よくわかる産業・組織心理学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

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問題解決のための知見が得られる

産業・組織心理学とは、人々が仕事に取り組む際に直面するさまざまな問題の解決を目指しています。本書では、産業・組織心理学の研究によって明らかにされてきたことを、わかりやすく整理して学習できます。仕事をするときに直面する問題の解決に、本書の内容を活かすことができるでしょう。

山口 裕幸 (編集), 金井 篤子 (編集)
出版社 : ミネルヴァ書房 (2007/5/1)、出典:出版社HP

はじめに

■よくわかる産業・組織心理学
就職して社会人としての生活を始めると,学生時代を懐かしみ、自由で幸せだったなあと振り返る人が多いようです。現在進行形で学生時代を過ごしているときには,なんとか自分の進む道を明確に定めたいという思いの方が先立って、就職してから先のことは、なかなか思いの及ばないことかもしれません。仕事に就けば、その道の専門家として、色々な知識や技能,経験を身につけながら、社会人として自立していきます。その成長には試練がつきものです。ひとつの仕事をやりとげること自体、大変な試練といえるでしょう。その試練が,自由を謳歌できた学生時代を、ときに懐かしく思わせるのかもしれません。
試練を一つひとつ乗り越えながら、誰もが成長していくのですが,そもそも仕事とは、人間にとってどんな課題を与えるものでしょうか。その課題を整理して、理解し、どのように対処していけばよいのかを前もって考えておくことは、待ち構える試練を克服するのに大いに役立つはずです。
産業・組織心理学(Industrial/Organizational Psychology)は、人々が仕事に取り組む際に直面するさまざまな問題の解決を目指しています。組織経営やマーケティングでは、人間の心理についてよく理解しておくことが大事であるのはいうまでもありません。ところが、もともと人間の心の働きは複雑ですし,心理学の研究は多種多様にあるうえに、純粋に心のメカニズムを探究する側面が強くて、その研究成果を働く現場で直面する問題と関連づけるのにひと苦労します。
この著書では、産業・組織心理学の研究によって検討され、明らかにされてきたことがらを,わかりやすく整理して,学習できるように構成しました。そして、仕事をするときに我々が直面する問題の解決に,産業・組織心理学が培ってきた知見が生かせるように,橋渡しをしたいと願っています。その願いが叶う著書となり得たか、皆様のご批判をお願い申し上げます。
本書の企画・構成・出版に際して、ミネルヴァ書房の吉岡昌俊氏にひとかたならぬご尽力を賜りました。吉岡さんの粘り強いご支援がなければ、本書は世に出ることができませんでした。厚くお礼申し上げます。
2007年2月
山口裕幸・金井篤子

山口 裕幸 (編集), 金井 篤子 (編集)
出版社 : ミネルヴァ書房 (2007/5/1)、出典:出版社HP

もくじ

■よくわかる産業・組織心理学

はじめに

Ⅰ 産業・組織心理学の歴史とテーマ
1 産業・組織心理学の意義とテーマ
2 組織とは何か
3 組織観の歴史的変遷
コラム1 科学的管理法
コラム2 ホーソン研究
コラム3 オープン・システム・アプローチ
4 組織と個人の関係
5 組織行動
6 人的資源管理論
7 働く人々の安全と健康
8 消費者行動とマーケティング

Ⅱ ワーク・モティベーション
1 内容理論と過程理論:動機と動機づけの違い
2 動機の種類
3 内発的動機づけ
4 達成動機づけ
5 期待理論
6 目標設定理論
7 公正理論
8 職務満足感
9 コミットメント

Ⅲ 採用と面接
1 採用選考
2 適性の考え方
3 採用選抜の理論
4 採用選考の設計
5 適性テスト
6 適性テストの信頼性と妥当性
7 採用面接
8 面接の信頼性と妥当性
9 面接の効用と課題

Ⅳ 人事評価
1 人的資源管理
2 人事評価
3 絶対評価・相対評価
4 昇進・昇格
5 報酬制度
6 360度多面評価
7 アセスメント・センター
8 コンピテンシー

Ⅴ キャリア発達
1 キャリアとは
2 キャリア発達理論
3 ホランドの六角形モデル
4 シャインの組織内キャリア発達段階
コラム4 ライフ・キャリアの虹
コラム5 キャリア・アンカー
5 クランボルツの計画された偶発性
6 ブリッジズのトランジッション論
7 人材育成
8 メンター・プロステージ関係と垂直的交換関係
9 キャリア・ストレス
10 キャリア・カウンセリング

Ⅵ 職場のコミュニケーションと人間関係
1 職場集団の特性
2 職場集団の発達論
3 職場の規範と社会化
コラム6 職場規範の測定法
4 職場のチームワーク
5 職場のコミュニケーション
6 職場のナレッジ・マネジメント
7 会議による意思決定過程の特性
8 職場の人間関係の特徴
9 職場で起こる対人葛藤:その原因と影響
10 対人葛藤への対処

Ⅶ リーダーシップ
1 リーダーシップの概念と研究の歴史的変遷
2 特性アプローチ
3 行動アプローチ
コラム7 二要因論:PM理論とマネジリアル・グリッド理論
4 コンティンジェンシー・アプローチ
5 認知論的アプローチ
6 組織変革とリーダーシップ
コラム8 交流理論

Ⅷ 消費者行動とマーケティング
1 消費者の購買意思決定モデル
2 消費者のブランド選択
3 心理的財布理論
4 近視眼的な価値判断:現在志向バイアス
5 購買様式の類型
6 くちコミの影響
7 購買後の商品評価
8 悪質商法:振り込め詐欺を考える

Ⅸ 仕事の能率と安全
1 作業負担と作業負荷
2 ヒューマン・エラー
3 ルール違反と意図的な不安全行動
4 事故発生モデル
5 事故防止のためのさまざまな取り組み
6 組織事故と安全文化
7 ヒューマン・ファクターズ
8 ユーザー・インターフェース

Ⅹ 職場のストレスとメンタルヘルス
1 職場のストレス
2 セリエのストレス学説
3 ラザルスのシステム理論
4 ホルムズとラーエのライフ・イベント型ストレス
5 クーパーとマーシャルの職務ストレス・モデル
6 タイプA行動パターン
7 ワーク・ファミリー・コンフリクト
8 過労死
9 ストレスへの対処
10 職場のソーシャル・サポート
コラム9 EAP(従業員支援プログラム)

さくいん

山口 裕幸 (編集), 金井 篤子 (編集)
出版社 : ミネルヴァ書房 (2007/5/1)、出典:出版社HP