未来IT図解 これからのDX デジタルトランスフォーメーション

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アフターコロナを勝ち抜くDX戦略がわかる

教科書風に1ページずつ整理して書かれていて、全体感をおおまかに把握するにはもってこいです。DXと言われることの範囲や実例、企業が取り組む上での進め方のポイントや課題感といったことがざっくりと理解できます。DXの書籍一冊目としてお勧めします。

内⼭ 悟志 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/6/16) 、出典:出版社HP

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はじめに

デジタル時代の到来と、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた企業の対応の重要性は以前から指摘されていましたが、「我々の業界はデジタルには縁遠い」「これまでも成功してきたので、まだ大丈夫」という姿勢の企業も少なくありませんでした。2018年8月に経済産業省が「DXレポート〜ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」を発表したことで、多くの企業の経営者が危機感を強め、取組みが本格化したといえます。
しかし、DXへの取組みにおいて、日本は他の国・地域から水をあけられているといわざるを得ません。米国ではITやインターネットの活用を前提として起業したデジタルネイティブ企業が、これまでと異なるビジネスモデルで新しい競争原理をつくりだしています。また、デジタル化と経済成長が同時進行している中国やアジア諸国などは、デジタルを前提として社会システムが成り立っているといっても過言ではありません。しかし、日本の企業は昭和の高度成長期の常識や資産を捨て去ったり、大きく転換したりすることなく平成の30年間を過ごしてしまったために、大きな荷物を背負ったままで、俊敏性が求められるデジタルの世界で戦っていかなければなりません。
現在では、多くの企業がDXに取り組んでいますが、順風満帆に進んでいるとはいい難い状況です。デジタルの波は止まることなく、今後もますます強く押し寄せてくることは確実です。今後は業種、企業規模の大小、企業内の職種、役職を問わず、すべての人がDXを自分事として向き合わなければなりません。
筆者は、アナリストとして国内外の取組みを調査分析し、コンサルティングの現場では、数々の失敗や停滞に直面しながらDXの推進を支援してきました。本書によって、すべてのビジネスパーソンがDXの本質を理解し、変革に向けて着実に歩を進めるための水先案内ができれば幸いです。

内山悟志

INTRODUCTION

社長、DX戦略をそろそろ始めませんか?
これはとある企業の議事録。
新型コロナウイルスの影響もあり、社長直轄の管理部門以外はテレワークを実施している中、意を決した管理部長と部下が社長室へ直談判にやってきました。

管理部長:社長、今回のことで在宅勤務の体制をとりましたが、わが社もそろそろDXを本格的に推し進めたいと考えます。日ごろから社長は「時代の半歩先をいく、新しいことをやりなさい」とおっしゃっています。つきましては、まず私たちがDX戦略を策定してもよろしいでしょうか?
社長:も、もちろんだ!わが社でもDXに関して何かやらなければならない……ところで、そのDXとは何だ?横文字ではよくわからんのだ。
部下社員:……お答えします。つまり「データとデジタル技術を活用して、商品やサービス、ビジネスモデルや企業そのものまでを変革すること」です。
社長:それは「IT化」とどう違うんだ?電子決済は導入したし、ハンコもデジタル化したじゃないか。
管理部長:はい。それだけでなく、わが社の「業界における競争上の優位性」を確立し、それを維持していく必要があると考えます。
社長:……言いたいことは、なんとなくわかる。それで、何をするんだ?
管理部長:はい。取り組むべきことは下の2つです。具体案はわれわれがまとめます。では……

社長:お、待て待て。それで、私は何をすればいい?
部下社員:僭越ながら、社長にはまずDXをご理解いただきたく思います。
社長:……言うなあ、キミ。では、私も勉強しよう。あとは任せるぞ。
部下社員:ありがとうございます。では、本書をお読みください。次回からはテレビ会議で報告します。
社長:わかった、わかった。

DXで会社を変え、思考を変え社会の変化に対応しよう!

DX推進部門をつくる!
DXを推進する部門の設置の仕方を考えましょう。今あるIT部門にDX推進チームをつくって事業部門との連携を深める、事業部門にDX推進チームをつくってIT部門との連携をはかるなど、さまざまなやり方があります。

社内規定や制度を整備する!
DXをよりスムーズに推進していくためには、部門を設置するだけではいけません。「新制度の設置」「既存制度の緩和」の2つの柱で継続的に見直し、柔軟に運営しましょう。

「人間がやるのが当たり前」を見直す!
たとえば「人材の配置」は経験や直感にもとづいて人間が決めるより、AIに判断させられないでしょうか?属人的な業務は見直しが必要です。

DXの推進にあたり、
あなたの会社に、あなた自身には何が必要でしょうか?
そして、新しい社会に向けて必要な準備とは何でしょうか?

既存事業を破壊する事業も創出する!
業界上位企業の根幹をなす事業ですら、優位性は保証されません。場合によっては、自社の既存事業を破壊するような新規事業を創出しなければなりません。

すべてがデータでつながる時代を生き抜く!
今や、あらゆる情報がデジタルデータとなって分析や予測に活用され、現実社会にフィードバックされています。モノやサービスを通して、生活者や社会・地球にどう還元するかが問われています。

デジタルを前提とした社会をイメージする!
物理から仮想へ、所有から共有へ、消費から循環・再生へとシフトし、生産者と消費者の区分も不明瞭に。デジタルを前提とした社会システムや経済活動への対応が求められます。

内⼭ 悟志 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/6/16) 、出典:出版社HP

目次

CONTENTS
社長、DX戦略をそろそろ始めませんか!?

PART1そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
01 今、デジタル化する社会で何が起きているのか?
02 DXの定義とは? 経済産業省のDX推進ガイドライン
03 DXは2つの要素から成り立っている
04 これまでのIT活用との違いは?
05 なぜ今、DXが注目されているのか?
06 台頭する「ディスラプター」の正体
07 デジタルディスラプターの脅威
08 デジタル化が企業におよぼす「3つの影響」とは?
09 デジタル時代に企業に求められる「3つの能力」
10 これからの企業には「両利きの経営」が不可欠
11 DXによって企業が目指すべき姿とは?
[まとめ]DXとはどういうものか?
[COLUMN]危機管理としてのDX

PART2
DXの実践に向けた取組みとは?
01 どの領域でDXを実践するのか? 最適な対象領域を見定めよう
02 知っておきたいデジタル化の「4つの潮流」
03 ビジネストランスフォーメーション領域
自社の優位性を維持・拡大する
04 カスタマーエンゲージメント領域 ~顧客とのつながりを強化する
05 フューチャーオブワーク領域~組織運営・働き方が大きく変わっていく
06 デジタルエコノミー領域〜デジタル化が生んだ新たな経済を知る
07 「データ」に着目したDXの7つの実践パターンとは?
08 「モノのデータ」に着目する
09 「人のデータ」に着目する
10 画像・音声のデジタル化 ~新たなビジネスが次々に誕生
11 有形物のデジタル化 ~3D技術でモノづくりが変わる
12 デジタルコンテンツ活用基盤〜YouTubeなどのプラットフォームが持つ力
13 経済的価値の交換 ~お金のデジタル化に対応する
14 付加価値データの有償提供 ~データの価値を高めて商品化する
15 「つながり」に着目した7つのDX実践パターンとは?
16 オンデマンド・サービス ~多様化するニーズに素早く応える
17 優位な自社業務のサービス化 ~自社の強みを最大限に生かす
18 APIエコノミー ~低コストでスピーディーに新サービスを実現
19 アグリゲーション・サービス ~情報を集約することで価値を高める.
20 マッチング・エコノミー ~出会う場をデジタルで提供する
21 シェアリング・エコノミー 〜「所有」から「共有」へのシフトが進む
22 キュレーターズ・セレクション~「私」に合うものをプロが選んでお届け
[まとめ]DXを実践するためのポイントとは?
[COLUMN] 「改善」「拡張」を超える
“ゼロ発想”を手に入れる

PART3 DXで求められる企業内変革とは?
01 DXの環境整備に欠かせない5つの企業内変革
02 意識の変革 〜最初の一歩であり、すべての土台
03 社内に意識変革を起こす3つの方法
04 組織の変革 〜DXを全社に広げるベースづくり
05 DX推進のために組織を進化させる
06 制度の変革 〜DX推進を阻む壁をなくす
07 DXを活性化する「インキュベーション制度」とは?
08 権限の変革 〜意思決定のスピードを速める
09 効果的な予算の組み方には2つのポイントがある
10 人材の変革 〜もっとも重要にして困難な課題
11 DX推進に欠かせない3タイプの人材
[まとめ]DXを成功に導く企業内変革の中身とは?
[COLUMN]デジタル人材は研修やセミナーでは育たない

PART4 DXをどのように進めるか?
01 日本の企業に最適なDXの進め方とは?
02 気をつけたいDX推進で陥りやすい「5つの罠」
03 「5つの罠」と「3つの呪縛」を回避する処方箋
04 「リーンスタートアップ」方式を取り入れるとうまくいく
05 DXは2段階方式で推進する
06 「漸進型イノベーション」を可能にする発想法
07 「不連続型イノベーション」を可能にする発想法
08 DXの基本プロセス・
09 DX案件に欠かせない投資判断と遂行管理のポイント
10 [フェーズ別]重要チェックリスト
11 DXプロジェクトの役割分担の決め方
12 DXプロジェクトの特性に合った推進体制の構築法
[まとめ]DXを実践する手順とポイント
[COLUMN]変革につながる学びは実体験から生まれる

PART5 DXで変わるこれからの社会・企業・ビジネスとは?
01 テクノロジーの進展で社会はこう変わっていく
02 デジタルディスラプションの第2波がやってくる
03 すべてがデータでつながる時代へ――経済はこう変わっていく
04 DXのその先の未来——世界はどうなるのか?
05 未来のDX――企業はどうなるのか?
[まとめ]DXは未来をどう変えるか?

用語解説
索引
著者紹介

内⼭ 悟志 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/6/16) 、出典:出版社HP