国際連合 その役割と機能

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国際連合とは何か

本書は、国際連合とその役割について解説した本です。国際連合は、第二次世界大戦後の国際社会の枠組みを構成する国際機関ですが、設立された背景や基本的なあり方は、普遍的なものを目指しています。安全保障理事会や紛争の平和的解決といった、国連に関する内容がまとめられています。

植木 安弘 (著)
出版社 : 日本評論社 (2018/2/13)、出典:出版社HP

はじめに

国際連合(国連)とは何か。国連を代表するのは誰か。一見簡単そうに見える質問であるが、答えはそう簡単なものではない。
国連とは端的にいうと「普遍的政治的国際機関」である。「普遍的」とは、ほとんどの国家(この場合、主権国家)が加盟していることである。しかし、「ほとんどの国家が加盟している国際機関」は多い。なぜ国連が他の国際機関と違うかは、その政治性にある。政治的な国際機関はいくつもあるが、その多くが地域的機関である。欧州連合(EU)などはその代表的な例だ。国連が他の政治的国際機関と違う点は、ほとんどの主権国家を加盟国とする政治的機関であることと、国際法上、個別的あるいは集団的自衛の他に武力行使を含む強制行動が取れる唯一の国際機関だということである。
国連は国際機関であるが、正確にいうと主権国家が集まった「国際政府機関」(international-governmental organization:IGO)であり、民間団体で構成される国際非政府機関(international non-governmental organization:INGO)とは異なる。

では、国連を代表するのは誰か。これはより複雑である。国際の平和と安全の維持で第一義的役割を与えられている安全保障理事会(安保理)で決議が採択されると、これは国連の決議となる。全加盟国を擁する総会で決議が採択されると、これも国連の決議となる。毎月交代する安保理議長が議長声明や記者声明を出すと、国連の声明となる。総会議長が声明を出すとこれも国連の声明となる。国連事務局のトップたる事務総長が発言すると国連の発言となる。国連人権高等弁務官や国連難民高等弁務官が発言すると、これも国連の発言となる。このリストはかなり長い。国連の組織がかなり膨大です。つ複雑に入り込んでいるので、外から見ると、国連の組織に所属する人が発言したり行動をとったりすると国連の発言あるいは行動として理解されるのである。場合によっては決議や発言の内容に一貫性がない場合もある。そのため、誰が国連を代表しているのか問題になることもある。

国連とは何か。国連とは誰か。国連の組織はどうなっているのか。国連の目的や原則は何か。国連の成果や課題は何か。国連は一般の人々にとって何の意義があるのか。これらの疑問に答え、国連の役割と機能を国連憲章だけではなく、現実の行動に照らし合わせて概説しようとするのが本書の目的である。
国連は抽象的な概念ではない。変動しつつある国際政治の中で常にその時々のニーズに応じて国連の活動も変遷してきた。第二次世界大戦の廃墟の中から生まれた国連は、70年以上を過ぎた今日でも紛争予防行動から平和維持活動、紛争調停、紛争後の復興や安定化、経済社会開発、人権の促進、人道支援、持続可能な発展など幅広い分野で活動を行っている。その全体像を理解するのはそう簡単なことではないが、世界の人々の命や尊厳に直接的、間接的に影響を与える存在となっていることは確かである。
国連の役割と機能を正確に、そして現実的に理解することにより、より積極的にグローバルな国際社会の課題に立ち向かうとともに、ローカルなレベルでも少しでも人々の安全と生活の向上、持続的社会の発展、そして、すべての人の尊厳を実現することに役立てることができれば、本書の意義が出てくる。

植木 安弘 (著)
出版社 : 日本評論社 (2018/2/13)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 国連の目的と特徴
1. 国連憲章前文の意味するもの
2. 国際連盟の創設と崩壊
3. 国連設立の交渉過程
4. 国連の目的
5. 国連の特徴

第2章 国連の原則
1. 主権平等と義務の履行
2. 国際紛争の平和的解決
3. 領土保全、政治的独立の尊重
4. 強制行動をめぐる原則
5. 内政不干渉と主権の壁

第3章 加盟国の地位
1. 原加盟国と新加盟国
2. 冷戦と国連加盟問題
3. 国家承認と国連加盟
4. 国家統合と分離
5. パレスチナと台湾の加盟申請
6. 加盟の資格
7. 権利の停止と追放
8. 脱退規定の欠如

第4章 国連の主要機関
1. 主要機関の設立と権限の相互関係
2. 下部機関

第5章 総会
1. 任務と権限
2. 通常総会
3. 下部機関の役割
4. 特別総会と緊急特別総会
5. 表決
6. 予算
7. オブザーバーと市民社会の参加
8. 国際法の漸次的発展と法典化
9. 総会の活性化

第6章 安全保障理事会
1. 任務と権限
2. 構成
3. 表決
4. 議長
5. 決議の採択
6. 決議の法的拘束性
7. 公式会合、非公式協議、私的会合
8. 下部機関の役割
9. 安全保障理事会改革への動きと行き詰まり

第7章 紛争の平和的解決
1. 平和的解決の義務
2. 安全保障理事会の要請、調査、勧告
3. 安全保障理事会の調査団派遣
4. 平和的解決の手段
5. 総会の役割
6. 事務総長の役割
7. 事務総長などによる事実調査
8. 人権理事会による事実調査
9. 安全保障理事会下部機関による検証や査察
10. 国連平和維持活動(PKO)の貢献

第8章 強制行動
1. 国際平和と安全への脅威の存在決定
2. 暫定的措置
3. 武力を伴わない強制措置―経済制裁
4. 包括的経済制裁
5. 部分的経済制裁
6. 制裁委員会
7. 経済制裁の効果
8. 武力の行使
9. 個別的、集団的自衛の権利
10. 多国籍軍の活用
11. 国連PKOによる強制行動
12. 地域的機関や取極めの活用と旧敵国

第9章 経済社会理事会
1. 経済と社会分野での国際協力
2. 総会と経済社会理事会の関係
3. 権限と機能
4. 構成、議長、会期、表決
5. アジェンダと年次会合
6. 機能委員会と地域委員会の役割
7. 専門機関、基金、プログラムとの調整と連携
8. 人権委員会から人権理事会へ
9. NGOと市民社会の貢献

第10章 国際経済開発社会変動への対応
1. 戦後の復興と難民対策(1946-1950年代)
2. 非植民地化と新興独立国支援(1960年代)
3. 南北対立と環境問題(1970年代)
4. 途上国債務問題と構造調整(1980年代)
5. 開発へのパラダイムシフトと気候変動への対処の始まり(1990年代)
6. ミレニアム開発目標(2000年代)
7. 持続的開発目標へ(2010年代—)
8. 開発における国連の優位性

第11章 信託統治理事会と非植民地化
1. 民族自決権と連盟の委任統治制度
2. 国連の信託統治制度
3. 信託統治理事会
4. 非自治地域宣言と非植民地化
5. 今日の非自治地域とその将来

第12章 国際司法裁判所
1. 主要な司法機関
2. 非加盟国の加入
3. 管轄権
4. 義務的管轄権
5. 裁判官の構成、任期、選出
6. 判決と勧告的意見
7. 勧告的意見(Advisory Opinion)
8. 係争の領域
9. 日本の捕鯨に関する国際司法裁判所の判決

第13章 国連事務総長と事務局
1. 事務総長の地位と権限
2. トリグブ・リー初代事務総長の選出と苦悩
3. ダグ・ハマーショルド事務総長の貢献
4. 財政危機への対処と途上国支援を推進したウ・タント事務総長
5. 南北対立の中のクルト・ワルトハイム事務総長
6. 冷戦終焉期のハヴィエル・ペレス=デクエヤル事務総長
7. ブトロス・ブトロス=ガリ事務総長とアメリカの対立
8. 事務局上がりの唯一のコフィ・アナン事務総長
9. アジア的潘基文事務総長
10. 混迷期の国際政治に対応するアントニオ・グテーレス事務総長

第14章 国連憲章改正と死文化条項
おわりに
(付録)国連憲章

植木 安弘 (著)
出版社 : 日本評論社 (2018/2/13)、出典:出版社HP