社会人が知っておくべき笑いのマナー ~ ビジネスでもプライベートでも使える108のお作法

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「笑いのマナー」を学ぶ

本書では「人はどうやったら笑うのか?」を分析し、108項目の「笑いのマナー」として紹介。各項目にはビジネス/プライベートのシーンごとに、使用例が豊富に掲載されています。大笑いしながら、笑いのマナーが学べて、ウケる法則が身につきます。例もあってとてもためになります。

田中 イデア (著)
出版社 : リットーミュージック; 四六版 (2012/7/25)、出典:出版社HP

煩悩の数だけ人を笑わせたい、
それはもはや本能である。

はじめに 笑いのマナーを向上させよう!

大人になると、日常生活から冠婚葬祭まで、人間関係を円滑にするためのマナーの重要性に気付きます。ビジネスのマナー、食事のマナー、冠婚葬祭のマナーなどなど、家族や会社の人々に学びながら、ときには自分でも調べつつ、対応してきたことでしょう。そうして、社会人としてのマナーを守った結果、スムーズな人間関係は構築できたのではないでしょうか。
しかし、これらのマナーは「他人を気遣う」というよりは、「取りあえず右に習え」で守っておくという感じに見えてしまいます。マナーを注意する側も、マニュアル化されたマナーに沿った言動かどうかで善し悪しを判断しがちです。そうなってしまっては、マナーに縛られるあまり、思考が停止してしまい、個性のない人間が出来上がってしまいます。
そこで今後は、そんな画一的なマナーではなく、相手の個性や特徴に応じた、臨機応変なマナーが必要になってくることでしょう。その一助になることを目的に執筆したのが、本書『社会人が知っておくべき笑いのマナー ビジネスでもプライベートでも使える108のお作法』です。
本書は、「笑い」を「他人を気遣う」マナーの1つとして分析しています。自分が意識して意図的に「笑い」を提供することで、相手との関係をより良くさせようというものです。もちろん、先ほども述べた通り、「笑いのマナー」にも画一的ではなく臨機応変さが必要です。そこで、項目が108という膨大な数になってしまいました。これら数多くの中から、あなたに合った、そして相手に合った「笑いのマナー」をぜひ見つけて活用してください。

笑いの法則と構造を覚えよう

さて、これから「笑いのマナー」を読み進めていただく前に、ここでその手助けとなる、「笑い」の基礎的な話をします。
笑いは「緊張」を「緩和」させることで起こる――これは、落語家の桂枝雀さんが提唱した「笑いの理論」です。もう少し具体的に言うと、緊張は「常識」に、緩和は「破壊」に置き換えることができます。要するに、常識という緊張状態を壊すことで、緊張が緩和され笑いが起こるのです。
例えば、あなたが上司からこっぴどく怒られているとします。その状況は「緊張」状態です。そんな中、ふと上司の顔を見ると、上司の鼻から鼻くそが出ていました。これが「緩和」です。もしここで笑わなくても、そこからまた新しい「緊張」が出てきます。それは、「この状況で笑ってはいけない」という「緊張」です。しかしまたすぐに「緩和」はやってきます。その上司が怒るたびに、鼻くそがヒラヒラするのです。ついにあなたは笑ってしまうかもしれません。このように、説教中の上司はこうあるべきという常識が、鼻くそがそよいでいることで、壊されてしまい「笑い」が生まれるのです。
というわけで、まず笑いを取るためには、常識を知っておかなければいけません。その常識をどう壊すかということで、「緊張」を「緩和」させることができるのです。
続いては、その常識を壊すための展開として、「フリ」「オチ」「ツッコミ」の話です。この言葉は聞いたことがある方も多いと思います。
「フリ」とは、常識を知らせる役回りです。普通ならここでこう言うだろう、こうなるだろう、という常識的な予想をさせるのが「フリ」です。
そしてその予想を見事に裏切るのが「オチ」になります。周りは、「フリ」のミスリードに釣られれば釣られるほど、その裏切りが大きな笑いとなります。
最後は、「ツッコミ」です。ツッコミは大きく2種類あります。1つは相手がボケたときにする「ツッコミ」、もう1つは相手がボケていないのにする「ツッコミ」です。前者は皆さんお分かりのことだと思います。おかしな発言をした相手に対して、それを否定したり訂正したりする役回りです。一方、後者は、自分の「ツッコミ」によって相手をボケに変えるという役回りです。例えば、食べるのが好きな大食いの人に向かって「お前、前世は餓死か!」とツッコミを入れたとします。その瞬間、大食いしている状況が「ボケ」に見えてしまうのです。このように、常識を壊す「ツッコミ」もあります。
これをしっかり踏まえた上で、第1章から順に読んでいってください。

この本の構成について

本書は「第1章 基本マナー編」「第2章 応用マナー編」「第3章 高等マナー編」の3つの章で構成されています。各章の説明の詳細は、各章ごとの扉ページを読んでいただくとして、ここでは簡単に紹介します。
まず第1章では、今さら人に聞けない「笑いの基本マナー」を37項目紹介します。ここで笑いの基礎力をしっかり身に付けてください。比較的、初心者向けの使いやすいマナーとなっています。
第2章は、基本で学んだことを活かす「笑いの応用マナー」を35項目紹介します。こちらは、応用なので少し高度ですが、第1章をしっかりと自分のモノにできた読者なら、付いていけるはずです。
そして最後は、第3章の「笑いの高等マナー」36項目の紹介です。基本編、応用編とステップアップしてきたなら、無事乗り越えられるはずです。こちら第3章は、社会人はもちろん、お笑い芸人として活躍したい人にも役立つマナーになっています。
さらに笑いのマナーは第1章から第3章まで各章ごとに、それぞれ3つのタイプに分けています。「言動でボケる」は、言葉や動きで笑いを取るマナーで、「キャラでボケる」は、あるキャラクターになりきって笑いを取るマナーです。そして「相手にボケさせる」では、相手がボケてきた場合の対応や、ツッコミによる笑いの取り方などを紹介しています。
これら、全部で108項目の笑いのマナーは、お笑い芸人が行なっているテクニックをもとに、詳しく解説をしています。解説の中に、例として実際に芸人さんがやったネタやボケも出てくるので、読みものとしても楽しんでいただけると思います。
またそのマナーを使った例文は、ビジネスでもプライベートでも使えるように、両方の例文を載せておきました。ぜひ実生活において参考にしてください。

このように本書は、皆さんに「笑いのマナー」を紹介する目的で書きました。この108のマナーをすべて覚えることで、意識的に笑いが取れるのはもちろん、しまいには無意識のうちに「笑いのマナー」を使用し、笑いが取れるようになっていることでしょう。
本書を活用することで、それまで没個性的で思考停止に陥っていたマナーではなく、相手に気を遣い、相手に合わせた個性的なマナーが身に付くようになるはずです。

さて、これでまえがきは終わりです。
いよいよ108の「笑いのマナー」を読んでいただくことになります。読み終わってから、皆さんの中で「笑い」に対する価値が上がり、少しでも実践していただけると幸いです。

田中 イデア (著)
出版社 : リットーミュージック; 四六版 (2012/7/25)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 基本マナー編

言動でボケる
001 緊張の緩和
002 否定のち共感
003 あべこべ
004 さらに上
005 言い方
006 語感
007 略さず
008 モザイク
009 オノマトペ
010 当たり前
011 あるある
012 お約束
013 時事ネタ
014 本音
015 告白

キャラでボケる
016 オーバー感情
017 ハイテンション
018 ノーリアクション
019 自虐
020 キャラ通り
021 低姿勢
022 バカ正直
023 マジメ
024 イエスマン
025 業界用語
026 死語
027 方言
028 プラス思考
029 マイナス思考
030 大げさ

相手にボケさせる
031 訂正ツッコミ
032 説明ツッコミ
033 ノリツッコミ
034 なだめツッコミ
035 フォロー
036 ガヤ芸
037 読心術

第2章 応用マナー編

言動でボケる
038 前フリ
039 裏切り
040 縮小
041 三段オチ
042 ごまかし
043 ベタ
044 言い間違い
045 引用
046 強調
047 遠回し
048 変な擬音
049 変な例え
050 変な略
051 反感
052 モノボケ

キャラでボケる
053 ものまね
054 ダジャレ
055 適当
056 嘘八百
057 棚上げ
058 ヨイショ
059 オカン
060 彼女
061 ギャップ
062 先生
063 子供
064 中学生
065 ドS
066 ドM

相手にボケさせる
067 例えツッコ
068 具体化
069 MC
070 トラップ
071 自分客観
072 他人主観

第3章 高等マナー編

言動でボケる
073 天丼
074 スカシ
075 あいまい
076 上げて落とす
077 脱線
078 言葉選び
079 新語
080 うまいこと
081 違和感
082 考えオチ
083 捨てゼリフ

キャラでボケる
084 売り込み
085 決めつけ
086 ジコチュー
087 屁理屈
088 失礼
089 開き直り
090 金持ち
091 キザ
092 刑事
093 ワイルド
094 偽善者
095 仮病
096 時代劇
097 下ネタ
098 毒舌
099 ミニコント

相手にボケさせる
100 無茶振り
101 食いつき
102 乗っかり
103 勘違い
104 的外れ
105 擬人化
106 逆の立場
107 無関係
108 1人ボケツッコミ

おわりに

田中 イデア (著)
出版社 : リットーミュージック; 四六版 (2012/7/25)、出典:出版社HP