最強の睡眠 世界の最新論文と 450年企業経営者による実践でついにわかった

【最新 睡眠について学ぶためのおすすめ本 – 良質な睡眠で人生を豊かに】も確認する

最高の体調を取り戻す

全てを取り入れるのはなかなか困難ですが睡眠に限らず、日常生活を向上させるヒントがたくさん載っています。この本には忙しい日々の中だとしても、どれほど睡眠を充実させることが重要なのかが書かれていて、自分の意識次第で改善出来ることがこんなにあったんだ!と学べます。

西川ユカコ (著), 坂木浩子(ぽるか) (イラスト)
出版社 : SBクリエイティブ (2020/4/4)、出典:出版社HP

はじめに

「寝付きが悪く、なかなか眠れない」
「夜中に目が覚めてしまう」
「よく寝たはずなのに、翌朝スッキリしない」
「ちゃんと寝ても、日中眠たくなる」
「そもそも、睡眠時間が確保できない」
働き盛りのビジネスパーソンが訴える、睡眠に関する悩みの典型例です。
このように、多くの人がうまく眠れないことで慢性的な疲れを溜ため込んでおり、本来の能力やパフォーマンスを十分に発揮できていない現状があります。そんな人たちに、「最高の体調」を提供するのが本書の目的です。
私自身もそうですが、現代のビジネスパーソンは多忙すぎます。いくら働き方改革が推進
されても仕事量そのものは変わらないし、むしろ同僚が産休や介護休暇をとるタイミングが重なったり、何らかの事情で欠員が出ても補充されないなどもあり、かえって仕事量が増えている人もいるでしょう。
また、会社を離れても食事づくりなどの家事、人によってはそれに加えて育児など、個人的に取り組まなければならない課題が山積みなのが実情です。それに、もちろん自分のための時間だって欲しいですよね。それはよくわかります。
問題は、多くのビジネスパーソンが「だから、仕方ない」と諦め、よりよい体のコンディ
ション、より高いパフォーマンスを手にするチャンスを放棄していることです。
そのチャンスについて、カギを握っているのは、間違いなく「睡眠」です。

私は毎朝、皆さんと同じように混み合った電車に揺られ、自宅から会社まで通勤しています。そこでは、朝から「どんよりモード」のビジネスパーソンをたくさん目にします。
彼らを目にした私には、一瞬で「この人、眠り方を間違っている」とわかります。さらには、間違いを正そうという意識が薄そうだということも。
今や日本の成人の5人に1人は不眠症状を抱えています。さまざまな睡眠の不調を訴える
声もあちこちで耳にしますが、本気で改善に取り組んでいる人はごく少数と言わざるを得ません。おそらく、「やってみたけれど効果がなかった」「そもそも、どうしていいかわからない」というのが本音でしょう。
そして向き合いたくない事実ではありますが、35歳ごろから睡眠の質は急激に下がります。何の工夫もしないままでは、いつも「何となく不調」でも、当然なのです。
そうした事実を無視して「仕事が忙しいから睡眠についてはどうしても後回しになってしまう」などと言っていたら、疲れを溜めるのは当たり前ですし、ましてやいいパフォーマン
スが期待できるはずがありません。

本書は、睡眠について真正面から取り組み、あなたのパフォーマンスを根底からアップすることを目的としています。限られた時間の中で、いかに高いパフォーマンスを発揮して過ごすかということは、ビジネスの結果はもちろん、私たちの人生の質そのものを左右する大問題です。

ではなぜ、医学者でも科学者でもない私に、そのためのアドバイスができるのか。それを
説明するために、ここで自己紹介をさせてください。
私は、昭和西川という老舗寝具メーカーの創業家に生まれました。ルーツを辿ると約45
0年前の室町時代にまで遡ります。ただし、次女であったために最初から後継者としては目
されず、将来は結婚して実家を離れることを前提に育てられました。
実際に、大学卒業後は出版社の雑誌編集者として、寝具メーカーの娘とは思えぬような、睡眠不足極まりない生活を送っていました。

10年ほどそんな日々を送った後、私は昭和西川の一社員になりました。長く勤めてくれていた社員が辞めてしまい、その穴を埋める必要が出てきたのです。
数年後、企画部門に異動になり、会社のメインブランドのリブランディング(ブランド再構築)を担当することになりました。私は、編集者としての経験がその仕事に活かせるはずだと踏んでいました。ところが、広告宣伝費をかけすぎて、創業以来最悪の収支をはじき出すという大失敗をやらかしてしまったのです。
会長である父は大激怒。私は企画部門から、まったく門外漢の管理部門に異動になりました。管理部門が非常に重要な業務を担っていることは理解していましたが、私には経験のな
い不得手な分野です。活躍などしようもなく、「干された」も同然でした。父は、自分の娘だからと手心を加えてくれるような甘い経営者ではありませんでした。
もともと、創業家の娘がいきなり入ってきて、一般社員からすると扱いにくい部分があったはずです。そこにもってきてこの人事で、私は完全に浮いた存在になりました。誰も話しかけてこず、毎日一人で大量の出入金伝票のチェックを行うだけの日々。しかも、その仕事たるや「初心者マーク」もいいところのふがいないものです。
誰からも必要とされない透明の存在にでもなったかのような無用感と孤独感に苛まれ、私
は、それまで好きだったお酒、甘いお菓子やコーヒーを毎日大量に摂取するようになりまし
た。それは3年間にも及び、体を壊し手術もしました。

そしていつもどこかに不調を抱え、精神的にも追い詰められていた私が、唯一、夢中になって取り組めたのが睡眠に関する実践的研究でした。寝具メーカーの社員として必要とされるレベルの知識は当時から持っていましたので、それを片っ端から検証していったのです。
たとえば、医学者や科学者が論文に寄せているような内容や出版されている本の内容について、それまでは「専門家が研究した結果なのだから正しいのだろう」という捉え方をしていたのですが、私はこれを機に自らの体で試していきました。そこには、自分の不調を治したいという思いもありました。と同時に、私は、なんとか元気になって仕事でリベンジしたいと考えていたのです。
出合った全ての「快眠法」を試し、さらには「快眠できない」とされていることにもあえて挑戦してみました。
すると、効果があることとないことがわかり、まさに玉石混交の「玉」を拾えるようになりました。そして、石を捨てて玉をくり返しているうちに、私の体調はすっかり上向き、精神的にも驚くほど強くなっていったのです。
それだけでなく、小さなことにはこだわらなくなり、あれほど中毒状態にあったお酒、お
菓子、コーヒーともすっぱり縁が切れました。
このことは、私に睡眠のプロとしての自信を与えてくれ、本当に効果の高かったことだけをお客様に発信したいと思うようになりました。
また、まるで生まれ変わったかのような私のパフォーマンスは、誰の目から見ても劇的に向上したらしく、再び会社の主力商品のリブランディングも含めた大きな仕事を任されるようになりました。そして今は、代表取締役副社長という責任ある立場にいます。

私は医学者でも科学者でもありませんが、睡眠で「元気になりたい」「不調を治したい」という睡眠の求道者としては日本一だと自負しています。それだけ、トライもエラーもしてきたからです。自分で自分の不調を治した専門家として、睡眠に悩む人たちの気持ちや状況をよりリアルに想像し、最適な解決策としての「玉」だけを提案できるのは、あの苦しい3年間があったからだと確信しています。

本書で私は、ふだんは「睡眠講師」として招かれたセミナーなどで伝えているノウハウの全てを公開します。
柱は大きく二つあります。
一つは、これまであまりにも不足してきた睡眠時間を取り返すこと。いわゆる睡眠負債を返済していくことです。これがまず喫緊の課題です。
もう一つは、睡眠の質を上げること。「うまく眠れない」状態を脱し、自分の睡眠を自分でハンドリングできるようになってもらうことです。そのためには、体内時計を整え、セロトニン(睡眠ホルモンであるメラトニンのもと)という脳内物質の分泌を増やす必要があります。
そのために、私が試した中で一番簡単、かつ効果的な方法をお伝えしますが、それを習慣にしていけるかどうかはあなた次第。もし、あなたが日々の疲労感や不調を根本から解決し、これまでで一番のパフォーマンスを実現したいと本気で望んでいるなら大丈夫です。次に進んでください。
毎日の積み重ねは絶対に裏切りません。
本書で「何をやればいいか」がわかったら、あとはポイントカードにスタンプを押していくように、快眠のための生活習慣を溜めていくのみです。
どうか、面白がって続けてください。必ず、あなたは「快眠体質」に変われます。
そして気が付いたら、驚くほど体調がよくなり、「パフォーマンスの高いあなた」に変貌していることでしょう。

西川ユカコ (著), 坂木浩子(ぽるか) (イラスト)
出版社 : SBクリエイティブ (2020/4/4)、出典:出版社HP

もくじ

はじめに

第1章 眠れない人が知っておきたい「睡眠の原理・原則」

1 どこでも眠れる人こそ、実は危険! 「睡眠負債」の怖い現実
2 慢性的な睡眠不足で脳が「ほろ酔い」状態になる
3 睡眠不足はあなたを太らせる
4 短時間睡眠で肌はくすみ、姿勢も悪くなる
5 「週末に寝溜め」が、時差ボケを引き起こす
6 睡眠の質を上げる第一歩は「体内時計を整えること」
7 「最後は「よく寝る」人が勝利する
8 35歳を過ぎると、睡眠の質が低下する
9 「疲れ知らずの体」と「セロトニン」との深い関わり

COLUMN1 睡眠はビジネスを成功に近付けるセーフティネット

第2章 俗説にダマされるな! 「睡眠の新常識」

1 「ミュンヘンクロノタイプ」で、最適な睡眠時間がわかる
2 ショートスリーパーは、たったの0・5%しかいない
3 「眠り始めの3時間」はゴールデンタイム
4 「睡眠」こそ、ストレスをなくす最強の方法
5 「寝付くために酒を飲む」と睡眠の質が下がる
6 「夜の頻尿」は、体内時計が狂っている証拠?
7 働きながら睡眠負債を返済する「三つの解決策」
8 「逆算法」で、睡眠時間を確保する
COLUMN2 睡眠を考えることは、人生を考えること

第3章 「朝の過ごし方」で午前中のパフォーマンスが劇的にアップする

1 夜の睡眠の質は「その日の朝」に決まっている
2 「日光不足」が睡眠をダメにしている
3 「目覚めたら窓辺に直行」が毎朝のルーティン
4 「朝食」が、一日のパフォーマンスを左右する
5 忙しい朝でも、簡単につくれて栄養が摂れる「時短メニュー」
6 朝ご飯は「日光浴できる場所」で摂るのがベスト
7 「通勤時間」は、セロトニンを分泌させる絶好のチャンス
8 「5分ガムをかむ」だけでも、セロトニン効果が得られる
9 「呼吸」を変えれば、自力でセロトニンをつくり出せる
COLUMN3 セロトニンが出ている合図の見分け方

第4章 夕方まで高いパフォーマンスを持続させる「日中の過ごし方」

1 ランチも仕事の一環。「3パターン」を戦略的に摂るべし
2 パフォーマンスを上げるなら、「15〜20分の昼寝」を
3 工夫すれば「歩くだけ」でも、セロトニンはつくられる
4 “プチ瞑想”で、不安や緊張を和らげる
5 カフェインを飲むなら「14時」がタイムリミット
6 お菓子を食べたくなったときこそ「ホエイプロテイン」
7 「ホエイプロテイン」で、気軽にタンパク質補給
8 免疫力を上げる「ビタミンD」は、日光浴とサプリで補充
9 「1時間に1回の小休憩」が疲れを遠ざける
10 「自然音」を流すだけで、疲労対策になる
COLUMN4 「デジタルデトックス」で、質のいい睡眠を手に入れる

第5章 疲れを翌日に持ち越さない「夜時間」の過ごし方
1 夜は照明を暗くしないと、日中の努力がムダになる
2 夕食を「就寝の2時間前までに終える」には?
3 「飲み会で睡眠時間を減らす」のはナンセンス
4 「38℃のお湯に15分浸かる」と、眠気が起こりやすくなる
5 「すごく疲れた日」は、ためらわずに30分早く寝る
6 「夜の団らん」で、その日を幸せな気分で終える
7 寝る前に「ワニのポーズ」で全身をほぐす
8 ベッドに入っても眠れないときの「とっておきの方法」
COLUMN5 寝る前の「ブルーライト」は、快眠を奪う天敵

第6章 翌日のパフォーマンスに直結! 「快眠」のための環境づくり

1 快眠を呼ぶ「温度・湿度の設定ポイント」
2 リラックス効果のある「香り」も快眠の味方
3 「深く眠れるパジャマ」の黄金ルールとは?
4 睡眠の質を左右する「マットレス」選び三つのポイント
5 枕選びは「素材」 「高さ」 「幅」がポイント
6 快眠に欠かせない「羽毛布団」の選び方とメンテナンス
7 羽毛布団は「季節ごとに使い分ける」のが正解
8 湯たんぽや電気毛布は「寝る前」まで
COLUMN6 パートナーとは「別寝」がベスト

おわりに
参考文献

付錄

西川ユカコ (著), 坂木浩子(ぽるか) (イラスト)
出版社 : SBクリエイティブ (2020/4/4)、出典:出版社HP