地方創生大全

【最新 – 地域再生について学ぶためのおすすめ本 – 地域の抱える問題から再生の成功例まで】も確認する

日本一まっとうなガイドブック

地方が抱える問題を「ネタ」「モノ」「ヒト」「カネ」「組織」の5つに体系化し、28もの問題の構造を明らかに示しています。そして明日から実践できる対策が具体的に述べられています。日本一過激な請負人のノウハウが凝縮された、これから生きていくための知恵の詰まった1冊です。

木下 斉 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2016/10/7)、出典:出版社HP

はじめに

2014年の「地方消滅論」に端を発した地方創生政策が立ち上がり、地方創生総合戦略なるものが策定され、2015年から全国各地で展開されています。
地方に携わる仕事を18年間している私としては、地方に光が当たるのは嬉しいです。しかし、地方創生を目指すそのアプローチについては、大いに心配を抱かせられるものが少なくありません。
実際、2016年6月にNHKが、内閣府が先進的と紹介する75の事業すべてについて調査をしました。その結果、目標を達成したのは28事業、実に全体の4割に満たないことが明らかになりました。初年度とはいえ、自治体が自ら計画して国から予算をとり、かつ国側も先進的であると全国に紹介した事業でさえも、このような状況にあります。
たしかに地方政策は、1〜2年で地域全体が再生するような事業ではありえません。しかし、自ら立てた毎年の目標さえも達成できないようでは、将来にわたって成果を出すことは期待できません。
自治体が計画をつくって目標を立て、国が認定して予算をつけ、PDCAサイクルを回すという、すでに地方政策でも中心市街地活性化をはじめとしてさまざまな分野で行われ、失敗してきたこの方法で進むかぎり、大きな成果は生み出せないでしょう(参考資料:http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2016/06/0616.html)。

▶︎地方創生は「事業」であるべき

18年前、私は高校1年生のときに、早稲田商店会の地域活性化事業に関わりました。年間予算が100万円もない貧乏商店会で、そもそも法人でさえなく、事務局員もいませんでした。しかし、そんな弱小団体が当時取り組んでいた「環境まちづくり」は大きな注目を集めました。

そのポイントは大きく分けて3つありました。

ひとつ目は、経済団体が環境をテーマに地域活性化活動に取り組んだことです。
もともと商店街は商売人が集まった組織で、自分たちの利益に対してきわめて利己的な存在です。そのため、従来だと「環境なんて知ったこっちゃない」という精神で、むしろ「ゴミをたくさん出した奴は、それだけ儲かっているという証拠だ。ゴミは商売人の勲章だ」くらいのことを言われる方もいたほどです。1990年代後半といえば、まだ自治体による資源ごみ回収も一般的ではない時代ですから、仕方ありません。しかし、そのような時代に商店街が自ら環境機器メーカーを巻き込んで、空き缶・ペットボトル回収機にクーポン券をつけたり、生ごみ処理機にマイレージ機能をつけるなど、商店街のマーケティングと環境活動を連動させたわけです。また早稲田という土地柄、大学までがその仲間に入り、今で言う産官学の取り組みとなりました。さらにはインターネットを活用し、中央官庁から大企業、中小企業、大学など全国150人以上のキーマンが関わる連携体制にまで発展していました。

2つ目は、補助金は活用せず、自ら稼ぐ地域活性化事業だったことです。
早稲田商店会は「カネがないからこそ知恵が出るんだ」という考えのもと、予算などはなかったものの、その分、さまざまな企業と連携したり、イベントで出店料を集めたり、視察見学を有料化するといった工夫による「稼ぐ地域活性化事業」として取り組んでいました。先の空き缶・ペットボトル回収機なども、チケットで誘客する仕組みで各店舗が儲かっていたため、毎月各店舗が支払う販促費によって運営されていました。つまり、従来の補助金依存の地域活性化事業ではなかったのです。

3つ目は、「民間主導・行政参加」という、従来とは逆の構造で取り組んでいたことです。
これらの取り組みはあくまで「民間」から発案されたもので、後に行政などを巻き込んでいきました。そもそもは大学町特有の商店街の夏枯れ対策(夏休みになると学生がいなくなるため、街が枯れてしまうという状況)からスタートした取り組み。しかし、単に商店街が儲からないのでお客さん来てよ、というようなイベントでは意味がないということで、当時事業系ゴミ回収の有料化によってホットな話題でもあった「環境」を切り口としました。そのような社会性の高いテーマを扱いながら、商店街の活性化という課題にもプラスになる取り組みを民間から発案し、そこに行政が後から関与してくるという構造が注目を集めました。

人生で初めて関わった地域活性化事業でこのような取り組みを経験した後、私は高校3年生のときに、全国商店街の共同出資会社の社長を任されることになります。しかし、そこでは大きな失敗を経験しました。事業とは極めてシビアなものですが、地域を再生しながら、しかも税財源に依存せずに私企業を黒字で経営していくためにはさらに難易度の高い経営力が問われることを、この身をもって知りました。その後、大学院卒業後に改めて、熊本市で仲間と共に熊本城東マネジメントという会社を興し、さらに全国各地の仲間とともにエリア・イノベーション・アライアンスという団体を立ち上げ、各地で自ら出資した事業を開発するとともに、そこで得た知見・情報を発信しています。このような18年の経験から、私は「事業としての地方創生」ということを強く意識するようになりました。
一方で、地方政策は常に同じところをぐるぐると回っているような感覚にも陥ります。今回の地方創生もまた、過去の政策の焼き直しともとれるものが少なくありません。

▶︎地方政策の失敗は、繰り返されるのか

地方創生の先行型予算で取り組まれた代表的な政策のひとつは、「プレミアム商品券」でした。
日本全国の1741市町村(当時)のうち、実に99.8%にのぼる1739の自治体がプレミアム商品券を発行し、1589億円の予算が請求され、執行されました。
では、皆さんの地域において、何か経済が大きく好転したでしょうか。「実感がない」というのが本音だと思います。そもそも地域振興券など過去の同様の政策から見ても、その効果は総額の4分の1〜3分の1に留まると疑問視されています。にもかかわらず、地方活性化策として、いまだにこの「効果のないばらまき」がもてはやされています。
地方創生を進めていく上での戦略策定は、戦略をつくり、国の認定を受け、KPI(key performance indicator)を設定し、PDCA(plan-do-check-act)サイクルを回すという方式です。
これは2016年6月までに200市で認定された、「中心市街地活性化政策」と同様のアプローチです。しかしながら、同政策で地方都市中心部が大きく再生しているというケースは見られません。それどころか、かつてのモデル都市である青森市は、本政策の支援を受けて建設した中核施設「アウガ」の経営失敗により、すでに200億円以上の市税を費やし、市長が辞任を表明する事態となっています。

「過去に問題があった進め方に新たな名前をつけて、再度実行してしまう」ということが、地方創生政策における大きな問題です。
これらは単に地方自治体や政府といった行政の問題だけではなく、民間側もこのような政策に乗っかって商売している節もあります。さらに、この政策決定について予算をつけている国会、地方議会という存在もあり、彼らを選んでいるのはほかならぬ、私たちでもあります。
つまり地方政策は、国と地方、行政と民間、政治と市民という関係の中で、議会で決議され、法律に則り、真面目に執行されているにもかかわらず、まったく成果が出ないのです。
これらの構造的な負の連鎖を断ち切るためには、失敗を見て見ぬふりをしたり、忘れることではなく、私たちみんなが過去の失敗と向き合わなくてはなりません。

▶︎メディアが取り上げる「地方の成功物語」の消費を疑え

地方活性化に関するニュースを見るたびに、私は大きな違和感を覚えます。その多くは、田舎で若者が奮闘する物語であったり、過疎の村で番闘する老人の姿であったりします。そのような「都市部が期待する“心あたたまるきれいな地方の成功ストーリー”」ばかりが取り上げられています。
しかしながら、そんなきれいな話だけで問題が解決するのであれば、地方はすでに再生し、誰も苦労はしていません。
実際には、地域の新たな取り組みに強硬に反対する地元の有力者、成功したことによって妬みを持つ住民、さらに地方独自の成功に乗じて自らの実績をあげるためにモデル事業予算を売り込む役人など、そこにはさまざまな欲望が渦巻いています。
何より、一瞬だけを切り取って「成功」と言うのは簡単ですが、それが継続するかどうかのほうが重要です。数年、さらに言えば数十年にわたるような「成功」をつくり出すことが極めて難しいのは、言うまでもありません。つまり、絶対的な成功などはなく、成功と失敗を繰り返しながら、それでも決定的な失敗をせずに、どうにか上昇気流をつくり出していく日々の取り組みこそ、地域活性化のリアルです。
それらは例外なく、ニュースでは取り上げられない、とても地味な取り組みです。
残念ながら、そのような継続性のある地味な取り組みは、都市住民からすると感動がなく、別にどうでもいい話なので、メディアも取り上げません。

さらに、地方移住に関するメディアの報じ方も異常です。
実際には地方に移住する人はわずかな数で、圧倒的に首都圏に集まる人のほうが多いです。2015年の人口移動報告によれば、東京圏は11万9357人の転入超過となっており、その規模も4年連続で拡大しています。他に転入超過となったのは、埼玉、千葉、神奈川といった東京圏、愛知、大阪といった三大都市圏の中核をなす都市、さらに福岡と沖縄です。
しかしながら、メディアでは「今は、地方移住がトレンド」といったようなことを取り上げ、都市部から理想的だと受け取られるような田舎暮らしをする特異な地方移住者にフォーカスした番組がつくられます。

突出した話題性を求めるあまり、地域に必要な課題解決ではなく、「都市部で話題になるネタ」という特異な事例に報道が偏ってしまうわけです。そして、地方も都市部メディアに取り上げられるために、「ウケ」を狙った取り組みばかりを優先してしまいます。結果、地方の問題は解決されず、一過性の話題づくりばかりに奔走しています。

▶︎これは地域だけの話ではない

私は2014年2月に東洋経済オンラインにて、「地方創生のリアル」という連載を開始しました。
この連載では地方の表面的な話ではなく、過去の失敗を整理すると共に、そこにある構造問題について整理し、解決策に迫ることを目的としました。
この連載では文字通り、衰退する地方を活性化しようとするときに発生する、さまざまなリアルな話を書き綴っています。多くの人が「あたりまえにわかっているけど、言い出しにくい」話というものはたくさんあります。しかし、言い出しにくいことほど、問題の原因となっている場合が少なくありません。

この連載を通じて驚いたのは、
「これは地域だけでなく、うちの会社でも同じだ」
「地域活性化分野と役所との関係は、うちの業界団体と所管官庁との関係と同じ」
「商業とかだけでなく、農業でも林業でも水産業でも同じ」
といったご意見を多くいただいたことです。つまりは、地域の構造問題と日本の各所で見られる問題には、極めて多くの共通点があるのだと気づかされたのです。

本書にまとめている内容は、単に「地方問題」のまとめではなく、「日本のいたるところで発生している構造問題のひとつ」として読んでいただければ幸いです。

▶︎構造問題を5つの視点から整理する

本書では、以下のように5つの視点から地域の構造問題について整理します(図表1)。

・ネタの選び方
・モノの使い方
・ヒトのとらえ方
・カネの流れの見方
・組織の活かし方

図表1 本書全体の構造
このすべての要素が機能して、初めて地域再生に必要な取り組みが成立する。しかし、「事業」「資源」「組織」の3つすべてが間違えているから、地域再生はいつまでも実現しない。間違えた構造をいくら支援したところで、成果は出ない。重要なのは支援ではなく、誤った構造を是正することだ。事業、資源、組織を合理的構造へと転換させることこそが、地方が再生するために不可欠だ。

地域での取り組みが失敗する原因として、まずは「取り組むネタの選び方」があります。そもそも最初から、ネタを選ぶ際に間違っているパターンです。
B級グルメなどは、そのようなパターンのひとつです。そもそも地域でつくられていない小麦粉などを原材料にした、粗利こそとれるものの単価数百円から1000円程度の低廉なメニューを基本とすると、加工などの一部で付加価値を生むのが限界です。それだけでは地域の一次産業を含めた波及効果は期待できません。どこまでいっても、差別化が難しく単価が安い割に表面的な調理・提供に関する付加価値しかとれないため、地域全体の再生にはつながりません。

さらに「モノの使い方」も重要なポイントです。
地域での取り組みでは、建物や空間といったハードも不可欠です。そして、地方にはすでに多額の税金でさまざまなインフラが整備されています。しかしそのつくり方、使い方を間違うと、それは時に地域を滅ぼしかねない原因になります。これまでつくったモノが赤字を垂れ流してしまい、地域のほかのサービスに予算が回らなくなってしまうケースは少なくありません。
たとえば道の駅も、一見すれば地域のためになっているように見えますが、その多くは初期投資を回収できないばかりか、運営にも税金が使われる赤字経営ばかりです。じゃがいも1袋100円といった商売をするのに、鉄筋コンクリート建ての公共建築は過剰投資なのです。毎年数千万円の維持費を稼げる商売ではなく、税金で赤字を補填しなければ潰れてしまう場合がほとんど。それでは、どこまでいっても地域は儲からないのです。

また、多くの地域で問題になるのが「ヒトのとらえ方」です。
昨今は人口という数ばかりが注目され、定住人口の話、観光を中心とした交流人口の話、そのすべてが単に人口というボリュームの問題に集約されてしまっています。地方に人口さえ戻れば、すべての問題が解決するという話になりがちです。
しかしながら、実際には人口を増加させるということは、それだけの人たちを食べさせられる産業をつくるという話であり、単に移住促進補助金などで一過性の人口を追い求めても意味はありません。もともと地域産業に問題があるからこそ、雇用にも問題が波及し、地元に人が残らず、結果として地域内需要までも細っていっているわけです。そのため、本来は地元で強くしていこうとする産業があり、その産業に適合できる人材を集めるという発想が自然なのです。
交流人口についても同様で、一過性のイベントで何十万人を集めたところで、観光消費がなければ意味はありません。重要なのは人数よりも観光消費の「単価」です。ひとりあたりどれだけの消費をしてもらえるのか、単価設定をもとにして、地元の飲食店から宿泊施設までを含めたトータルでのサービスを変えていかなくてはなりません。にもかかわらず、地域の変化は後回しにされ、単に人数を集めればいいという考え方でイベントに予算を費やしてしまい、地元に何も残らないことが多々あります。
ヒトをどうとらえるかというのは、地元の次世代産業を支える人材という意味と、サービスを提供していく顧客という複合的な意味があります。これらを混同し、かつ質的問題を無視して「数」としてしか見ないと、大きな間違いのもとになります。

「カネの流れの見方」についても、地域政策では誤って扱われてきました。
そもそも地域政策は、再分配政策の一貫として政治的・行政的に行われてきたものが多く、経済的な視点、経営的な視点が軽視されてきました。たとえば、国が50億円の支援をするものの、地方自身も50億円を負担し、その維持に毎年2億円の負担が30年続くといった事業が行われてしまいます。これでは、累計すると地方では60億円の赤字です。そのため、地方自治体が活性化事業をやればやるほど財政負担が増加するという状況を引き起こしてきました。
また、地方での事業評価は「自治体」と「民間(第3セクター含む)」の連結決算で評価されなくてはなりません。しかし、特殊な公会計によってその評価が歪められています。さらに、官民ともに地域政策に関与する多くの人が、そもそも財務諸表すら読めないということも少なくありません。おカネの流れが見えないから、地方政策で「効果が見られない」という状況こそわかれど、おカネの流れに問題があることに気づけないのです。

さらに、「組織の活かし方」についても問題があります。
地域政策においては、組織行動に関する理論がほとんど採用されず、いまだに前時代的な「計画経済」のようなアプローチが採用されています。「計画」を定め、単年度での「予算」を決定し、それに従って組織を動かす。事業の状況を監視して、評価し、改善を言い渡す。
しかし、このような動き方は、組織においてモチベーションを高め、目的である「地域を再生する」ということと向き合わせるのには有効ではありません。単なるルーティンを回す、昭和の生産工場のようなやり方、もっと言えば、旧ソ連の国営工場のようなやり方です。
これでは、組織内の個人は本当に地域を再生する事業に汗をかくよりも、打算的に他の地域を模倣した施策を採用したくなります。目標も、単発で事業評価を得られやすい集客数などを優先したくなってしまいます。皆がヒットを狙うことさえせず、バントかフォアボールを狙うような姿勢です。このように「失敗しない」ことを優先する組織の中では、「地域を再生する」という中長期的な視野に立ってリスクをとること自体が、「馬鹿な行い」になってしまいます。

本書では、以上のような各論を、複数の視点から整理していきます。
ぜひとも皆さんの関わる分野が「同じような構造問題」を抱えていないか、点検するような気持ちで読んでいただければ幸いです。

2016年9月
木下 斉

木下 斉 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2016/10/7)、出典:出版社HP

地方創生大全――目次

はじめに

第1章 ネタの選び方
「何に取り組むか」を正しく決める
▶︎01 ゆるキャラ
〜大の大人が税金でやることか?
地元経済の「改善」に真正面から向き合おう
▶︎02 特産品
〜なぜ「食えたもんじゃない」ものがつくられるのか?
本当に売りたければ最初に「営業」しよう
▶︎03 地域ブランド
〜凡庸な地域と商材で挑む無謀
売り時、売り先、売り物を変え続けよう
▶︎04 プレミアム商品券
〜なぜ他地域と「まったく同じこと」をするのか?
「万能より特化」で地方を救おう
▶︎05 ビジネスプランコンペ
〜他力本願のアイデアではうまくいかない
成功するためには「すぐに」「自分で」始めよう
▶︎06 官製成功事例
〜全国で模倣される「偽物の成功事例」
「5つのポイント」で本物の成功を見極めよう
▶︎07 潰される成功事例
〜よってたかって成功者を邪魔する構造
成功地域は自らの情報で稼ごう

第2章 モノの使い方
使い倒して「儲け」を生み出す
▶︎01 道の駅
〜地方の「モノ」問題の象徴
民間が「市場」と向き合い、稼ごう
▶︎02 第3セクター
〜衰退の引き金になる「活性化の起爆剤」
目標をひとつにし、小さく始めて大きく育てよう
▶︎03 公園
〜「禁止だらけ」が地域を荒廃させる
公園から「エリア」を変えよう
▶︎04 真面目な人
〜モノを活かせない「常識的」な人たち
「過去の常識」は今の“非常識”だと疑おう
▶︎05 オガールプロジェクト
〜「黒船襲来!」最初は非難続出
「民がつくる公共施設」で税収も地価も高めよう

第3章 ヒトのとらえ方
「量」を補うより「効率」で勝負する
▶︎01 地方消滅
〜「地方は人口減少で消滅する」という幻想
人口増加策より自治体経営を見直そう
▶︎02 人口問題
〜人口は増えても減っても問題視される
変化に対応可能な仕組みをつくろう
▶︎03 観光
〜地縁と血縁の「横並びルール」が発展を阻害する
観光客数ではなく、観光消費を重視しよう
▶︎04 新幹線
〜「夢の切り札」という甘い幻想
人が来る「理由」をつくり、交通網を活かそう
▶︎05 高齡者移住
〜あまりにも乱暴な「机上の空論」
「だれを呼ぶのか」を明確にしよう

第4章 カネの流れの見方
官民合わせた「地域全体」を黒字化する
▶︎01 補助金
〜衰退の無限ループを生む諸悪の根源
「稼いで投資し続ける」好循環をつくろう
▶︎02 タテマエ計画
〜平気で非現実的な計画を立てる理由
「残酷なまでのリアル」に徹底的にこだわろう
▶︎03 ふるさと納税
〜「翌年は半減する」リスクすらある劇薬
税による安売りをやめ、市場で売ろう
▶︎04 江戸時代の地方創生
〜なぜ200年前にやったことすらできないのか?
江戸の知恵を地方創生と財政再建に活かそう

第5章 組織の活かし方
「個の力」を最大限に高める
▶︎01 撤退戦略
〜絶対必要なものが計画に盛り込まれない理由
未来につながる前向きな「中止・撤退」を語ろう
▶︎02 コンサルタント
〜地方を喰いものにする人たち
自分たちで考え、行動する「自前主義」を貫こう
▶︎03 合意形成
〜地方を蝕む「集団意思決定」という呪い
無責任な100人より行動する1人の覚悟を重んじよう
▶︎04 好き嫌い
〜合理性を覆す「恨みつらみ」
定量的な議論と柔軟性を重視しよう
▶︎05 伝言ゲーム
〜時代遅れすぎる、国と地方のヒエラルキー
分権で情報と実行の流れを変えよう
▶︎06 計画行政
〜なぜ皆が一生懸命なのに衰退が止まらないのか?
誤った目標を捨てよう
▶︎07 アイデア合戦
〜現場を消耗させる「お気楽アイデアマン」
実践と失敗から「本当の知恵」を生み出そう

おわりに

本書は「東洋経済オンライン」の連載「地方創生のリアル」に大幅に加筆して再編集したものです。

木下 斉 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2016/10/7)、出典:出版社HP