【最新 – プロジェクトファイナンスについて理解を深めるためのおすすめ本 – 理論から実務での応用まで】も確認する
プロジェクト・ファイナンスのノウハウがわかる
本書は、プロジェクト・ファイナンスの実務者向けの本です。プロジェクト・ファイナンスの基本的な内容から始まり、事業関係者、実務の手順、リスク、キャッシュフローのコントロールといった、関係者なら予め知っておくべき項目が解説されています。後半には事例紹介もあり、実用性を高くすることを目指した本になっています。
はじめに
1601年2月、イギリス東インド会社の船団が遠く香料諸島に向け初の航海に出帆した。現地で香料を買い、本国に持ち帰ることが主な目的であった1。ロンドン郊外のテムズ河南岸にあるウルウィッチから旅立ったのは、旗艦レッド・ドラゴン、それに従うヘクター、スーザン、アセンシオンと補給船だった。これらには、総指揮官ジェームス・ランカスターを含む乗員500名弱が乗っていた。
ランカスターは東インドも含め多くの海域を航海したことがある経験豊富なベテラン船乗りであった。それぞれの船舶も西インド諸島や地中海の交易ですでに多くの実績をあげていた。この初航海は冒険ではあったが、経験や実績を重んじて備えの面では冒険しなかった。人も船も過去の業績を重視したのである。1603年9月、2年半に及ぶ苦難の航海を終えて船団はついに帰国する。持ち帰った胡椒は約500トンで、イギリスの国内需要をはるかにしの大量であり、初の航海は大成功に終わった。
ところで、この航海資金はどのようにして調達されたのだろうか。イギリス東インド会社は、船団が出帆した前年の12月末に設立されたばかりであり、1602年に創立されたオランダ東インド会社と異なり、当時はまだ株式会社の形態はとっていなかった。十分な自己資金も資産もなく、会社の信用力で外部から借金することは困難だった。そこで、東インド会社自らが借り入れるのではなく、実施する航海ごとに資金を工面し、売りさばいた積荷の代金で借りたお金を返すことにしたのである。
つまり、資金が返済されるかは、航海の成否に大きく左右されたことから、資金提供者たちは陸地にいながらにして、文字どおり「同じ船」に乗っていたことになる。実際、航海がうまくいかずに資金がまったく回収できないときもあった。
こういった資金調達の概念は、それぞれの航海を事業とみなせば、正しく現代の「プロジェクトファイナンス」に通じるものがある。
プロジェクト・ファイナンスとは、実施する事業のキャッシュフローと資産を主な拠り所にして資金を調達する金融手法である。したがって、事業の成否が資金の返済に大きく影響する。事業が失敗しても、原則としてプロジェクトにかかわる政府・政府機関や民間のプロジェクト・スポンサーが資金の返済を迫られることはない。これら関係者に債務返済の義務が生じない以上、貸し手からすれば、プロジェクトの事業性を見誤った場合、資金が戻ってこないことになる。逆にいえば、プロジェクト・ファイナンスにおいては、こういった関係者の信用力が限られていても、事業が有望であるならば資金調達の道が開けることになる。
プロジェクト・ファイナンスの対象となる事業分野としては、主に天然ガスや鉱物などの資源開発やインフラストラクチャー(電力・水道・通信・運輸・廃棄物処理や学校・病院・住宅といった産業・生活基盤となる社会資本のこと。以下「インフラ」)があげられる。特に近年は、厳しい財政事情のもとでインフラをめぐる旺盛な新規あるいは改修需要に応えるため、官民連携(PPP:Public-Private Partnership)によるインフラ整備を推進する政府が先進国・発展途上国を問わず増えており、これら事業でもプロジェクト・ファイナンスが積極的に利用される傾向にある。
本書は、この有力な資金調達手法であるプロジェクト・ファイナンスについて、実務面から解説したものである。プロジェクトにかかわる個々のリスクを分析し、そのコントロール策を提示するとともに、多種多様な事業関係者の利害を調整し、いかに必要資金を調達するかにつき説明している。特に発展途上国をはじめとするリスクの高い海外で実施されるプロジェクトの資金調達を念頭に置いている。
なお、本書は2007年に出版された『プロジェクトファイナンスの実務〜プロジェクトの資金調達とリスク・コントロール~』の後継本という位置づけで、近年の市場動向や金融技術の発展をふまえ、前書の内容を大幅に更新・拡充した新版である。前書は幸いにして官民学を問わず多くの読者に恵まれ、14刷にまで版を重ねることができた。社内の研修をはじめ、海外では在留邦人の勉強会で利用いただいているとお聞きし、執筆者にとってはまさに感無量であった。また、いくつかの大学で教材に採用いただいたことも望外の喜びだった。この場を借りてお読みいただいた方々や出版関係者に心より御礼を申し上げたい。
前書は、国際協力銀行にてプロジェクトファイナンスに関する行内マニュアルを作成していた際、この機会に公的金融機関の責務として世間一般の方とも広く知見を共有すべきとの発想に立ち、外部用にあらためて執筆したものだった。こういった背景により、前書は日々の業務に資する現場での実用性を重視した内容となっており、本書でもこれを踏襲している。お読みいただいた後は、なるべく多くの案件にぜひ実際に携わっていただきたい。プロジェクト・ファイナンスについて真に教えてくれるのは、究極的には書物でも教師・上司・先輩でもなく、まさにディールそのものだからである。
本書の構成は以下のとおりである。
第Ⅰ章では、プロジェクト・ファイナンスの定義や特徴を説明する。また、最近のプロジェクト・ファイナンス市場における課題について触れるとともに、前書と同じく、プロジェクト・ファイナンスが歩んできた歴史を網羅するかたちで紹介したい。
第Ⅱ章では、プロジェクト・ファイナンスにかかわる主要当事者について述べるとともに、これらを支える法律事務所や各種コンサルタントの役割に触れる。さらに、プロジェクト・ファイナンスでの資金調達に必須の具体的な実務手順を時系列で説明する。
第Ⅲ章では、プロジェクトを取り巻く諸リスクとそれらへの対応策について解説する。最近になって脚光を浴びている「ガス供給・発電(Gas-to-Power)プロジェクト」が抱える「複合リスク」にも触れる。なお、この章や第Ⅷ章で紹介する「主要リスク・コントロール表(risk-control matrix)」は、1990年代から国際協力銀行やその前身である日本輸出入銀行の現場で実際に活用されてきたものをベースとしており、読者の日々の実務にも役立つことを願っている。
第Ⅳ章では、プロジェクトの事業性を審査する手法を紹介するとともに、事業から生じるキャッシュフローをどのように分析し、さらにコントロールするかについて説明する。また、プロジェクトが遊守すべき国際的な環境基準に関してもここで触れる。
第Ⅴ章では、プロジェクト・ファイナンスの法的側面について説明したい。関連する各種契約書をそれぞれ紹介することに加え、事業をめぐって当事者間で利害対立が生じた場合の解決手段についても解説する。
第Ⅵ章では、プロジェクト・ファイナンスと一部類似する概念を有し、マレーシアや中東湾岸諸国等のイスラム圏で盛んに利用される「イスラム金融」についてまず説明する。その後、「プロジェクト債」や「メザニン・ファイナンス」等のプロジェクト・ファイナンスに関連する各種金融プロダクトを紹介する。
第Ⅶ章では、執筆陣の公的金融機関での勤務経験を生かし、国際開発金融機関や主要国の制度金融機関等におけるプロジェクト・ファイナンス業務を詳しく説明する。中国が主導するアジアインフラ投資銀行や新開発銀行といった新興勢についても触れたい。
第Ⅷ章では、実在するプロジェクトをもとに個別案件を事例研究に取り上げ、事業別にプロジェクトのリスク・コントロール策を解説する。なお、今回は再生可能エネルギー(太陽光発電)や運輸(鉄道)、そして社会インフラ(病院)といった分野も新たに取り入れることで、前書よりも幅広い事業分野を対象にした。
本書をひと通りお読みいただくことにより、プロジェクトのリスクや(それが最終的に反映される)キャッシュフローを分析するだけでなく、これらを能動的にコントロールすることの重要性に気づいていただければ幸いである。また、リスクの種類や度合いは事業によって異なることから、プロジェクトごとにスキームをつくる「テイラー・メイド」(tailor-made)、そして資金調達のニーズにあわせてさまざまな金融プロダクトを最適なかたちで組み合わせる「ハイブリッド」(hybrid)、といった発想にもなじんでいただきたい。さらに、キャッシュフローに依拠するいろいろな金融プロダクトが今後ますます増えることは間違いなく、読者が本書で得たプロジェクト・ファイナンスの知識がほかでも応用できる機会が来ることを願っている。
本書の出版にあたっては、編著者である自分を除き、前書の執筆者は全員交代した。月日が経って旧執筆陣の多くが直接のプロジェクト・ファイナンス業務から離れた一方、日常使用する実務書の作成には、現場のニーズを日々学握している最前線の人々がかかわるべきとみなで考えたことによる。今回は国際協力銀行から参加した阿部亮一ユニット長、丸嶋崇人ユニット長、大石洋平課長代理、および同行・アジア開発銀行、そしてKing&Spalding外国法事務弁護士事務所でプロジェクト・ファイナンスに携わってきた自分とで新たな執筆陣を構成している。前書と同様に各自が担当する箇所を執筆者全員で時間をかけてお互い吟味・議論し、論旨・用語・表現振りは自分が調整した。なお、前書を執筆した堀口宗尚・弓倉和久・山下総一郎・那須規子・鈴木史郎の各氏には、これまでの豊富な業務経験を生かす意味で原稿のレビューをお願いし、おかげで貴重なコメントを得ることができた。
本書の出版では多くの方々にご協力いただいた。各執筆者の上述した現在あるいは過去の勤務先やこれらの取引先から有益な情報やご示唆を多数頂戴した。また、貴重な写真をご提供いただいた会社もある。この場を借りてご支援いただいた皆様に心から感謝申し上げたい。ただ、記述内容は勤務先・取引先の公式見解を示すものではなく、あくまで各執筆者の個人的なものである。その文責は編者であり執筆者でもある編著者の自分にすべてある。内容には至らない点も多々あると思われる。読者の方々からご指摘・ご助言をいただければ幸いである。
また、執筆者一同を出版まで常日頃支えてくださった一般社団法人金融財政事情研究会の花岡博出版部長に深く御礼を申し上げる。
本書は実務書に徹したことから血湧き肉踊る冒険談はないが、日々の実務の先には400年以上前にさかのぼる東インド会社の時代と変わらず、いまも夢とロマン、そして何よりも挑戦すべきリスクに満ちた海外事業がある。国内の皆様をはじめ、ハノイ、ネピドー、ダッカ、マスカット、マプト、リオデジャネイロといった世界各地で日本から遠く離れて孤独な交渉をされている方々にとり、本書が少しでもお役に立つことがあれば執筆陣にとってこれ以上の幸せはない。
2020年1月
編著者 加賀隆一
1 Brian Gardner, The East India Company: A History, Rupert-Hart Davis, London,1971(浜本正夫訳『イギリス東インド会社』、リブロポート、1989年)およびJohn Keay, The Honourable Company: A History of The English East India Company, Harper Collins Publishers, London, 1991を参照。なお、イギリス東インド会社が実施した初航海の時期について、Gardnerの書籍は1601年1月としているが、Keayの本をはじめ同年2月とする文献が多いので、本書では後者に従った。
【編著者略歴】
加賀隆一(かがりゅういち)
1980年日本輸出入銀行(現、国際協力銀行)に入行。プロジェクトファイナンス部長等を経てアジア・大洋州地域拠点長。2012年アジア開発銀行に入行。官民連携部長。2018年からKing & Spalding外国法事務弁護士事務所にてシニア・アドバイザー(プロジェクト・ファイナンス・プラクティス)。慶應義塾大学経済学部卒。米エール大学大学院経済学修士課程修了。
<著作>
『実践 アジアのインフラ・ビジネス—最前線の現場から見た制度・市場・企業とファイナンス』(著)日本評論社、2013年
『国際インフラ事業の仕組みと資金調達—事業リスクとインフラファイナンス』(著)中央経済社、2010年
『イスラム金融一仕組みと動向』(イスラム金融検討会編著)日本経済新聞出版社、2008年
【著者略歴】
阿部亮一(あべりょういち)
2002年国際協力銀行に入行。アジア・米州・中東のI(W)PP案件やLNG・石油化学案件、業務企画・資金調達等に従事。現在、同行インフラ・環境ファイナンス部門電力・新エネルギー第1部第2ユニット長。2019年度京都大学経営管理大学院客員研究員。早稲田大学政治経済学部卒。スイスIMD経営学修士(MBA)。留学中にIFC(ロンドン)にインターンとして勤務。
<著作>
James Henderson(ed.), Global Industrial Trends: Explorations in the Remaking of Work, IMD Publishing,Lausanne,2009.
丸嶋崇人(まるしまたかひと)
2002年国際協力銀行に入行。アジア・東欧・中東およびアフリカのI(W)PP案件や経営企画・業務企画・資金調達等に従事。また、世界銀行(ワシントン)およびIFC(パリ)で勤務。現在、国際協力銀行エクイティファイナンス部門エクイティ・インベストメント部第1ユニット長。2015~2017年度一橋大学大学院商学研究科非常勤講師。2019年度京都大学経営管理大学院非常勤講師。早稲田大学政治経済学部卒。仏HECParis経営学修士(MBA)。
<著作>
International finance Corporation(ed.), International finance Institutions and Development Through the Private Sector, International finance Corporation, Washington D.C.,2011.
大石洋平(おおいしようへい)
2004年国際協力銀行に入行。鉄鉱石・製鉄案件向けコーポレート・ファイナンス、業務企画、アジア・中東の(W)PP案件向けプロジェクト・ファイナンスのチーム・リーダーとしてインドネシア・ジャワ1LNG-to-Power事業の融資組成等に従事。現在、同行企画部門業務企画室業務課長代理。東京大学工学部卒。ロンドン・ビジネス・スクール経営学修士(MBA)。
(注)いずれも執筆時点での略歴。
目次
第Ⅰ章 プロジェクトファイナンスの基本
1 資金調達の形態
(1) ソブリン・ファイナンス(sovereign finance)
(2) サブ・ソブリン・ファイナンス(sub-sovereign finance)
(3) コーポレート・ファイナンス(corporate finance)
(4) プロジェクト・ファイナンス(project finance)
2 プロジェクトファイナンスの定義
(1) プロジェクトの特定
(2) 債務支払の原資
(3) 借入れに伴う担保
3 ノンリコース・ファイナンスとリミテッド・リコース・ファイナンス
4 プロジェクトファイナンスの特徴
(1) リスク・コントロール
(2) リスク・シェアリング
(3) プロラタ・パリパス
(4) テイラーメイド
(5) ハイブリッド
(6) 事業性審査とドキュメンテーション
(7) 業界と相場観
5 プロジェクトファイナンスの長所と短所
(1) スポンサーにとっての長所
(2) スポンサーにとっての短所
(3) レンダーにとっての長所
(4) レンダーにとっての短所
6 プロジェクトファイナンス市場の課題
(1) プロジェクト・ファイナンスの現地化
(2) 地方政府・地場スポンサー案件の増加
(3) 政府による偶発債務の回避
(4) 不備なPPPの枠組み
(5) 未発達な金融市場
[プロジェクト・ファイナンス略史]
第Ⅱ章 プロジェクトファイナンスの主要当事者と実務手順
1 プロジェクト・ファイナンスの主要当事者
(1) プロジェクト会社
(2) スポンサー
(3) EPCコントラクター
(4) オペレーター
(5) 原燃料供給者
(6) ホスト国当局
(7) オフテイカー
(8) エスクローアカウント・エージェント(トラスティ)
(9) レンダー
2 ファイナンシャル・アドバイザーとアレンジャー
(1) ファイナンシャル・アドバイザー
(2) ファイナンシャル・アレンジャー
3 法律事務所
(1) 国際法律事務所
(2) 現地法律事務所
(3) 弁護士費用
(4) その他
4 コンサルタント
(1) 技術コンサルタント
(2) 原燃料コンサルタント
(3) マーケット・コンサルタント
(4) 環境社会コンサルタント
(5) 保険コンサルタント
(6) リスク・コンサルタント
(7) 会計コンサルタント
5 プロジェクト・ファイナンスの実務手順
(1) ファイナンシャル・アドバイザーの採用
(2) インフォメーション・メモランダムの作成
(3) ロードショーの開催
(4) ファイナンシャル・アレンジャーの採用
(5) 国際開発金融機関・公的金融機関への打診
(6) レンダーが要請する法律事務所・コンサルタントの承認
(7) キックオフ・ミーティングの開催
(8) レンダーによる本格的なデュー・ディリジェンスの実施
(9) セキュリティ・パッケージの合意
(10) ターム・シートの作成
(11) ドキュメンテーション
(12) 民間銀行のシンジケーション
(13) ファイナンスクローズ
(14) 建設のモニタリングと完工認定
(15) 操業のモニタリング
(16) 債務の完済
第Ⅲ章 プロジェクト・リスクのコントロール
1 プロジェクト・リスク
2 商業リスク
(1) スポンサー・リスク(sponsor risk)
(2) 完工リスク(project completion risk)
(3) 技術リスク(technology risk)
(4) 操業・保守リスク(operation and maintenance risk)
(5) 資源埋蔵量・原燃料供給リスク(reserve/feed stock supply risk)
(6) オフテイク・リスク(offtake risk)
(7) 環境社会リスク(environmental and social impact risk)
(8) ユーティリティ/インフラ・リスク(utility/infrastructure risk)
(9) 土地収用リスク(land acquisition risk)
(10) 資金調達リスク(funding risk)
3 政治リスク
(1) 外為取引リスク(foreign currency exchange risk)
(2) 収用・接収・国有化リスク(confiscation/expropriation/nationalization risk)
(3) 制度・許認可変更リスク(change of regulatory framework/approval risk)
(4) 政府・政府機関の契約違反リスク(contract breach risk)
(5) 政治暴力リスク(political violence risk)
(6) 政治リスクのコントロール
4 天災リスク
5 プロジェクトの保険
(1) 保険の種類
(2) 保険の手配
(3) レンダーによる債権保全
[ガス供給・発電事業の複合プロジェクト・リスク]
第Ⅳ章 事業性審査とキャッシュフローのコントロール
1 事業性審査
(1) プロジェクトの段階別ポイント
(2) 建設段階
(3) 操業段階
2 キャッシュフローの分析とコントロール
(1) キャッシュフローの現在価値
(2) キャッシュフロー・モデル
(3) キャッシュフロー分析の前提と計算
(4) モデリングの作業
(5) 感度分析
(6) マーケット・リスクへの対応
(7) キャッシュフロー分析の留意点
(8) キャッシュフローのコントロール手法
3 環境社会審査
(1) 環境社会配慮の必要性
(2) 公的金融機関等の主要な環境社会配慮ポリシー
(3) 案件組成および審査上の留意点
第Ⅴ章 関連する契約書と紛争解決手段
1 準拠法
(1) 外国法
(2) 英法とニューヨーク州法
(3) 裁判管轄
2 現地法
(1) 留意点
(2) 現地法弁護士の活用
(3) 現地法リスクへの対処
3 関連契約書の構成
(1) 合弁契約書(Joint Venture Agreement)
(2) 買電契約書(PPA:Power Purchase Agreement)
(3) EPC契約書(EPC Contract)
(4) 操業・保守契約書(Operation and Maintenance Contract)
(5) 原燃料供給契約書(Feedstock Supply Agreement)
(6) 融資関連契約書(Financial Documents)
4 紛争解決手段
(1) 裁判と裁判外紛争解決手段
(2) 仲裁と裁判との比較
(3) その他の紛争解決手段
(4) 法律事務所の選定
5 紛争事例
第Ⅵ章 イスラム金融とプロジェクトファイナンス関連プロダクト
1 イスラム金融
(1) 概要
(2) イスラム金融の発展
(3) イスラム金融活用のポイント
2 イスラム金融の基本スキーム
(1) アセット・パック・ファイナンス—財取引に紐づいたスキーム—
(2) プロフィット・シェアリング—事業利益配分スキーム—
(3) イスラム債:スクーク(Sukuk)
(4) その他のスキーム
3 シャリア・ボード
(1) 位置づけ
(2) 構成
(3) 実務上の対応
(4) マレーシアの事例
4 イスラム金融機関
5 イスラム金融とプロジェクト・ファイナンス
6 シャリア・リスク
7 プロジェクト債
(1) 概要
(2) 起債プロセス
(3) 米国とEUの制度
(4) 活用に際しての主な留意点
8 ミニパーム・ローン
9 モノライン保険
10 メザニン・ファイナンス
(1) 概要
(2) 優先株式のポイント
(3) 活用の対象
(4) 活用に際しての主な留意点
11 その他のプロジェクト・ファイナンス関連プロダクト
(1) タームBローン
(2) プロジェクト・ポートフォリオ・レンディング
第Ⅶ章 公的金融機関
1 業務
(1) 概要
(2) 特徴
(3) アドバイザリー機能
2 国際開発金融機関
(1) 世界銀行グループ
(2) アジア開発銀行(ADB)
(3) アジアインフラ投資銀行(AIIB)
(4) 新開発銀行(NDB)
(5) 欧州復興開発銀行(EBRD)
(6) 欧洲投資銀行(EIB)
(7) 北欧投資銀行(NIB)
(8) 米州開発銀行(IDB)
(9) アフリカ開発銀行(AfDB)
(10) イスラム開発銀行(IsDB)
3 各国の公的金融機関
(1) 米国
(2) 英国
(3) ドイツ
(4) フランス
(5) イタリア
(6) カナダ
(7) 豪州
(8) 韓国
(9) 中国
(10) タイ
4 日本の公的金融機関
(1) 国際協力銀行(JBIC)
(2) 日本贸易保險(NEXT)
(3) 国際協力機構(JICA)
(4) 海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)
(5) 海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)
[Preferred Creditor Status]
第Ⅷ章 事業分野別ケース・スタディ
ケース1: 天然ガス焚複合火力発電・海水淡水化プロジェクト
ケース2: 太陽光発電プロジェクト
ケース3: 水力発電所買収プロジェクト
ケース4: LNGプロジェクト
ケース5: 銅鉱山開発プロジェクト
ケース6: 石油精製・石油化学プロジェクト
ケース7: 鉄道プロジェクト
ケース8: 病院プロジェクト
事項索引