実践健康経営 健康的な働き方への組織改革の進め方

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健康経営の実践書

この本は、とある企業の経営企画室を中心に始められたプロジェクトを描いたストーリーを軸として、その場面にまつわるテーマごとに、基礎から実践まで、順序立てて構成しています。なぜ今健康経営なのか?健康とは何か?どのように行動したらいいか?実践にヒントになる一冊です。

吉岡 拓也 (著), 根本 大介 (著), 折本 敦子 グレイス (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2018/10/27)、出典:出版社HP

はじめに

近年、健康経営や働き方改革について、関心が高まってきています。その関心に応えるべく、今回、本書をとりまとめました。なぜ今、健康経営が注目されるのか、働き方改革が促進されるのか、その背景や目的、具体的な施策や進め方まで、幅広い読者の皆様方に最後まで関心を持っていただけるように簡単なストーリーを挟み込みながら、実践書という位置づけで網羅的にまとめたものです。
本書は、人事部門の方々だけでなく、健康経営を目指す組織のリーダーはもちろん、その仕組みをつくり・支える、草の根としての社員の方々も同時に対象としています。そのため、基礎的なことから実践的なことまで、順序立てて構成しています。
PART1では、厚生労働省の取組みや社会的背景などを整理しています。PART2では、健康的な働き方を目指す上での方針や取組みの方向性を示し、PART3で、実際のアクションプランとして、組織改革のステップを順に解説しています。
解説部分だけであれば、ご関心のある部分からお読みいただけると思います。一方、網羅的に、ストーリー仕立てで健康的な働き方と組織改革の進め方を紹介していることが本書の特徴です。ストーリーの展開に対応した内容を、それぞれ解説していく形で本書は読み進めることができますので、組織の中で健康的な働き方の仕組みを構築する主人公・松田のストーリーを楽しみながら、本書をお楽しみいただければ幸いです。
本書は、3人のコンサルタントによる共著という形で執筆しています。
吉岡拓也はデロイトトーマツグループの人事コンサルタントです。厚生労働省や全国各地の各組織に対して、人事・労務の面から最前線でコンサルティングをしています。本書では、PART1の健康的な働き方の必要性に関するパートやストーリー部分を担当しています。
折本敦子グレイスは、健康経営やヘルスケア分野の政策を中心に活躍するコンサルタントです。普段は、健保組合の立ち上げや各組織の健康経営について、まさに本書で取り上げるテーマでコンサルティングをしている一方で、自治体向けの医療・介護・健康関係の計画立案なども手掛けています。PART1の健康経営に関する解説や、PART2の事例紹介のパートを担当しています。
根本大介は、厚生労働省や医療施設に向けたコンサルティング、健康的な働き方に直接的につながる勤務環境改善やヘルスケア分野の基盤整備の支援などで活躍しているコンサルタントです。本書ではPART2のマインドや組織分析、PART3の健康的な働き方に向けたステップのパートを担当しています。
本書により、健康的な働き方に向けた活動が活発になることを何より期待しております。

2018年11月
有限責任監査法人トーマツ
著者一同

吉岡 拓也 (著), 根本 大介 (著), 折本 敦子 グレイス (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2018/10/27)、出典:出版社HP

目次

はじめに
STORY 登場人物

PART 1 健康的な働き方を求める社会的背景
STORY プロローグ
1-1. 個人に応じた健康的な働き方の必要性
1-2. 世界から見た日本の労働環境
1-2-1. 労働生産性
1-2-2. 長時間労働
1-2-3. 休暇・休日
1-2-4. 仕事の仕方、させ方
1-3. 多様化する労働者意識やワークスタイル
1-3-1. 多様化する労働者の価値観
1-3-2. キャリア形成の変化
1-3-3. 現代人の仕事観と新たなワークスタイル
1-3-4. 良い労働環境とは何か
STORY 健康であることの必要性
1-4. 健康経営とその背景
1-4-1. 健康的な働き方の発端(ヘルシーカンパニーとは)
1-5. 各省庁での施策
1-5-1. 各省庁での取組み
1-5-2. 旧労働省の政策動向
1-5-3. 働く環境の変化
1-5-4. 従業員の健康への投資
1-5-5. 各政策の企業のとらえ方
1-6. 健康経営
1-6-1. 健康経営銘柄とは
1-6-2. 経営理念・方針
1-6-3. 組織体制
1-6-4. 制度・施策実行
1-6-5. 評価改善
1-6-6. 法令遵守・リスクマネジメント

PART 2 健康的な働き方を目指して
STORY プロジェクトの発足
2-1. 戦略としての「健康的な働き方」の意義
2-1-1. 短期的なメリット
2-1-2. 中長期的なメリット
2-2.効率化と健康度の両立に向けて
2-2-1. 業務と健康管理は「トレードオフ」か~モーレツ社員の終焉~
2-2-2. 非効率に業務をこなすことで、健康を確保するパターン
2-3. “健康”と”働くこと”は、トレードオフではない
2-3-1. 業務とはそもそも苦しいものなのか
2-3-2. マインドの重要性
2-3-3. 健康確保と会社への貢献を両立するモデルを目指す
2-3-4.経営と健康的な働き方を両立する、医療機関における制度事例
2-3-5. 労働集約型産業における、働き方改善の意義
2-3-6. 健康経営の推進にインセンティブを付与する事例
2-4.個人の行動変容がキーとなる
2-4-1. 行動変容の重要性
2-4-2. 無関心期からの脱出がカギ
2-4-3. 無関心層へのアプローチー
STORY 第2回プロジェクトミーティング
2-5. 業務・組織のタイプと健康的な働き方
2-5-1. 業務・組織のタイプによって変わる健康的な働き方の対策
2-5-2. なぜ組織風土に応じて健康的な働き方に対するアプローチを変える必要があるのか
2-5-3. 組織風土の分類
2-5-4. 健康的な働き方に向けた取組み
2-5-5. 組織風土は「過去のもの」であり、マネジメント可能なもの
2-5-6. 組織タイプ別の健康的な働き方の意義
STORY 組織分析結果の共有
2-6. 健康経営事例
2-6-1. 健康経営銘柄・ホワイト500取得企業から見えてくる企業タイプ
2-6-2. ローソン
2-6-3. ロート製薬
2-6-4. ダイフク
2-6-5. 伊藤忠商事
2-6-6. ANAホールディングス
2-6-7. ベネフィットワン・ヘルスケア
2-6-8. 丸井グループ
STORY 幸福度の必要性
2-7. 幸福度
2-7-1. 幸福度曲線
2-7-2. 「幸福度」に関する最近の研究
2-7-3. 幸福度と健康の関係
2-7-4.健康観が主観的なものなら、解釈方法も主観的な方法を活用する場合も

PART 3 健康的な働き方に向けたステップ
STORY プロジェクト再始動
3-1. 健康的な働き方に向けたステップ
3-1-1. 方針設定
3-1-2. 現状把握のための手法と項目
3-1-3. ステークホルダー視点での注意点
3-2. 体制構築
3-2-1. トップの理解
3-2-2. 社内外への情報発信
3-3. 健康的な働き方の仕組みづくり・施策
3-3-1. 教育機会の設定
3-3-2. 病気の治療と仕事の両立支援
3-3-3. 食生活の改善に向けた取組み
3-3-4. 運動機会の増進に向けた取組み
3-3-5. ディスプレイを見続ける時間が多い場合
3-3-6. 座り仕事の時間が多い場合
3-3-7. 受動喫煙対策に関する取組み
3-3-8. その他喫煙対策を進める上の留意事項
3-3-9.感染症予防に向けた取組み
3-3-10. 長時間労働者への対応に関する取組み
3-3-11. メンタルヘルス対策
3-3-12.ストレスチェック
3-4. 振り返りと改善の重要性について
3-4-1. 振り返りチェックをする意義
3-4-2. 評価の考え方と今後の取組み(アクションプラン)の設定
STORY エピローグ

まとめ Future of Work プロジェクトを終えて

参考文献
おわりに
索引

吉岡 拓也 (著), 根本 大介 (著), 折本 敦子 グレイス (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2018/10/27)、出典:出版社HP

PART 1
図表1-1. OECD加盟国の国民1人当たりGDP(2016年)
図表1-2. 就業形態別総実労働時間およびパートタイム労働者比率の推移
図表1-3. 月末1週間の労働時間が60時間以上の雇用者の割合
図表1-4. 1人当たり平均年間総実労働時間
図表1-5.1-6. 世界各国における祝日数、有給休暇比較
図表1-7. 日本におけるフリーランスの人数推移
図表1-8. 完全失業率および就業者の対前年増減の推移
図表1-9. 有効求人倍率、新規求人倍率(四半期平均、季節調整値1963年第1四半期~2018年第1四半期)
図表1-10. 労働政策に関する国内の動き
図表1-11. 健康経営に関する国内の動き
図表1-12. 労働基準関係法令違反に係る公表事案に掲載された代表的な案件
図表1-13. 主な死因別にみた死亡率の年次推移
図表1-14. コラボヘルスの意義
図表1-15. DBJ健康経営格付融資評価項目
図表1-16. 健康経営に係る顕彰制度の対象法人
図表1-17. 健康経営の成功要因
図表1-18. 健康経営度調査評価モデル
図表1-19、健康保持・増進に対する方針の明文化
図表1-20. 健康保持・増進の最高責任者の役職
図表1-21. 評価改善の有無
図表1-22. 効果検証 3つの視点

PART 2
図表2-1. 医療従事者の勤務環境改善に取り組む医療機関への支援体制の構築
図表2-2. 行動変容のステージモデル
図表2-3. 組織風土の確認シート
図表2-4. 健康経営の推進タイプ4分類
図表2-5. ローソンの取組み
図表2-6. ロート製薬の取組み
図表2-7. ダイフクの取組み
図表2-8. 伊藤忠商事の取組み
図表2-9. ANAホールディングスの取組み
図表2-10. ベネフィットワン・ヘルスケアの取組み
図表2-11. 健康教育の例
図表2-12.健康課題と取組み
図表2-13. 丸井グループ健康的経営
図表2-14. 丸井グループの取組み
図表2-15. 松田さんの幸福度曲線
図表2-16. あなたの幸福度曲線
図表2-17. 年齢ごとの主観的幸福感(米国との対比)
図表2-18. 幸福度を判断する際に重視する項目

PART 3
図表3-1. 計画立案の流れ
図表3-2. 健康的な働き方を進める目標
図表3-3. 健康確保に係る指標の特定、データ保有者例
図表3-4. 既存データを管理している所管となる部門の例
図表3-5. ゴールの明確化
図表3-6. 健康経営に係る情報開示の事例一覧
図表3-7. 働き方改革の施策レベルと影響度
図表3-8. 事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン
図表3-9. ストレスチェックと面接指導の実施に係る流れ
図表3-10. ストレスチェックの実施概況
図表3-11. ストレスチェックの分析事例
図表3-12. 健康的な働き方への到達イメージ1
図表3-13. 健康的な働き方への到達イメージ2

【STORY ~登場人物】
松田正平(43歳) 経営企画室長
新卒から管理部門に配属され、つい最近経営企画室長に抜擢された。仕事に対する思いが強く、周囲からの信頼も厚い。

加藤豊(55歳) 代表取締役社長
生え抜きの社長であり3代目。強烈なリーダーシップを取るというよりは、 周囲の声を聴きながらバランス感覚をもって会社を引っ張っている。

西本進(51歳) 取締役専務執行役員
松田の上司。管理部門を管掌している。社長からの信頼も厚く、松田も尊 敬している。安定感があり次期社長と期待されている。

川原和夫(56歳) 人事部長
大阪出身で関西弁が抜けない。何を言われても動じず、面の皮が厚いとい う評判で、現場からは恐れられている。

溝口大輔(43歳) 営業課長
松田と同期。入社以来営業一筋で、当社の営業マンとしては優秀モデルと なるような人材である。松田とは新卒の時から連絡を取り合っている仲で ある。

堀尾剛史(32歳) 経営企画主任
経営企画の若手ホープ。明るい性格で人懐っこく、松田も可愛がっている。 運動が好きで学生時代はテニスをやっていたが、最近は少し肥満体型に なってきた。

塚本理香(29歳) 営業主任
営業畑で主任に順調に昇進してきた。少し控えめな性格ではあるが、銀行 からは「かゆいところに手が届く対応をしてくれる」と評価が高い。

吉岡 拓也 (著), 根本 大介 (著), 折本 敦子 グレイス (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2018/10/27)、出典:出版社HP