版社 : パイインターナショナル (2019/7/10)、出典:出版社HP

LA BIÈRE C’EST PAS SORCIER La bière c’est pas sorcier- © Hachette-Livre (Marabout), 2017
Guirec Aubert, Illustrations-Yannis Varoutsikos
Japanese translation rights arranged with Hachette-Livre, Paris Through Tuttle-Mori Agency, Inc., Tokyo

目次

CHAPITRE N°1
ビールとは何か?
CHAPITRE N°2
ビールの選び方
CHAPITRE N°3
ビールの飲み方
CHAPITRE N°4
ビールの味わい方
CHAPITRE N°5
ビアスタイル
CHAPITRE N°6
ビールの産地
CHAPITRE N°7
ビールと食材の組み合わせ
CHAPITRE N°8
付録

ギレック・オベール (著), 河 清美 (翻訳)
出版社 : パイインターナショナル (2019/7/10)、出典:出版社HP

CHAPITRE N°1

ビールとは何か?

ビールほど親しまれているお酒が他にあるだろうか? 全大陸に存在し、世界中で最も飲まれているアルコール飲料であるにもかかわらず、その本質はあまり知られていない。ビールファンの多くは製造工程を知らない。この章では、モルト(麦芽)の秘密、ホップの特性、発酵の神秘に触れてみよう。自家製ビールの造り方についても少し解説する。

ビールの定義

世界で最も飲まれている飲み物の1つであるにもかかわらず、その実態はあまり知られていないという、不思議なパラドックスが存在する。

法で定められている定義

ビールとは穀物を発酵させた飲み物、つまりアルコール飲料である。大衆的な表現で、「ホップジュース」と呼ばれることがあるが、これ以上、間違った表現はないだろう、ホップは実際には少量しか含まれておらず、料理の味を引き立てるスパイスのような存在である。見た目はシンプルかもしれないが、ビールには成分などについて、明確な基準が課せられている。

国民の健康が第一

法で定められているビールの定義は厳密すぎるように思われるかもしれないが、これはかつて存在した健康上のリスクを考えた結果だ。その昔、ビールに塩 (袋の渇きを早めるため)、低品質の穀物(コストを下げるため)、精神状態に作用する植物(酔いを早めるため)などを添加する悪質な生産者が横行し、品質管 理官が基準を設けて不正を処罰していた時代の名残である。

世界制霸

南米のアンデス地方のチチャ(chicha)、ロシアのクヴァス(kvas)、日本の酒などのように、長い歴史を誇る他の穀物ベースの発酵酒があるとしても、自国でビールを醸造していない国は、イスラム教徒の国も含めてほぼ存在しないであろう。水、モルト(麦芽)、ホップの3主成分からなる、「ヨーロッパ」のビールの定義は、これをくつがえすモデルがないほど、世界各地に定着している。なかでもピルスナー(pilsner)スタイルのビールが工業化による交易の活発化によって広まっていったピルスナーは19世紀にボヘミア地方(現在のチェコ西部、中部)で発明されたスタイルで、現在では、最も古く格式のあるチェコのピルスナー・ウルケルから、アメリカのバドワイザー、中国の青島まで、世界中に広く普及している。

フレーバービール

水、モルト、ホップ以外の材料を添加したビールを、「〇〇レーバービール」と呼ぶ。スパイス、ハーブ、フルーツ、蜂蜜は、新鮮かつ複雑な風味をもたらす。ブルワー(ビール職人)の発想力は良い意味でも悪い意味でも際限がない。アメリカではベーコン風味のビールだって存在する!

アロマタイズドビール

フルーツシロップなどの濃縮した香料を加えたビール。苦味が嫌いな消費者層をターゲットとしたスウィートでフルーティーなタイプだ。大手メーカーのなかには、学生の飲み会にうってつけのウォッカやテキーラ入りのビールを出しているところも少なくない。

世界に足並みを揃えたドイツ

欧州連合の力で、ドイツでもスパイス入りの外国産ビール(特にベルギービール)を飲むことができるようになった。この国では2014年まで、厳しいビール税法(Biersteuer Gesetz)が課せられていて、モルトとホップと水以外の成分を含む飲料を「ビール」という名で呼ぶことが禁じられていた。ドイツはビールを添加物の使用から保護するとともに、この法に適合しない外国企業から国内市場を守ろうとした。しかし、欧州司法裁判所が2014年にこの法を公正ではないと判断したため、ドイツでチェリー風味のグーズ(ベルギー産ビール)を、「ビール」という呼称で販売できるようになった。

ギレック・オベール (著), 河 清美 (翻訳)
出版社 : パイインターナショナル (2019/7/10)、出典:出版社HP