マンガでわかる虚数・複素数

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虚数・複素数について図解で理解する入門書

本書は、虚数・複素数の入門書で、虚数・複素数を用いた電気回路の計算、複素数の工学的利用について理解することを最終的な目標としています。最後の複素数の工学的利用は少し難しい内容となっていますが、そこまでの虚数・複素数の説明は、図解を交えながら丁寧に記述されており、数学が苦手な人でも理解しやすくなっています。

相知 政司 (著), 石野 人衣 (イラスト), トレンド・プロ (その他)
出版社 : オーム社 (2010/11/12) 、出典:出版社HP

はじめに

最近の大学生はゆとり教育世代となり、多くの電気系学科では、電気回路の講義がわからない学生がでてきていると聞きます。私も大学で電気回路を担当しておりますが、簡単な電気回路の問題が解けない学生がいるのを目のあたりにしております。何とかしないといけないと思うのですが、特効薬は見あたりません。ただ、電気回路がわからない学生の多くが複素数の計算ができない、苦手であるということだけは、わかりました。そこで、オーム社さんに相談して、この本を執筆することにしました。

虚数は、英語でいうとImaginary Numberで想像上の数字となるのですが、なぜか、日本語に訳したときに「虚ろな数」と訳されてしまって、印象が悪くなってしまいました。しかし、実在する数なんて自然界にあるのでしょうか。人間が勝手に数字を作っただけで、数字がなかった時代と現在でも自然現象は同じです。ただ、人間が数字と数式を用いて自然現象を表して理解しようとしているだけでしょう。

さて、複素数は電気回路の中で、特に交流回路を取り扱うときには、とても強力な計算手法として実在の電圧波形や電流波形を計算することに利用されています。大学での電気回路の講義は主に交流理論と呼ばれ、電圧や電流を複素数として取り扱うことができないと単位が取得できません。また世の中には電気にかかわる資格がたくさんありますが、その資格試験にも交流理論、すなわち虚数・複素数を用いて解く問題がたくさんあります。

本書が虚数・複素数の入門書として多くの方に読まれて、一人でも多くの方に、虚数・複素数を用いた電気回路の計算に興味を持って頂き、理解して頂ければ幸いです。

最後になりましたが、本書を出版するにあたり、終始、有益なご助言を頂いたオーム社開発局の皆様、私の拙い原稿をおもしろく理解しやすいマンガにして頂いた永川成基様と石野人衣様、トレンド・プロの皆様に心から感謝いたします。

なお、本書は数学の専門書籍ではないので、数学的に考えると微妙な表現があるかもしれません。また、数学本来の歴史とは異なる表現もありますが、虚数・複素数の初学者が理解しやすいことを最優先に考えた結果ですのでご了承ください。

2010年11月
相知政司

相知 政司 (著), 石野 人衣 (イラスト), トレンド・プロ (その他)
出版社 : オーム社 (2010/11/12) 、出典:出版社HP

目次

○プロローグ アイのはじまり

○第1章 数の種類
1. 数の種類
■自然数と整数
■小数と分数
■無理数
■実数
2. 2次方程式の解の公式
3. 虚数iの導入ですべての2次方程式が解ける
4. 2次方程式の応用例
5. 2次方程式の解の公式の導き方
6. 平方根の筆算の仕方

○第2章 虚数iを拡張して複素数a+biへ
1. 複素数への拡張
2. 複素数の性質(大きさ、偏角)と複素平面
3. 複素数の四則演算
4. 複素数の四則演算を複素平面上に描く
5. 共役複素数とは
6. 演習問題

○第3章 極座標表示
1. 直交座標系と極座標系
2. 演習問題

○第4章 指数関数と複素数を関係づけるオイラーの公式
1. オイラーの公式
2. ネイピア数(自然対数の底)e
3. オイラーの公式の証明
4. ド・モアブルの公式
5. 指数を使った極座標表示
6. 微分の定義とネイピア数の微分
7. ネイピア数の実用例

○第5章 オイラーの公式と三角関数の加法定理
1. 三角関数の加法定理
2. 三角関数の加法定理は導き出せ
3. 演習問題

○第6章 複素数の性質、乗算と除算、極座標表示
1. 複素数の乗算とは
2. 複素数の除算とは
3. 度数法と弧度法に対応した三角関数表
4. 指数に関する公式
5. 対数関数
6. (-1)×(-1)=1、借金×借金=貯金になるわけ

○第7章 複素数の工学的利用
1. 交流回路
2. 複素数の工学的利用
3. 家庭用電圧の実効値
4. 正弦(サイン)波の相対的位置関係

○付録演習問題
参考文献
索引

相知 政司 (著), 石野 人衣 (イラスト), トレンド・プロ (その他)
出版社 : オーム社 (2010/11/12) 、出典:出版社HP