最新コンビニ業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

コンビニについてのトレンド・仕組みを知る5冊 -オーナーの働き方から外国人アルバイトまで
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はじめに

一九七〇年代の前半に誕生したコンビニは、四〇年で売上高約九兆円、店舗数約五万の小売業に成長しました。米国 から基本的なコンセプトは導入したものの、日本の社会に適合した独自のコンビニモデルを構築してきたことが、大発 展した理由です。

一九七三年の創業以来、セブン-イレブンはコンビニ業界を常にリードしてきました。「変化への対応」を社是に掲げ、 物流、受発注、商品開発などの分野で革新的なシステムをつくりあげてきました。二〇一五年二月期のチェーン全店売 上高は四兆八二億円、店舗数は一万七四九一店、全店平均日販は六五万五○○○円に達し、コンビニ業界で圧倒的な強 さを示しています。経常利益は二三二五億円に及び、スーパーのイオンや百貨店の三越伊勢丹ホールディングスなど、他 業界のナンバーワン企業を大きく引き離しています。セブン-イレブンが牽引するコンビニ業界は、年ごとに小売業界で の存在感を高めてきました。

しかし、コンビニ業界も安閑としている暇はありません。 少子高齢化の本格化、深夜営業を行うスーパーの増加など、 コンビニ業界を取り巻く環境が大きく変化しています。このためコンビニ業界では、若い男性客が主力客の従来型店舗 とは異なる「次世代のコンビ二像」を求める動きが活発化しています。コンビニ各社は、シニア向けや有職女性向けの 商品を充実した店舗を登場させるなど、新しい客層の開拓に余念がありません。

業界トップを独走するセブン-イレブンを追撃するための再編統合の動きも始まっています。業界三位のファミリー マートは業界四位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合の協議に入ってお り、コンビニ二社が合併すればローソンを抜いて業界二位に躍り出ます。ローソンも、中堅コンビニとの業務提携を活 発化させています。
「画一性」や「効率性」に立脚した店舗運営を行ってきたコンビニ業界は、いま大きな転換期にさしかかっています。 本書がコンビニ業界の過去と現在を的確に伝えるだけでなく、今後の進むべき方向を示唆することができたとすれば、著 者として限りない喜びです。二〇一五年七月根城 泰・平木 恭一

目次 – 最新コンビニ業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

はじめに
第1章 コンビニ業界の現状
ひと目でわかるコンビニ業界勢力図 –
1-1 四〇年で売上高九兆円規模の業界に…
1-2 上位チェーンの寡占化が進行–
1-3 小売業界のリーダー、セブン-イレブン・
1-4 活発化する新業態、新型店舗の開発
1-5 エキナカ、高速SAへの出店が加速….
1-6 セブン追い上げの一手でM&A—
1-7 業界の共通課題「オムニチャネル」
1-8 アジア展開図る大手コンビニ
1-9 PB商品で来店客数伸ばす
1-10 競争激化! 宅食サービス!
1-11 コンビニコーヒーが大ヒット
1-12 定着したコンビニATM
1-13 コンビニは銀行代理店?
コラム 店名とロゴの由来

第2章 コンビニ各社の経営戦略
2-1 オムニチャネル構築へ
(セブン-イレブン①)
2-2 ドミナント出店でエリア拡大
(セブン-イレブン②) –
2-3「単品管理」で卓越した情報戦略
(セブン-イレブン③)
2-4 オリジナル商品で差別化を図る
(セブン-イレブン④)
2-5 最先端の物流システムを構築
(セブン-イレブン⑤)
2-6 業務提携や協業、M&Aを加速
(ローソン①)
2-7 多様な店舗フォーマット展開
(ローソン②)—
2-8 ファミマがユニーグループHDと協議
(ファミマ①)
2-9 他業態との一体型店舗に注力
(ファミマ②)
2-10 新業態と海外に活路(ミニストップ) –
2-11 奏功するかローソンとの提携(ボプラ) –
2-12 一都三県に集中出店(スリーエフ)
コラム コンビニと雑誌…

第3章 コンビニチェーンの仕組みと仕事
3-1 そもそもコンビニとは?—
3-2 フランチャイズ方式で店舗網を拡大
3-3 コンビニ店舗開発の手法 –
3-4 チェーン本部の組織と役割—
3-5 コンビニチェーンを支える三本の柱
3-6 コンビニは情報武装産業
3-7 死に筋・売れ筋発見に重要な単品管理の仕組み
3-8 セブン-イレブンの情報システム–
3-9 店舗運営を支える情報機器 —
コラム コンビニと東日本大震災・

第4章 購買意欲を刺激する店舗のカラクリ
4-1 店内レイアウトの秘密—
4-2 食品中心の商品構成 —
4-3 売上げを支える新商品と定番商品
4-4 商品陳列と管理は温度帯別に
4-5 廃棄ロスを減らす発注が売上げ増に
4-6 接客技術の強化で店舗競争力を向上
4-7 クレンリネスの徹底が集客力に反映
4-8 従業員の戦力化が重要課題
コラム コンビニのライバルたち
(食料品スーパー編)

第5章 ヒットを生み出す商品開発のカラクリ
5-1 コンビニは新商品の実験場
5-2 セブン-イレブンのマーチャンダイジング
5-3 チームマーチャンダイジングでカフェを開発
5-4 客層に応じたマーチャンダイジング
5-5 品揃え強化のカウンターフーズ
5-6 苦戦する生鮮品販売
5-7 新サービスの開発で集客力を高める
5-8 原材料にもこだわる商品開発
コラム コンビニのライバルたち
(ハンバーガーチェーン編)

第6章 コンビニ型物流・製造システムのカラクリ
6-1 コンビニ型物流システムの形成
6-2 進化を続ける物流システム—
6-3 弁当配送方式の刷新
6-4 物流をトータルに展開–
6-5 物流グローバル化への取り組み
6-6 原料・製法にこだわった「金の食パン」
コラム コンビニ弁当を巡る2つの話

第7章 コンビニ業界の課題と対応策
7-1 低下する店舗販売力
7-2 廃棄物処理の取り組み
7-3 環境に配慮した業務運営を推進
7-4 二四時間営業の見直し
7-5 地域の安心・安全に貢献する
7-6「安全、安心、健康」志向への対応
7-7 深刻化するオーナー不足
コラム コンビニの防犯体制(その1)

第8章 コンビニ業界の将来展望
8-1 顧客をつかむCRM戦略
8-2 ドーナツ戦争始まる
8-3 進まない一般用医薬品販売
8-4 中堅コンビニ生き残りで業界再編
8-5 二〇二〇年五輪契機に観光客対応
8-6 社会・経済インフラとしてのコンビニ
コラム コンビニの防犯体制(その2)

Data 資料編
コンビニ関連統計データ・
主なコンビニ業界関連団体と関連企業一覧 –
索引