はじめての応用行動分析 日本語版

【最新 – 行動分析学を学ぶためのおすすめ本 – 入門から応用まで】も確認する

応用行動分析学の教科書

本書は、応用行動分析の基本的な考え方や分析を行うにあたっての目標作成の仕方、データ収集とグラフ化の仕方、実験結果の処理方法などが詳細に書かれた、応用行動分析学のテキストである。内容が専門的・正確に書かれているのと同時に、具体例を交えながらわかりやすく書かれているので、教える側にも学生にも適した一冊となっている。

ポール・A. アルバート (著), アン・C. トルートマン (著), Paul A. Alberto (原著), Anne C. Troutman (原著), 佐久間 徹 (翻訳), 谷 晋二 (翻訳), 大野 裕史 (翻訳)
出版社 : 二瓶社; 第2版 (2004/5/1)、出典:出版社HP

Applied Behavior Analysis for Teachers : Fifth Edition by Paul A. Alberto
Anne C. Troutman
Copyright © 1999 Prentice-Hall, Inc.
Japanese translation rights arranged with Prentice-Hall, Inc.
through Japan UNI Agency. Inc. Tokyo

目次

はじめに

第1章 応用行動分析の基本的な考え方
説明の有用性とは?
生理学的説明
発達的説明
認知的説明
行動的説明
行動主義の歴史
要約
討議のテーマ

第2章 応用行動分析を適応するに当たっての責務
応用行動分析に対する高い関心
応用行動分析の適用倫理
説明責任
理論と実践
要約
議論のテーマ

第3章 行動目標の作成
行動目標の定義と目的
教育目標
行動目標の書式
行動目標の範囲
行動目標と個別教育プログラム(IEP)
要約
議論のテーマ

第4章 データの収集とグラフ化
データ収集法の論理
方法の選択
逸話的レポート
行動的産物記録法
観察記録法
持続時間記録法および潜時記録法
信頼性1
議論のテーマ
要約

第5章 データのグラフ化
単純な折れ線グラフ
要約
討論のテーマ

第6章 一事例の実験デザイン
変数と関数関係
実験デザインの基本カテゴリー
ABデザイン
反転デザイン
基準変更デザイン
マルチ・ベースライン・デザイン
操作交代デザイン
チェインジング・コンディション・デザイン
一事例の実験デザインの評価
要約
討論のテーマ

第7章 行動の生起頻度を増大させる随伴操作
正の強化
効果的な強化子の選択
負の強化
自然な強化
要約
討論のテーマ

第8章 不適切な行動を減少させる結果操作
問題行動を減少させる方法
レベルI:分化強化の応用
レベルⅡ:消去

レベルⅢ:好ましい刺激の除去
レベルⅣ:嫌悪刺激の呈示
要約
議論のテーマ

第9章 分化強化:刺激制御とシェイピング
刺激制御を形成するための分化強化
複雑な行動を教える
シェイピングのための分化強化
要約
議論のテーマ

第10章 機能査定と機能分析
他の方略の必要性
第1段階:機能査定
第2ステージ:機能分析手続き
要約
議論のテーマ

第11章 行動変容を般化させるために
般化
要約
議論のポイント

第12章 行動自己管理の指導
当たり前の経験
行動管理の指導準備
重度の障害のある人の自己管理
中度の障害のある人の自己管理
要約
論議のポイント

第13章 教室での実践
刺激制御
教室での実践
要約
論議ポイント

付録:専門的諸団体による嫌悪的な行動介入を避けるための決議
アメリカ精神遅滞市民の会による行動支援に関する意見声明(1995年10月)
例外児のための評議会による身体的介入に関する方針(1993年4月)
アメリカ精神遅滞学会による嫌悪手続きに関する方針(1990年1月20日)
重度障害を持つ人々の連盟による不要な介入の中止についての決議(1986年11月5日)
全米学校心理士連盟による体罰についての決議(1986年4月19日)

参考文献
索引
用語解説
訳者あとがき
日本語第2版訳者あとがき
訳者紹介

装幀・森本良成

ポール・A. アルバート (著), アン・C. トルートマン (著), Paul A. Alberto (原著), Anne C. Troutman (原著), 佐久間 徹 (翻訳), 谷 晋二 (翻訳), 大野 裕史 (翻訳)
出版社 : 二瓶社; 第2版 (2004/5/1)、出典:出版社HP

はじめに

応用行動分析を学生に教えるために、専門的で、系統的な、読みやすいテキストブックが必要だったというのがApplied Behavior Analysis for Teachersの第1版を書こうと考えた動機でした。学生たちに応用行動分析の概念を理解してもらうだけでなく、教室や他の場面でその概念を応用する方法を知ってもらいたいと思っています。応用行動分析は成果を上げることができます。学業的なスキルや適応的なスキル、適切な社会的行動を教えるためにこの原理を使うことができます。応用行動分析は生徒を先生の統制下におくための計略の寄せ集めではなく、ひとつの統合的なマネジメントシステムです。

この本は教育者が出合ういろいろな問題の解決策を単にひとつずつ提供しているハウツーものの本ではありません。すべての出来事にハウツーを示すことは不可能です。子どもや大人の人と一緒に勉強したり働いたりすることを大変楽しいものにしていくことは、すべての人が一人ひとり違っていて、ひとつの手続きですべての人に効果的のある方法はないという認識から始まります。問題をうまく解決するために、自分自身のオリジナルなレシピを応用行動分析の原理を使って作れるようになって欲しいと思っています。応用行動分析の原理をうまく使いこなすためには、頭のやわらかい人の熱心で積極的な参加が必要です。現在のところ、応用行動分析はもっとも強力な指導システムですから、適切で倫理的な使い方を学んで欲しいと望んでいます。
応用行動分析を教える人は、テキストが専門的に正確に書かれているかに関心があります。この本はその期待に沿えると思います。同時に、学生が読んで楽しめるような例もたくさん盛り込んで活気のある本にしようと試みました。この本の中で紹介している具体例は、いろいろなレベルの子どもや大人の問題を扱っています。上手な先生とそうでない先生についても触れています。この本の中の例の多くは、私たちがそうであって欲しいと期待している教師や、将来学生たちにそうなって欲しいと望んでいる教師の例、つまり過ちから学ぶ良き教師の例です。

第5版を書くにあたって、同僚やこの本を読んだ学生の手紙から多くの示唆を得ました。しかし、私たちは憤った動物愛護活動家から手紙をもらうことになっても、第11章で紹介したネズミ捕りの例を十分に忘れないでおくべきものと考えています。データを集め、それをグラフ化することについての長く、専門的な章は2つ以上の章に分け、機能的分析の章を加え、応用行動分析の手続きを他者に教えることに関する章を割愛しました。
最後に、この本では指導者が彼らの学生に講義や他の本を読ませながら、行動変容の実習を割り当てられるようにしてあります。このテキストでは標的行動を明確にすることから始まって、実験デザインを選択し、結果操作、先行刺激の操作、行動変化の般化を計画するまで順々に進めています。学生に引き続く勉強でしっかりとした基礎となると思われる教授方法の基礎知識を紹介しようと試みたつもりです。
この本に関して、読者の皆様からの意見を心待ちにしています。この本を書くにあたって私たちはとても楽しく仕事をしました。読者の皆様にも同じくらい楽しみながら読み進んでいただけることを期待します。

謝辞

Applied Behavior Analysis for Teachersの第5版を出版するに当たり、一緒に仕事をしていれた出版社プレンティスホールのすべての専門家はもちろんのこと、手助けをしてくれての人に感謝します。とりわけ私たちの担当編集者であり、これまで出会った中で最も喜んで忍耐強くコーチしてくれたギアナ・マーセラに感謝します。また、テキストを読み直し、いろいろな示唆をくださった人たち、カーセージ大学(WI)のロジャー・バス、モアヘッド州立大学のポール・ビアー、ハウストン大学のゲイ・グッドマン、ペンシルバニア州立大学のカシー・ラールにも感謝します。前回同様、タイブをし、索引や引用文献の編集や校正をしてくれたナンシー・ワイルダーにお礼を申し上げます。

ポール・A. アルバート (著), アン・C. トルートマン (著), Paul A. Alberto (原著), Anne C. Troutman (原著), 佐久間 徹 (翻訳), 谷 晋二 (翻訳), 大野 裕史 (翻訳)
出版社 : 二瓶社; 第2版 (2004/5/1)、出典:出版社HP