スタンフォード式 最高の睡眠

【最新 睡眠について学ぶためのおすすめ本 – 良質な睡眠で人生を豊かに】も確認する

睡眠の悩みを全て解決

「世界最高」の呼び声高いスタンフォード大学の睡眠研究より、睡眠の質を高める重要性と具体的方法が書かれています。不規則な生活をしていると忘れがちですが、睡眠、食事を意識するだけで一日の過ごし方は劇的に変わります。本書の内容を実行したことで日中のパフォーマンスが上がります。

西野精治 (著)
出版社 : サンマーク出版 (2017/2/27)、出典:出版社HP

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プロローグ 「ぐっすり」を追求した究極のスタンフォード・メソッド

最高の睡眠を確保し、日中のパフォーマンスを最大化する。
スタンフォード大学で30年近く睡眠を研究して得た知見を軸に、「あなたの睡眠を、あなた史上最高にする」方法をお伝えするのが本書のねらいだ。

たとえば、「睡眠時間」。よく、「ノンレム睡眠とレム睡眠の周期は90分。なので90の倍数分眠ればいい」といわれているが、実は必ずしも「90分周期」とは限らない。
なので「90分の倍数」寝ても、目覚めが悪いケースはいくらでもある。
このような「睡眠の俗説」についても、最新の科学的検証を通して、正しい知識とメソッドを本書では提供していく。

「世界一の睡眠研究所」と称されるスタンフォード大学睡眠研究所、そして睡眠生体リズム研究所(Sleep and Circadian Neurobiology Lab:以下SCNラボ)で蓄積したエビデンスをもとに、より良く眠り、より生産的に日中を過ごす「スタンフォード式最高の睡眠」について、これから述べていきたいと思う。

世界一の睡眠研究所はスタンフォードにある

今、全米の睡眠クリニックの数は、2000とも3000ともいわれている。睡眠について関心が高く、多くの人が悩みを抱えている証拠だろう。不眠症とまでいかずとも、眠りについて「満足です」と言う人は少ない。忙しいビジネスパーソンなら誰しも、何らかの「睡眠トラブル」を抱えているのではないだろうか。
だが、眠りは決して現代だけの問題ではない。睡眠障害の歴史は古いものだ。たとえば、私の専門であるナルコレプシー(突然眠りに落ちてしまう病気)は一番典型的な過眠症だが、140年前のフランスの文献にすでに記載がある。
また、日本の睡眠障害についての記録ははるかに古く、平安時代の文献がある。「病草紙」というの病気が記載された絵巻物で、そこには「不眠症の女」と、やたらに眠りすぎる「嗜眠癖の男」が登場するのだ。
一方、睡眠医学の歴史はまだ新しい。「睡眠?ただの休息だろう」という位置づけで、長い間、研究者もほとんどいなかった。
転機となるのは1953年、レム睡眠の発見だった。「脳は起きていて体は寝ている」このレム睡眠という不思議な状態に、可能性を感じたのだろうか。アメリカの大学のなかで、いち早く睡眠医学に注目したのがスタンフォードである。
レム睡眠発見者の一人であり、私の師でもあるウィリアム・C・デメント教授などの優秀な人材が集められ、1963年に世界初の本格的な睡眠研究機関「スタンフォード睡眠研究所」が設立された。クリニックも併設された画期的なものだった。
1972年にデメント教授とクリスチャン・ギルミノー教授は、世界で初めて、睡眠障害の系統だった講義をおこなった。
1989年、初めて睡眠医学の教科書を作ったのもスタンフォード。私も1チャプター執筆している。現在も使われているが、新たな知見を得るたびに改定されて第6版となり、今や5センチもの厚みになっている。
デメント教授は1975年に睡眠学会を立ち上げ、学会誌『Sleep』を刊行するなど、大学の枠を超え、世界の睡眠研究において中心的な役割を果たしてきた。
1990年にはアメリカ議会の要請を受けて、睡眠障害の実態を調査。睡眠障害はさまざまな病気につながり、産業事故を含めて700億ドルもの損失になるという試算を出した。これが睡眠の重要性と、睡眠障害の危険を広く知らしめることになり、アメリカ国立睡眠研究所の設立につながったのである。
かようにスタンフォードは、睡眠医学の発達に大きく貢献してきた。
その後、睡眠医学の研究は多様化してきている。
今ではハーバード大学の睡眠プログラムもすばらしいし、ウィスコンシン大学の睡眠医学・睡眠研究所も、ピッツバーグ大学の不眠症研究も目を見張るものがある。また、基礎研究では、フランスのリヨン大学やカリフォルニア大学ロサンゼルス校の貢献も大きい。
だが、身びいきを差し引いて、いまだに睡眠研究の総本山がスタンフォードというのは事実だ。
なぜなら、ハーバードをはじめ、今、世界で活躍する睡眠研究者のほとんどは、短期でも長期でもスタンフォードに籍を置いた経験があるからだ。
「世界の睡眠研究は、スタンフォードから始まった」
こう述べても、決して過言ではない。

「たくさん寝る」はベストな眠りか

スタンフォードと睡眠医学について説明したところで、ひとつ質問をしたい。「最高の睡眠」とは、具体的にはどういう眠りを指すのだろうか?
量よりも質が大切―。食事でも、モノでも、仕事でも、「量より質」という認識は、もはやグローバルスタンダードといえるだろう。
・大盛りや食べ放題よりも、味が良く、体にいいものを、少なめに食べたい。
・たくさんのモノを持つより、質のいいものを厳選してシンプルに暮らしたい。
・果てしなく残業し、休日返上で働くよりも、短時間、集中して効率良く働きたい。
私たちにとってはどれも当たり前すぎるほど当たり前のことだが、なぜか睡眠については、いまだ「当たり前」ではないようだ。
つまり、「日中眠たい」「頭がぼーっとする」「朝起きるのがつらい」といった睡眠ストレスを抱えている人の多くは、「もっと眠らなければ」と、量の確保を意識してしまうのだ。
しかし、忙しい日常を送る現代人にとって、「今以上」の量の確保は現実的とはいえない。毎晩日付が変わる前にベッドに入り、朝も自然に目が覚めるまで夢の中、そんなことが許される人はそうそういない。仕事、家事、育児、趣味など、大量にある「やるべきこと」と「やりたいこと」のはざまで、ただでさえ時間が足りないのに、睡眠時間だけたっぷりとるというのは無理な話だ。
「忙しければ睡眠を削る」というのは、悲しいことだが、やむをえないのではないだろうか。
また、仮に時間がありあまるほどあって、ベッドで好きなだけ過ごせるとしても、「眠れない」「寝ても疲れがとれない」など睡眠にまつわる問題がたくさん出てくる。
さらに、睡眠時間が長すぎるとかえって体に悪いというエビデンスも出てきている。
結論からいってしまおう。
睡眠にまつわる悩みもストレスも、「量の確保」では解決しない。
たくさん眠ったところで、最高の睡眠は得られないのだ。

「最強の覚醒」をつくる睡眠、「最高の睡眠」をつくる覚醒

「最高の睡眠=量ではない」
「眠りについての悩み=量では解決しない」
それでは改めて、最高の睡眠とは何だろう?
答えは、「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える、「究極的に質が高まった睡眠」となる。
睡眠と覚醒(パフォーマンス)はセットになっている。
脳・精神・体のコンディションを整える質の良い睡眠をとれば、仕事でも勉強でもパフォーマンスの高い一日が送れるし、単に量を求めてだらだら眠ったら、調子が崩れてしまう。
また、日中調子が良く、成果を出すような活動をすれば、その分脳も心も体もハードに使うため、一日を終えたら効果的なメンテナンスとなる睡眠が必要だ。
眠っている間に、私たちの脳や体では、さまざまな営みがおこなわれている。朝、起きたときにベストな状態になるよう、睡眠中の脳と体の中では、自律神経や脳内化学物質、そしてホルモンが休みなく働いているのだ。
眠っている間の脳と体の働きをベストなものにして「睡眠の質」を徹底的に高め、最強の覚醒をつくり出す。これこそが、本書でいう「最高の睡眠」である。

スタンフォードで見つけた「睡眠の法則」

「睡眠の質」は「覚醒の質」に直結する。
スタンフォードの学生や研究者、ビジネスパーソン、私がアドバイザーとして協力しているプロアスリートを見ても、成果を出す人はみな、睡眠の質を大切にしている。
では実際のところ、どうすれば質のいい睡眠がとれるのだろうか?
その鍵が、本書でお伝えする「90分の黄金法則」だ。
レム・ノンレムの周期にかかわらず、睡眠の質は、眠り始めの90分で決まる。「最初の5分」さえ質が良ければ、残りの睡眠も比例して良質になるのだ。逆に最初の睡眠でつまずいてしまうと、どれだけ長く寝ても自律神経は乱れ、日中の活動を支えるホルモンの分泌にも狂いが生じる。
どんなに忙しくて時間がなくても、「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれるといっていい。
私は1987年に渡米し、スタンフォード睡眠研究所に所属した。そして2005年にその主たる基礎研究機関であるSCNラボの所長に就任して以来、睡眠に関する疑問を解くため、方法にとらわれずにあらゆることを日夜研究してきた。
患者を対象とした臨床実験、睡眠障害のメカニズムを解明し、新しい薬剤を開発するための動物実験、ボランティア被験者の協力を得た睡眠生理の実験、新たな睡眠計測装置の開発…など、「睡眠の謎」を解明するためにさまざまなことに取り組んできた。
「睡眠の謎を解き明かして社会に還元する」を大指針に、今日まで「眠り」ととことん向き合ってきたつもりだ。
私は睡眠の専門家だが、本書は小難しい専門書ではない。むしろ実用性と即効性を重視し、目を閉じている間のあなたに役立つことを、わかりやすくまとめていくつもりだ。
ただひとつ約束しておきたいのは、根拠なき話は書かないということ。
古典の引用を超え、最新科学で初めてわかったことや、スタンフォードの最先端の知見を、できる限り平易に日本のみなさんにお伝えしたい。
これも、SCNラボ所長であり、日本人である私の役割だと考えている。

眠りが「最強の味方」になる人、「最恐の敵」になる人

これから「眠りを巡る旅」が始まるわけだが、その流れは次のとおり。
本書は「0章」と題した章からスタートする。ここでは睡眠時間と睡眠の質について詳しく掘り下げ、あなたが知らないであろう、眠りに関する新事実を解き明かす。
この新事実は、最高の睡眠を得るうえで欠かせない。「固定概念を見つめ直し、ゼロベースでもう一度睡眠に向き合う」との思いから、「0章」とした。そして1章は、良質な眠りの土台となる「睡眠基礎知識」について。眠れる「夢」の不思議についても、この章でご案内したい。
2章では、「なぜ3分で勝負が分かれるのか」を、データをひもときながら検証していく。
3章では、いよいよ最高の5分を得るためのメソッドが登場する。キーワードは3つ、「体温」と「脳」と「スイッチ」。
朝起きてから夜寝るまでの行動を少しアレンジして「眠りの質を高める」習慣術を書いたのが4章。
最後となる5章で、目先の問題である「眠気」との賢い闘い方をお伝えする。
「睡眠とは最強の味方であり、敵に回すと最悪な恐ろしい相手」
これは私が長年にわたる研究を通じて得た実感である。1日24時間のうち、大きな部分を占める睡眠を味方にできるか敵に回すかで、人生は大きく変わる―膨大な数の「睡眠の悩み」と向き合う中で、幾度となくそう思い知らされてきた。また、研究すればするほど痛感させられる。
仕事を含めた日中のパフォーマンスは、睡眠にかかっている。
夜な夜な訪れる人生の3分の1の時間が、残りの3分の2も決めるのだ。
睡眠と3年以上対峙する中で経験したこと、学んだこと、そして突き止めたことを、エッセンスを取りこぼさぬよう、この一冊に凝縮した。本書を通じて、睡眠があなたの「最強の味方」になってくれることを、心から強く願っている。

スタンフォード大学医学部精神科教授
SCNラボ所長 西野精治

西野精治 (著)
出版社 : サンマーク出版 (2017/2/27)、出典:出版社HP

目次

プロローグ 「ぐっすり」を追求した究極のスタンフォード・メソッド
■世界一の重眠研究所はスタンフォードにある
■「たくさん寝る」はベストな眠りか
■「最強の覚醒」をつくる睡眠、「最高の睡眠」をつくる覚醒
■スタンフォードで見つけた「睡眠の法則」
■眠りが「最強の味方」になる人、「最恐の敵」になる人

0章 「よく寝る」だけでパフォーマンスは上がらない
知らぬ間にはまる「眠りの借金地獄」
■「眠りの借金」は借りていなくてもたまる
■飲酒運転より危険な「脳の居眠り」
■世界」「睡眠偏差値」が低い国・日本
「理想の睡眠時間」は遺伝子で決まる
■2か月眠らない動物がいた!
■人は眠らないとどうなる?
■ナポレオンの子はナポレオン?「ショートスリーパー」は遺伝だった!
■「寝だめしたい」は脳からのSOSサイン
■「眠りの借金」が寿命を縮める
■眠らない女性はどんどん太る
■バスケットボール選手のシュートカはなぜ劇的に上がったのか
「たっぷりの睡眠」でも脳は不満足
■「眠りの返済」は難しい
■週末の寝だめは効果があるのか?
「黄金の90分」で最高の脳と体をつくり上げる
■世界のエグゼクティブは始めている「睡眠メンテナンス」
■「最初の90分」を深くせよ!
■寝始めがつくる「最強ホルモン」
■「Better than nothing」

1章 なぜ人は「人生の3分の1」も眠るのか
世界のエグゼクティブが大事にする「眠りの共通点」
■トップアスリートほど「眠りへのこだわり」が強かった!
■「睡眠ジャンク」から脱出するには
■知識が脳に眠りをもたらす睡眠に課せられた「5つのミッション」
■真夜中、脳と体では何が起きているのか?
■睡眠ミッション①脳と体に「休息」を与える
■睡眠ミッション②「記憶」を整理して定着させる
■睡眠ミッション③「ホルモンバランス」を調整する
■睡眠ミッション④「免疫力」を上げて病気を遠ざける
■睡眠ミッション⑤「脳の老廃物」をとる
■「寝る前の目薬」で目は良くなる?
睡眠の終着駅「夢」の不思議
■夢はたくさん見たほうが良かった!
■「見たい夢」は見られるのか?眠りの質が「覚醒レベル」をこう決める
■「睡眠不満足者」はこんなに損している!
■あなたの「眠りの質」はどうすればわかる?
■「致死率40%」なのに身近な睡眠障害
■いびきは「歯の悲鳴」?
■世界的研究者を変えた「蓮眠力革命」

2章 夜に秘められた「黄金の30分」の法則
「8時間寝たのに眠い人」と「6時間寝てすっきりした人」
■なぜ「ウォッカを飲むオペラ歌手」は歌がうまいのか?
■目を閉じるとやってくる「スリープサイクル」
■レムとノンレムは90分周期じゃなかった?
最初の90分が「黄金」になる3大メリット
■メリット①寝ているだけで「自律神経」が整う
■メリット②「グロースホルモン」が分泌する
■メリット③「脳のコンディション」が良くなる
少数精鋭の「睡眠部隊」を味方につける
■「どうしても資料を作らないと……」な夜の過ごし方
■なぜ年をとると眠れないのか?「体温」と「脳」に眠りスイッチがある
■こうすれば、すぐに・ぐっすり眠れる!
■赤ん坊も知っている「体温のスイッチ」
■頭が睡眠モードに切り替わる「脳のスイッチ」

3章 スタンフォード式最高の睡眠法
体温と脳が「最高の睡眠」を生む
■「よく眠れる人」と「眠れない人」の差はわずか2分
■なぜメジャーリーグは「体温」に注目するのか
■「会議室での遭難者」
■体温は「上げて・下げて・縮める」
睡眠クオリティを上げる3つの「体温スイッチ」
■体温スイッチ①就寝5分前の入浴
■すぐ寝るときは「シャワー」がベスト
■〇〇風呂ならさらに効果アップ?
■体温スイッチ②足湯に秘められた驚異の「熱放散力」
■靴下を履くと眠気が逃げる?
■体温スイッチ③体温効果を上げる「室温コンディショニング」
■「そば殻枕」で頭を冷やせ!
入眠をパターン化する「脳のスイッチ」
■枕が変わったネズミは眠れない?
■「眠りの天才」は頭を使わない
■脳のスイッチ①「モノトナス」の法則
■「脳の関所」はこう突破せよ!
■脳のスイッチ②正しい羊の数え方
■逆スイッチ「貧乏揺すり」をすると眠れない?
脳にも「寝たくない」ときがある?
■そもそも、なぜ、人は眠くなるのか
■スタンフォードの睡眠実験「1日がもし90分だったら?」

西野精治 (著)
出版社 : サンマーク出版 (2017/2/27)、出典:出版社HP