宇宙ビジネス第三の波-NewSpaceを読み解く- (B&Tブックス)

【最新 – 宇宙ビジネスについて知るためのおすすめ本 – 入門から宇宙ビジネスの未来まで】も確認する

宇宙ビジネスの全体像がわかる

内容としては「宇宙ビジネスの概略」「国内外の宇宙ビジネスの最新事例」「ビジネスモデル」これらの3つのパートで構成されています。これまで宇宙とは関係がないと思われていた分野と宇宙との繋がりが分かり、広いビジネス領域を把握することができます。日本のビジネスパーソンにおすすめの1冊です。

齊田 興哉 (著)
出版社 : 日刊工業新聞社 (2018/4/18)、出典:出版社HP

はじめに

宇宙ビジネスに興味があるかたもないかたも、宇宙ベンチャー企業の取組みをニュースやコマーシャルなどのメディアを通じて、目にする機会が増えてきた、と感じるかたも多いのではないでしょうか。

ispace社HAKUTOの月面ローバーをテレビCMで見たことがあるかたも多いでしょう。その他にも、世界を代表する企業としては、米国SpaceX社が挙げられます。SpaceX社は、Falcon9ロケットを打上げた後、第1段ロケットを地上の所定の場所へ正確に垂直着陸させて回収し再利用する取組みでロケット市場をリードしたり、BRFロケットにより火星などの惑星へ移住する構想を発表したりしています。SpaceX社のCEOイーロン・マスク氏は、PayPalなどの創業者で、既にIT企業を設立し事業を成功させた経験をもつ人物です。このように、世界の宇宙ベンチャー企業は、宇宙ビジネスの実績はもちろんのこと、宇宙ビジネスの斬新な発想や第三者へのアピールなども超一流です。

従来は、このような取組みを目にすることはほとんどありませんでした。テレビCM、新聞、雑誌などのメディアを通じてPRする相手もいませんでした。それは、そもそも必要性がなかったためです。つまり、昔と今では、宇宙ビジネスの顧客ターゲットが異なるということです。なぜならば、従来の宇宙ビジネスは政府主導であり、国際競争力を向上させるために宇宙技術開発を中心に進められたためです。この時代をOld Spaceと呼びます。本書ではそのように定義したいと思います。

Old Spaceの時代では、宇宙空間という特殊な場所で、故障なく正常に動作させるため、高品質で高信頼性の製品を製造することを主眼に開発が進められてきました。そのため、高い技術力と経営に関する体力などを有する少数の大企業がロケット、人工衛星などの技術開発を担当してきた経緯があります。その甲斐あって、日本はロケットの打上げの成功率が高まり、人工衛星の軌道上運用において設計寿命を全う。ど、米国、ロシア、欧米などの宇宙先進国と肩を並べる技術水準には、ることができました。
その反面、従来のような宇宙技術開発の大きなテーマも減少し、も宇宙機関も予算の確保が難しくなってきていることは正直なとことす。現時点では、宇宙技術開発にブレイクスルーを起こす必要性はさ、になり、その時代は終焉を迎えつつあります。

そのため、政府主導から民間主導へと、技術開発のみならず宇宙ドネスの分野においてブレイクスルーを起こすべく、民間企業が様々なの組みを始めていると理解しています。この時代をNew Spaceと呼びます。本書ではそのように定義します。

日本を含む世界の宇宙ビジネスにおいて、プレイヤーやビジネスモデルなどがどんどん多様化してきています。従来の宇宙技術開発の時代は、政府から民間企業へ発注するG2B(Government to Business)のビジネス中心でしたが、G2Bに加えてB2B(Business to Business)及びB2(B2)C(Business to (Business to) Consumer)のビジネスが主流になりつつあります。従来は、政府事業を受注するために民間事業者は、よりよい提案書を作成すること、実績を積み高い技術力を保有すること、などに注力してきましたが、今後は民間事業としてビジネスをするためには、顧客を確保し、売上を立てる必要があるため、マーケティング活動をしなければならなくなりました。民間ビジネスとしてはあたりまえのことですが、コスト削減策、製品・サービス開発、業務効率化、マーケティング活動など他業界のビジネスでみられる活動が宇宙ビジネスでようやくみられ始めています。そのため、大企業、中小企業、ベンチャー企業など多くの企業が宇宙ビジネスに直接的にも間接的にも参入する機会が増えると筆者は予想しています。

宇宙ビジネスは、“事業リスクが高すぎる”、“儲からない”、や“自社とは無縁の世界である”という声を多方面から多く聞きます。これらの理由から、宇宙ビジネスに参入しないという意思決定をする民間企業も現時点では、多くいることも確かです。
筆者は、コンサルティングを生業としており、各社から宇宙ビジネスはうまくいかないのではないのか、という問いをよく受けます。この問いに対して筆者は、うまくいくと回答をすることはできません。Yesでもあり、Noでもあります。なぜならば、宇宙ビジネス以外のビジネスであっても同じことがいえるからです。このような実情も理解していますが、いろいろと考える前にまず実行してみる、この点が重要と筆者は考えており、この意思決定のスピードが速いのはIT系企業やその出身者、ベンチャーマインドを有する人たちです。そのため、どんどん新しいことを実施していますし、失敗を恐れない風潮です。もし、失敗があればすぐに改善策に取りかかり、うまくいかないようであれば、きっぱりと止める、など宇宙ビジネスを順調に運営しているのも、このようなかたがたが多いのが特徴です。

繰返しになりますが、宇宙ビジネスは、“事業リスクが高すぎる”、“儲からない”という点についての筆者の回答としては、Yesでもあり、Noでもあります。

事業リスクが高いという点は、一例として損害賠償責任の観点が挙げられるのではないでしょうか。例えばロケット、人工衛星、宇宙旅行機など打上げサービスをビジネスとする企業が、打上げを失敗してしまうことで、人命や物などに損害を与えてしまい、多大な賠償責任を負う可能性は否定できません。そのため、日本でも2016年11月9日に宇宙活動法(人工衛星などの打上げ及び人工衛星の管理に関する法律)が成立し、ロケット打上げ企業などが打上げをする際には、保険を付保すること、限度額以上は政府が保証することなどが盛り込まれ、宇宙活動に係る事業リスクなどに関してルールが定められています。これにより、事業リスクを回避するためのルールが盛り込まれたため、企業にとっては、参入の意思決定をスムーズにするものとなるでしょう。2017年11月にはその一部が施行され、2018年11月には全面施行となります。また、宇宙活動法に関する法解釈や民間企業間の契約、保険車で以上に活発になることも予想されます。

儲からないという点は、宇宙用部品という高信頼性部品の人工衛星の製造費用やロケット製造及び打上げ費用がかかる」挙げられるのではないでしょうか。従来、ロケット、人工衛宇宙用部品と呼ばれる、宇宙空間でも耐えられる部品が使用されした。日照日陰の温度及び温度変化に耐えられる部品、宇宙放射えられる部品、ロケットの振動や音響環境に耐えられる部品ないしかし、現在、ベンチャー企業を中心に宇宙用部品ではなく民生用を使用することを模索している取組みがあります。民生用部品のなかから、宇宙環境に耐えられる部品を選び出すという作業です。この取組みに対して、従来の宇宙ビジネスに携わってきたエンジニアなどは、使的な意見を持つ人も多いですが、この取組みが成功すれば、コストが幅に下がるため、ロケット、人工衛星、宇宙旅行機などの打上げサービスをビジネスとする企業は、利益が出やすくなるでしょう。ただし、最良の民生部品を選定したり、その実績をつくったりするのに、多くの時間と労力を費やしてしまう可能性もあります。しかし、ロケット、人工衛星、宇宙旅行機などの打上げサービス以外にも、ビジネスの機会は多くあります。あたりまえのことですが、どの業界でも、各社企業がアイデアを出し、創意工夫しながら、ビジネスモデルを確立させ、試行錯誤しながら競争し合い、自律的に成立していくものです。1つでも成功事例としてのビジネスが出だすと、一気に「無縁」だった世界から、参人したい世界へと変わっていきます。反対に、このような成功がなければ、宇宙ビジネスは、大きく成長することはないと思います。また、別の視点として、宇宙ベンチャー企業の取組みは、技術的に事業的にもフィージブルなのかという意見も多く聞きます。例えば、星移住計画は実現可能なのか、時間軸は確からしいのか、惑星探査事*は資源リターンは可能なのか、事業採算が取れるのか、などです正直なところ、筆者は答えを持ち合わせていませんが、現在、世界の宇宙ビジネスをリードしている宇宙ベンチャー企業は、他の事業で成功してきた優秀でかつ著名な経営者であること、多方面に信頼、信用力がある人が実施していること、世界を代表する投資家にプレゼンテーションなどでアピールし実際に資金調達に成功していること、他の大企業などと連携していること、などをみるとそれほど間違った取組みではないと筆者は認識しています。フィージブルなのか、事業採算性はあるのか、という結論を急ぐのではなく、まず失敗を恐れずチャレンジしてみる、これが重要なのだと筆者は感じています。成功のために努力する、失敗したら、次の手を考えればよい、撤退すればよいなどの正確な意思決定をすればよい、それを重要視しているのがベンチャー企業であり、Old SpaceとNew Spaceの企業のマインドの違いと理解しています。

本書は、大きく3つのパートで構成しています。Part1では、宇宙ビジネスを概観していただくために、宇宙ビジネスの歴史、国家予算、市場などについて、宇宙先進国のアメリカ、欧州などを中心に紹介し、日本との相違点や世界における日本の立ち位置を理解していただけると思います。また、New Space時代の政策として、世界の取組みとして、各国でみられる民間ビジネスの支援機能やルクセンブルクや米国の惑星資源探査にかかる法規定の整備、日本における宇宙活動法や宇宙産業ビジョン2030などを紹介します。
Part2では、国内外の宇宙ビジネスの最新事例を紹介します。ロケット、小型衛星、宇宙旅行などの分野ごとに取り上げます。Part2により、現在のNew Space時代のベンチャー企業の取組み、老舗企業の取組み、ベンチャー企業と老舗企業の経営方針の相違点、競争や協力体「制に関する動向などが理解していただけるのではないでしょうか。
Part3では、New Spaceにみられ始めたビジネスモデルについて、事業構造を描いてプレイヤーとサービスのやりとりを図示することで可視化します。可視化することで、個々のプレイヤーとのやり取りが明確化され、課題の抽出や売上の把握などに役立ちます。さらに、その事業構造を用いて、他業界でみられるビジネスモデルを取り込むなど、応用もきくと筆者は感じています。また、宇宙ビジネスの参入の留意点を紹介したいと思います。宇宙ビジネスの参入の留意点は、宇宙ビジネスに特徴的なもの、ビジネス一般的にいえるものも含まれていますが、筆者が日常の業務において感じている内容を記載しました。
宇宙ビジネスとは、「直接的にも、間接的にも何らかの形で宇宙に関係するビジネス全般」と本書では定義しています。「宇宙産業」「宇宙事業」という用語は、「宇宙ビジネス」という用語と意味に大きな差異はありません。「宇宙産業」、「宇宙事業」という用語は、Old Spaceのシーンでよく活用され、G2B(Government to Business)のシーンがよく連想され、「宇宙ビジネス」という用語は、New Spaceのシーンで活用される傾向がありますが、本書では、読者の混乱と誤解を回避するため、全て「宇宙ビジネス」という表記に統一することとしました。
筆者は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の開発員として、2機の人工衛星の開発プロジェクトに従事した経験があります。新卒で入社し、様々な経験をさせていただきました。実際に現場に出て、宇宙に関連する多くの企業と共に、概念設計から詳細設計、打上げ、運用までの一連の工程を肌で感じた経験を有します。また、プロジェクトメンバーとの信頼関係、企業の枠をも超えた現場の一体感などは、言葉では表現することができないものであり、一生の宝物であり、忘れることはないでしょう。複雑かつ大規模で先進的なシステムを開発する大規模なプロジェクトを皆で課題を解決しながら成功に向かって進む、これが、宇宙ビジネスの醍醐味の1つと考えています。

その後、JAXAを退職し、日系および外資系コンサルティングームにて官公庁や多種多様な業界の企業のコンサルティングを経した。この経験を通じて、様々な業界のビジネスの課題を知り月き、また担当した企業の強み・弱み、特徴を知ることができ、リレーションも構築することができました。筆者は宇宙ビジネスにおいて、実際に現場に出て宇宙ビジネスの課題を肌で感じた経験、“禅的”な感覚を有していること、宇宙ビジネスの技術やプレイヤーにおける現状の強み・弱み、特徴、課題を把握していること、そして、宇宙ビジネス以外の多種多様な業界のビジネスの課題を知っていることを強みに持っている数少ない人材であると考えています。
本書は、こうした筆者の経験を踏まえて、国内外の宇宙ビジネスの“良いところ”や“理想像”だけを紹介したものではなく、宇宙ビジネスの現状はどうであり、どのようなところに強み・弱み、そして課題があり、何に留意すればよいのか、どのようなところにメリットがあるのか、デメリットがあるのかなどを正直に記載したつもりです。

本書は、宇宙ビジネスに関連のある業界に就職を考えている学生、宇宙ビジネスに関心のある非宇宙企業関係者、宇宙ビジネスの新しい動きに関心のある、従来の宇宙企業の関係者を対象としています。
宇宙ビジネス業界に就職を考えている学生には、おそらく理科系のかたが多いでしょう。本書を読んで、宇宙技術のみ知見を有する人材に留まらず、「誰に」「いくらで」「何の製品・サービス」を「どのように販売するのか」というビジネスマインドを有する人材を目指そうと少しでも思ってもらえると幸いです。文科系のかたも、今後の宇宙ビジネスにおいては、活躍する場面が多く創出されると筆者は考えています。
また、宇宙ビジネスに関係がないと思っていた民間企業が、少しでも宇宙ビジネスに関心を持ち、参入を検討していただく材料になれば、筆者は幸いです。このような観点で、支援ができることが筆者の何よりの喜びです。
本書を執筆する機会をいただいた日刊工業新聞社の国分未生様に深く感謝申し上げます。

2018年4月
齊田興哉

齊田 興哉 (著)
出版社 : 日刊工業新聞社 (2018/4/18)、出典:出版社HP

NewSpaceのビジネス領域

宇宙ビジネスというと、多くの読者が真っ先に思いうかベるのはロケットでしょう。もう少し詳しいかたであれば、次に衛星を挙げられるでしょう。ロケットと衛星を、ここでは宇宙ビジネスのインフラと位置付けています。宇宙インフラには、ロケットの発射場や衛星をコントロールするための地上システムも含みます。この宇宙インフラをベースに、通信衛星データ利活用、宇宙ステーションといった様々な宇宙ビジネスの分野が展開されています。また、宇宙インフラ領域にサービスや製品を提供する、商社、保険、宇宙用部品・宇宙用機器といった分野も存在します。

宇宙ビジネスには、あまり多くのビジネス分野が関係していない印象をもたれているかもしれません。しかし実際には、図にも示したように多くの分野が関係して成り立っています。ロケット分野にしても、衛星などの宇宙空間へ運ぶペイロードがなければ成立しないビジネス分野ですし、リスクヘッジのための保険も必要不可欠です。ロケットを構成する宇宙用部品・宇宙用機器の種類も多岐にわたりますし、多くの企業が「関係しています。衛星や地上システムも同様です。

NewSpaceでは、宇宙旅行やエンターテインメントが新しい分野としてみられます。その延長には惑星探査の試みもあります。もともと利活用が盛んな衛星データ分野では、位置情報やリモートセンシング画像を扱うビジネスが、今までは宇宙とは関係ないと思われていたような分野(たとえば金融)にまで広がりを見せています。その一方で、宇宙インフラ分野においても、小型衛星や小型/新型ロケットなど、新規参入の企業の活躍が目立つ領域が現れています。技術開発主導からビジネス主導へ、ビジネス領域が拡大するにつれて、参入するプレ彼らのビジネスモデルも多様化していきます。

宇宙インフラ、宇宙インフラを取り巻く各分野の主要プレイヤーを記した企業相関図を作成しました。
主な事業として宇宙ビジネスを実施している企業を宇宙外を非宇宙企業として定義しています。国内企業については可能な限り宇宙ビジネスに関係していることが公表されているプレイヤーを網羅的に入れました。海外企業については、著名なトップ企業を教社と、本書で紹介しているプレイヤーを中心に掲載しました。企業間での出資やサービス提供、モノの販売などなんらかの連携についても、可能な限り図示しています。
ただし、全ての企業を入れ込むことは非現実的ですので、筆者の主細に依存している部分は大いにあります。ご了承いただけると幸いです。たとえ全てを網羅していなくとも、多くのプレイヤーが関わり、宇宙へ業、非宇宙企業が様々な取組みを実施していることがわかります。

NewSpaceの時代から特にみられ始めたのは、企業間の連携や出資、非宇宙企業の進出です。OldSpaceの時代では、高い技術力と高い信頼性・品質を武器にビジネスを展開していたため、日本ではこのようなNewSpaceの取組みはほとんどみられませんでした。また、民間企業が自治体とうまく連携することで、宇宙ビジネスの組成と地方創生というWin-Winの関係を構築している点も特徴的です。
このように、高い技術力と高い信頼性・品質をベースとしたビジネスから、サービスベースのビジネスへと変貌している点もこの企業相関図をみて理解することができます。

現時点で示している企業相関図は、今から数年後、10年後になれば、宇宙ビジネスを取り巻くプレイヤーも増え、分野もさらに多様化し、新たな企業相関図となっているでしょう。
宇宙ビジネスへの参入を検討するにあたり、どのようなプレイヤどのような分野で取組みを実施しているのか、どのような競合がいか、などを俯瞰していただき、少しでも読者の参考になればと考えます。

齊田 興哉 (著)
出版社 : 日刊工業新聞社 (2018/4/18)、出典:出版社HP

目次

はじめに
NewSpaceのビジネス領域

Part1 Old SpaceからNewSpaceへ
第1章 宇宙ビジネスの歴史は競争から協調へ
米国と旧ソ連のロケット開発競争/戦後の人工衛星の開発競争/有人空中
分野の争い/月への争い/宇宙ステーション開発と協調の時代到来
第2章 世界のなかの日本の宇宙ビジネス
ロケット打上げ機会が多い米・露・中/圧倒的な国家予算を有する米国/世界の宇宙ビジネスの市場規模/圧倒的な官需の日本の宇宙ビジネス
第3章 政策で民間企業を後押しする
民間の宇宙ビジネスを実施する上で重要な宇宙活動法/米国政府が民間企業の月面商用利用を許認可/惑星資源探査事業の法整備を進める先駆国ルクセンブルクと米国/世界で行われている宇宙ビジネスの民間支援機能/宇宙産業ビジョン2030
日本の課題と成功に必要な条件

Part2 宇宙ビジネス第三の波
第4章 NewSpaceを動かすプレイヤーたち
ジャイアント出身者を中心とした海外ベンチャー企業の台頭/宙ビジネス出身者が多くない日本のベンチャー企業/多様化する。ネスの市場/大企業連合、大企業からベンチャー企業への出資
りスク回避による分社化/実は昔からあったクラウドファンディングによる資金調達/NewSpace時代に求められる人材、職種とは
第5章 NewSpaceのビジネスは始まっている
5.1 斬新なアイデアが導くロケットビジネス
大型ロケットのコスト削減策/航空機によるロケット打上げ/マイクロ波を活用したロケットベンチャー/ハイブリッドエンジンを搭載したロケット/世界をリードするRocketLab社/SpaceX社創業の小型ロケットベンチャー、Vector/超大型ロケットビジネスの狙い/世界初となる民間運営のロケット射場/夢の宇宙エレベータ建設へ
5.2 NewSpaceの花形、小型衛星ビジネス
大規模コンステレーションによるグローバルブロードバンドビジネス/小型衛星の大量生産の時代到来/宇宙空間を操るビジネス/スペースデブリ除去ビジネス/宇宙のVR映像化ビジネス/ビットコイン衛星の登場
5.3 リモートセンシング画像の様々な活用法
リモートセンシング画像と人工知能(AI)で街づくり/リモートセンシング画像と経済指標/リモートセンシング画像とAIで太陽光パネルの設置状況を可視化/リモートセンシング画像のカラー動画とスマートフォンサービス/人工衛星を活用した新しい牧畜業者向けビジネス
5.4 大型衛星の新しい動き
大型衛星の主流となるオール電化衛星/大型衛星のコスト削減策
5.5 海外の次は宇宙旅行、そして惑星移住へ
脱出システムとエンターテインメント性を重視した宇宙船の内装/ハイブリッドエンジンでコスト削減を狙う/ロケットを使った高速旅行サービス/デザイン性と機能性に富んだ宇宙服ビジネスの幕開け/民間の宇宙旅行訓練ビジネス/一歩先を行くBigelowAerospaceの宇宙ホテル/NanoRacks社、エアーロック事業を加速/老舗企業vsベンチャ一企業、両社が目指す火星移住計画/アラブ首長国連邦(UAE)の火星移住計画/火星移住シミュレーターから新規ビジネスを創出するIKEA/GoogleLunarXPRIZEから始まった惑星探査事業/日でトップを走るMoonExpress社/月面ランダーを武器に多くの企業と連携/DeepSpaceIndustries社の惑星資源探査機/日本
資源探査機/日本を代表するHAKUTO/地球外生命を探す数グラムの宇宙船プロジェクト
5.6 異分野に広がる人工衛星データの利活用
気象データを保険事業に活用/測位信号とアニメ、VR、ARで地域活体化/宇宙×仮想現実(VR)/測位衛星を使って農機を自動運転、農作業効率向上/物流×宇宙
5.7 技術を活かす、日本の宇宙ビジネス
シャープの新しいフラットアンテナ/キヤノンの回折格子による光学センサーの小型化/栗田工業の宇宙ステーションでの水循環システム/宇宙食の発展/宇宙×医療・健康
5.8 異分野、ベンチャー、老舗企業の挑戦
サービス全般を揃えるNewSpace時代の宇宙商社/思いをかなえる宇宙葬ビジネス/国際宇宙ステーションからの360度VR映像/次世代の屋内測位ビジネス/超小型衛星キットの登場、進む低価格化/芸能プロダクションの宇宙ビジネス参入/スカパーJSATの低軌道衛星向けビジネス/水中ドローンによる海洋×宇宙ビジネス
5.9 中国は宇宙強国を目指す
中国版宇宙ステーションの整備/中国版GPS北斗(BeiDou)/中国リモートセンシングの取組み/20人乗りの宇宙旅行機の開発計国、宇宙旅行ビジネスに参入/惑星探査計画を意識したパルサー航法衛星/宇宙で使う3Dプリンターの開発
「柔よく剛を制す」日本の進むべき道

Part3 NewSpaceのビジネスモデル
第6章 多様化する宇宙ビジネスモデル
6.1 ハードウェア製造販売を中心とするビジネスモデル
官公庁・宇宙機関が調達するロケットや人工衛星の製造販売(G2B)/ロケットや人工衛星の製造販売はG2BからB2Bへ/衛星通信事業者のビジネスモデル/リモートセンシング事業者のビジネスモデル/小型衛星の製造販売ビジネスモデルは民間企業主導/ハードウェア製造に顧客サービスが伴う宇宙旅行(B2B2C)/惑星移住ビジネスのプレイヤー(B2B2C)/惑星探査機(ランダー、ローバー)・サンプルリターン機の製造と資源販売ビジネス(B2b)
6.2 人工衛星データを活用するビジネスモデル
リモートセンシング画像や衛星測位が農業を効率化する(G2B・B2B.B2C)/衛星測位とウェアラブル装置で位置情報を把握するスポーツビジネス(B2B2C)/衛星測位とスマートフォンで位置情報を活用する観光ビジネス(G2B2C)/位置情報を交通・物流ビジネスに活用する(B2B2C)/リモートセンシング画像から付加価値サービスを提供する(B2B2C)
第7章 全く新しい、マーケティング重視の宇宙ビジネスモデル
市場を支配する価格破壊型ビジネスモデル(SpaceX)/“場”を提供するプラットフォームビジネス(Facebook、アクセルスペース)/顧客を離れさせない課題解決型ビジネスモデル(SpaceKnow、三井住友海上)/フリーモデル(無料)で顧客を獲得する(SpaceKnow)/ブルーオーシャン戦略ビジネスモデル(アストロスケール、ALE、SpaceVRなど)/広告塔での収益を狙うビジネスモデル(惑星探査事業企業など)/サプライチェーン変更型ビジネスモデル(OneWebなど)/ディファクトスタンダードを構築するビジネスモデル(Microsemi(旧Acte)、Moogなど)
第8章 宇宙ビジネスに新規参入するには
人工衛星はだいたい3種類しかない/人工衛星を活用する6つのト/人工衛星とドローン、それぞれの強みと弱み/ニーズオリエンティッドな視点でビジネスを考える/事業構造を可視化して、ステークホルダと市場性を把握する/他分野のビジネスモデルを真似る、アレントする/避けて通れない信頼性と品質の考え方/宇宙ビジネスのユーザを発掘開拓する/宇宙ビジネス新規参入の勘所

おわりに 宇宙ビジネスの未来
索引

齊田 興哉 (著)
出版社 : 日刊工業新聞社 (2018/4/18)、出典:出版社HP