年間報酬3000万円超えが10年続く 独立系コンサルタントの成功戦略

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独立系のコンサルタントになるためには

本書は、独立系のコンサルタントである著者が、自身の経験をもとに、独立系コンサルタントになるためのノウハウを解説している本です。営業の仕方やプロフィールの書き方、勉強法、キャリア戦略の紹介など、かなり具体的な内容が多いと言えます。まさに独立系コンサルタントになるためのハウツー本です。

和仁達也 (著)
出版社 : かんき出版 (2019/9/19) 、出典:出版社HP

はじめに

★「コンサルタントで本当に食べていけるの?」

これはコンサルタントとして独立する前、あるいは独立したてのころに、もっとも感じる不安でしょう。
結論から言えば、食べていけます。現に、僕は20年以上、経営コンサルタントで食べてきました。
帝国データバンクが2014年に発表した研究レポートによると、経営コンサルタントを営む企業数は5年間で約1.9倍に増加し、経営コンサルタントを利用する企業数は5年間に約3.7倍に増加したとのこと。ニーズが高まっている職業のようです。
ただし、誰もが食べていける職業ではないのも事実です。
同じく帝国データバンクの調査によると、2018年に東京都で休廃業・解散した企業(個人事業主を含む)の第4位が経営コンサルタント。多くの経営コンサルタントが東京で起業しているのでしょうから、生存競争が激しいのも納得できます。
それなら、どうすれば食べていけるのでしょうか。

本書を手にしてくださったのは、これからコンサルタントになろうと考えている方、あるいは既にコンサルタントになっている方だと思います。
最近、一流大卒の優秀な学生は、大手企業や官庁を志望するよりも、マッキンゼー・アンド・カンパニーやボストンコンサルティンググループのような大手コンサルティングファームに殺到しているといいます。彼らのすべてが独立するわけではないでしょうが、いずれコンサルタントとして独立する人は増えるでしょう。
また、コンサルタントの養成塾を主宰している立場から言いますと、ここ10年ぐらいで税理士や社会保険労務士、会計士といった士業の人がコンサル分野に進出するケースが増えているように思います。士業の世界でも過当競争が起きているので、生き残るためにコンサルティング業務で付加価値をつけようとしているからでしょう。
さらに、これからは銀行や生命保険会社などの金融機関のOBや中途退社した人たちが、コンサルタントに転身する流れも予想できます。
僕が独立した1990年代後半は、コンサルタントを名乗る人ははまだ少なかったのですが、今はまさに「レッドオーシャン」の状態です。
レッドオーシャンの中でコンサルタントとしてやっていくのは難しいでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。僕が編み出した、コンサルタントで成功するための「30の秘密(メソッド)」を学んで実践していただければ、レッドオーシャンの中にわずかに存在する「ブルーオーシャン」に楽々入っていける、と確信しています。
なぜならば、この本の成り立ち自体が、僕がこれまでセミナーやコンサルタント養成塾などで出会ってきた、のべ数千人の独立系コンサルタントとその予備軍の人たちが抱える「お困りごと」、つまり悩みを起点にして、その解決法をメソッド化して紹介するものだからです。

この「はじめに」では、本書を通じてどのようなお困りごとを解決できるのか、5つの代表的なテーマについてお答えしていきます。
ちなみに、冒頭に紹介した、

★「コンサルタントで本当に食べていけるの?」

は、最も耳にするお困りごとです。
これについては、本書の内容すべてが回答になりますが、とくに大事なのは第3章の「あり方」を定めることだと思います。僕がコンサルタントとして20年間やってこられたのは、独立したときに「あり方」を定めて、どんな場面でも自分の軸がブレなかったからに違いない、と分析しているからです。
以下、残りの4つの代表的なお困りごとについても、解決策を1つひとつお伝えしていきましょう。

★「どんなコンサルタントになればやっていけるの?」

僕はコンサルタントには3つのタイプがあると考えています。

①先生型コンサルタント
②御用聞き型コンサルタント
③パートナー型コンサルタント

①の先生型とは、専門的な知識があり、その人だけが知っている正解を教えるコンサルタントのこと。従来型のコンサルタントはこのタイプで、クライアントと対等な立場ではなく、教えて諭すような立場になります。高額の報酬をもらえますが、単発的な仕事が多いので、常に見込み客を開拓しないとやっていけない恐れがあります。
②の御用聞き型は、最近増えてきたタイプです。クライアントよりも立場が弱く、どんなに理不尽な要求をされても黙って従うようなコンサルタントです。御用聞き型は報酬も安くて、貧乏ヒマ無しになって疲弊するケースが多く、長くやっていくのは難しくなります。
最後の③のパートナー型とは、クライアントと対等な立場であり、横に並んで背中を押すパートナー的な役割を果たします。専門的な知識をアドバイスするのではなく、クライアントが抱えているお困りごとを解決するために、クライアントが自ら答えを出せるよう導く存在になります。
僕は独立したときから、パートナー型のコンサルタントとしてやってきました。本書でご紹介するのも、パートナー型になるためのメソッドです。
パートナー型のコンサルタントは高額報酬で長期契約を結べるうえに、1社と何十年もおつきあいすることもあります。事業として一番安定しているタイプなのです。

★「どのようにコンサルティング能力を高めたらいいの?」

コンサルタントは、特定の業界で専門職の経験があったり、高度で難易度の高い資格がないとやっていけないと思っている方は多いでしょう。実のところこの2つ、つまり経験も資格もなくてもやっていけると考えています。
僕はクライアントのお困りごとを解決するサポートをしてきました。ここで大事なのは、コンサルタントが問題を解決するのではなく、クライアント自身が解決できるように導くということ。
実際にやってみるとわかりますが、問題に対して自分なりの答えを提案するほうが簡単です。それをしないで、クライアント自身の心の奥底にある答えを見つけてもらうために、脳に汗をかいているのです。
お困りごとに対して的確なアプローチができれば、専門的な知識がなくてもクライアントに求められるコンサルタントになることができます。
もちろん、何も勉強しなくてもいいというわけではありません。ただ、ムダな勉強をする必要はないので、第5章の勉強法を参考にしていただければと思います。

★「クライアントはどうやって増やせばいいの?」

これも、多くのコンサルタントからよく聞くお困りごとです。
答えを一言でいうなら、「自分からは売り込まない」ということになります。見込み客を口説き落とすために営業をするのではなく、やるべきことをやった結果、クライアントと契約を結べるようになるのが理想です。
これについては、第1章の見込み客との出会い方を実践していただくのが一番の近道です。同時に、第4章で紹介する戦略的な情報発信も行えば、絶えず見込み客がいる状態になるでしょう。

★「契約を切られたらどうするの?」

これは、コンサルタントになってから常に付きまとう不安でしょう。
僕も、独立当初は心のどこかにこの不安がありました。コンサルタントは1社の解約で即、年間で数百万円の利益減になるので、契約を切られるのは死活問題です。
自分の経験から言えるのは、どんなに頑張っても契約は切られることはあるということ。僕の場合は報酬の値上げを相談したときや、クライアントと僕との目指していた方向性にズレが生じたときに契約終了となりました。独立して間もないころは、クライアントを怒らせてしまい、即契約解除になった苦い思い出もあります。
独立系コンサルタントになったからには、契約の打ち切りは避けて通れません。だからこそ、イチから見込み客と出会いクライアントにしていく、「営業力」を養うことが重要なのです。

以上が、5つの代表的なお困りごとに対する、僕なりの答えになります。
「はじめに」を締めくくるにあたり、『独立系コンサルタントの成功戦略』という本書のタイトルについて、特に「成功」とは何か、「戦略」とは何か、について考えるところをお伝えしておきます。
本書における「成功」とは、「年間報酬3000万円超えが10年続く独立系コンサルタントになること」を指します。
そして「戦略」とは、「その成功から逆算して行動するためのシナリオ」のことです。ちなみにその反対は、「なりゆきまかせに行動すること」です。
本書を読む方であれば、きっと誰もが普通の人以上の努力をされることでしょう。しかし、その努力には報われる努力と報われない努力があります。
たとえば、もしあなたが「目標を成し遂げたことがない人の思いつきの意見」を信じて、真面目に努力したら、結果はどうなるでしょうか?一方、「目標を成し遂げた人が他の人にも実践できるよう再現性を追求して体系化したやり方」を信じて、真面目に努力したら、結果はどうなるでしょうか?
同じように努力をしても、前者より後者のほうがはるかに報われる光景が、目に浮かびますよね。
そこで本書では、僕が独立系コンサルタントとして20年以上、自ら実践するとともに、のべ数千人のコンサルタントや士業の方々にお伝えし、再現性が実証済みの「和仁メソッド」を30本、7章に分けて紹介していきます。
これらのメソッドこそ、独立系コンサルタントがすぐ始めて安定的に稼げる「30の秘密」に他なりません。
読む人によっては「ここまで公開して大丈夫なの?」と思うかもしれません。ただ僕には、パートナー型コンサルタントは世の中にもっと増えてほしいという願いがあります。なぜなら、パートナー型コンサルタントこそが、クライアントである社長や社員を幸せにすることができるからです。
世の中にあるすべての会社の社長と社員が幸せになれば、世界全体が元気になる。その景色を見られることは、自分にとって最高に幸せなことです。
そんなワクワクする未来のために、僕のノウハウを公開することにしました。
とくに最近は、大企業が続々と副業を解禁し、社員を定年まで雇えないことを暗に表明しています。サラリーマンが会社に依存しづらい環境になってきました。
今後、独立する人はいっそう増えていくことでしょう。
読者の方が、人生の新たなチャレンジとしてコンサルタントを選ぶのであれば、僕は全力で応援します。
また、既にコンサルタントとして独立はしたものの、軌道に乗せることができずに壁にぶち当たっているのなら、本書がその壁を乗り越えるための手助けになれば幸いです。

2019年8月
和仁 達也

※本書に出てくる「コンサルタント」とは、経営・戦略・人事・マーケティングなど、企業に対してコンサルティングを行う人を総称しています。なお、『はじめに』の帝国データバンクの研究レポートにある経営コンサルタントとは、本書でいうコンサルタントとほぼ同じ意味と考えられます。
※本書でいう「年間報酬3000万円」とは、独立系コンサルタント1人(ほかにパートアシスタント1名程度)が各種コンサルティング活動(個別コンサル、グループコンサル、セミナー、講座、教材など)から得る年間収入を指しています。
※本書のなかに何度か登場する「一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会」とは、著者が2015年に設立した、コンサルタントが500人以上集まるコミュニティです(人数は2019年8月時点)。この協会が認定する民間資格「キャッシュフローコーチ」は、クライアント企業の社外CFO(最高財務責任者)として、経営数字を使って本業の発展をサポートする役割を担っています。
一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会公式サイト→https://www.jcfca.com/

和仁達也 (著)
出版社 : かんき出版 (2019/9/19) 、出典:出版社HP

本書の構成

本書は全部で7章立て、49項目、そして30の「和仁メソッド」で構成。コンサルタントが陥りやすい「落とし穴」や、2種類の事例(NGなケース、OKなケース)を多数盛り込みました。図版も随所に掲載し、「和仁メソッド」や、著者おススメのツールをかみ砕いて説明しています。

目次

はじめに
本書の構成

第1章 独立系コンサルタントは見込み客とどうやって出会うのか
1 見込み客探しでやりがちな3つの間違った努力
「結果が出ない顧客アプローチはすぐに辞める」
2 成約につながる人脈のつくり方・使い方
「独立するなら見込み客が3人以上見つかってから」
3 〈見込み客づくり①〉知り合いにアポを取る
「売り込まずに、売れる方法を考える」
4 〈見込み客づくり②〉セミナーで声をかける
「自己PRより、プチ・コンサルで話を聞こう」
5 〈見込み客づくり③〉自分で飲み会を開く
「幹事ほど美味しいポジションはない」
6 〈見込み客づくり④〉知人に紹介してもらう
「まずはキーパーソンを探せ」
7 〈見込み客づくり⑤〉リスクゼロのセミナーの開き方
「自社セミナーで、人が集まらなかったら大チャンス」
8 〈見込み客づくり⑥〉教材やレポートを足がかりにする
「教材こそが『最強の宣伝ツール』である」
9 〈見込み客づくり⑦〉ゲスト講師として呼ばれた場合
「成功のカギはアンケート用紙の中にあり」

第2章 独立系コンサルタントはプロフィールをどう書くか
1 1分間の自己紹介のチャンス! 何をしゃべるか
「すべてにおいて『相手起点』で考える」
2 プロフィールのどこを読んでもらうべきか
「最初の1行が勝負」
3 何と名乗るかで、「やること」と「報酬」が決まる
「肩書は自分でつくってしまう」
4 士業の人がコンサルタントになれない理由
「資格には『死角』があると知っておく」
5 クライアントからどう見られたいのか
「専門性より大切なのは、『お困りごと』の解決」
6 コンサルタントとしての存在感を高めるには
「自分の見せ方は自分でマネジメントする」
7 ちゃんと伝わる自己紹介をどう組み立てる
「まずはテンプレートのアレンジから始めよう」
8 「紹介のされ方」を他人任せにしない
「自分が思う自分と人が思う自分の距離を埋める」
9 「コンサルタントの活用法」をクライアントに教える
「自分のトリセツをあらかじめ渡そう」

第3章 これからの独立系コンサルタントの「あり方」とは
1 なぜ、「あり方」が重要なのか
「ブレない柱があなたを伸ばす」
2 セルフイメージで「輪郭」をつくる
「『自分は何者か』は自分で決める」
3 お困りごとトップ3にアプローチするという発想
「時代は変わっても社長の本質的なお困りごとは不変」
4 クライアントの本音を考えた言動をする
「社長には指図しないで伴走しよう」
5 スキルや知識のあるコンサルタントが、行き詰る理由
「専門医ではなく、ホームドクターを目指す」
6 コンサルタントに向く人、向かない人がいる
「他人ごとを自分ごととして考えよう」
7 クライアントが離れていくのを恐れるな
「お客様は神様ではありません」

第4章 独立系コンサルタントの戦略的情報発信術
1 不特定多数に情報発信を始める前に
「1000人の客も目の前の1人から」
2 媒体ごとに情報発信のスタンスは変えるべきか
「情報発信は内容・表現方法をきめ細かく使い分ける」
3 情報発信で一番大切なこと
「受信する人の『お困りごと』にフォーカスしよう」
4 5G時代に動画での情報発信はどうあるべきか
「動画のつくり方にもテンプレートがある」

第5章 独立系コンサルタントの勉強法
1 コンサルタントは何を学べばいいのか
「自分を『ガラパゴス化』させないためにインプットを続ける」
2 誰もが通る、「自己投資過多」の時期の過ごし方とは
「情報はアウトプットしなければ、ただのゴミ」
3 コンサルタントには学ぶべき必須科目があるのか
「意味のない勉強はない」
4 時間がない人のための自己投資のコツとは
「忙しいときは『今すぐ15分!』」
5 同業者と一緒に学ぶメリットとは
「話し上手より聞き上手になれ」
6 コンサルタントにもロールモデルは必要か
「憧れの人からの学び効果は想像をはるかに超える」
7 ロールモデルを真似た先にあるものとは
「マネから始めてもマネで終わるな」

第6章 10年スパンで考える独立系コンサルタントのキャリア戦略
1 〈独立前〉「副業として実績を積んでから独立」は正解か
「成功したいなら退路を断て」
2 〈独立前〉コンサルティングの「スタイル」と「型」を決める
「自分の限界値を常に知っておく」
3 〈1年目〉クライアントにとっての真のパートナーになるには
「計画は常に可視化せよ」
4 〈1~3年目〉壁にぶつかったと感じたら
「失敗は未来の自分をつくる宝物である」
5 〈1~3年目〉軌道に乗ったときこそ運命の分かれ道
「毎日『何が一番大切か』を自問自答する」
6 〈4~6年目〉アウトプットとインプットのバランスをとる
「手放すことで手に入るものがある」
7 〈4~6年目〉経営者に当たり負けしないために
「利他の心があれば、必ず道はひらける」
8 〈7~10年目〉10年でやっとスタートライン
「コンサルタントは、現場なしでは生きていけない」
9 〈10年目以降〉あえてもう1つの軸をつくる
「社会貢献したいという使命感が、自分の可能性を広げる」
10 コンサルタントは報酬額によって「あり方」が変わるのか
「一流は、報酬以外にも求めるものがある」

第7章 独立系コンサルタントがあえてコミュニティを必要とする理由
1 なぜ、コンサルタントが仲間づくりに情熱を注ぐのか
「馴れ合わない同志は永遠の友人となる」
2 自分にぴったりくるコミュニティの見つけ方
「コミュニティはワクワク・ドキドキを探せ」
3 活性化しているコミュニティがやっていること
「自分の経験を仲間のためにアウトプットしていく」

おわりに
巻末付録 和仁メソッドを一気におさらい

編集協力◎大畠 利恵
カバーデザイン◎井上 新八
図版作成◎齋藤 稔〈ジーラム〉

和仁達也 (著)
出版社 : かんき出版 (2019/9/19) 、出典:出版社HP