観光情報学入門

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情報で観光を実学する

観光情報学という新たな領域を具体的な事例を数多く例示しながら解説しています。観光情報に関心のある読者はもとより、観光資源をいかに活用しようかと考えている読者にも最適の書です。

観光情報学会 (編集)
出版社 : 近代科学社 (2015/5/15) 、出典:出版社HP

◆読者の皆さまへ◆

小社の出版物をご愛読くださいまして、まことに有り難うございます。おかげさまで、(株)近代科学社は1959年の創立以来,2009年をもって50周年を迎えることができました。これもひとえに皆さまの温かいご支援の賜物と存じ、衷心より御礼申し上げます.この機に小社では、全出版物に対してUD(ユニバーサルデザイン)を基本コンセプトに掲げ,そのユーザビリティ性の追究を簡底してまいる所存でおります。本書を通じまして何かお気づきの事柄がございましたら、ぜひ以下の「お問合せ先」までご一報くださいますようお願いいたします。
お問合せ先:reader@kindaikagaku.co.jp
なお、本書の制作には、以下が各プロセスに関与いたしました:
・企画:小山透・編集:石井沙知・組版,カバー・表紙デザイン:菊池周二・印刷,製本資材管理:藤原印刷・広報宣伝・営業:山口幸治,富高琢磨
ます。
●本書に記載されている会社名・製品名等は、一般に各社の登録商標または商標です。本文中のC,R,TM等の表示は
・本書の複製権・翻訳権・譲渡権は株式会社近代科学社が保有します。・JCOPY《(社)出版者著作権管理機構委託出版物本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。複写される場合は、そのつど事前に(社)出版者著作権管理機構(電話03-3513-6969,FAX03-3513-6979,e-mait.info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください。

序文

本書は,観光情報学とはどういうものかを学ぶためのテキストとして書かれたものである.観光に関する学会は古くから数多く存在するが,観光を情報という観点から見るという立場はほとんど存在しなかった。観光において情報が果たす役割は非常に大きく,適切なタイミングで適切な情報を提供すると、観光はとても良いものになる.しかし,まずいタイミングでまずい情報を提供してしまうと,観光はだいなしになってしまう。そこで、最近の技術を用いれば,うまく情報を提供して観光の魅力を増すことができるという考えから、観光情報学会が2003年に設立された.理系文系という分け方は紋切り型かもしれないが,あえて言えば従来は文系に偏りがちであった観光の学問に,観光情報学会は理系の要素を取り入れたということになる。
新しい研究領域はどれもそうであるが,最初からその体系が存在するものではない、混沌とした中から少しずつ体系化していくことが,新しい学問を立ち上げたときの重要な作業になる.観光情報学はまだ始まったばかりであるが,これまでの初期の研究成果を一旦まとめて体系化を図ることが,この研究領域に新たな人を呼び込んでさらに発展させるために必要と考えて,観光情報学会として本書の企画に至った次第である。
本書は、私が2009年に観光情報学会の二代目の会長になった直後に発案し,学会として本の構成を検討して、学会の主要メンバーに執筆をお願いした.忙しい中執筆していただいた方々に感謝する。もっと早く発刊する予定であったが,遅れてしまったのは私の責任であり,この場を借りてお詫びしたい.また,観光情報学会の担当理事として本書のとりまとめをしていただいた北海道大学の小野哲雄氏,本書の出版を引き受けて編集をしていただいた近代科学社の小山透氏に深く感謝する。
本書によって観光情報学に興味を持つ人が増えて学問が盛んになり、ひいては観光の振興につながることを願っている。

2015年4月
桜が連休に咲くのを心待ちにしている函館にて
松原仁

観光情報学会 (編集)
出版社 : 近代科学社 (2015/5/15) 、出典:出版社HP

目次

1章
はじめに 観光情報学とは?
1.1 観光とは何か
1.2 観光にまつわる学問
1.3 個人旅行と観光情報学
1.4 観光情報学で対象とする研究の概観
1.5 観光情報学の今後
章未問題
参考文献

2章
情報化時代の観光行動
2.1 観光行動の変遷
2.2 旅行前の観光行動と情報サービス
2.3 観光旅行中の観光行動
2.4 観光旅行後の観光行動
2.5 観光行動に関する情報サービスの今後
章未問題
参考文献

3章
位置情報サービスと観光
3.1 位置情報サービスの概要
3.2 位置情報サービスを実現するための要素技術
3.3 観光分野などにおける位置情報サービスの事例
章末問題
参考文献

4章
拡張現実(AR)が観光にもたらすインパクト
4.1 拡張現実(AR)とは
4.2 ARの基礎技術
4.3 観光への応用
4.4 ARの課題と可能性
章末問題
参考文献

5章
デジタルアーカイブと観光
5.1 観光情報とデジタルアーカイブの関係
5.2 地域デジタルアーカイブ
5.3 デジタルアーカイブの観光情報への利用
5.4 アーカイブを活用する観光デザイン
章末問題
参考文献

6章
観光情報とデザイン
6.1 PRとナビゲーション
6.2 PRの再構築と地域デジタルアーカイブ
6.3 デスティネーションにおけるPRの再構築
6.4 地域デジタルアーカイブによるデスティネーションキャンペーン
6.5 ナビゲーション
章末問題
参考文献

7章
ユーザ参加による情報構築と価値共創
7.1 観光消費行動と情報行動
7.2 Web2.0時代と情報行動
7.3 CGM EUGC
7.4 AISASモデルとロコミ
7.5 ロコミ共有と二つの価値共創
7.6 集合知とは何か
7.7 集合知の活用
7.8 経験価値と価値共創
章末問題
参考文献

8章
観光情報パーソナライゼーション
8.1 はじめに
8.2 パーソナライゼーションとレコメンデーション
8.3 レコメンデーションを実現する理論
8.4 おわりに
章末問題
参考文献

9章
ゲーミフィケーションと観光 トゼーシー
9.1 観光とゲームイベント
9.2 恒常的なゲーム運営
9.3 携帯電子機器を使った観光周遊支援ゲーム
9.4 参加者が創る観光周遊支援ゲーム
9.5 ゲーミフィケーションという文脈から
9.6 思い出を記録しロコミにつなげる仕掛け
章未問題
参考文献

10章
観光情報が拓く観光サービスのデザイン
10.1 観光とサービス工学の接点
10.2 観光プランを、誰がいつデザインするか
10.3 観光情報が拓く観光サービスのデザイン
10.4 おわりに:価値共創の時代と、変化する旅行会社の役割
章末問題
参考文献

11章
観光地イメージとサービス・マーケティング
11.1 観光とイメージ
11.2 観光目的地(デスティネーション)と観光情報
11.3 観光地のサービス商品と情報技術
11.4 観光地サービス・マーケティングの新潮流
章末問題
参考文献

12章
観光情報システムが目指す未来
12.1 UNWTOにおける国際的観光動向
12.2 世界観光競争カランキング
12.3 国際競争力のある観光産業育成に向けての情報システム
12.4 観光はシステムとしての発明品
章末問題
参考文献

13章
観光情報学に関するトピックス
13.1 東日本大震災からの復興と観光情報学
13.2 温泉旅館ソフトの中国への輸出可能性
13.3 文化観光における情報の役割とその将来展望一平泉の取組みから
13.4 風評被害と観光
章末問題
参考文献
章末問題の解答・ヒントなど
索引
著者紹介

1章
はじめに 観光情報学とは?

観光情報学会 (編集)
出版社 : 近代科学社 (2015/5/15) 、出典:出版社HP