デジタルマーケティング2.0 AI×5G時代の新・顧客戦略

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15キーワード+50ソリューション

AI × 5G時代の新しい顧客戦略モデルが全て図解されています。次世代モデルにおける15のキーワドと業種・機能別の50のソリューションについて紹介されています。情報化社会において、AIなどの技術をどのように活用していくことができるのかを考えるきっかけを与えてくれます。

安岡 寛道 (著), 稲垣 仁美 (著), 木ノ下 健 (著), 松村 直樹 (著), 本村陽一 (著)
出版社 : 日経BP (2020/2/21)、出典:出版社HP

はじめに

マーケティングのモデルは常に進化を求められている。進化を迫る大きな要因は、新しい技術である。利用者に快適な体験を提供するアプリケーションやインターフェースの導入、それに合わせたバリューチェーンの変更などは、マーケティングの永遠の課題だ。これから当面の間、対応が必要な最重要ファクターは、AIと5Gであろう。では、Al×5Gの時代には、どんな進化が起きる可能性があるのか。例えば、「魔法の鏡」が登場し、スマホ並みの必需品になるかもしれない。鏡に顔を映し出すだけで肌の状態が分析され、見えないシミやしわなども含めて肌の状態をチェックした上で、最も美しく見えるメイクの方法をミラー上でシミュレーションしてくれる。シミュレーションしたパターンの中から、その日のお出かけ先や服装などに応じて、最適メイクを選べるようになる。

さらには、その最適メイクを「貼るだけ」で実現するメイクアップシート(化粧品が染み込んだ薄膜シート)を「印刷」できるようになる。メイクアップシートの印刷は、シミの位置や大きさや濃さを正確に捉える画像処理技術、化粧顔料をインクジェットで扱えるようにする材料科学の技術、そのインクを使って肌の色を正確に再現するプリンターの技術など、様々な技術によって実現する。こうなると、メイクは「塗る」ではなく「貼る」ものになる。
そして「魔法の鏡」の機能は、スマホやタブレットに搭載され、あなたの執事となり、外出先などでも利用できるようになるかもしれない。「スマートミラー」と「メイクアップシート」というアイデアは、夢物語ではない。既にパナソニックによって開発が進められている「スノービューティーミラー」など、実用化に向けた段階に入りつつある商品もある。

Al×5Gが普及する時代は、このような新しいマーケティングのモデルが次々に出現し、競い合うことになるだろう。その中で、人々に受け入れられ、社会に定着していくものは何か。そのヒントを提供するのが本書の狙いである。本書では、AIと5Gが普及する時代のマーケティングのモデル(ソリューション)を、〈業種別〉と〈機能別〉に解説していく。

※1:「マーケティング」の定義は時代によって変遷し、プロダクト〜関係性~社会志向へと、より広い概念になってきた。いずれにせよ、「売れる」ようにするための顧客視点の発想、仕組み作りである。つまり、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、頭客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客面直を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを主に指す。

Al×5G時代のキーワード
Al×5G

7つの主要コンセプト
リアルタイムマッチング
コラボレーション/シェアリング
lot/セルフ化による自動化
パーソナライズ/カスタマイゼーション
ダイナミックな需要予測/プライシング
MR化/ライブ化
OMOのレコメンデーション

8つの補完コンセプト
XaaS
X-Tech
スコアリング/信用価値算定
アバター/エージェント化
マルチデバイス化
シームレス決済
スマートミラー活用
スマートシティ化

安岡 寛道 (著), 稲垣 仁美 (著), 木ノ下 健 (著), 松村 直樹 (著), 本村陽一 (著)
出版社 : 日経BP (2020/2/21)、出典:出版社HP

もくじ

PART1 Al×5Gで何が変わるか?
・顧客行動と事業活動のシンクロ
・5Gで何が変わるか?
・AIで何が変わるか?
・Al×5Gで何が変わるか?

PART2 Al×5G時代のキーワード
・7つの主要コンセプトと8つの補完コンセプト
・7つの主要コンセプト
1 リアルタイムマッチング
2 コラボレーション/シェアリング
3 IoT/セルフ化による自動化
4 パーソナライズ/カスタマイゼーション
5 ダイナミックな需要予測/プライシング
6 OMR化/ライブ化
7 OMOのレコメンデーション
・8つの補完コンセプト
1 X aas
2 X-Tech
3 スコアリング/信用価値算定
4 アバター/エージェント化
5 マルチデバイス化
6 シームレス決済
7 スマートミラー活用一
8 スマートシティ化

PART3 業種別ソリューション
1 小売店
OMOが高精度化
店舗の運営コストは半減
2 百貨店・GMS
ショールーミングを収益化
データをもとに商品をプロデュース
3 アパレル
「見えなかった顧客の行動」を可視化
AIで店内レイアウトを最適に
4 飲食店
スマホが「顧客のエージェント」に
需要予測や食材調達はダイナミック化
5 スポーツ・エンタメ
5Gで未体験ライブ動画を提供
試合結果に応じてリアルタイム販促
6 アミューズメント施設
遊園地とスマホのゲームがつながる
「行列の待ち時間」をブロックチェーンで売買
7 ホテル・鉄道・航空
空室状況に応じて価格設定
MaaSの延長として商品やサービスも提供
8 インバウンド観光
「Al添乗員」が観光案内
スマホで撮影すると解説情報を表示
9 出前・デリバリー
ギグワーカーが配達員として活躍
状況に応じて需給をコントロール
10 タクシー
AIの需要予測で配車を最適化
空港に向かう車内でチェックインも
11 宅配便
配送の場所・時間・方法を最適マッチング
コストを反映した選択肢を提示
12 ガソリンスタンド
「監視」「給油許可」をAIが代行
EVへの対応と地域の拠点化で大変身
13 携帯電話サービス
家電製品や公共施設との連携が拡充
シームレスなサービス提供者として進化
14 教育サービス
アダプティブラーニングが主役に (塾・予備校)
「やる気」と「好奇心」を高める
15 外国語会話教室
世界中のネイティブ教師とマッチング
「受講券の余りはブロックチェーンで転売
16 サービス業(マッサージ、クリーニングなど)
サービスの品質をアルゴリズム判定
プラットフォーマーが事業者を認定
17 美容 (スキンケア・メイクアップ)
「魔法の鏡」でメイクのシミュレーション
「貼るだけできれいになるシート」を印刷
18 健康管理サービス
食事の画像から栄養データを分析
IoTデバイスと連携し異変を検知・助言
19 福祉・介護
高齢者を「仲良しマッチング」
医療施設とテレビ電話でつなぐ
20 医療機関
「どこでもマイ病院」を実現
マイナンバーカードと連携して販促
21 警備(一般顧客向け)
画像パターン分析で不審者に対応
避難誘導などのサービスも提供
22 自動販売機
生体認証の決済が可能に
健康管理と連動したサブスクも登場
23 駐車場
ドライバーの行動を予測して「つぶやく」
IoT化でプロモーションの基地に
24 自動車
MaaS型のサービスへ進化
地方の移動手段として自動運転推進
25 家電製品
情報家電化が加速度的に進行
レンタルや残価設定ローンも一般化
26 受注生産品 (住宅や自動車など)
VRシミュレーションで商品提案
注文した商品の完成までをライブ配信
27 エネルギー機器
設備の稼働状況をIoTモニタリング
スマートシティのシステムを構築
28 電力システム
需給に合わせるデマンドレスポンスが広がる
EVを蓄電池として利用へ
29 農林水産業
ドローンなどを使って「無人栽培」
需給バランスの最適調整が実現
30 損害保険
顧客のリスクに応じてパーソナライズ
月会費型のビジネスモデルも広まる
31 生命保険
個人のライフログをもとに保険を設計
生命保険会社が情報のハブに
32 金融(個人向け融資)
「個人情報」が「信用情報」に進化
強制的な返済条件付き融資が普及
33 金融(法人向け融資)
AIが信用力を算定
小規模資金調達が容易に
34 資産運用
メルカリ効果で投資対象が拡大
プラットフォーム企業もサービス提供
35 不動産仲介
ライフスタイルに応じて物件提案
スマートシティの運用を担う存在に
36 経営コンサルティング
属人的な知識と経験をデータで補う
多様なリアルタイム調査をもとに助言
37 セミナー・講演
受講者の興味をAIが予測
講師発掘などのマッチングも精緻化
38 公共サービス (社会保障、税務)
同意を得た個人に紐付くデータも活用
社会的コストを下げて「安全安心」に

PART4 機能別ソリューション
39 商品企画・開発
優秀な開発担当者の不足をAIが補う
3Dプリンターで商品化のスピードアップ
40 物流
AIで分析して「ヒヤリハット」の事故防止
人手不足対策の自動運転化も進む
41 販売企画・検証
顧客・棚割り・商品のIDを紐付け
プロモーションを最適化
42 広告制作
広告コピーをAIが作成
ユーザー別に最適の訴求案を提示
43 販売促進
リアルとデジタルの境界が消失
あらゆる顧客接点がプロモーションの場に
44 ポイント・クーポン・決済
最適の支払い手段を自動選択
SNS上の仮想通貨での決済も可能に
45 コールセンター
フォロー体制が高度化
要望とリソースを最適マッチング
46 カスタマーサポート
対応の自動化が進んで適切デバイスへ
顧客からの情報を画像・音声・動画で収集・活用
47 ユーザー検証(アンケート)
行動観察などのデータ収集が重要に
直感的な感想なども広く収集
48 顧客情報管理
個人データの「活用」と「保護」
代行事業者が台頭し行政とも連携
49 経理・財務
出張の「経済効果」をAIで分析
戦略提案部門としての役割が高まる
50 人事
昇進・昇格をAIが判定
「AI対応力」が評価の重要項目に

PART5 デジタルマーケティング2・0の思考法
・サイバーフィジカル化する社会の改善ループを回す
[スマホ普及0年、次にやるべきことは?] [雨の休日に来店する顧客は誰か?] ・デジタルマーケティング2.0を実現する2つのポイント
[イメージ創出の発想] [「それでも残る課題」への対応]

さいごに
謝辞
参考情報

安岡 寛道 (著), 稲垣 仁美 (著), 木ノ下 健 (著), 松村 直樹 (著), 本村陽一 (著)
出版社 : 日経BP (2020/2/21)、出典:出版社HP