世界一おもしろい 世界史の授業 (中経の文庫)

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歴史の本質をわかりやすく捉える

学生時代に世界史をあまり勉強してこなかった方や世界史がうまく理解できなかった方は多いかもしれません。しかし、時が流れ、世界史を勉強しておけばよかったと感じる機会が訪れる場合も少なくないようです。本書では、そのような世界史がよくわからない方や苦手な方に向けて、歴史の本質をわかりやすく解説しようとしています。

宇山 卓栄 (著)
出版社 : KADOKAWA/中経出版 (2014/2/27)、出典:出版社HP

はじめに

「世界史をもっと勉強しておけばよかった」
海外旅行へ行き、多くの人がこう思います。世界史は何歳からでも勉強できます。定年退職した人も、現役の人も。

「学生時代、世界史を勉強しなかったから、世界史の本を読んでもよくわからない」
こんなふうに考えている人もおられるでしょう。たしかに、世界史の一般的な概說書を見ると、歴史用語や年号がビッシリと並んで、初心者にとって、負担が大きいだろうと思います。「入門書」と書いていながら、初心者にはなじみのない歴史用語が盛りだくさん。
「今さら、歴史用語を勉強させられるのはイヤだ。しかし、歴史の本質を勉強したい」
こんな思いをもっておられる読者のために、本書は企画されました。通常、歴史の本質を勉強しようとするならば、難解で重厚な学術書か専門書をひも解かなければなりません。一般の人にとってはハードルが高すぎます。

歴史の本質を一般の読者にもわかりやすく、しかし、表面的で簡単になりすぎず。また、やわらかすぎず、かたすぎず。短すぎず、長すぎず。そんなバランスのとれた世界史の概説書、あるようでなかった稀少な概説書、それが本書です。

宇山卓栄

宇山 卓栄 (著)
出版社 : KADOKAWA/中経出版 (2014/2/27)、出典:出版社HP

もくじ

はじめに

CHAPTER1 世界史の基本ルール
1 世界史を学び直すまえに
歴史を買いかぶるな
歴史とはエンターテインメントである
2 歴史の構造
階級闘争
人間の欲望の累積
富をめぐる争い――右派と左派
3 変化の構造
ヨーロッパの時代変遷
中国の諸王朝

CHAPTER2 古代
1 オリエントとギリシア
白人はアジアにいた
アラブ人と白人
ペルシア戦争――貧民のチャンス到来
軍事主義への歩み
2 ローマ①
地中海のビジネスチャンス
格差社会
「カエサル」という現象
政治バランス
3 ローマ②
ギリギリの帝国経営
皇帝たちの苦悩
キリスト教―政治に利用される宗教
4 中国①――秦・漢時代
中国の原型
法家思想――人間の本性は悪
秦から漢へ
経済音痴の武帝
5 中国②――三国時代〜隋唐時代
本当の三国志
中国のハイブリッド化
隋の場帝――作られた暴君のイメージ
唐時代――精緻な官僚制

CHAPTER3 中世
1 ヨーロッパ中世①
教皇とゲルマン人の癒着
ドイツ・フランス・イタリアの誕生
ヨーロッパの皇帝家
教皇とは何か
2 ヨーロッパ中世②
ノルマン人の海運ネットワークビジネス
南北のアウトレット
空前の好景気とそのひずみ
ロジスティクス(生産工程)のワンストップ化
3 ヨーロッパ中世③
イギリスのイノベーション
オランダのリテール(小売)商社
フランス・イタリア・ドイツの保守性
4 イスラーム
イスラーム教の発展の背景
後継者の時代
軍事拡大への道
略奪の限界、分裂の時代
5 中国①――宋・元時代
経済成長と成り上がり者たち
カネの切れ目が縁の切れ目
モンゴルの時代――シルクロードで大もうけ
モンゴルの拡大――インドにまで到達出
6 中国②――明時代
農業主義への回帰
天下人の暗い過去――明王朝
台湾の歴史

CHAPTER4 近世
1 イスラーム圏、オスマン帝国
地中海圏としてのイスラーム
オスマン帝国の進出
オスマン帝国、寛大なる共存政策
2 清王朝
なぜ辺境の満州人が中国の覇者となったのか
モンゴル人の王となる
満州人の中国支配
「存在しない」人口と地丁銀
3 大航海時代
マーケットの拡大
ポルトガル――バブルの熱狂
スペインの進出――金銀財宝の発見
4  宗教改革、ハプスブルク家
信仰よりもカネ
経営者カルヴァン
ハプスブルク家の幸運
5 イギリス・フランスの絶対王政
イギリス王権の拡大
メアリ1世・エリザベス1世のバランス感覚
フランスの絶対王政
絶対王政の経済構造
6 イギリス市民革命的
興勢力のヒステリック状態
議会政治と宗教
マネー流入と市場開拓
7 18世紀のヨーロッパ諸国
海への出口
プロイセンの台頭
イギリスの優位

CHAPTER5 近代
1 フランス革命
デフォルトの回避――貸しつけ金の回収
インフレとの戦い
ナポレオン
2 フランス・イギリス
震源地フランス
ブルジョワ=ラインへの収束例
戦艦テメレールの最期
イギリス、ビジネスモデルの転換
3 ドイツ・イタリア
誰がリーダーか
「平和主義者」ビスマルク
「敵にまわしたくない男」
4 アメリカ
人口急拡大という爆弾
アメリカの独立
南北戦争は市民革命的
5 ロシア
大国でありながら後進国
新たなる海へ
全面戦争の危機
6 第一次世界大戦までの国際関係
勝者の既得権益
ドイツ優位の構造
イギリスの選択

CHAPTER6 現代
1 第一次世界大戦後の世界
理想主義者の失態
たたきやすい存在
アメリカ資本に支えられたドイツ
ロシア革命とその後
2 世界恐慌
バブルの崩壊
再評価されるべきフーヴァー
「小さい政府」VS「大きい政府」
3 ニューディール政策と世界経済
「バラまき」政策
自国優先の閉鎖経済
第二次世界大戦はブロック経済から起こった
4 第二次世界大戦
ファシズム――ゆがんだ資本主義
ヒトラーに開戦意志なし
ルーズヴェルトが招いた冷戦

おわりに
さくいん
本文イラスト: 沢音千尋
本書は文庫置き下ろしです。

宇山 卓栄 (著)
出版社 : KADOKAWA/中経出版 (2014/2/27)、出典:出版社HP