誰でも簡単に疲れない体が手に入る 濃縮睡眠®メソッド

【最新 睡眠について学ぶためのおすすめ本 – 良質な睡眠で人生を豊かに】も確認する

いかに速く熟睡できるか

学者さんが書いた睡眠本とは一線を画す、実践的なアドバイスの数々。何も買い足す必要もなく、家にあるものだけで、今日から実践できるものばかりです。難しい言葉がなくて、とても読みやすい本ですのでサクサク読めてあっという間に読了できます。

松本美栄 (著)
出版社 : かんき出版 (2019/9/19)、出典:出版社HP

はじめに

「仕事が忙しくて、十分な睡眠時間がとれない」
「寝つきが悪い。眠りも浅い気がする」
「寝不足で、いつも頭がぼんやりしている。最近は集中力も落ちたと感じる」
「寝ても疲れがとれない。いつも体が重い」
「休日は、平日の寝不足を取り戻すように昼過ぎまで寝てしまう」

この本を手にとったあなたは、きっと眠りについての悩みを抱えていらっしゃるのだと思います。
現代社会では、睡眠について悩んでいる人がたくさんいます。
というより、「理想的な睡眠をとれていない」という意味では、現代人のほとんどが悩んでいると言ったほうがいいのかもしれません。
数年前には、「睡眠負債」という言葉が新語・流行語大賞でトップテン入りしました。睡眠不足が蓄積すると、心身に深刻なダメージを与えるというのです。
こうした言葉が一般的になったことも、眠りに悩む人がいかに多いかを物語っているようです。

「忙しい毎日、かぎられた時間のなかで、よりよく眠りたい」

これは、現代人にとって切実な願いです。
もちろん、眠れさえすれば、それでいいというわけではないでしょう。
よく眠ることによって、体調を改善したい。元気になりたい。活力にあふれた生活を送りたい。
もっと楽しく、笑顔で仕事をしたい。仕事の生産性を上げたい。エネルギッシュなビジネスパーソンになりたい……。
私たちがよりよい眠りを求めるのは、よりよい人生を生きたいからこそ。
そんな願いを持って、本書を手にとられた方も多いはずです。
この本は、そんなあなたの望みを実現するための、「濃縮睡眠」メソッドを提案するものです。

午前2時就寝、午前5時起床の「濃縮睡眠」生活

私は現在、東京・南青山で、「プロスパービューティー」という睡眠改善と姿勢美矯正のサロンを開いています。
もともとは骨盤などを整えてボディラインを美しくする骨格矯正がメインでしたが、近年ではビジネスパーソンを中心とするお客様の睡眠改善のお手伝いで、メディアに取り上げていただくことが増え、これまで延べ5000人の睡眠改善にかかわってきました。
そんな私自身が、どんな「睡眠生活」を送っているかというと……、

就寝するのは、だいたい午前2時ごろ。
起きるのは、4時半〜5時半の間。

つまり、3時間前後の睡眠時間です。
休日に寝だめしているわけではありません。毎日3時間睡眠の生活を、かれこれ4年ほど続けています。
3時間しか眠らなくても、朝はぱっちりと目覚めます。
日中も眠くなることはなく、接客や施術にフル回転。それだけでなく、企業の睡眠改善セミナーや講演会で講師をさせていただいたり、今回のように本を執筆させていただいたりと、新しい仕事にもどんどんチャレンジしています。
こんなふうに、忙しく働いてはいるのですが、朝と夜には十分な自由時間があるので、仕事の後に映画を2本観たりすることもよくあります。

3時間睡眠で、毎日元気に生活していると言うと、驚かれるかもしれません。
にわかには信じられないという方もいるでしょう。もしかすると、「もともと体質的にショートスリーパーなのでは?」と思われるかもしれません。
ところが、そうではないのです。
こんなライフスタイルが可能なのは、私が、本書でお伝えする「濃縮睡眠」メソッドで短時間に深く眠っているからこそなのです。

眠りを変えることは、人生を変えること

かつての私の睡眠は、今とはまったく違うものでした。
ショートスリーパーなんてとんでもない。できれば8時間、許されるなら10時間でも寝ていたいタイプで、朝起きるのはとにかく苦手でした。
とはいえ、美容関係の仕事をしていましたから、労働時間はどうしても長くなりがち。とくに、独立してサロンを開いてからは自分で何もかもやらなければいけませんでしたから、8時間もの睡眠時間なんて、どうやっても確保できません。
毎朝眠くて眠くて、起き出すだけでもひと苦労でした。しかも、二度寝の常習犯でもあったので、起きるのがギリギリになって、バタバタと身支度をして出勤。毎朝遅刻寸前状態でした。日中もどこかぼんやりしていて、集中力が続かない。
休みの日になると、平日の睡眠不足を穴埋めするように、12時間以上眠ることもありました。14時間眠っていたことだってあります。
それで疲れがとれればいいのですが、かえって体はだるいし、頭も重い。「あーあ、また貴重な休みを無駄にしちゃった」と後悔ばかりが残る……。
そんな生活でしたが、美容と健康にかかわる仕事をしていますから、疲れた顔でお客様に接するわけにはいきません。眠い目をこすりながら、なんとか気力を振り絞って仕事に取り組むという日々でした。
こういう話をすると、読者のみなさんにも「あるある」と頷いてもらえると思います。そう、かつての私はよくある睡眠の悩みでいっぱい。しかも、そんな生活を続けているうちに、とうとう体調を崩してしまいました。
これはなんとかしなくてはいけない。
本気で睡眠を改善したい。そう思って周囲を見てみると、忙しい毎日、短い睡眠時間でもエネルギッシュに働いている人はいます。
眠り方を変えることで、自分も変われるはず。そんな思いで脳科学や生理学、解剖学、行動学などの勉強をはじめ、生活を改善するなかで生まれたのが「濃縮睡眠」メソッドです。
こうして、睡眠を根本から改善した結果、現在の私は3時間睡眠で元気に仕事をすることができています。もともとは自分のために考え、実践していた「よりよく眠る」ための方法を使って、現在の私は睡眠改善のお手伝いをさせていただいています。さらにこうして、本書でみなさんに「濃縮睡眠」のメソッドをお伝えすることにもなったわけです。

といっても、この本では、いきなり「今夜から睡眠時間を3時間にしましょう」といったことを提案するわけではありません。
「とにかく睡眠時間を短くすること」が目的ではないのです。
この本では、かぎられた時間のなかで睡眠の質を高めるための、現実的なメソッドを提案していきたいと思います。
もちろん、睡眠の質が高まった結果、睡眠時間は短くなるでしょう。私のように3時間睡眠になる人もいるでしょうし、4時間半~5時間睡眠になる人もいるでしょう。
いずれにしても、睡眠の質が上がれば、集中力が上がり、仕事のパフォーマンスは劇的に向上します。仕事がはやくなれば、自由に使える時間も増えるはずです。
活力がみなぎり、プライベートも充実します。新しい趣味をはじめたり、新しい仕事にチャレンジしたりすることもできるかもしれません。
実際、「濃縮睡眠」を学び、実践したクライアントのみなさんは、高い確率で新しいことをはじめています。
「前から興味のあったゴルフをはじめました」「本をたくさん読むようになりました」「朝の時間を使って執筆し、本を出しました」といった声をよく聞きますし、まったく異業種に転職したり、なかには、海外に飛び出し新しい仕事をはじめた人もいます。
睡眠の質を高めることは、体調やメンタルの改善、仕事のパフォーマンスアップにつながります。ひいては、人生を変えるくらいの大きな意味があるのです。

「濃縮睡眠」で眠りの質はこれだけ変わる

ここで、そもそも「濃縮睡眠」とはなんなのか、そのコンセプトを簡単に紹介しておきましょう。
まず、定義から言うと、

「濃縮睡眠」とは、入眠から30分以内に、最も深いレベルの”ノンレム睡眠状態”に入って、
一定時間深い眠りの状態を維持できる睡眠である。

専門用語も入って、少しわかりにくいかもしれません。
わかりやすく言うと、次のようになります。

ベッドに入ってすぐに深い睡眠に入れて、その深い睡眠が持続する。
その結果、より短い時間で深い睡眠がしっかりとれるメソッド。

一般的に、人が深い眠りに到達するまでには約90分かかると言われています。
「濃縮睡眠」では、その3倍の速さ、つまり30分以内に深い眠りにつくことができるようになります。
短時間で深く眠る結果、長くダラダラと眠るよりもむしろ体がラクになり、頭の働きもよくなり、パフォーマンスがアップする。だから元気で充実した生活ができるようになる。これを目指すのが「濃縮睡眠」です。
ここでポイントとなるのが、”深い睡眠”です。
「眠り足りないな」と感じている人というのは、そもそも深い睡眠を十分にとれていません。
詳しくは本編で説明しますが、現代人の生活は深い眠りを妨げる原因でいっぱいです。浅い眠りでは、どれだけ長く眠っても疲れはとれないままです。
また、深い睡眠をとれている人でも、眠りが深くなるのに時間がかかってしまえば、全体としての睡眠時間は長くなってしまいます。
いい睡眠をとるために必要なのは、時間ではなく、「質」なのです。
最近では、睡眠の深さはスマホのアプリなどで簡単に計測することができます。
ここで挙げているのは、睡眠の深さを「スリープサイクル」というアプリで計測したグラフです。
まず、次の図は、私のクライアントであるAさんが、睡眠改善に取り組む前のグラフです。
ひと目でわかるように、就寝してから起きるまで、全体的に睡眠が浅いままで推移しています。「ほとんど眠れていない」と言っても過言ではありません。

次に、次ページの図。これは、私自身の睡眠グラフです。Aさんのグラフとの違いは、一目瞭然だと思います。

就寝直後、いっきに最も深い睡眠にたどり着いています。しかも、深い睡眠が持続して、ちょうど台形を逆さにしたようなグラフになっています。
ちなみに、入眠してから30分以内に最も深いレベルの眠りまで達し、それを持続することができれば、それは質の高い睡眠だと言うことができます。
私の場合は、入眠から8~10分ほどで最も深い眠りに入ることができます。それを表しているのが、グラフの最初に現れている急降下です。
この2つのグラフを見た人は、たいてい「えっ、こんなに違うの!」と驚かれます。
繰り返しますが、以前は私も、いい睡眠がとれず、悩んでいました。Aさんと同じように、なかなか深い睡眠に入ることができなかったからこそ、長く寝てしまうし、また長く寝ても疲れがとれなかったのです。
それが今では、あっという間に深く眠ることができるようになりました。
そして、Aさんの睡眠も、「濃縮睡眠」を学び、実践することで大きく変わりました。次の図は、睡眠改善後のAさんの睡眠グラフです。

このように、「濃縮睡眠」は、誰にでも実践できるメソッドなのです。
しかも、そのために難しいこと、特別なことをする必要はありません。
具体的な方法はこの本のなかで詳しく紹介していきますが、たとえば、ちょっとしたマッサージやストレッチ、タオル1枚でできる快適な枕づくりといった、簡単で現実的な生活改善を積み重ねることで、理想的な睡眠は実現できます。
ですから、本書を読みながら、「あ、これならできそう」ということがあったら、さっそく試してみてください。できそうなことを無理なく実践しながら読み進めていただけたら、と思っています。

「もっと気分よく、元気に毎日を過ごしたい」
「新しいことに挑戦したい」
「忙しいけれど、もっと自由な時間がほしい」

睡眠の質を高めることは、そんな願いを叶え、人生をもっと充実させる第一歩になります。
人生を変える「濃縮睡眠」メソッドを、この本で気軽に、楽しく学んで実践していただければ幸いです。

2019年9月 睡眠セラピスト 松本美栄

「濃縮睡眠」メソッドとは?

「濃縮睡眠」とは?
入眠から30分以内に、最も深いレベルの”ノンレム睡眠状態”に入って、一定時間深い眠りを維持できる睡眠。

「濃縮睡眠」メソッドの3要素
「濃縮睡眠」メソッドは、次の3つを行うことによって、よりはやく深い睡眠に入り、それを持続できるようにするメソッドです。

1 脳疲労を取り除く
脳疲労とは、文字通り、脳の疲れのこと。脳が疲れると、自律神経の機能が低下し、深く眠ることができません。
脳疲労の大きな原因は、「眼精疲労」と「過度なストレス」です。これらを取り除くことが「濃縮睡眠」の大きなポイントになります。

本書では、眼精疲労を解消するマッサージや、ストレスを解消するノウハウを使って脳疲労を取り除きます。

2 血液の循環をよくする
筋肉が緩むと血の巡りがよくなり、副交感神経が優位になります。適度に緩んで、ほぐれた体は、はやく、深く眠れる体でもあります。血液の循環は「眠れる体」をつくるために大事な役割があるのです。

本書では、血流を改善する簡単なストレッチなどを紹介します。

3 睡眠環境を整える
睡眠の質と、環境(寝室の状態には、大きな関連があります。
たとえば、ベッドの下などにホコリが溜まっていると呼吸が浅くなり深く眠れません。また、寝具や寝室の温度、香りなど、ちょっとしたことを見直すだけで、睡眠の質はグッと上がります。

本書では、快適な睡眠環境をつくるための、さまざまな方法を紹介します。

松本美栄 (著)
出版社 : かんき出版 (2019/9/19)、出典:出版社HP

もくじ

はじめに

第1章 睡眠に対する意識を改革しよう

「いつ寝ているの?」と言われる成功者たち
「8時間睡眠」はどこまで正しいのか?
「ゴールデンタイム」「シンデレラタイム」の誤解
「睡眠負債」という言葉がストレスを増やしている
「濃縮睡眠」メソッドは、短時間睡眠が目的ではない

第2章 「短時間で完全に疲れをとる”熟睡脳”のつくり方

疲れがとれないのは、体ではなく脳が疲れているから
脳疲労が溜まると頭が大きく重くなる
脳のコリが劇的にほぐれる頭蓋マッサージ
眼精疲労は脳の疲れ
目を温めて血流を改善する
眼精疲労に効くツボマッサージ
“不安を書き出す”。これだけで熟睡できるようになる
不安をアウトプットしたら、願望もアウトプットする
仕事の合間に1分でできる!脳疲労をとる瞑想法
「感謝」には脳波を整える効果がある
口角を上げて脳疲労を改善する
眠りの質を高める”528ヘルツの音”とは?

第3章 「30分以内に深い眠りにつく眠れる体のつくり方

血流を改善するだけで”眠れる体”は簡単につくれる
猫背は眠りを浅くする
まずは椅子に座ったままでできる肩回しから
タオル1枚でできる肩甲骨まわりのストレッチ
バスタオルでつくる柔らかいストレッチポール
姿勢が変わればメンタルも変わる
わずか6回のスクワットで血流は改善できる

第4章 眠りの効率を最大化する睡眠環境の整え方

寝室は”眠るための場所”と再認識する
ベッドをソファ代わりにする人はなかなか眠れない
寝室を雑巾がけするだけで眠りは驚くほど深くなる
“すのこベッド”こそ、最高のベッドである

「寝具の値段」と「睡眠の質」が比例しない理由
睡眠効率を最大化する温度と湿度
体に負担をかけない最高の枕は自分でつくれる
寝室にふさわしい香りとは?

第5章 睡眠の”質”を劇的に上げる11の習慣

睡眠を変えるのは”ちょっとした習慣”の積み重ね
習慣1 休みの日も同じ時刻に起きる
習慣2 体内時計を整える朝の行動
習慣3 起きたらコップ1杯の水を飲む
習慣4 たった15分のパワーナップ(昼仮眠)が午後のパフォーマンスを格段に上げる
習慣5 深い眠りにつながる通勤時のちょっとした運動
習慣6 栄養に気を配り、抗酸化の食事を選ぶ
習慣7 お酒を飲むときは同量のチェイサーを
習慣8 夕食時に糖質を摂りすぎない
習慣9 入浴は布団に入る90分前に
習慣10 腸のコンディションを整える
習慣11 深夜のパソコン、スマホ作業を読書に変える

巻末付録 「濃縮睡眠」を実践・継続するために

「濃縮睡眠」は1日にして成らず
リバウンド防止のために睡眠の深さを計測し続ける
朝に予定を入れる
“二度寝の罠”を逃れる手段を複数用意する
朝のルーチンを決める
「毎日早起きに成功しなくても大丈夫」と考える

おわりに

装幀・本文デザイン 小口翔平+岩永香穂(tobufune)
図版作成 株式会社RUHIA
イラスト 田渕正敏
編集協力 川端隆人

松本美栄 (著)
出版社 : かんき出版 (2019/9/19)、出典:出版社HP