基礎からわかる天文学

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天文学の決定版

天文学の広い範囲が網羅されていて、難しい数式は使わずに概説されています。豊富な図版と平易な文体による解説が非常にわかりやすいです。宇宙・天文学を学んでいる学生には最適な参考書であり、まったくの初心者から上級者まで幅広い読者層におすすめの1冊です。

半田利弘 (編集)
出版社 : 誠文堂新光社 (2011/11/25)、出典:出版社HP

はじめに

多くの人々が宇宙に関心を持つようになり、宇宙や天文学の成果に触れる機会が増えています。しかしながら、どうしてそのような結果が得られたのか、どんな方法でデータを得ているのか、多くの成果や知識は互いにどんな関係になっているのかなどを整理して示すものは、専門書を除くとそれほど多くありません。根気と時間さえあれば、どんな人でも必ず理解できる説明が可能であるというのが科学の目指すところであり、非常に優れたところです。そこで、宇宙についても、入門書と専門書との間をつなぐものが必要だろうと考え、書いたのが本書です。
科学的成果をきちんと理解するには数式を読みこなす必要が出てきます。しかし、数式は内容を簡潔に表現するための技法の1つであり、それ自体は科学の内容ではありません。数式を手助けに、宇宙がどうなっているのかを頭の中に描き出すことが重要なのです。それは3Dだったり、アニメーションだったりします。テレビ会社が作ったものではなく、自分自身の理解に基づいた「自主制作アニメ」を頭の中に描けるようになることが大事なのです。そこで、本書では私が頭の中に描いている宇宙のイメージを伝えることを主眼としました。ですから、表現が冗長であったり、量的に不正確だったりする欠点はあります。しかし、ここに示したイメージが「自主制作」する際のヒントになるのではと思っています。
本書は、同じ目的で書かれた「よくわかる宇宙の基本と仕組み」(秀和システム)を大幅に加筆・修正したものです。とくに、第6章および第8章はまったく新たに書き加えました。これによって、現代天文学が対象としている、ほとんどすべての話題について何らかの形で触れることができたのではと考えます。
本書を通じて、宇宙や天文学への関心がますます高まり、テレビや雑誌の紹介記事を理解する際の助けになったり、専門書の読破に挑戦する人が増えることを期待します。

2011年11月9日鹿児島大学にて半田利弘

半田利弘 (編集)
出版社 : 誠文堂新光社 (2011/11/25)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 太陽系
1-1月
月の自転と公転/潮の満ち干と月/共通重心/慣性力/潮汐力と潮の満ち干/潮汐摩擦と地球の自転/月の自転と潮汐力
1-2太陽系の様子
星の形と自己重力/太陽系の惑星/小惑星と隕石/外縁部小惑星帯と彗星
1-3惑星運動の特徴
ケプラーの第1法則/惑星軌道の形/惑星軌道の傾き/ケプラーの第2法則/ケプラーの第3法則
1-4太陽系の縮尺(天文単位の定義と縮尺での説明)
惑星軌道の間隔/惑星や準惑星の大きさと重さ/太陽系の広がりを実感する
1-5小惑星の特徴
小惑星の密集度/主要部小惑星の形/主要部小惑星の軌道/主要部小惑星の組成/主要部小惑星の族
1-6惑星の特徴
惑星の分類/岩石惑星の特徴/ガス惑星の特徴/氷惑星の特徴
1-7太陽系の果て
冥王星/太陽系外縁天体/彗星/オールトの雲/太陽圏
1-8太陽系のでき方
3種類の惑星の配置/太陽系の形成/氷と水蒸気と雪境界線/主要部小惑星帯と外縁部小惑星帯/太陽系形成モデルの課題

第2章 恒星
2-1恒星とは何か
星座の星々/恒星と太陽系/恒星のエネルギー源/恒星での核融合反応/恒星の内部構造/恒星が安定して輝き続けるわけ
2-2恒星の明るさと色
星の等級/等級の基準/星の色/光の色と3原色/光の波長とバンド/バンドと等級
2-3いろいろな恒星
絶対等級と真の明るさ/大きな星と明るい星/星の表面温度/スペクトルと黒体放射/星の大きさと主系列/HR図と星の種類
2-4恒星の誕生
星の誕生と星間ガス/星間ガスの収縮/原始星の誕生/原始星ガス円盤の形成/双極分子ガス流
2-5恒星の進化
原始星から主系列星へ/主系列星/核融合が起こる場所/赤色巨星へ/質量放出/水平分岐星/鉄の芯
2-6恒星の最後
白色矮星と惑星状星雲/電子の縮退圧とチャンドラセカールの質量限界/超新星爆発/中性子星とブラックホール
2-7連星
連星/主星と伴星/共通重心/見かけの重星/連星の見つけ方/連星の重さ/近接連星/連星の降着円盤
2-8変光星
星の瞬きと変光星/脈動型変光星/閃光星とおうし座T型星/激変星と新星/連星型超新星/磁変星とパルサー/食変光景
2-9太陽系外の惑星
系外惑星/系外惑星の検出方法/灼熱ガス惑星/大離心率惑星/太陽系と系外惑星系の特徴
2-10褐色矮星と浮遊惑星
質量関数/エディントンの限界/褐色矮星/浮遊惑星

第3章 星雲と星間物質
3-1星間物質
宇宙は完全には真空でない/3種類の星間ガス
3-2星雲
星雲の分類/輝線星雲/惑星状星雲/超新星残骸/反射星雲/暗黒星雲
3-3宇宙での物質の循環
恒星の進化と物質の動き/物質循環と金属量/物質循環に接する時間
3-4星間ガスの組成と検出
宇宙の物質組成/柱密度と光学的厚さ/星間分子ガスの検出
3-5星間塵
星間塵/星間塵と星間吸収/星間赤化/星計数と星間減光量/塵の量とガスの量
3-6星間分子ガスの化学変化
星間ガスでの化学変化/星間分子形成のパラドックス/星間分子の形成/奇妙な分子/星間分子と生命

第4章 天の川銀河
4-1天の川と天の川銀河
球状星団と散開星団/天の川銀河/銀河面と銀河座標/さまざまな波長で見た天の川の姿
4-2天の川銀河の大きさと構造
大きさと重さ/天の川銀河の構造/円盤部の広がり/バルジの広がり/ハローの広がり/銀河中心
4-3円盤部と渦巻腕
太陽系近くの様子/太陽近傍の恒星の運動/電波輝線と運動学的距離/星間ガスの分布/円盤部の中での金属量の違い
4-4バルジとその形状
棒状バルジと円形バルジ/赤外線観測による棒状バルジ/電波観測による棒状バルジ/バルジの大きさと向き
4-5天の川銀河の中心核
銀河中心の方向と距離/いて座Aとその構造/銀河中心のブラックホール/天の川銀河中心星団/電波アークと磁場構造

第5章 銀河
5-1銀河の分類
渦巻銀河と楕円銀河/銀河の形態分類/ハッブルの形態分類/巨大楕円銀河と矮小銀河
5-2銀河の内部運動
タリーフィッシャー関係とフェーバージャクソン関係/差動回転と平坦回転曲線/失われた質量と暗黒物質/MACHOとWIMP
5-3渦巻腕
渦巻腕の巻き込み/密度波理論/銀河衝撃波モデル/星形成伝播モデル
5-4銀河の衝突と潮汐相互作用
銀河の大きさと間隔/銀河の衝突/潮汐力による尻尾/爆発的星形成銀河/銀河の合体
5-5活動銀河とその中心核
活動銀河と通常銀河/電波銀河/セイファート銀河/クェーサー/銀河中心ブラックホール/激しい変光と降着円盤
5-6宇宙ジェット
電波ローブ/ジェット構造/噴き出すガスの動き/超光速運動/いろいろな規模の宇宙ジェット
5-7銀河群と銀河団
局所銀河群/銀河の集団/銀河団と巨大楕円銀河/銀河の運動と見落としている質量/銀河団内ガス/スニャーエフゼルドビッチ効果/銀河からのガスのはぎ取り
5-8超銀河団と宇宙の大規模構造
超銀河面と局所超銀河団/おとめ座銀河団落下運動/大規模流とグレートアトラクター/超銀河団/銀河分布の空洞/宇宙の泡構造
5-9銀河の形成と進化
銀河の進化/銀河衝突と計算機シミュレーション/銀河の合体と成長

第6章 宇宙論
6-1ハッブルの法則と宇宙膨張
視線速度と赤方偏移量/銀河の視線速度とハッブルの法則/ハッブルの法則の意味/宇宙原理/宇宙の膨張/宇宙膨張と距離
6-2暗黒物質と暗黒エネルギー
光の速度と過去の世界/ハッブル定数が変化する原因/平坦な宇宙/la型超新星と宇宙の加速膨張の発見/暗黒物質と加速膨張/宇宙項/宇宙項と暗黒エネルギー
6-3ビッグバンと宇宙の晴れ上がり
宇宙膨張をさかのぼる/インフレーション宇宙と真空の相転移/クォークの発生と素粒子の発生/水素原子の形成と宇宙の晴れ上がり/黒体放射と宇宙背景放射
6-4宇宙背景放射の揺らぎ
宇宙背景放射の観測/天の川銀河の運動/宇宙背景放射の揺らぎ揺らぎの成長/暗黒物質と低温暗黒物質モデル
6-5宇宙暗黒時代と種族皿天体
宇宙暗黒時代/第1世代の天体/種族皿天体の特徴/種族皿天体の形成

第7章 宇宙を調べる方法
7-1光と電磁波
電磁波/波の特徴/電磁波の波長と周波数/電磁波と光/いろいろな電磁波
7-2大気の窓
大気の透明度/可視光の窓と電波の窓/大気の窓と地上観測/地上を離れた観測
7-3天体の基礎データ
天体観測の手法/データの整約/データの解析と解釈/発表と刊行
7-4観測の限界
測定量と誤差/ガウスの誤差分布/感度/分解能/角分解能/望遠鏡の基本性能と口径
7-5天体望遠鏡
望遠鏡の構成要素/動作原理から見た検出装置/電波の検出装置と反射鏡/赤外線の検出装置と反射鏡/可視光の検出装置/紫外線の検出装置/X線の検出装置と反射鏡/ガンマ線の検出装置と反射鏡/ボロメータ
7-6分光器
分光器/波の干渉/干渉を利用した分光器/可視光や赤外線の分光器/X線やガンマ線の分光器/電波の分光器
7-7干渉計と補償光学
天体干渉計/光学干渉計と電波干渉計/超長基線干渉計/ホモロジー変形鏡と能動光学/補償光学

第8章 宇宙を理解する基礎理論
8-1観測と理論
学説と法則/新しい学説が成り立つには/正しい学説の判断基準/正しい学説の判定/理論の研究と観測の研究
8-2運動と力学
ニュートン力学/円運動の場合の加速度と力/重力の法則/天体の質量の推定法
8-3電磁気学
磁石と磁場/電荷と電場/電磁気学と場/マックスウェル方程式と電磁波/電磁波の発生と物質/ローレンツの力/磁場とガスの凍り付き
8-4電磁波の減衰と伝播
物質による電磁波の吸収/物質による発光/発光も吸収も混在する場合/光学的厚さ
8-5熱力学と統計力学
気体の性質と絶対温度/気体の熱膨張の法則/理想気体/分子と熱運動/気体の圧力と重力
8-6特殊相対性理論と一般相対性理論
マックスウェル方程式と光速の問題/ローレンツ変換/特殊相対論/光速の意味/重力場/一般相対性理論
8-7量子論
電磁波と光子/波動と粒子の2重性/輝線と吸収線/原子核反応/フェルミ粒子と縮退圧/縮退圧の性質
8-8理論と計算機シミュレーション
理論的研究/単純化と近似/計算機を用いた理論的研究/計算機シミュレーション/ソフトウェアとハードウェアの工夫
8-9方向の基準
天体が見える方向/高度と方位角/赤経と赤緯/黄経と黄緯/分点/銀経と銀緯
8-10天体までの距離
天体までの距離/信号の到達時間/見える方向の変化/大きさの比較/明るさの比較/系統的な運動/距離のはしご/距離の単位

索引

半田利弘 (編集)
出版社 : 誠文堂新光社 (2011/11/25)、出典:出版社HP