PPP-PFI事業提案書の作り方 プロが教える発注者に評価されるテクニック

【最新 – インフラ投資、PPP、PFIを学ぶおすすめ本】も確認する

提案書作成のコツがわかる

本書は、PPP-PFIの受注・選定に向けた提案書づくりのノウハウをまとめている本です。最近関心が高まっている、PPP-PFIの基本的な背景から重要となるポイント、事業提案書をつくる体制の構築と実行プロセス、評価の高い提案書にするための極意などを紹介しています。

岡崎 明晃 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2018/11/27)、出典:出版社HP

はじめに

◎PPP-PFIへの関心の高まり

PPP-PFIへの関心が、ここへきて、俄かに高まっているように思えます。本書を手に取ってくれた方々には、釈迦に説法となりましょうが、 「PPP-PFI とは」を簡単に説明します。
PPP はパブリック・プライベート・パートナーシップの略で、公民 連携(官民連携)と呼ばれ、PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公 設民営(DBO)方式、包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシン グ等のさまざまな事業形態があります。
一方、PFIはプライベート・ファイナンス・イニシアティブの略で、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金とノウハウを活用する公共事業の手法です。さらに、公共施設等運営権制度を活用した PFI 制度については、コンセッション方式と呼ばれています。
では、なぜ、今、PPP-PFI なのか…。その背景には、「国や地方自治体の財政健全化に向け、民間の資金とノウハウを活用した効率的で効果的な公共サービスの提供、2地方創生や地域活性化に向け、民間活力による魅力ある地域づくり、3経済活性化に向け、民間部門への新たな ビジネスチャンスの提供――等々があります。

◎金額だけでなく提案内容の表現技量で大きく勝ち負けに差がつく

PPP-PFI の入札・公募においては、金額と提案が総合的に評価され るため、提案内容の表現技量で大きく勝ち負けに差がついてしまいます。
本書は、そんな PPP-PFIの関連業務に実際に携わる人たち、特に民 間事業者として提案する立場の人たちが、何をどうすれば、首尾よく受注・選定につながるかについて解説しています。具体的には、事業発注者(自治体等)が示す募集要項や要求水準書をどう読み解くか、どのようなプロセスで提案書を作成していくのか、高評価が得られる提案書を作成する際のキーポイントは何か、プレゼン ションを成功させるには何が必要かについて詳細に示しています。

◎提案書づくりとプレゼンのエキスパート集団を率いて

私が、PFI の萌芽期に事業提案書づくりに携わってから、早や20年近くが経とうとしています。私は若いころ、化学メーカーや機械メーカーでプラントエンジニア、企画担当等の仕事に就き、海外のプラント建設も経験しました。プラントづくりを通して、土木・建設、機械設備に関する知識・ノウハウを身に付け、施設の維持管理について学びました。そうした現場体験を活かすべく、今から15年前に立ち上げた会社がベックスです。
ベックスは、「効率的で質の高い公共サービスの実現」をお手伝いする会社です。公と民の橋渡しをするコンサルティング会社ともいえます。メイン業務としては、民間サイドに立った、提案書の作成支援、デザイン・パース類の制作、公共施設の管理運営・立ち上げ支援、各種モニタリングの実施・評価に取り組んでいます。最近では、民間企業による都市再開発事業や海外向けの事業案件等にも取り組む一方で、自治体 等発注者サイドの仕事もお手伝いしています。

◎地域住民ファーストの視点

公と民。双方の視点から、公民連携の“最適解”を探すのが当社のミッションだとも思っています。最適解を導き出すのに欠かせないのが、まず地域住民ありきという「地域住民ファースト」の視点です。例えば、公共スポーツ施設や公営住宅を建てる際には、スポーツだけ、居住だけに目を向けるのではなく、顧客である地域住民のニーズ、ウォンツを探り出し、それらに応える幅広の提案を行うことが大切だと考えています。
ベックスでは、地域住民ファーストを形にするべく、全体を俯瞰する鳥の目、ディテールにこだわる虫の目、流れを見て取る魚の目の3つの 目を持って、日々、公と民の橋渡しに努めております。

◎本書の構成と内容について

長年の実務経験やセミナー・講演会での気づきを一冊の本に要約し公開すれば、PPP-PFI の普及発展の一助となるのではないか…。そう考えて本書を出版しました。
第1章では PPP-PFI をはじめ、コンセッション、指定管理者制度、および総合評価方式等、公共事業の各種事業形態や評価方式に触れ、公共施設・サービスに関わるトレンドを概説しています。第2章では発注者は何を求めているのか、募集要項や要求水準書から何を掴めばいいのかについて私なりの見解を述べています。第3章~第6章では、提案書にまつわるあれこれを詳述しています。全ページ数の半分以上をこの部分が占めます。受注・選定獲得のキモとなるのが提案書なので、ぜひ目 を通していただきたい部分です。第7章では、ここへきて、その重要性が一段と高まっているプレゼンテーションについて言及しました。各章 の末尾には個人的な思いやエピソードを綴ったコラムを配しています。
提案書やプレゼンのくだりには、PPP-PFI の実務のみならず、さまざまなビジネスシーンでも有用となる普遍的な事柄を少なからず紹介しています。本書がPPP-PFIの受注・選定を目指す企業関係者はもとより、 行政機関の関係者、さらに各方面で活躍されるビジネスマンの方々の目 に留まり、少しでもお役に立つことができましたら幸甚の至りです。
なお、本書の執筆に当たって、多大なご尽力をいただいた山下郁雄氏と日刊工業新聞社出版局の土坂裕子氏に厚く御礼申し上げます。

2018年11月
ベックス株式会社 代表取締役 岡崎明晃

岡崎 明晃 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2018/11/27)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章 公共施設等の整備・運営事業を取り巻く環境
1-1 中野サンプラザの民営化の変遷
1-2 公共事業の入札・公募をめぐる動き
1-3 PPP-PFIの歩みと今日
1-4 注目のコンセッション方式
1-5 指定管理者制度とは
1-6 その他の PPP 関連事業
1-7 総合評価落札方式の変遷と現状
1-8 PPP-PFIの必要性と振興策
column 1 地域住民のニーズの多様化とマズローの欲求段階説

第2章 要求水準等の公募資料を読み解くポイント
2-1 発注者は何を求めているのか
2-2 公募資料を読み込むポイント
2-3 上位計画及び関係法令・条例等の把握
2-4 要求水準と関係書類の位置づけ
2-5 要求水準書を読み解く
2-6 審査委員への対応
column 2 ストロングマネージャーとマネジメント

第3章 事業提案書作成のための体制づくり
3-1 最近の入札・公募結果のトレンド
3-2 事業提案書とは
3-3 事業提案書の作成フロー
3-4 現地調査の実施と現地情報の重要性
3-5 提案力アップに向けた基本方針と方策
column 3 ジョハリの窓とコミュニケーション

第4章 事業提案書作成のプロセス
4-1 事業提案書作成に向けた4段階
4-2 様式集(フォーム)の作成
4-3 モック(提案骨子)の作成と提案内容の整理
4-4 用語(禁則)集の作成
4-5 スケジュールの策定と管理
4-6 プロジェクトルーム活用による集中作成
4-7 枚数確認表と業務分担表の作成
4-8 ドキュメント管理
4-9 図表等で使用する色彩の確認
4-10 作業の効率化とコストセーブ
column 4 提案書の切り口とイノベーション

第5章 事業提案書のポイント
5-1 主な審査項目
5-2 理念と実施方針のまとめ方
5-3 理念と実施方針の主な記載内容
5-4 事業計画の考え方
5-5 施設の設置目的と役割に対する考え方
5-6 広報・PR 活動の考え方
5-7 運営業務の提案のポイント
5-8 維持管理業務の提案のポイント
column 5 図表や写真等のカタチ

第6章 高評価の事業提案書の作成ノウハウ
6-1 評価される事業提案書とは
6-2 発注者側の意図の理解
6-3 要求水準に対する明確なアウトプットとインプット
6-4 アウトプットとインプットの記載方法
6-5 ロジックの整理
6-6 事業提案書の変遷
6-7 読みやすさと分かりやすさ
6-8 文字は少なく、図表で表す
6-9 ストーリー性のある表現
6-10 地域住民と読み手への配慮とやさしさを大切に
column 6 親しみのある色使い

第7章 プレゼンテーションに挑む
7-1 プレゼンの実施例と確認事項
7-2 プレゼンの目的
7-3 プレゼン準備の基本方針
7-4 プレゼン資料作成のプロセス
7-5 想定問答集の作成
7-6 プレゼン力をアップさせるポイント
7-7 パワーポイントの活用及び演出効果
column 7 ベックスの設立と本の執筆に至るまで

参考文献・資料

岡崎 明晃 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2018/11/27)、出典:出版社HP