1冊で分かる! ESG/SDGs入門

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読みやすく書かれたESGの専門書

ESGとSDGsを企業経営において、どのように整合性をもたせ、株主と経営者の合意が得られる企業展開を図るかを解説した書籍です。文章が分かりやすい言葉で書いてあり、ESG/SDGsについてあまり知らない方でも、すんなりと読むことができます。また、図やデータが沢山記載されていて、理解を深めるのに役に立ちます。

大森 充 (著)
出版社 : 中央公論新社 (2019/6/6)、出典:出版社HP

 

はじめに

近年、ESGやSDGsという言葉を、テレビ、新聞、雑誌、ネットなどさまざまなメディアで見かけるようになりました。「またよく分からない横文字が出てきたなあ」「どうせ流行り言葉でしょ」「そもそもなんて読むの?」という思いでひとまずこの本を手に取ってくださった方も多いのではないでしょうか。あるいは、経営陣から「うちの会社はこれからESGやSDGsに取り組むから、しっかりと対応を検討するように」と言われたことをきっかけに、読んでみようと思ってくださった方もいらっしゃるかもしれません。
実はESGやSDGsは一部のビジネス界だけの言葉ではありません。皆さん一人一人の生活にも大きく影響し、全世界的に注目を集めている考え方でもあります。
ESGは「イーエスジー」と発音し、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取った言葉です。2006年、当時の国際連合事務総長コフィアナン氏が、「地球の長生き」のためESGを意識した投資を行うよう投資家に呼びかけたのが、ESGという言葉が生まれたきっかけです。「地球の長生き」とは一体どういうことでしょうか。例えば、世界のCO2排出量がこの先も今と同じペースのまま続くならば、あと30年で世界の平均気温は2°C上昇すると言われています。「2C上昇したら冬が少しは暖かく過ごせていいんじゃないの?」と考える方もいるかもしれません。しかしながら、平均気温が2°C上昇するということは、海水温の上昇、猛暑日や熱帯夜の恒常化、台風の巨大化等の現象ももたらすことになります。近年の世界的な異常気象はこうした地球温暖化の表れかもしれません。今、地球の健康状態の悪化は、以前よりもはるかに深刻さを帯びた問題となっているのです。
また、地球の長生きの問題に加え、世界には人道的・社会的に解決しなければならない社会課題がたくさんあります。そこで国連は2030年までに解決しなければいけない社会課題を「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」と称して具体化することで、世界的な取り組みを促そうとしています。SDGsは「エスディージーズ」と発音します。日本という豊かな国で生活している中では目に触れる機会はあまりないかもしれませんが、「飢餓をゼロに」「安全な水とトイレを世界中に」といった17の目標と169項目のターゲットを提示しています。
こうした背景のもと、企業はこれまでのようにビジネスをしてお金もうけをするだけではなく、投資家、消費者などとともに地球市民の一員として皆で協力しあい、ESGやSDGsへの対応を行っていこうという大きな流れが生まれました。
2017年7月、世界最大の年金基金である日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF: Government Pension Investment Fund)がESGやSDGsにしっかりと取り組む企業への投資を始めたことをきっかけに、日本でも多くの企業がESG/SDGs対応を進めるようになりました。また、日本政府は2016年に本部長を内閣総理大臣としたSDGs推進本部を立ち上げ、地方創生の文脈と合わせて自治体と民間企業がビジネスを通じて日本の社会課題を解決するというモデルを構築しようとしています。
地球に長生きしてもらい、そこに住む我々にとってもよりよい生活環境を維持・向上させるための活動がESG/SDGsの取り組みです。しかしながら、まだまだその概念や考え方が浸透していないのが現状です。本書がESG/SDGsに関心を持った方々の理解を深め、また、それぞれの企業でESG/SDGsの実際の取り組みを進めていく方々のお役に立つことができれば望外の幸せです。
株式会社日本総合研究所 大森充

大森 充 (著)
出版社 : 中央公論新社 (2019/6/6)、出典:出版社HP

 

CONTENTS

はじめに
第1章 背景と言葉を理解しよう
1.ESGとSDGS
2.社会性の議論の流れと登場する言葉の理解(ESGとSDGsとは)
3.日本にESGの大きな潮流が生まれたのは2016年
4.ESG評価会社は企業の何を見ているか
5.日本におけるESGからSDGsの動き
6.じわじわ迫るESG/SDGs対応の波
7.あらゆるステークホルダーから求められるESG/SDGs対応の要請
ColeBrush ESG/SDGSが流行り言葉で終わらない理由

第2章 求められるESG/SDGs対応を理解しよう
1.現状延長では地球崩壊?将来成長・発展に対する切迫感
2.社会課題をESGとSDGsのフレームで理解する
3.社会課題対応(環境編):「気候変動」と「脱プラスチック」
4.社会課題対応(社会編):「ダイバーシティ」と「インクルーシブネス」
5.社会課題対応(ガバナンス編):「非財務目標の設定」と「経営陣のコミット」
6.SDGs視点で見る社会課題
SDGs達成度ランキングで日本は11位から15位へ

第3章 ESG/SDGs対応の好事例を、見て理解を深めよう
1.シーン別の事例整理
2.東京エレクトロン:価値創造ストーリーとしてESG/SDGsを統合
3.SGホールディングス:ESG/SDGsの重要課題視点で語る経営
4.サントリー:2050年を見据えた課題設定
5.ピジョン:非財務目標を規定するESG/SDGs基本方針
6.TBM:石灰石でプラスチック代替素材LIMEXを開発
7.セイコーエプソン:紙の地産地消を実現する
8.PaperLab花王:製品ライフサイクル全体で捉えたCO2排出量を基にした製品開発
9.東京海上ホールディングス:地方創生と健康経営によるSDGsへの貢献
10.フェリシモ:社会課題解決企業への投資を主目的とする投資子会社の設立
11.Apple:サプライチェーン全体で社会貢献
12.高島屋:両立支援に向けた8つの育児勤務制度
13.オムロン:役員の業績連動報酬の一部をESG/SDGsと連動
ESG/SDGs対応はCSR担当だけで対応するものではない

第4章 手順に従ってESG/SDGs経営を実践してみよう
1.ESG/SDGs経営実践の手順
2.現在のESG/SDGs対応レベルを把握する
3.到達地点を設定する
4.価値創造ストーリーを考える
5.重要課題(マテリアリティ)を特定する
6.重要課題に対する打ち手を検討する
7.SDGSで新規事業を考える
8.打ち手の非財務目標を設定する
9.サステナビリティ方針としてとりまとめる
10.非財務目標と財務目標を連動させる
11.統合報告書等で開示する
SDG Compasst
おわりに
付録① SDGs17の目標と169のターゲット
付録② ESG/SDGs関連用語集

1冊で分かる!ESG/SDGs入門

執筆協力 足達英一郎、村上芽、藤井正輝
装幀・図版制作 酒井栄一(ストローク・デザイン)

大森 充 (著)
出版社 : 中央公論新社 (2019/6/6)、出典:出版社HP

 

第1章
背景と言葉を理解しよう
1.ESGとSDGs
2.社会性の議論の流れと登場する言葉の理解(ESGとSDGsとは)
3.日本にESGの大きな潮流が生まれたのは2016年
4.ESG評価会社は企業の何を見ているか
5.日本におけるESGからSDGsの動き
6.じわじわ迫るESG/SDGs対応の波
7.あらゆるステークホルダーから求められるESG/SDGs対応の要請