だからつくる調味料

【最新 調味料について学ぶためのおすすめ本 – 料理初心者から上級者まで役立つレシピ】も確認する

107種類のレシピがわかる

時間のかかるものから簡単に作れるものまで、多様多種な手作り調味料レシピを扱っています。もちろん多少の手間はかかりますが、「添加物がなく安全・少量でも作れる・自分好みに美味しく作れる」など魅力がたくさんあります。次から次へと作ってみたいと思えるようなレシピが満載です。

オザワ エイコ (著)
出版社 : ブロンズ新社 (2016/2/24)
、出典:出版社HP

はじめに

はじまりは、みそづくりから

いまでこそ、たくさんの調味料を自家製していますが、きっかけは「みそ」でした。自然食品店だか生協のカタログだかで〈手づくりみそセット〉なるものを見かけ、深く考えずたまたまつくってみた自家製みそ。これがじつにおいしかった。
大豆と麹と塩という、白っぽい顔をした3きょうだい。おそろしくシンプルな材料なのに、発酵するにつれて色は濃くなり、旨味までどんどん増していく。そのみそでつくったみそ汁は、ただのみそ汁が「うちのみそ汁」に変わる体験で、私は自家製みそに夢中になりました。
そんなふうにして毎年みそを仕込むようになったのですが、やがて、禁断のしょうゆづくりに手を染めるようになります。
みそとくらべると、しょうゆはかなり手間がかかりますが、「手前しょうゆ」は本当に、おいしい~!さらに、しょうゆを絞る前のもろみ(諸味)のおいしさといったら、絞る前になくなってしまうほどなのです。
わが家では、食卓でダンナが「あれ、出して」と言ったら、それはもろみのこと。「あれ」は、刺身のとき、頻繁に登場します。ちょん、とつけると、生じょうゆの濃厚な味わいがダイレクトに舌に伝わってくる、自家製ならではの味。とろりとした芳醇な香り。この味を知ってしまったら、メンドウでも毎年、仕込まざるを得ないというわけです。

調味料がおいしいと、料理はシンプルになる

私が調味料づくりにハマっていたのは、調味料は使う頻度が高い、というのが大きな理由です。
料理はいくらおいしいレシピがあっても、食べつづけたら飽きるもの。でも、みそ汁は毎日飲む定番だし、しょうゆはいつも食卓にあって、なんにでもかけられる。しかも自家製なら、使うたびにうれしくて、気持ちがほっこりするんです。
もちろん、自家製の調味料は、全部、目に見える材料でつくるので、余計なものが入っていません。
安全でしかもおいしい。ここは重要なポイントです。
手間ひまかけてつくって、安心だけど味はイマイチなんてことなら、つくる意味も喜びも半減。だから、「買うよりおいしい」をモットーとして、試作を重ねてきました。私は自分のキッチンを「ラボ」と呼んでいます。なぜなら、いろいろな味を見つけるための実験室だから。そうして完成したのが、本書で紹介するレシピです。
調味料がおいしいと、特別な料理のテクニックは必要ありません。野菜なら生のまま切って、つけるだけ、和えるだけ。肉や魚、もちろん野菜も、焼いたり、炒めたり、揚げたり、蒸したりして、かけるだけ、混ぜるだけ。そんなシンプルな調理法で、もう十分においしいのです。
もともと食いしん坊で、おいしいものが大好き。でも、根がズボラなので、毎日の料理に長い時間をかけるのはメンドウ。
そんなときこそ、自家製調味料の出番です。
これまでは買っていたものを、自分でつくる。それは、ちょっとした意識の改革です。かといって、そんなに難しいことはありません。調味料はたいてい、なじみのある身近な素材が材料だからです。「これとこれからできていたのか!」とか、「こんなにたくさんの食材が入っているから複雑な味なんだな」とか。とにかく、自家製調味料をつくる生活は、心躍る瞬間の連続です。
いまでは、いろいろな国や地域の調味料が手軽に買えるようになりましたが、冷蔵庫のすみで忘れられていることも多いのではないでしょうか。でも、自分でつくると、積極的に使う調味料へと変身します。なにが入っているかがわかると調理に使いやすくなること、また、仕込むときに自分好みの味に調節できること、少量でもっくれること、そしてなにより、おいしいことが理由でしょう。
調味料には、その調味料が育った国や地域の歴史や文化、人々の知恵などが集まっています。調味料を仕込みながら、そんなことに思いをはせるのも、また楽しいものです。

発酵・熟成・四季のうつろい

調味料には、時間をかけて発酵・熟成していくものと、つくったらすぐに使えるものがあります。そのどちらにも共通しているのは、旬の食材を使ったり、季節の温度変化を利用するなど「四季を楽しむ」という考え方。
日常の雑事に追われていると、季節の変化を見失いがちです。しかし、自家製調味料を仕込むようになると、四季のうつろいに敏感になります。
たとえば、フキノトウやそら豆、山椒の実、梅、青唐辛子などなど。これらは、ぼやぼやしていると、すぐになくなってしまい、次に出会えるのは1年後。だから、出会ったときに入手して、せっせと仕込む。旬の食材を仕込んでいると、日本が四季のある国で本当によかったと思います。
熟成するのをじっと待ったり、時間の経過とともに変化していく味を楽しんだり。そんな、ゆとりある時間をもてるのも、調味料づくりの醍醐味のひとつです。
発酵の過程を経てつくる調味料は、なにかを育てる作業でもあります。
思い返せば、私はいつもなにかを育てている子どもでした。アサガオやハーブなどの植物から、ザリガニやカメ、セキセイインコやハムスター、ネコなどの生き物まで、せっせと世話をして、すくすく育っていく様子をじいーっと眺めておりました。人一倍、好奇心が旺盛で、「知りたい」ことは、いま知りたいし、「やりたい」ことは、すぐやりたい。その傾向はオトナになって、より一層、強くなっている気がします。そんな気質のおかげかどうか、これまで本を編集する仕事に5年以上携わってきました。ジャンルは食や農、ガーデニング、動物など。知りたいことを専門家に直接、取材することができるという、とても恵まれた環境です。
そして、本づくりの仕事のかたわら、ライフワークとして調味料づくりに励んできました。それが高じて、いまでは調味料の料理教室「かもしラボ」を主宰しています。教室では、仕事を通じてつながった農家さんから、新鮮な食材を提供してもらえるという、これまた贅沢な環境です。

100通りの「だからつくる」がある

どうして、手間ひまかけて自家製調味料をつくるの?と聞かれたら、「だって、おいしいから!」と答えます。でも、自家製する理由は人それぞれ。3人いたら、m通りの「だからつくる」があっていいのです。
好きな素材を選べるからつくる
健康によさそうだからつくる
発酵する過程が楽しいからつくる
庭や家庭菜園でたくさん収穫できたからつくる
伝統の味を守りたいからつくる
自慢できるからつくる
がんばってる自分のためにつくる
そして、大好きなあの人に食べてもらいたい――だからつくる
つくるのは、どんな理由でもかまいません。毎日使う調味料だからこそ、まずはひとつから、自家製してみませんか?

本書の使い方

●本書のレシピは少人数の家族(1~4人)でも使いやすい分量が基本です。材料欄に、できあがり分量が書かれていない場合は、すべて《つくりやすい適量〉と考えてくださ
い。
●計量は、1カップ=200ml、大さじ1=6、小さじ1=15ml、1合=180mlで、すべてすりきりです。
●保存期間の目安を記載していますが、保存容器、保存状態、温度、湿度などによって保存期間は変化します。
●本書のレシピで、とくに説明のない場合は、塩は粗塩、しょうゆは濃口しょうゆを使用しています。
●はじめは本書のレシピを参考につくってみて、だんだん自分好みのレシピにアレンジしましょう。少し塩を足してみようとか、もっと甘味がほしいから砂糖を加えてとか、麹の比率をかえてみる、酢を米酢からリンゴ酢にかえてみる、などなど。じっくりあなたのレシピを育ててください。

あると便利な調理道具


大量の大豆をゆでたり、中濃ソースやトマトケチャップを煮詰めるには、大きな鍋が便利。寸胴鍋、行平鍋、ホーロー鍋などが使いやすいでしょう。梅など酸が強い素材を扱うときは、ホーローやステンレス製を使います。短時間で煮たり、蒸したいときは圧力鍋がおすすめです。
重しと押しブタ
みそづくりや梅干しづくりで使う重しは、仕込みの段階によって重さをかえていくので、必要重量を1個用意するよりは、軽いものを複数用意すると便利です。たとえば「4gの重し」とある場合は、2kgを2個、あるいは2回を1個と1匹を2個などと組み合わせるのがおすすめです。ペットボトルに水を入れたものや、塩をビニール袋に入れたものなどでも代用できます。
中身に均等に重さがかかるようにするため、まず押しブタをのせてから、重しをのせるのが基本。押しブタは、中身を保護し、カビを防ぐ役割もあります。容器よりひと回り小さいサイズの平らなものであれば、皿などでも代用できます。

保存容器
ガラス容器やホーロー容器は、匂いがつきにくく、耐久性もあり、あらゆるものの保存に使えます。煮沸消毒ができるので、衛生管理がしやすいのも特長。
少量だけつくるものや、すぐに食べきるものなどには、軽くて扱いやすいプラスチック容器が便利です。
保存容器の除菌方法(煮沸消毒やアルコール消毒)については、3~1ページに掲載しています。

その他の器具
発酵させたり糖化させてつくる調味料は、麹や酵母が活動するのに適切な温度にすることがとても重要です。温度計は必須で、用途によってアナログやデジタルを使い分けるとよいでしょう(5ページ参照)。
しょうゆやみりん、柿酢、麦芽糖、煮詰めたものなどを濾すには、さらしでつくった濾し袋がおすすめです。市販の「だし濾し袋」を使ってもよいでしょう。
液状のものを容器に詰める際は、ジョウゴが欠かせません。計量カップや計量スプーンも必須アイテムです。

オザワ エイコ (著)
出版社 : ブロンズ新社 (2016/2/24)
、出典:出版社HP

contents

はじめに
本書の使い方

1じっくり醸す定番調味料
みそ
素材のこと
基本の米みそづくり
玄米みそ/麦みそ/合わせみそ
黒豆みそ/小豆みそ/金時豆みそ
白みそ
金山寺みそ
columnみそのこと
フキノトウみそ/肉みそ
にんにくみそ/ネギみそ

しょうゆ
素材のこと
基本のしょうゆづくり
columnしょうゆのこと
山椒の実しょうゆ/シソの実しょうゆ/にんにくしょうゆ/ニラしょうゆ

塩みりん
columnみりんのこと
みりん粕の粕漬け/みりん粕の野菜漬け/
みりん粕のココアボール

塩麹
ネギ塩麹/しょうが塩麹/にんにく塩麹

柿酢
リンゴ酢/ザクロ酢
ハーブビネガー/にんにく黒酢

こだわり仕事米麹をおこす。
essay発酵調味料と生活する!熟成の楽しみ

2旬を楽しむ季節の調味料
山椒
木の芽ソース
山椒の実ソース
粉山椒

そら豆
豆板醤


青梅しょうゆ
青梅酢
梅みそ
梅干し
ぽってり梅漬けと梅酢
煎り酒
練り梅/梅ソース/梅ドレッシング
column梅のこと
赤ジソふりかけ/梅塩/紅しょうが
梅ジャム梅シロップ/赤ジソシロップ

トマト
トマトケチャップ
塩トマト/甘トマト
サルサソース/ピザソース
中濃ソース
columnスパイスのこと
ティーマサラ/ガラムマサラ/カレーペースト

ゆず
ゆずこしょう
塩ゆず
ゆずポン酢

唐辛子
七味唐辛子
ラー油
食べるラー油
タバスコ風唐辛子ビネガール
スイートチリソース
青唐辛子のしょうゆ麹
キムチだれ

牡蠣
オイスターソース
牡蠣のオイル煮
牡蠣みそ/牡蠣のすり身の佃煮
essay仕込むために育てる!畑仕事の楽しみ

3いつでもつくれるおなじみ調味料
マスタード
粒マスタード/なめらか粒マスタード/
イエローマスタード

バター
バター/アンチョビバター/マスタードバター/パクチーバター

マヨネーズ
マヨネーズ/オーロラソース/タルタルソース/シーザードレッシング


XO醤/豆鼓醤
コチュジャン/甜麺醤

たれ
焼き肉のたれ/ネギ塩だれ/ナムルだれ/ゴマだれ

アンチョビとナンプラー
アンチョビ/ナンプラー/ナンプラー塩
バーニャカウダソース/オイルサーディン

シロップ・みつ
しょうがシロップ/しょうがの甘辛煮/しょうが糖
ザクロシロップ/黒みつ・白みつ
columnシロップのこと』

こだわり仕事麦芽糖をつくる
イモあめ
米あめ
乾燥麦芽

保存容器の除菌のこと

あとがき
索引

オザワ エイコ (著)
出版社 : ブロンズ新社 (2016/2/24)
、出典:出版社HP