国際連合の基礎知識 第42版

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国際連合の基本がわかる

本書は、国際連合の組織的な解説と役割の説明をまとめています。国連憲章から始まり、組織の構造、平和と安全を目指したシステムなどを紹介しています。世界の人々の生活や人権、尊厳を守ることを目指した国連がどのような組織であるかが理解できるようになっています。

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

はじめに

国際連合は国際システムに不可欠な柱石であることには変わりはなく、世界の各地において24時間体制の下で平和のために、持続可能な開発のために、そして人権擁護のために働いている。私たちが直面する課題はますますグローバルな性格を帯び、私たちの運命は容赦なく絡み合っている。こうした状況にあって国際連合そのものが——その目的、その活動、その理想がこれまでにも増して重要となった。
1947年以来発行されてきた「国際連合の基礎知識」は、国連に関する包括的かつ信頼できる手引書としてその役割を果たしてきた。この新しい版は国際連合システム全体の歴史や機構について述べているばかりではなく、それがどのように機能し、世界の人々のためにどのような活動を進めているかについても述べている。
この数十年の間に人間の福祉の現状は大幅に改善された。それにも関わらず、暴力的な対立、集団移動、人道的危機、テロリズム、貧困、若年者の失業、不寛容、不平等など、多くの問題が複雑さを増してきた。気候変動は大きな脅威となって、自然災害の影響を増幅させ、グローバルな水と食料の安全保障を脅かしている。
こうした問題のすべては多国間協力が緊急に必要であることを物語っている。平和と安全保障、人権、持続可能な開発、こうしたことはすべて密接につながっており、そうした認識に基づく協力が不可欠である。そのための協力の場が国連連合なのである。世界の国々の代表が一堂に会し、互いに共有する問題に取り組み、かつ共通の機会をとらえるための世界が有するユニークかつ普遍的な場である。この最新版には最近の協力が詳細に記載されている。例えば、2015年に承認された三件の画期的な国際協定、すなわち、気候変動に関するパリ協定、開発資金に関するアディスアベバ行動目標、持続可能な開発のための2030アジェンダーである。こうした歴史的な計画は健全な地球上のすべての人々のための平和、繁栄、尊厳のための青写真である。
人類にとっての挑戦と機会の時にあって、私は、国際連合が世界の人々に有意義な結果をもたらすことができるように国際連合の改革を進めてゆく決意である。本冊子はそのための努力を知るための機会を提供するものである。国際連合創設の憲章の目的を達成するための行動が求められている。国際連合に関心を持つすべての人にとってこの冊子が有益な資料となるよう願っている。

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

目次

はじめに——国際連合事務総長の序文
目次
主な略語表
今改訂版について
国際連合機構図

第1章 国際連合:その憲章と機構
国際連合憲章
目的と原則
国連憲章の改正
加盟国と公用語
国連の機構
総会
任務と権限
会期
安全保障理事会
任務と権限
刑事裁判所と特別法廷
経済社会理事会
任務と権限
会期と補助機関
地域委員会
非政府組織(NGO)との関係
国際司法裁判所
任務
管轄権
裁判官
予算
信託統治理事会
事務局
事務総長
各部局
国連の予算
2016-2017年度国連予算
国連システム
国連基金および計画、調査訓練機関、その他の機関
国際貿易センター(ITC)
国連合同エイズ計画(UNAIDS)
国連貿易開発会議(UNCTAD)
国連開発計画(UNDP)
国連環境計画(UNEP)
国連人口基金(UNFPA)
国連人間居住計画(UN-Habitat)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
国連児童基金(UNICEF)
国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)
国連軍縮研究所(UNIDIR)
国連国際防災戦略事務局(UNISDR)
国連訓練調査研究所(UNITAR)
国連薬物犯罪事務所(UNODC)
国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)
国連社会開発研究所(UNRISD)
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
国際連合大学(UNU)
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN-Women)
世界食糧計画(WFP)
専門機関および関連機関
国連食糧農業機関(FAO)
国際民間航空機関(ICAO)
国際農業開発基金(IPAD)
国際労働機関(ILO)
国際通貨基金(IMF)
国際海事機(IMO)
国際電気通信連合(ITU)
国連教育科学文化機(UNESCO)
国連工業開発機関(UNIDO)
世界觀光機関(UNWTO)
万国郵便連合(UPU)
世界保健機関(WHO)
世界知的所有権機関(WIPO)
世界気象機関(WMO)
世界銀行グループ
包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)
国際原子力機関(IAEA)
国際移住機関(IOM)
化学兵器禁止機関(OPCW)
世界貿易機関(WTO)

第2章 国際の平和と安全
主要機関の役割
安全保障理事会
総会
紛争予防
平和維持
強制措置
制裁
軍事行動の承認
平和構築
平和構築アーキテクチャー
選挙支援
開発による平和構築
平和のための行動
アフリカ
大湖地域
西アフリカ
中央・東アフリカ
北アフリカ
米州
コロンビア
ハイチ
アジア・太平洋
中東
アフガニスタン
イラク
インドとパキスタン
中央アジア
カンボジア
ミャンマー
ヨーロッパ
キプロス
南コーカサス
ギリシャ—マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(FYROM)
コソボ
軍縮
軍縮機関
多国間協定
大量破壊兵器
核兵器
化学・生物兵器
通常兵器、信頼醸成および透明性
宇宙空間の平和利用
法律文書
国連宇宙部
植民地の独立
国際信託統治制度
非自治地域
植民地と人民に独立を付与する宣言
ナミビア
東ティモール
西サハラ

第3章 経済社会開発
開発活動の調整
持続可能な開発
首脳会議とその他の会議
2030アジェンダ
ハイレベル政治フォーラム
持続可能な開発目標
貧困をなくそう
飢餓をゼロに
すべての人に健康と福祉を
質の高い教育をみんなに
ジェンダー平等を実現しよう
安全な水とトイレを世界中に
エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
働きがいも経済成長も
産業と技術革新の基盤をつくろう
人や国の不平等をなくそう
住み続けられるまちづくりを
つくる責任、つかう責任
気候変動に具体的な対策を
海の豊かさを守ろう
陸の豊かさも守ろう
平和と公正をすべての人に
パートナーシップで目標を達成しよう
環境のための行動
経済開発
世界の国々の開発促進
開発のための融資
安定のための融資
投資と開発
労働
国際民間航空
国際海運
電気通信と情報通信技術
国際郵便サービス
知的所有権
開発のための科学技術
社会開発
調査と訓練
人口と開発
子どもの権利と福祉の促進
社会への統合
家族
若者
高齡者
先住民問題
障害者
非市民社会:犯罪、不正薬物、テロリズム
薬物の統制
犯罪防止
テロリズム防止
科学、文化、コミュニケーション
自然・社会・人間科学
文化と発展
文明の同盟
開発と平和のためのスポーツ
コミュニケーションと情報

第4章 人権
人権文書
国際人権章典
経済的、社会的、文化的権利
市民的、政治的権利
その他の条約
その他の人権基準
人権関係機関
人権理事会
国連人權高等弁務官
特別手続き
人権の促進と擁護
発展の権利
食糧の権利
労働の権利
差別との闘い
アパルトヘイト
人種主義
女性の権利
子どもの権利
少数者の権利
先住民族
障害を持つ人々
移住労働者
司法の運営
国連人権高等弁務官事務所の優先課題

第5章 人道支援
人道支援活動の調整
人道支援と保護
人道要員の保護
難民の保護と支援
パレスチナ難民

第6章 国際法
紛争の司法的解決
係争事件
最近のICJ事件
勧告的意見
国際法の発達と法典化
国際商取引法
環境法
海洋法
条約の影響
条約の下に設置された機関
締約国会議と総会プロセス
国際人道法
国際テロリズム
国際刑事裁判所
その他の法律問題

付録
国連の主要機関構成国
国連加盟国と分担率
国連加盟国加盟年順序、1945年−2017年
平和維持活動:現在および過去
非植民地化
1. 1960年12月14日の独立付与宣言の採択以降に独立を達成した信託統治地域と非自治地域
2. 1960年12月14日の独立付与宣言の採択以降に独立国家と統合もしくは連合関係になった従属地域
3. 自決を達成した信託統治地域
国連の特別行事
日本にある国連関連機関
国連寄託図書館
国連機関・委員会など英和対照表

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

今改訂版について

「国際連合の基礎知識」は1947年以来定期的に発行されており、まさに国際連合とその関連機関や専門機関についてのもっとも信頼のおける入門書ともいうべき冊子である。国際連合は長年にわたりこれまでにも増して人口が増加し、複雑となった世界の緊急のニーズに対応すべくその関与を拡大させてきた。それに伴って「基礎知識」もまたその内容を拡大し、深く掘り下げてきた。同時に、この主要な世界機関についての包括的かつ簡潔な手引きとしての本来の姿も忠実に守ってきた。この第42版もこれまでの伝統に従い、現在の国連システムがどのように構成され、主要な国際的目標を達成するためにそれぞれの機関がどのような活動を行っているかについて述べている。

「基礎知識」はまず国連がどのように誕生したかについて詳細に述べ、様々な機関や専門機関からなる大きな国連システム全体について概観する。この「基礎知識」はちょうど第九代事務総長が就任した年と同じ年に発行されたこともあり、事務総長の選出プロセスについても説明している。それに続く各章は国際の平和と安全を促進し、環境に優しい方法で経済・社会開発を進め、人権を擁護し、かつ差別を撤廃し、難民や避難民、自然災害や人為的災害の被災者に人道的支援を行い、国際法を発達させ、その法典化を図るために国際連合がどのような活動を行っているかを取り上げている。われわれの世界はさまざまな課題に直面し、その対応に集団的行動を動員しなければならない。国際連合はこの点においてユニークな能力を持つものである。各章はそのことについても詳細に述べている。
また実用的な手引き書として、「基礎知識」は付録として、国連加盟国、現在および過去の平和維持活動、国際連合の特別行事である「10年」計画や記念週間、記念日などについての情報も載せている。また、日本における国連関連機関や国連寄託図書館、主要なウェブサイト(ホームページ)なども載せている。

今回は全面的に改定し、最近の世界や国際連合自身に起こった重要な出来事を反映させるようにした。また、世界各地の人々を救い、生活を改善するために、国連の各種機関がどのように現地の機関や人々と協力してきたかについてものべている。現在のダイナミックかつ効果的な国連の姿をより明確にはっきりと伝えることができるように内容を改めた。新規および継続中の平和維持活動や平和構築活動に関する新しい動きは取り上げているが、国連が安全維持のプレゼンスを終了した国や地域の情勢は載せていない。同様に、過去の国連の事業や会議に関する詳細については掲載をやめ、それに代えて持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムのような新たな機関、気候変動に関するパリ協定の採択や持続可能な開発に関する2030アジェンダや17の持続可能な開発目標の提唱のような活動についての情報を載せた。本改訂版は、国際連合の主要機関の一つである信託統治理事会が行った活動を取り上げているが、理事会の活動は現在停止された状態にあることから、その内容は平和と安全に関する章に簡単にまとめた。

「第42版国際連合の基礎知識」は国連広報局が公式に発行したものであるが、国連システムを構成する世界各地の国連事務所や計画、機関、専門機関が提供した情報や資料を多く取り入れている。そうした情報は外交官や研究者、学生、一般市民全体に利用してもらうためには不可欠である。この冊子に対するこれらの機関の貢献や国際連合を強化し、世界でもっとも貧しい人々や弱い人々の生活を改善しようとする努力は感謝に値する。

この冊子のすべてのデータは、とくに明記されていない限り、2017年1月31日現在のものである。それぞれの活動に関する最新の情報を得られようにウェブアドレスを載せてある。国際連合が世界各地で行っている他の活動について情報は、以下のウェブサイト(ホームページ)で人手できる。

—国連の公式ウェブサイト(ホームページ)(www.un.org)
—UN News Centre(国連ニュース・センター)(www.um.org/news)
—Yearbook of the United Nations (国連年鑑)(www.unyearbook.un.org)

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP