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【最新 グロースハックについて学ぶためのおすすめ本 – 基本知識から成功事例まで】も確認する
手法からマインドセットまでわかる
グロースハッカーとは、数年間でユーザー数を数千万、数億人にまで増やすシリコンバレー企業の成長請負人のことです。企業の成長を促すグロースハッカーについて知ることで、マーケティングで通用する知識が身につきます。FacebookやAmazonなどの事例も含まれており、非常にボリュームのある1冊です。
ライアン・ホリデイ・著
佐藤 由紀子・訳
加藤恭輔・解説
Growth Hacker Marketing by Ryan Holiday Original English language edition Copyright ©2013, 2014 by Ryan Holiday All rights reserved including the right of reproduction in whole or in part in any form. This edition published by arrangement with Portfolio, a member of Penguin Group (USA) LLC, A Penguin Random House Company through Tuttle-Mori Agency, Inc., Tokyo
目次
イントロダクション
ステップ1 まずは人が欲しがるものを作れ
ステップ2 自分なりのグロースハックを探して
ステップ3 クチコミを巻き起こせ
ステップ4 つかんだユーザーを手放すな
最後に 私自身のグロースハック――学びから実践へ
あとがきにかえて
FAQ(よくある質問と答え)
謝辞
解説 加藤恭輔
訳者あとがき 佐藤由紀子
用語集
特典
オンラインで閲覧できるプレゼンやセミナーなど
参考書籍
グロースハッカーのブログやツイッター
グロースハッカーになるための次のステップ
原注
プロフィール
イントロダクション
それは一年半ほど前のある日のこと。朝、いつものように車に乗り込んだときには、いつもと同じ一日が始まると思っていた。家では朝刊を読み、仕事の用件をいくつか電話で指示し、ランチミーティングと飲み会の予定を確認。車でまずはエグゼクティブ向きスポーツクラブに行き、水泳とランニングの後、サウナで考え事をする。
午前10時にオフィスに到着。秘書に挨拶して自分の大きなデスクにつき、広告デザイン案や請求書、提案書など、私の署名を待つ書類に目を通す。新製品の発表が控えており、プレスリリースを書く必要がある。届いていた雑誌の山は、社員に分類と書架への収納を指示した。
私の仕事は、アメリカン・アパレル (訳注1) のマーケティングディレクターだ。本社ビルの自分のオフィスには6人の部下がおり、オフィスの右隣では、世界一腕のいい縫製工たちが数千台の工業用ミシンを動かしている。ビル内には、広告写真を撮影するためのスタジオもある。
パソコンやスマートフォンといったちょっとしたテクノロジーを使うことを除けば、私の一日は、五年前のマーケティング担当の幹部の一日とほとんど変わらない。広告枠を購入し、イベントを計画し、メディアに売り込み、広告をデザインし、プロモーションを打ち、「ブランディング」やら「CPM」「アウェアネス」「アーン ドメディア」「トップオブマインド」「付加価値」「シェアオブボイス」といった用語を使いこなす。これが昔 ながらのマーケティング担当幹部の仕事だ。
自分がドン・ドレイパー (訳注2) やエドワード・バーネイズ (訳注3) と同じだとは言わないが、われ われ3人がオフィスを交換しても、ほとんど調整せずに仕事を再開できると思う。私はそれが、すごくクールな ことだと思っていた。
ところが、いつもと同じはずの一日を、あるオンライン記事 (1) がさえぎった。そのタイトルは、私を狙い撃ちするように、目に飛び込んできた。
「グロースハッカーは新世代のマーケティング担当幹部である」
なんだって? 私はマーケティング担当の幹部だ。自分の仕事が好きだし、得意でもある。25歳にして独立独行で、年商5億ドル以上、20カ国に250店舗を展開する上場企業の一翼を担っている。
だが、私のこうした自負には、この記事を書いた著名なテクノロジストで起業家のアンドリュー・チェンは、まったく関心がないようだ。チェンによると、私のようなマーケティング担当の幹部は、じきに職を失う―われわれの座を奪おうというニュータイプがいる――という。
「グロースハッカー」という新しい職種は、シリコンバレーの文化と融合している。そして彼らの存在は、優秀なマーケターにとって、コーディング能力と技術的な知識が重要になってきていることを示している。グロースハッカーはマーケターとエンジニアのハイブリッドで、「うちの製品の顧客をどうやって獲得するか」と いう旧来の課題に、A/Bテスト、ランディングページ、バイラル係数、メール到達品質、オープングラフなどを駆使して答える。(中略)これまでのマーケティングチームは淘汰される。マーケティング担当幹部率いる非テクニカル系マーケターのチームに代わるグロースハッカーとは、エンジニアが率いるエンジニアのチームなのだ。
いったいグロースハッカーとは何なんだ?
と、私は思った。
エンジニアに私の仕事ができるって?
だが、チェンがケーススタディとして紹介しているここ数年に登場したいくつかのスタートアップ(新興企業)を見て納得した。
●ドロップボックス(Dropbox)
●ジンガ (Zynga)
●グルーポン(Groupon)
●インスタグラム(Instagram)
●ピンタレスト(Pinterest)
いずれも今や大もうけだ。
ソーシャルコミックリーダーを手掛けるグラフィックリー(Graphicly)の創業者で、ベンチャーキャピタル のテックスターズ (TechStars)と500スタートアップス (500 Startups)でスタートアップメンターを務めるミカ・ボールドウィンは、これらの企業の成功をこう説明する。 「十分な予算がない中で、スタートアップは企業を急成長させる術を習得したのだ」
古い前提にとらわれない彼らは、マーケティングを根幹から見直した。そして今、彼らが作り上げた手法、新 機軸、裏ワザが、われわれマーケターがこれまで学んできた手法と対抗しているのだ。 「最小限の投資でより多くを得ようというのが、実のところ、われわれマーケターと起業家に共通する考え方 だ。そこで本書では、グロースハッカーが、ドロップボックス、メールボックス(Mailbox)、ツイッター (Twitter)、フェイスブック (Facebook)、エヴァーレイン (Everlane)、インスタグラム、ミント (Mint)、アップスモウ (AppSumo)、スタンブルアポン (StumbleUpon)などの新興企業をほとんどノーコ ストで成長させている方法を紹介していく。
これらの企業に関して私が最も驚いたのは、どの企業にも私のような専門スキルを持つ従来タイプのマーケターがおらず、私がずっと企業にとって必要不可欠だと信じてきたマーケティングリソースなしで成立している点 だ。「マーケター」も、もちろん代理店も、彼らの成功に貢献していない。グロースハックが、いわゆるマーケ ティングを無意味にした。あるいは、少なくともそのベストプラクティスを完全に書き換えてしまった。
いずれにしても、第一世代のグロースハッカーが新たな方法を開拓してくれたのだ。彼らの戦略には非常に技 術的で複雑なところがあるので、コンパクトな本書では “コホート分析”や “バイラル係数」といった彼らのコ ンセプトの解説に多くを割くことはしない (注1)。それよりも、彼らのマインドセット(考え方)に重点を 置く。それこそが、最も重要な部分だからだ。
私はこの本の最初でも自分自身の経験を紹介するし、最後でも自分の経験で締めくくるつもりだ。私の経験が この業界の縮図になっていると思うからだ。 製品開発とマーケティングを完全に別のプロセスとして行う方法 はもう古い。 だが、われわれの職務は変わらず、最小の投資でより多くのことをする必要がある。そして、古い戦略はもはや無効であることが徐々に理解できるだろう。
本書では、グロースハックというまったく新しい手法を紹介する。これは、従来のマーケティングよりも流動 的な作業であり、ユーザーとインタラクティブに進めるものである。グロースハッカーは、自分たちがやっていることをマーケティングだとは思っておらず、製品自身に組み込むものだと考えている。製品は立ち上げ後、シ ェアされ、最適化され、(このステップを何度も繰り返す中で)急激に成長していく。本書はこのプロセスに沿った章立てになっている。 本題に入る前に、古い方法と新しい方法の違いをはっきりさせておこう。
グロースハックとは?
グロースハッカーの目標は、製品自体を数百万人の顧客にリーチする自己永続マーケティングマシンにすることだ
グロースハッカー アーロン・ジーン (2)
ショウほど素敵な商売はない。だから、どんな業界のマーケターも、新製品の立ち上げではショウビジネスを 気取りたがる。誰もが、自分が超大作映画の封切りに携わっているかのように本心から夢想する。そして、この 幻想がマーケティングを歪ませる。
こうした幻想は気分のいいものだが、非常にまずい。
マーケターがまず思いつくのは、グランドオープニング、派手な発表イベント、プレスリリースやマスコミ報 道だ。マーケターは、広告予算が必須だと考える。レッドカーペットやセレブを欲しがるのだ。
最も危険なのは、マーケターは非常に短期間に可能な限り多数の顧客を獲得しなければならないと思い込んでいることだ。それができなければ、すべてが失敗だと考える(もちろん、その失敗は取り返しがつかないと思い込む)。映画で言えば、封切り直後は話題にもならなかったのにじわじわと人気が出た『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ではなく、封切り前から話題沸騰の『トランスフォーマー』でなければならないと妄想するのだ。
言うまでもなく、こんな妄想はばかげている。だが、マーケターは長年、この考え方を教え込まれてきた。
何が問題かって?
そもそも、ほとんどの映画は失敗するものだ。
映画マーケティングは歴史もあり魅力的だが、映画会社はマーケティングに(時には映画制作費よりも多く) 何百万ドルも投資したあげく、多数の作品を失敗とみなす。当たった場合は、何が成功の要因かが誰にもわからない。脚本家のウィリアム・ゴールドマンの有名な言葉通り、”誰も何も知らない”。大きなギャンブルなのだ。
ただし、映画興行はこうした損失を吸収できる構造になっているから問題ない。一本のヒット作で多数の失敗
を帳消しにできる。だが、たいていの業界はショウビジネスとは違う。新興企業では失敗は許されない。失敗を補える別のプロジェクトがたくさん控えているわけではないのだ。それが現実だ。
賢い誰かがこう言うのは時間の問題だった。 「こんなやり方はだめだ。インターネットとソーシャルメディアのツールを使えば追跡とテストを繰り返せるし、マーケティングを改善できる。そうすれば、従来のギャンブルが必要なくなるだけでなく、そうしたギャンブルがとんでもなく非生産的であることがわかる」
そう言ったのが、最初のグロースハッカーだ。
ホットメールで生まれた新しい方法
旧来のマーケティング手法が、20世紀の企業のニーズに合わせて設計された、ここ100年の産物だとすれば、新たな考え方は8世紀末に始まった。それは、新しいタイプのマーケターの新しいニーズを受けて発生した。
1995年にさかのぼろう。
それは、バイラル”で成功した初めてのサービスであるホットメール(Hotmail)が、最初の無料ウェブメールサービスとして公開される直前のことだ。
ある日、ホットメールの共同創業者であるサビア・バティアとジャック・スミスが、著名なベンチャーキャピタリストのティム・ドレイパーとテーブルを挟んで座っていた 。ドレイパーは二人に、ウェブベースの電子メールという彼らのサービスはすばらしいが、一般向けにどう紹介するつもりなのかと問い掛けた。
バティアはまず、従来のマーケティングのアプローチを口にした。
「広告を打ちます」
しかし、ドレイパーは、無料サービスのためにそんなに高くつくアプローチを採用するわけにいかないと拒否した。
ラジオ広告は?
それも金が掛かる。
インターネット上の人々に電子メールを送るのはどうだろう?
と、ドレイパーが提案した。それは古い考え方だースパムには効果はない。
そして、ドレイパーが偶然、グロースハックを思いついた。
「ジャック、メール画面の最下行にメッセージを表示させることはできるかい?」
グロースハッカー 第2版
「うーん、それはやりたくありません!」
「だが、技術的にはできるんだな? メール作成画面にメッセージを表示させたら、そのメールを受信した側で もそのメッセージが表示されるんだな?」
「それはそうですが」
と二人は答えた。すると、ドレイパーはこう続けた。
「じゃあ、文末に『追伸 愛してるよ。ホットメールで君も無料メールをゲットしよう』と表示させよう」 (3)
このささやかな機能がすべてを変えた。
ホットメールのユーザーが送信するすべてのメールがホットメールの広告になったのだ 。この広告が効果的だったのは、広告がキュートだったり、クリエイティブだったりしたからではなく、多くの人々が欲しがる楽しい サービスを紹介したからだ。
ユーザー一人ひとりが新しいユーザーを、メールの一通一通がさらに多くのメールと、満足する顧客を呼び込 んだ。最も重要なのは、この流れは追跡でき、調整・改善することでサービスに引き入れるユーザーを増やせたことだ。
これが当時、どれだけ画期的なことだったかわかるだろうか。
オンラインペットショップのペッツ・コム(Pets.com)は立ち上げに当たり、広告料120万ドルのスーパーボウルでのCM放映やメイシーズの感謝祭パレードへの参加を含む、全国展開の一大キャンペーンを実施し た。ネット利用のデリバリーサービスを手掛けたコズモ・コム(Kozmo.com)は人気テレビドラマ「600万 ドルの男」を使った文字通り何億ドルも掛けた広告キャンペーンを展開した。いずれもドットコムバブルの崩壊とともに消えた企業だ。
一方、ドレイパーの提案―創業者たちは最初の数カ月、このアイデアがあまりにもシンプルだからと反対し
ていた――で、ホットメールは飛躍的に成長した。半年以内に100万人のユーザーを獲得したのだ。その5週 間後にはさらに倍増。1997年2月にマイクロソフト(Microsoft)が4億ドルで買収した時点で、ユーザー数は1000万人近かった。ホットメール立ち上げから3000万人目のユーザー獲得までにかかった期間はちょうど30カ月だ。
これが新しいアプローチの威力だ。わずか30万ドルの出資で立ち上げられたブランドが4億ドルに成長した。 30万ドルといえば、ハリウッドの映画会社によるプレミアパーティーや、フォーチュン500企業のテレビCM 1本分のコストにすぎない。この成長を生み出したのは、マーケティングの経験がまったくない人々なのだ。
ホットメールはドットコムバブルのまぐれ当たりだと思うなら、数年後にグーグル(Google)がほぼ同じグ ロースハック戦略でGメール(Gmail) |今や無料メールサービスの代表となっている――を立ち上げたこと を思い出してほしい。まず優れた製品を構築する。次に、招待制で提供することで関心を盛り上げる。そして、 ユーザーが新ユーザーを招待できる人数を段階的に増やしていくことで、Gメールは人から人へと伝わり、最も有名な無料メールサービスとなった。
小さな、しかし大きな可能性を秘めたアイデアから生まれる大規模サービス。それが、この本でわれわれが学ぶことだ。
グロースハッカーの登場
ホットメールの登場以来、多数の企業、特にIT系企業がマーケティングの限界を超え始めた。データを信用 し、ルール”を軽視する輩が、インターネットによって利用可能になった新しいツール――電子メール、デー タ、ソーシャルメディア、リーンメソッド――を駆使する新たなマーケティングモデルを開拓してきた 。
こうした輩は、一夜にしてシリコンバレーのスターになった。テッククランチ (TechCrunch)、ファストカ ンパニー (Fast Company)、マッシャブル(Mashable)、アントレプレナー (Entrepreneur)をはじめとする多数のIT系メディアが彼らを記事で紹介し、リンクトイン (LinkedIn)とハッカーニュース (Hacker News)は「求む、グロースハッカー」の求人であふれている。
グロースハッカーの仕事は、私がやってきたようなマーケティングを実施することではない。無から何かを作り出し、それを非常に短期間で拡大することで、会社を急成長させることが彼らの仕事だ。そして、これまでの マーケティングはもはや通用しない。 ここで、「グロースハッカー」を私なりに定義しておこう。
グロースハッカーは、伝統的なマーケティング戦略を放棄し、検証・追跡・測定が可能なものだけを用いる。彼らの武器は、CMや宣伝や資金ではなく、電子メール、PPC(ペイパークリック)、ブログ、プラッ トフォームAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)だ。古い世代のマーケターが ブ ランディング” や *マインドシェア”などの漠然としたものを追い回している間、グロースハッカーはひたす らユーザーと成長とを追跡する。そして、戦略が当たれば、ユーザーがユーザーを引き込む連鎖反応が生まれ る。グロースハッカーとは、自立し、自己増殖する成長マシンの発明者であり、オペレーターであり、整備士 だ。この成長マシンが新興企業を成功に導くのだ。
これから長々とグロースハッカーの定義を続けるつもりはないので、安心してほしい。われわれだって既に、 ビジネスを拡大しようとしてウェブサイトを立ち上げ、イベントのチケットを販売し、クラウドファンディング のキックスターター(Kickstarter)のプロジェクトに資金を出している。こうした取り組みは、従来のマーケティング手法とまったく異なるものだ。
本書で紹介する新興企業のグロースハッカーたちは、製品の立ち上げにほとんど資金を使わない。数百万ド ルのマーケティング予算などないのだ。 新手法を開拓せざるをえず、また、新しいことへの挑戦に意欲的でも あるグロースハッカーは、これらの新興企業を数十億ドル規模のブランドに育て上げた。
グロースハッカーはハリウッドスタイルの豪華な製品立ち上げ方式へのコンプレックスを持たないだけでなく、そうした手法を無視し、拒否したからこそ成功した。一般大衆の注目を集めるために派手な街頭広告を展開 したり、新聞の一面に広告を掲載したりする代わりに、特定のユーザーに狙いを定め、切り込むための武器を使ったのである。
新たなマインドセットを持とう
従来のマーケターは、心の底で自分のことをアーティストだと思っている。結構なことだ。私もそうありたい と思っている。この感情は、感動を呼ぶ作品作りに役立つ。だが、恐ろしい無知と無駄の原因でもある。ハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載されたある論文によると、マーケターの3パーセントはマーケティングのROI(投資収益率)測定に不満があるという。測定ツールが不正確だからではなく、正確すぎるからだ。マーケターは測定結果で初めて、自分のマーケティング戦略に「しばしば欠陥があり、投資が無駄」であることを突きつけられる (4)。
グロースハッカーとして知られるノア・コーガンは、シンプルに説明する。
「マーケティングの本質はずっと変わらない―顧客が誰で、どこにいるかだ」 (5)
コーガンは、フェイスブックや個人向けファイナンスサービスのミント(インテュイット(Intuit)が約2億ドルで買収)で活躍し、現在は3万人以上のユーザーを擁するアプリ特売サイト、アップスモウのチーフ・スモウ”を務める。
グロースハッカーは、従来よりも科学的で測定可能な方法で、「誰」と「どこ」に集中する。 これまでのマーケティングがブランドとインプレッションに基づいていたのに対し、グロースハックがよって立つのは測定とROIである。
潜在顧客を見つけ、自社製品への注目を獲得するプロセスは、もはや推測ゲームではない。だが、この手法は 単にマーケティングをましな測定方法で実施するというだけではない。また、「ダイレクトマーケティング」の 呼び替えなどではない。
グロースハッカーのルーツはエンジニアだ。データサイエンティストでデザインフリークでマーケター。彼らは情報を取り込み、処理して利用可能な形にする。そして、そうした情報が、直感と芸術志向が支配してきたマーケティングの世界で、切実に求められてきた明晰さだとみるのだ。同時に彼らは、戦略、大局的思考、プラットフォームや新しいアイデアの活用法についての強力な洞察力も持ち合わせている。