0ベース思考—どんな難問もシンプルに解決できる

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すべてのバイアスをゼロにして読む?

本書は、経済学者のスティーブン・レヴィットとジャーナリストのスティーブン・ダブナーのコンビによる、バイアスをゼロにした思考法についてまとめた本です。
バイアスが人間の意思決定や判断に影響をもたらすこと自体は、おそらく多くの人が既に感じていることでしょう。しかし、いざある物事を考えているとき、自分自身にバイアスが働いているかを自覚している方はどのくらいいるでしょうか。

やはり、子供の頃と比較して年齢を重ねている結果、知っていることが増えるため、過剰に自分は知っていると思い込むことが増えてくるものです。しかしそのバイアスによって、本当に適した解決策を生み出すことが阻害されやすくなります。

本書では、ゼロベースで思考することによって、問題の解決を図る方法とそのアプローチが有効な理由について紹介しています。本書のテーマの通り、鋭い視点からのアプローチが多く、一見すると常識に反することでも、説明を聞けば納得できる項目が多いと感じます。
こどものように考えることやルーツを辿って要因、根本原因を見つけることはまさにゼロベース思考ですが、その他にも効果的なインセンティブの条件やうまく相手を説得する方法など、鋭い洞察から発見した共通点が紙面に展開されています。著者が自らこの思考法を実践し、結果を示しめしているのでしょう。どれほど計算された本なのか、と考えてしまいます。

スティーヴン・レヴィット (著), スティーヴン・ダブナー (著), 櫻井祐子 (翻訳)
出版社: ダイヤモンド社 (2015/2/14)、出典:出版社HP

 

THINK LIKE A FREAK
by Steven D. Levitt and Stephen J. Dubner

©︎2014 by Steven D. Levitt and Stephen J. Dulner Japanese translation rights arranged with Steven D. Levitt and Stephen J. Dubner
c/o William Morris Endeavor Entertainmem LLC, New York
through Tuttle-Mori Agency, Inc., Tokyo

脳を鍛え直して、大小問わずいろいろな問題を普通とは違う方法で考える。
ちがう角度から、ちがう筋肉を使って、違う前提で考える。
やみくもな楽観も、ひねくれた不信ももたずにすなおな心で考える。

目次

第1章 何でもゼロベースで考える
―バイアスをゼロにしてアプローチする思考法

「PKを蹴る方向」も合理的に決められる
キッカーはゴールを決めたい「だけ」なのか?
人は「みんなの利益」より「自分の利益」を優先する
「目のつけどころ」を変えて、問題を解決する
「直観」や「主義主張」を排除する
本当のことを言うと「変人扱い」される
「道徳のコンパス」が判断を狂わせる
「タブー」を突いたら、どう反応するか?
次期首相に提示した「思考実験」

第2章 世界でいちばん言いづらい言葉
―「知らない」を言えれば、合理的に考えられる

あなたは「知っている」と思い込んでいる
問題解決は「事実」を集めるだけではできない
専門家の予想の「的中率」はチンパンジー並み
ノーベル賞学者が出した「シンプルな答え」
ほとんどの人が「自分は他人よりできる」と思っている
「得」をするから、知ったかぶりをする
こうしてあなたは「知っている」と思い込む
なぜ、より豊かな人ほど「自殺」するのか?
人類史上初めて「パン」をつくるとしたら?
「ヘンなフィードバック」で判断を誤る
クビになるから「まともなこと」ができない
「知らない」と言って、現実に直面する
気づかせないまま「実験」に参加させる
新しいアイデアを試し、新しい質問を立てる
全米での大規模「試飲実験」の奇妙な結果
「評価」を決めているものの正体を見抜く
「わからない」と言う難しいけれど効果的な戦略

第3章 あなたが解決したい問題は何?
―問題設定を変えて、すごい答えを見つける

「まじめな人」なら見落としてしまうこと
ゼロベースで、問題を「正しくとらえ直す」
なぜ、「突然変異」的な記録が出たのか?
100メートルを4秒台で走ったレベルの数字
異常なようで「最も鋭い」アプローチ
試しながら「却下」する戦術を決める
「ゲームのルール」を書き換える
脳への「だまし」が限界を押し広げる

第4章 真実はいつもルーツにある
―ここまでさかのぼって根本原因を考える

銃規制は「犯罪率の減少」と関係がない?
「避けて通りたいところ」にカギがある
大昔の「宗教の違い」が、現在の「収入の違い」を決めている
徹底的にさかのぼって「要因」を見つける
なぜ、商人は奴隷の顔を「なめる」のか?
裏づけがなくても、怪しい「答え」が定着してしまう
「これはいったい何なのか」を突きつめる
自分自身で「2つの可能性」を検証する
人類最大の問題の「根本原因」とは?
ウンコの力が新しい時代を開く

第5章 子どものように考える
―「わかりきったこと」にゼロベースで向き合う

誰も考えない「小さな問題」を考える
学力アップには、すごい教育法よりメガネのほうが効果大?
これ以上ないほど単純でなくてはいけない
人間を「機械」のように考える
「卓越したパフォーマンス」の秘密とは?
銀行預金も「当たり付き」にしてしまえばいい
ゲームの売上を全部「寄付」に引っ張るには?
子どもより大人のほうがだましやすい
「ちがう角度」から見ると答えがわかる

第6章 赤ちゃんにお菓子を与えるように
―地球はインセンティブで回っている

「過失傷害」より「殺人」を選ばせるインセンティプ
人を頑張らせたければ、「カネ」をやればいい?
口に出す希望と「本当にやりたいこと」はちがう
人がいちばん強く反応するインセンティブは何か?
「道徳的インセンティブ」では人を動かせない
慈善も「経済」の問題になる
誰も言いたがらない「人がその行動をする本当の理由」
「これっきり戦略」で、もらう金額を増やせるか?
うまく「関係の枠組み」を変えれば得をする
中国とアメリカが「世界を変えた」方法
時給11ドルの安仕事も「競争率100倍」の人気職にできる
環境汚染を防ぐ作戦が、汚染を拡大させる
「コブラ効果」が生まれる理由
インセンティブを考えるなら、これを守れ

第7章 ソロモン王とデイビッド・リー・ロスの共通点は何か?
―庭に雑草を引っこ抜かせる方法

赤ちゃんを「真っ二つ」に切るという解決策
おやつに「m&m’sの茶色」を入れるな
嘘つきは、人とはちがうインセンティブに反応する
口を割らなければ「神さま」に決めてもらえばいい
灼熱の鉄棒を握っても「3分の2」が火傷しなかった
いちばん「神」を信じていない人間は誰か?
応募者を減らしたほうがいい人材をつかまえられる
研修だけでやめるなら、2000ドルのボーナスを出そう
敵に自分から「これから行きます」と言わせる
「べらぼうな利益」を生む仕掛けとは?
なぜ、詐欺師は「ナイジェリア出身」を名乗るのか?
「疑陽性率」を極限まで下げたい
こうすれば選りすぐりの「カモ」が見つかる
銀行取引のデータから「テロリスト」を洗い出す
ぼくたちが仕掛けた「生命保険詐欺」のトリック

スティーヴン・レヴィット (著), スティーヴン・ダブナー (著), 櫻井祐子 (翻訳)
出版社: ダイヤモンド社 (2015/2/14)、出典:出版社HP