働き方 完全無双

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はじめに

先進国で生まれた、あなた。残念でしたね。
なぜ、残念かって?
だって、これから先、経済的に苦しくなっていくことが“明らか”だからです。
でも、大丈夫。ちゃんと現状を分析して、最悪な状況から順番にシミュレーションしていけば、個人の幸せは誰でも叶えられます。
沈みゆく日本で、あなただけが「無双」状態で働くには、どうすればいいのか。
それを本書では明らかにしたいと思います。

どうして日本は「ヤバい」のか?
まずは、現在の日本の状況から把握しておきましょう。
先進国の不況の原因には、次の3つがあります。
1.インターネットで情報流通のコストが無料になった
2.コンテナの発明で輸送費用がぐんと安くなった
3.ゲーム理論的に正直に商売したほうがトクになった
たとえば、Tシャツを5000枚作るとしましょう。
この3点を当てはめてみると、次のようになります。
ネットで、「一番安く作ってくれる企業」を探して、メールで注文し、クレジットカード決済をする。依頼された企業は、世界で一番人件費の安い国に作らせ、コンテナを使って低コストで指定の場所に届ける。安くて適当なモノづくりをしてしまうと、次の仕事が来なくなってしまうので、ちゃんとした品質で作る。
この結果、中国やメキシコ、バングラデシュといった人件費の安い国に、製造業のほとんどが持っていかれました。
ひと昔前は、メイド・イン・チャイナというと、「安かろう、悪かろう」が当たり前でした。しかし、今の時代は、かなり高い精度で安く良いモノづくりが実現できるようになりました。
すると、日本のように人件費が高い国で作ったものは、競争で勝つことができなくなります。先進国の製造業は不況になり、景気が悪くなり、さらに安いものが売れるようになり、ますます海外の安い商品が作られる……、と、日本にとって悪い状況が続きます。
もちろん、「付加価値」を与えることで日本国内でも競争に勝つことはできるでしょう。
けれど、「競争に勝ってお金を稼げる人」と「競争に負けてお金を稼げない人」の二極化は避けられません。
ここまでは製造業を例にしましたが、他の業界でも同じことです。先進国では二極化が進み、その差はどんどん開いていきます。あらゆる業界において、競争を勝ち抜いた一部だけが一人勝ちの状態になります。
でも、安心してください。
そこから抜け出せる“別の生き方”が存在します。

人生の「抜け道」を教えよう
競争に敗れてお金が稼げないのであれば、お金がなくても大丈夫な状態にすればいいのです。「お金がなくても工夫して幸せを目指す」という生き方です。
そのためには、「常識的な考え方」を転換させて、経済と個人の幸せを切り離せばいいのです(その方法は、前著『無敵の思考』で21個のルールにしてまとめています)。
そして、もう一つ。今回は違う方法を提示してみようと思います。
それは、“個人として、ワンチャンを狙いながら幸せを目指す”という生き方です。
「働き方」にフォーカスをして、一発逆転を狙えるようにするのです。
仕事に必要なのは「スキル」ですが、「スキル」というのは、勉強すれば誰でも身につきます。
プログラミングも、簿記や会計の知識も、外国語をマスターするのも、時間をかけて勉強すれば、ある程度、誰でもできるようになります。学生時代に学んでいなくても、そういう職場環境に自らを置けば、誰だってスキルは身につきます。外国人のコンビニ店員で、いつまで経っても仕事ができない人なんて、見たことがありませんからね。
そもそも、スキルはコモディティ化するものです。どういうことかというと、人が身につけたことは、マニュアル化され、誰でも再現可能になり、価値が下がるということです。すると、一度身につけたスキルだけで食っていくことはできなくなります。
まして、今は人工知能(AI)の技術が成長していますから、これまでは食いっぱぐれのなかった医者や弁護士でも、国家資格を持っているだけでは、これからの時代、つらくなってきます。資格(スキル)プラスアルファが求められるのです。

それって「たまたま」じゃね?
身も蓋もないことを最初に言ってしまうと、僕は、個人の「能力」というのは、かなり怪しいものだと思っています。
「2ちゃんねる成功の要因は何ですか?」とよく聞かれます。
「戦略?機能?それともネーミング?」
それらは、すべて「ノー」です。
真の答えは、「匿名掲示板の仕組み自体は元々あったけれど、途中でやめちゃう人が多く、たまたま僕だけが長く続けたから」です。
世界史を学ぶと、世界で覇者になる民族がいくつか現れますが、それは彼らが優れた能力を持っていたからではなく、地政学的に有利な場所にいたことが要因として大きいのです。
つまり、「たまたま、そこにいたから勝てた」のです。
企業においても、当初の計画どおりにうまくいった例よりは、いろいろな分野に手を出して、そのうちの1つが「たまたま当たった」というほうが多いのではないでしょうか。成功の秘訣は、「後付け」すれば誰だって理由を考えられますからね。
自分のスキルや能力を信じて、今と同じ頑張り方をしていては、みんなでアリ地獄の中で上を目指して走っている状況と変わりがありません。これからは、個人でワンチャンを狙えるように、今の「働き方」をアップデートさせるほうが近道です。
そこで、本書で提唱するのが、「“無双”状態で働けばいいんじゃね?」という逆転の発想です。

「無双状態で働く」とは
働くときに考えるべきなのは、個人の「攻め方」と「守り方」の2つです。
第1章では、「攻め方」を身につけましょう。能力を上げるのではなく、「相対的に自分を有利にする方法」を伝授します。
押さえておきたいポイントは、「何が当たるかわからない」「人に覚えてもらえばチャンスが増える」ということです。とはいえ、このへんの話は「〇〇術」「〇〇法」という内容で、他のビジネス書でもよく聞く話でしょう。
そして、それだけでは、これからの時代は不十分です。
沈みゆく日本で、みんなと同じ働き方をしていては、全員が一緒にやられてしまいます。先ほども言ったように、どんどん技術が進化し、あなたが特権的に得ていたものの価値が低くなってしまうからです。
そこで第2章では、「守り方」を教えます。
企業の論理に絡めとられることなく、「最悪、クビになっても大丈夫な状態」にしておくということです。
ここで必要なのは、社会学的視点です。押さえておきたいポイントは、「ブラック企業」と「ベーシックインカム」についての知識です。ブラック企業の論理に負けず、ベーシックインカムをもらうことを前提に生きることを目指します。
詳しくは本書で説明しますが、ベーシックインカムとは、「国民全員に生活を保障するお金を支給する」というシステムです。さまざまな議論がされていますが、月7~8万円を配るのは可能じゃないかと、僕は考えています。
すぐには実現されなくても、それを前提とした「マインド」にしていくことはできます。そのための理論武装を紹介します。

「スキル×理論×経営者視点×環境」が“無双”だ
以上、あなた個人の「攻め方」と「守り方」を固めてもらうのですが、もう一つ必要になってくるのが、企業側の視点です。
第3章では、「企業の論理」を紹介します。
というのも、僕は、学生時代に起業をして以降、サラリーマンとして働いた経験がありません。ずっと、「経営者」側として生きてきました。
そこで、会社の「法則」と呼ばれるものを、本音でお伝えしたいと思います。ここで大事なポイントは、「企業の成長と衰退」「できる人を伸ばす」ということです。
ネット時代になり、一代で大企業にまで急成長する例も増え、その一方で事業の寿命は短くなっています。そのロジックを説明しましょう。
また、「たまたまそこにいたから」というワンチャンを狙うには、「業界選び」が重要になってきます。銀行やテレビなど、一時は時代を謳歌した業界が「オワコン」と呼ばれている昨今で、何がこれからのチャンスになるのか。
それを、「終章」で提示して本書を締めくくります。
“個人の「攻め方」「守り方」をマスターし、企業の「論理」を身につけて、業界としてよりよい「環境」に身を置く”
これこそが、本書の目指す「働き方 完全無双」です。
これからも日本で働いていく上で、どんな状態があなたを相対的に有利にさせるのか。
その方法を徹底的にお教えしたいと思います。

ひろゆき

ひろゆき (著)
出版社: 大和書房 (2018/4/14)、出典:出版社HP

目次 – 働き方 完全無双

はじめに
どうして日本は「ヤバい」のか?
人生の「抜け道」を教えよう
それって「たまたま」じゃね?
「無双状態で働く」とは
「スキル×理論×経営者視点×環境」が“無双”だ

序章
まずは「個人」と「社会」を分けるとこから
「人類は進歩しないほうがよかった」説
すべてを決めていたもの、「神」
神に逆らいはじめた「天才たち」
個人で核が作れちゃう現代
相対的に有利になれ
「権利」は徹底的に追求すべき
「守り方」を無双せよ
「これから停滞します」宣言
「頑張っている人」の足を引っ張るな

第1章 能力なんてものは存在しない―個人の「攻め方」無双
1 「新しいこと」にはとにかく首を突っ込んどけ
ある日、「ゲタを履く」瞬間
「無料ツール」はやらなきゃ損
「結果」はすぐに求めるな
「参入障壁」を下げておく
「一部の熱狂的な支持」と「敵」
「著述家が最強」説

2 「イヤなこと」をやるためのスキルが人生をラクにする
基本は「ダメなやつ」と思え
「なんでもやります!」って言うな
「勇気ある行動」がブラック企業をなくす
「答えがない仕事」はキッパリ決断する
「ネーミングセンス」がない人へ
ゲームと割り切ればいい
「付け込まれる人生」から逃れよ

3 てっとり早く能力以外の部分で「レア」になれ
「貯金」があなたを自由にする
「お金が貯まる人」の思考法
「快感」って知ってる?
動物的に「強い人」はトクをする
「変わった名前の人」と営業成績
名刺に「おばあちゃんの顔」を入れる理由
雑談フェーズで「弱み」を見せろ
「声」の高低差戦略
「女性からの理手」は効果的

4 「人に好かれるか、嫌われるか」問題に最終結論を
「有名になること」のデメリット
人を「見た目」で判断しよう
嫌われても平気な僕の原風景
仕事も子育ても「承認欲求」は同じ
長期ビザ取得は「ハードゲーム」
「笑顔の人」は損しない

第2章 あなたが社会に殺されないために―個人の「守り方」無双
1 「ブラック企業」から身を守る方法、まとめといた
ブラックさを「ラッキー」に変える
いつでも「録音」できるように
ブラックは「根絶やし」にせよ
個人がブラック化するかも?

2 若者よ、「ベーシックインカム」を前提に生きよ
日本は今、どんな状況?
「人件費」という見方ができるか
今すぐ2000万円をもらうか、死ぬ直前にもらうか
「2人で月10万円」でどうにかしなさい
「高齢者優遇」が若者を殺す
「生活保護」戦略
ニート時代を「黒歴史」にしない方法

3 ひろゆき流「さっさと寝る」技術
誰でも簡単に寝てしまう方法
脳をダマせば眠れる
寝ることはメリットづくし

4 パフォーマンスを保つロジカル「健康」ルール
「世界最高齢の女性」の食事
「絶食」のすすめ
「腰痛と肩こり」対策
「鼻炎と頭痛」対策
「依存」は無くせ
激しい運動より「歩け」

第3章 会社がずっと生き残るわけないじゃん―経営者視点の「企業の論理」無双
1 結局、「仲いい会社」が生き残る件
全員が「NO」と言わない人材
人間関係のトラブルは「最初」になくせ
「スキルがある人」より「いい人」を
「ランニングコスト」を下げられるか
「大きすぎる案件」を疑え
やはり「地方」がコスパ最強?

2 そもそも事業は「なくなるもの」である
「同じ釜のメシ」幻想
「繰り返し」は悪?
生産性か、付加価値か
「弱い個人」も戦える

3 「優秀なやつ」と「新しい産業」の足を引っ張るな
「働き方改革」の弱点
全体が「損」をする論理
「行き過ぎた規制」が産業を潰す
仮想通貨市場はどうなる?
「よくわからんもの」を恐れるな
「禁止」は一時的にせよ
「禁止」を禁止せよ

4 イス取りゲームではなく「イスを増やす人」を応援すればいい
「尊敬する人」は誰ですか?
「職人」は一国を支えられない
有能な人はポランティア団体を立ち上げるか?
金持ちに対する「国民性」の違い
「ゼロサムゲーム」は意味がない
「国内向けビジネス」はジリ貧

5 上に立ちたいなら「何もしない雄ライオン」たれ
「トラブル」はお好き?
「あら探し」の才能
裁判ぶっ続け生活で学んだこと
サラリーマンタイプか、経営者タイプか

6 死んでも「オワコン業界」は選ぶな
「コンビニ店員」は生き残るかも
売上に「変化」を及ぼしているか?
先進国で日本だけがマズい?
「無人バス」に対する反応
若者が食っていく道

終章 日本はこうやって生き延びろ
国が競争を降りられるか?
60的年代の街並みを残すキューバ
マーライオンの戦略を学べ!
「雪山のサル」で食っていけ
「カジノ」は長期的に苦しい
スイスの「没落」のすすめ
「世界の金持ち」を呼び込もう
セレブのための「箱」を作れ
「いらない仕事」から消えていく
海外の「安い労働力」を入れるな
「競争から逃れる国」になれるか?

付録
おすすめ観光リスト
おすすめ映画リスト
ベーシックインカム案
おわりに

ひろゆき (著)
出版社: 大和書房 (2018/4/14)、出典:出版社HP