アセモグル/レイブソン/リスト マクロ経済学

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本書はDaron Acemoglu, David Laibson, John A. List, Microeconomics (2015, Pearson Education)の日本語版です。アメリカ経済学をリーディングする3人が書いたマクロ経済学となります。最新のマクロのスタンダードをやさしく最先端を紹介しています。

ダロン アセモグル (著), デヴィッド レイブソン (著), ジョン リスト (著), 岩本 康志 (翻訳), 岩本 千晴 (翻訳)
出版社: 東洋経済新報社 (2019/2/1)、出典:出版社HP

Original Title
ECONOMICS, 1st Edition
by ACEMOGLU, DARON; LARSON; DAVID; LIST; JOHN

Authorized translation from the English language edition, entitled ECONOMICS, 1st Edition. ISBN: 0321391586 by ACEMOGLU, DARON: LAIBSON, DAVID LIST, JOHN, published by Pearson Education, Inc. Copyright ©️2015

All rights reserved. No part of this book may be reproduced or transmitted in any form or by any means, electronic or mechanical, including photocopying, recording or by any information storage retrieval system without permission from Pearson Education, Inc.

JAPANESE language edition published by TOYO KEIZAI INC. Copyright ©️ 2019

Japanese translation rights arranged with PEARSON EDUCATION INC. , through Tuttle Mori Agency, Inc. , Chiyoda-ku, Tokyo, Japan

いつも私たちに元気を与えてくれる
アスー、ニーナ、ジェニファーへ
感謝の気持ちを込めて

まえがき

経済学はとても面白い。経済は驚くべき仕組みでできている。スマートフォンを前にして私たちが思い浮かべるのは、とてつもなくすばらしいテクノロジーに関する複雑なサプライ・チェーンだ。そこでは、世界中で製造された部品を組み立てるために、多くの人々が生産に参加している。

誰の命令によるものでもなく、世界を動かす市場の力は、意識の存在や人生そのものと同じぐらいに、印象的で深淵な現象だ。市場システムの創造は、人類が創り出した最大の作業であることは間違いない。

経済学の考え方はシンプルなものでありながら、世界の出来事を説明し、予測し、改善するうえでとても役に立つ。それを知ってもらおうと思い、私たちは本書を執筆した。学生たちに経済分析の基本的な原理を理解してもらうために、人間行動を理解するうえでの経済学のアプローチの核心を3つの原理にまとめた。3つの原理は抽象的な単語にまとめられているが、その内容は直観的に理解できるものだ。

経済学のアプローチにおける3つの原理

第1の原理は最適化である。最適化とは、人々は可能な選択肢の中で最善のものを選ぼうとする、という考えだ。誰もがつねに最適化ができているとは限らないが、人々は最適化を試みることによって、多くの場合にうまく最適化を行っている。最大の便益をもたらす選択肢を選ぼうと努力する意思決定者にとっては、最適化とは人間の行動を予測するための有用なツールである。最適化はまた、有用で規範的なツールでもある。最適化のための方法を学ぶことによって、人々は意思決定と生活の質を向上させることができる。本書を読み終えた後には、誰もが最適化行動をうまく選択することができるようになっていることだろう。最適化を行うには複雑な数式は必要なく、ただ経済学的直観を用いるだけでよい。

第2の原理は、第1の最適化の原理を拡張することによって導き出される均街の原理である。経済システムは均衡の下で機能する。均衡とは、誰もが同時に最適化しようとしている状態だ。幸福度(ウェル・ビーイング)を最大限に高めようとしているのは、自分だけではない。各人が今とは違う行動をとっても状況は変化しないと誰もが感じるときには、その経済は均衡状態にある。均衡の原理は、経済主体のつながりに注目するものである。たとえば、アップルストアには、大勢の消費者がiPhoneを買いに来るので、大量のiPhoneの在庫が用意されている。その一方で、多くの消費者は、iPhoneが買えると思うからアップルストアを訪れる、とも考えられる。均衡においては、消費者も生産者も同時に最適化しているのであり、両者の行動は関係しあっているのである。

最適化と均衡という最初の2つの原理は、概念的なものである。それに対して、第3の原理である経験主義は、方法論である。経済学では、経済理論を検証したり、世の中について学んだり、政策担当者と話をする際には、データを使う。本書においても、データは主役である。ただし、実証分析は、極めて単純なものにとどめている。本書が他のテキストと違うのは、経済学の理論と現実データのマッチングに重点を置いた点にある。すなわち本書では、経済学ではどのようにデータを用いて具体的な問題の解決策を示すのかを描いている。各章の記述は、具体的でかつ読んで面白いものであることに努めた。最近の学生は理論の背景にあるエビデンス(実証的裏づけ)を求めるものだが、それについても十分に提供した。

たとえば、各章では、実証的な質問を提示して、その後に、データを使ってその質問に答えていくというスタイルをとっている。たとえば、7章は、以下の質問からスタートする。

「アメリカ経済は、過去200年間にわたって、なぜ経済成長を続けることができたのか?」

7章では、アメリカが経済成長を成し遂げ、また私たちの暮らしが数世代前よりも格段に向上している主要な要因は、主に技術進歩にあることを学ぶ。

自分たちの経験を振り返っても、経済学を学びはじめた当初の学生たちは、経済学は理論重でエビデンス(実証的裏づけ)に乏しいという印象を持っていることが多い。本書では、データを用いることによって、経済学ではどのように科学的分析や改善が行われているかを説明する。データを用いることによって、概念の理解は容易になる。またエビデンスが示されることによって、学生は直観的に理解できる。データは、抽象的な原理をより具体的な事実に変換してくれる。各章では、学生が興味を持ち続けることができるように、経済学ではどのようにしてデータを使って疑問に答えているのかについて焦点を当てる。どの章をとっても、経済学を科学的に応用するにはエビデンスが重要な役割を果たしていることが示される。

コラムの目的

3種類のコラムの目的は、現実社会の問題を直観的に理解することである。

「根拠に基づく経済学」(EBE) EBEは、各章冒頭で取り上げた問いに答えるコラムであり、経済学ではどのように現実のデータを用いて問いに答えるかが示されている。EBEでは、各章で議論する重要な概念に関係する実際のデータが使用される。データを活用することによって、自分たちを取り巻く世界の中で経済学が果たしている役割について、読者はよりリアルに実感が湧くだろう。

各章の質問で取り上げるのは、無味乾燥な理論だけに基づく概念ではない。たとえば、以下のように、教室の外の現実社会に関連した問いが取り上げられる。

フェイスブックは無料か?(1章)
大学には、進学する価値はあるのか?(2章)
熱帯地域と亜熱帝地域の貧困は地理的条件が原因なのか?(8章)
2007~09年の景気後退はなぜ起きたのか?(12章)
ナイキのような企業はベトナムの労働者の敵なのか?(14章)

「データは語る」 2番目のコラム「データは語る」では、現実のデータを議論の根幹に据えることからスタートして、経済に関する疑問を分析する。以下のようなコラムがある。
平均寿命とイノベーション(7章)
相互につながった世界で暮らす(14章)

中国政府が元の過小評価を維持させた理由(15章)

「選択の結果」最適化の原理を扱う本書では、現実の経済的意思決定の問題を考えたり、また過去に行われた経済的意思決定の評価をしたりする。そうした課題に取り組むコラムが「選択の結果」だ。そして、同じ意思決定の問題を、経済学ではどのように取り扱うのかについて学ぶ。以下のようなコラムがある。
指数的成長がもたらす結果(7章)
対外援助と腐敗(8章)
大きすぎて潰せない(10章)

本書の構成

「第Ⅰ部 経済学への誘い」の目的は、世界を知るための経済学的な考え方を理解するための基盤を作ることである。「1章 経済学の原理と実践」では、最適化の原理が私たちの選択のほとんどに関係していることを学ぶ。私たちは便益と費用を考慮に入れて優先順位をつけるのだが、そのためには、トレードオフ、予算制約、機会費用について理解しなければならない。続いて学ぶ均衡とは、誰もが同時かつ個別に最遮化しようとしている状態であることを説明する。均衡では、自分の行動を変えることによって便益が変化することはない。また、個人の最適化と社会の最適化が必ずしも一致するわけではないフリーライダー問題についても紹介する。

データは経済学では中心的役割を担う。「2章 経済学の方法と問い」では、経済モデル、科学的方法、実証的エビデンス、そして相関関係と因果関係の重要な違いについて説明する。そして、人間の行動に関する興味深い疑問に答えるためには、経済学ではどのようにモデルやデータが利用されているのかを示す。結論では、グラフの作り方とその解釈の仕方について学ぶ。また、この補論では、インセンティブに関して実際に行われた実験が例として用いられる。

「3章 最適化:最善をつくす」では、最適化の概念について詳しく学ぶ。また限界分析を直観的に理部するために何を用いる。ここでは、アパートを探す際の、通勤時間と家賃のトレードオフが問題になる。ここでは、水準による最適化と差分による最適化という2つのアプローチが紹介されるのだが、経済学で用いられることが多いのは後者の差分による最適化(限界分析)の手法である。その理由についても学ぶことになる。

「4章 需要、供給と均衡」では、ガソリン市場を例にとって、需要と供給の枠組みについて学ぶ。ガソリン価格は、どのようにドライバーなどの買い手の意思決定に影響を及ぼすのだろうか?また、エクソンモービル社などの売り手の意思決定に影響を及ぼすのだろうか?4章では、以下の手順でモデルが構築される。まず個々の買い手を足し合わせて市場の需要曲線を作り、個々の売り手を足し合わせて市場の供給曲線を作る。次に、買い手と売り手を合わせて、完全競争市場において交換される財の市場均衡価格と市場均衡取引量がどのように決定されるのかを示す。最後に、価格が、需要量と供給量が一致するように調整できないときには市場が機能しなくなることを示す。

「第Ⅱ部 マクロ経済学への誘い」では、文字どおりマクロ経済学の基礎を学ぶ。「5章 国の富:マクロ経済全体を定義して測定する」では、基礎的な測定ツールについて説明する。経済の総産出量である国内総生産(GDP)を導出するフレームワークである国民経済計算について、生産、支出、所得の3つのアプローチから説明し、これら3つが等価であり、同じGDPの値になる理由を説明する。また、家庭における生産などの、GDPでは測定できないものについて考える。最後に、インフレーションの測定と物価指数の概念について議論する。

「6章 総所得」では、1人当たり所得(GDP)を国際比較する方法について、為替レートと購買力平価という2つの類似した手法を通して検討する。集計的生産関数は、一国のGDPが、物的資本ストック、労働資本(労働者1人当たりの総労働時間と人的資本)、および技術に関係づけられているかを説明する。また一国のGDPと、1人当たり所得、労働者1人当たりの物的資本ストック、人的資本、技術との関連を示す。これらのツールを用いれば、各国ごとの繁栄の水準に大きな差がある理由を説明できる。ここでも、物的資本、人的資本、技術は重要な要因となっている。

「第Ⅲ部 経済成長と発展」では、経済成長と発展について包括的に取り扱う。「7章 経済成長」では、経済成長が過去200年間を通して、多くの国々の姿を大きく変えてきたことを示す。たとえば、今日のアメリカの1人当たりGDPは、1820年当時の約25倍だ。この議論の中では、経済成長の「指数的」性質についても学ぶ。指数的成長とは、新しい成長は過去の成長のうえに成り立っていることを意味している。指数的成長があるときには、1人当たり成長率のほんの少しの違いが、数十年の時間を隔てると大きな差となって現れる。そのうえで、持続的成長は技術進歩に依存すること、また国ごとに長期的成長の経路が異なる理由を説明する。経済成長は、すべての市民に等しく恩恵をもたらすわけではない。一部の市民を貧困に陥らせてしまうことは、技術進歩が意図していることでは必ずしもない副産物だ。

物的資本や人的資本に十分に投資をせず、最新の技術を採用せず、生産を効率的に組織しない国があるのはなぜだろうか?世界全体が経済発展できないのはなぜだろうか?「8章 なぜ豊かな国と貧しい国があるのか?」では上の疑問に答えることを通して、貧困の根本的原因について考える。繁栄の根本的原因の仮説には、地理、文化、制度からの3つのアプローチがある。繁栄の地理的要因はしばしば貧困の根本的原因であるとして言及されるが、各国ごとに経済の繁栄水準が異なる理由を十分に説明するものではないことも議論する。

「第Ⅳ部 マクロ経済の均衡」では、労働市場、クレジット市場、銀行準備の市場について議論する。これらは、マクロ経済の分析において中心的な役割を果たす3つの重要な市場だ。「9章 雇用と失業」では労働市場、すなわち労働需要と労働供給について扱う。標準的な競争均衡においては、労働者の賃金と労働量は、労働需要曲線と労働供給曲線の交点で決定される。しかし、賃金が十分に伸縮的でない場合には、失業が発生する。この枠組みを用いることによって、摩擦的失業や構造的失業のような、様々な失業の要因についても議論をする。

「10章 クレジット市場」では、現代の金融制度が、どのようにして貯蓄者から借り手へと資金を循環させているのかについて説明する。また、金融システムを不安定にする様々なショックについて説明する。銀行やその他の金融仲介機関が、どのようにしてクレジット市場において需要と供給を結びつけているのかを学ぶ。また銀行の貸借対照表(バランスシート)を使って、短期負債を持つリスクと、長期投資をするリスクについて説明する。

「11章 金融システム」では、最初に貨幣の機能について説明する。そして、(アメリカの中央銀行である)連邦準備銀行(Fed)について紹介し、準備預金市場の需要と供給の役割に焦点を当てるとともに、金融システムの基本的な機能を明らかにする。準備預金をコントロールし、準備預金の金利(フェデラル・ファンド・レート)をはじめとした金利に影響を与えるFedの役割については詳細に説明する。最後に、インフレーションの原因と、インフレーションの社会的費用と社会的便益について説明する。

「第Ⅴ部 景気変動とマクロ経済政策」では、景気変動を分析するための最新の分析枠組みについて説明する。本書の分析は、包括的かつ統合的なものであり、経済学の異なる学派の考え方の中から最も妥当で有用な考え方を取り出して、関連する内容や有益な考え方を融合させたものである。我々の考えでは、経済学を学びはじめた学生が景気変動を理解するにあたっては、労働市場に眼を向けることが最も有益だ。そこで労働市場と失業を分析の中心に置いた。そして、その分析枠組みを、金融市場の役割と金融危機についての議論に拡大する。次に、過去100年間の理論と実証分析から明らかになった多岐にわたる重要な知見を融合させる考え方について提示する。

「12章 景気変動」では、アプローチの基盤である労働市場に焦点を当てる。様々な経済ショックがどのようにして景気変動を引き起こすのかが示される。技術変化、景況感(アニマル・スピリットを含む)、金利に影響を与えたり金融危機を引き起こす貨幣的・金融的要因などを検証する。それぞれのケースにおいて、当初のショックの影響が乗数効果の働きによって増幅されていく過程が説明される。また、賃金の硬直性が、労働市場のショックへの対応に影響を与える理由を説明する。景気後退と景気拡大の両方の分析に対して労働市場モデルを応用し、経済成長が遅すぎるときや早すぎるときに起こる問題について検討する。

「13章 反循環的マクロ経済政策」では、景気変動を部分的に相殺するために用いられる金融政策や財政政策について、その内容を議論する。ここでは近年、中央銀行が行っている最も重要な戦略が説明される。その後に、財政政策の役割について議論し、反析環的な支出や課税の影響を評価する際に用いることができる分析ツールを紹介する。

「第Ⅵ部 グローバル経済のマクロ経済学」では、グローバル経済と各国間の結びつきに関する多角的な視点を提供する。「14章 マクロ経済と国際貿易」では、特化、比較優位、機会費用の概念を用いて、国際貿易がどのように機能しているのかを示す。次に、企業内の業務の最適な配分について学ぶ。(国際貿易と同様に、企業における取引においても)比較優位に従うべきであり、個人は自分の職業を選択すべきであることが示される。そして、国際間の事業の最適な配分に眼を転じても、同じ原理が適用できることを示して、この視点を拡大する。次に、財とサービスの国際的な流れと貿易赤字が金融面に及ぼす影響について分析する。ここでは、貿易のグローバル化の様々なパターンを経済学で分析するための会計式(経常収支と金融収支)が提示される。さらに、技術移転の重要な役割についても議論される。

「15章 開放経済のマクロ経済学」では、異なる通貨間の為替レート(名目為替レートと実質為替レートがある)を決定する要因と、為替レートがマクロ経済に及ぼす影響について学ぶ。また、様々な為替相場制度と外国為替市場の働きについて紹介する。最後に、実質為替レートの変化が、純輸出とGDPにどのように影響を及ぼすのかについて学ぶ。

謝辞

私たち3人の執筆者は、テキスト・プロジェクトに取り組むにあたって、経済学だけではなく、教育(ティーチング)、執筆(ライティング)についても議論を重ねた。加えて、本書執筆の段階では多くの方々から、さらに多くを学ぶことができた。貴重な助言に対して、遊んで感謝申し上げたい。それらの助言は、執筆開始時には想像もできなかったほど、大変に貴重なものだった。彼らの洞察とアドバイスのおかげで本書のアイデアは大きく改善されることとなった。

本テキストのレビュアー、フォーカス・グループ、テスト授業参加のみなさんには、どのように私たちのアイデアを組み立てていけばいいのかを示していただいただけでなく、執筆をサポートし、私たちの文章をより簡潔にするためのお手伝いをしていただいた。彼らのすばらしいフィードバックは、経済学についての私たちの誤解を修正し、概念的な思い込みを改善し、明快に執筆する方法を示してくれた。彼らのアドバイスによって、本書のあらゆるパラグラフが改善された。サポートをいただいた方々を以下に紹介しよう。

リサーチ・アシスタントのAlec Brandon、Justin Holz、Josh Hurwitz、Xavier Jaravel、Angelina Liang、Daniel Norris、Yana Peysakhovich、Jan Zilinskyには、データの分析、文章の推敲、本書全体を貫く教育的原理についての深い洞察を生み出すなど、プロジェクトのあらゆる場面で重要な役割を果たしていただいた。彼らは、多くの役割を担っていた。本書の細部に至るまで影響を及ぼした彼らの才能と貢献がなければ、プロジェクトの成功はなかったであろう。とりわけ、Joshの貢献は特筆すべきものである。Joshの深更まで及んだ作業、優れた編集能力と経済学に関する深い洞察に対する感謝の気持ちは永遠に忘れることはない。Zick Rubinには、プロジェクトがスタートした初期の段階から助言と激励をいただいた。プロジェクトの内容に貢献してくれた多くの経済学者のみなさんにも感謝したい。ボストン大学のBruce Watson、Anuradha Gupta, Julia Paulには、章末問題の作成に貢献していただいた。テキサス工科大学のRashid Al-Hmoudには、革新的なインストラクターズ・マニュアルとアクティブラーニングの演習問題を作成していただいた。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のSteven Yamarikと、インディアナ大学ブルーミントン校のPaul Grafには、本書の重要点を抽出したすばらしいパワーポイントのスライドとアニメーションを作成していただいた。Anuradha GuptaとJulia Paulには、TestBankを作成していただいた。

最も重要な貢献は、編集者とピアソン社のみなさんによるものである。彼らとは、本書のすべての段階をともに過ごした。夜も週末も、数えきれないほどの時間をこのプロジェクトに注いでいただいた。このプロジェクトに寄せられた彼らの情熱、ビジョン、編集に際しての提案のすべてが、テキストの至るところに活かされている。プロジェクトにおける重要な決断のほとんどは、編集者の助言と協力の賜物である。この関係があったからこそ、本書を完成させることができた。ピアソン社の多数の人たちが重要な役割を担ってくれたが、特にお世話になったのが、Executive Acquisitions EditorのAdrienne D’Ambro sio, Executive Development Editor Mary Clare McEwing, Production Manager Nancy Freihofer. Project Manager Sarah Dumouchelle. Andra Skaalrud. Diane Kohnen Ann Francis. Product Testing and Learner Validation Manager Kathleen McLellan, Executive Field Marketing Manager Lori DeShazo. Senior Product Marketing Manager) Alison Haskins, Digital Content Team Lead ) Noel Lotz, Digital Studio Project ManagerのMelissa Honig、Margaret E. Monahan-Pashallである。

なかでも特にAdrienneには感謝している。プロジェクトがスタートした当初から献身的に関わり、重要な決断のすべてに労を惜しまず貢献してくれた。プロジェクトの立案にあたったDigital EditorのDenise Clinton、そして、Vice President Product ManagementのDonna Battistaには、プロジェクトを通じて支援していただいた。みなさんは、私たち3人にとっては、筆者であり、教育者であり、コミュニケーターであった。本書は、プロジェクトに関わったすべての方々の忍耐と献身の証であり、良い文章(いや悪い文章!)を見い出した慧眼の証でもある。彼らのプロジェクトへの修大な献身に私たちは感銘を受けてきた。完成までの助言と協力に心から感謝している。

最後に、私たちを支えてくれた人々に感謝したい。私たちを経済学者として導き、教育の力と経済学を学ぶことから得られる喜びを実例をもって示してくださった指導教授たち。私たちを育て、私たちのキャリアを可能にした人的資源を与えてくれた両親。私たちの子どもたち、Annika、Aras、Arda、Eli,Greta、Mason、MaxとNoahは、執筆に追われて様牲にせざるをえなかった家族との時間を我慢してくれた。そして、プロジェクトを通して私たちをサポートし、理解してくれた配偶者にも感謝しきれない。

本書は、このプロジェクトにともに取り組んだ、慧眼と情熱を持った多くの人々の成果である。数多くの協力者たちに心から感謝を捧げたい。

レビュアー

以下に挙げる方々は、本テキストのレビュアー、フォーカス・グループ、テスト授業参加のみなさんである。彼らからは、様々な洞察と貢献を与えていただいた。

Adel Abadeer, Calvin College
Ahmed Abou-Zaid, Eastern Illinois University
Temisan Agbeyegbe, City University ofNew York
Carlos Aguilar, El Paso Community College
Rashid Al-Hmoud, Texas Tech University
Sam Allgood. University of Nebraska, Lincoln
Neil Alper. Northeastern University
Farhad Ameen, Westchester Community College
Catalina Amuedo-Dorantes, San Diego State University
Lian An, University of North Florida
Samuel Andoh, Southern Connecticut State University
Brad Andrew. Juniata College
Len Anyanwu. Union County College
Robert Archibald, College of William and Mary
Ali Arshad, New Mexico Highlands University
Robert Baden. University of California, Santa Cruz
Mohsen Bahmani-Oskocee, University of Wisconsin, Milwaukee
Scott L. Baier. Clemson University
Rita Balaban, University of North Carolina
Mihajlo Balic, Harrisburg Area Community College
Sheryl Ball, Virginia Polytechnic Institute and State University
Spencer Banzhaf. Georgia State University
Jim Barbour. Elon University
Hamid Bastin. Shippensburg University
Clare Battista California State Polytechnie University, San Luis Obispo
Jodi Beggs, Northeastern University
Eric Belasco, Montana State University
Susan Bell, Seminole State University
Valerie Bencivenga. University of Texas, Austin
Pedro Bento, West Virginia University
Derek Berry. Calhoun Community College
Prasun Bhattacharjee, East Tennessee State University
Benjamin Blair. Columbus State University
Douglas Blair. Rutgers University
John Bockino, Suffolk County Community College
Andrea Borchard, Hillsborough Community College
Luca Bossi, University of Pennsylvania
Gregory Brock. Georgia Southern University

Bruce Brown, California State Polytechnie University. Pomona
David Brown, Pennsylvania State University
Jaime Brown, Pennsylvania State University
Laura Bucila. Texas Christian University
Don Bumpass, Sam Houston State University
Chris Burkart, University of West Florida
Colleen Callahan, American University
Fred Campano, Fordham University
Douglas Campbell University of Memphis
Cheryl Carleton, Villanova University
Scott Carrell. University of California. Davis
Kathleen Carroll. University of Maryland. Baltimore
Regina Cassady, Valencia College. East Campus
Shirley Cassing. University of Pittsburgh
Nevin Cavusoglu, James Madison University

Suparna Chakraborty, University of San Francisco Catherine Chambers University of Cen
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Florida Sean Crockett, City University of New
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sity Susan Laury. Georgia State University Myoung Lee, University of Missouri. Co
lumbia Sang Lee, Southeastern Louisiana Uni
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San Diego Dennis P. Leyden. University of North
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nity College Liam C. Malloy, University of Rhode Is
land Paula Manns, Atlantic Cape Community
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versity Norman Maynard, University of Oklaho
Katherine McClain, University of Geor
Scott McGann, Grossmont College Kim Marie McGoldrick, University of
Richmond Shah Mehrabi, Montgomery Community
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Kimberly Mencken, Baylor University Diego Mendez-Carbajo, Illinois Wesleyan
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Nevada Andrew Nutting, Hamilton College Grace O., Georgia State University Norman Obst, Michigan State University Scott Ogawa, Northwestern University Lee Ohanian, University of California,
Los Angeles Paul Okello. Tarrant County College Ileakandu Okoye, Florida A&M University Alan Osman. Ohio State University Tomi Ovaska, Youngstown State Univer
sity Caroline Padgett. Francis Marion Uni
versity Peter Parcells, Whitman College Cynthia Parker, Chaffey College Mohammed Partapurwala, Monroe Com
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souri Greg Pratt. Mesa Community College Guangjun Qu. Birmingham Southern Col
lege Fernando Quijano, Dickinson State Uni
versity Joseph Quinn, Boston College Reza Ramazani. Saint Michael’s College Rannjoy Ray Chaudhuri, Ohio State Uni
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Diego Mark Tendall. Stanford University Jennifer Thacher. University of New
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Jill Trask. Tarrant County College.
Southeast Steve Trust. Virginia Polytechnic Insti
tute and State University Ty Turley, Brigham Young University Nora Underwood, University of Central
Florida Mike Urbancic, University of Oregon Don Uy-Barreta. De Anza College John Vahaly, University of Louisville Ross Van Wassenbove. University of
Houston Don Vandegrift, College of New Jersey Nancy Virts, California State University,
Northridge Cheryl Wachenheim, North Dakota State
College Jeffrey Waddoups, University of Nevada,
Las Vegas Donald Wargo, Temple University Charles Wassell, Jr., Central Washington
University Matthew Weinberg. Drexel University Robert Whaples, Wake Forest University
Elizabeth Wheaton. Southern Methodist
University Mark Wheeler. Western Michigan Uni
versity Anne Williams, Gateway Community
College Brock Williams, Metropolitan Communi
ty College of Omaha DeEdgra Williams, Florida A&M Univer
sity Brooks Wilson, McLennan Community
College Mark Witte, Northwestern University Katherine Wolfe. University of Pitts
burgh
William Wood, James Madison Universi
Steven Yamarik. California State Univer
sity, Long Beach Bill Yang Georgia Southern University Young-Ro Yoon, Wayne State University Madelyn Young Converse College Michael Youngblood, Rock Valley Col
lege
Jeffrey Zax, University of Colorado, Boul
des
Martin Zelder. Northwestern University Erik Zemljic, Kent State University Kevin Zhang. Illinois State University

監訳者まえがき~日本語版刊行にあたって~

本書は、Daron Acemoglu, David Laibson, John A. List, Macroeconomics (2015, Pearson Education)の日本語版である。同じ著者によるMicroeconomics(2020年に日本語版を刊行予定)とともに、大学での経済学入門コースの教科書として、アメリカをはじめ世界各国で好評を博している。日本の大学では、4単位科目(通年1コマか半期2コマ)の教科書に適した分量であるが、 内容を取捨選択して2単位科目か、ミクロ経済学を合わせた4単位科目の半分 をカバーする教科書として使用することもできるだろう。
翻訳された教科書で本書のレベルに相当するものには、「マンキュー経済学Ⅱ マクロ編」、「スティグリッツ マクロ経済学」、「クルーグマン マクロ経済学」 (以上、東洋経済新報社)、「ハバード経済学Ⅲ 基礎マクロ編』(日本経済新聞出版社)等がある。これらと比較した本書の特徴は、「新しい」と「やさしい」である。

「新しい」面は、従来の入門レベルの教科書では扱われていないが、学界の最先端で議論されているような最新のトピックを、教科書の中核に取り入れて いることである。改訂を重ねている教科書には、長年使われて改良が施されて いる利点がある一方で、経済学の新しい知見が現れても、教科書の骨格を変化 させることが難しい。その結果、時代の変化とともに廃れつつある知識を最初 にしっかりと学び、今重要な新しい知識は上級の教科書で触れられるものとしていっさい取り上げないか、最後に少しだけ触れられるような構成になってしまうことが起こりがちである。結局、既存の教科書は変化できずに、新しい教科書に取って代わられることで、教科書は進歩してきた。
本書は、革新的業績で経済学を変貌させてきた著者たち(いわば教科書の書 換えを迫る張本人)が、自分たちが変えた経済学の姿を教科書に盛り込もうと 試みたものである。その「新しさ」の例をいくつか挙げよう。
まず、事実とデータにより理論を検証しようとする「経験主義」を、経済学 のアプローチにおける3つの重要な原理の1つに掲げ、各章の構成をその精神で貫いている。各章冒頭では重要な問いかけを行い、それを解明するために必 要な経済学の概念や論理を学び、コラム「根拠に基づく経済学」(EBE)で、実際のデータを用いて理論を検証している。もちろん教科書であるから、概念と理論を積み上げていくように章の順番は構成されているが、理論を学ぶことが優先ではなく、経済を理解するために経済学を学ぶことが優先である。データは時間が経つと古くなるので、従来の教科書ではなかなか積極的に採用できなかったアプローチである。本書では、長く学生にとっても役に立つ、本質的 な問題を精選することで、この問題に対応している。
本書が取り上げる課題の多くは、経済に起こった現象の原因と結果の関係の 解明である。因果関係から生じる影響を抽出するために、原因から影響を受ける処置群と影響を受けない対照群を設定するという手法 (現在の学界では、ゴールドスタンダードと呼ばれる)が中心的な役割を占める(2章)。「平均処置効果」 このような学部レベルでは扱われていなかった概念まで最初からしっかり説明されているのは、従来の教科書にはない特徴である。最初からこのような方法論 を学べることは、本書を学んだ後に経済学を使って自分で経済問題を考える際 には大きな助けとなることだろう。
「なぜ豊かな国と貧しい国があるのか?」(8章)、という重要な問いかけに 対しても、本書では数章(5~8章)をかけてこの方法論から解明する。そして、技術の蓄積の差が国際間の貧富の差の重要な要因になっていることと(7章)、 経済制度の差が技術の差を生じさせていることを(8章)、朝鮮半島などにおける実際のデータを用いて論証している(8章)。理論の展開を重視する従来 の教科書では、背景となるモデルの数学的な難しさから十分に踏み込めなかった話題である。こうしたテーマに対して経験主義の方向から接近することによって、著者の1人であるアセモグル教授の著名な研究のエッセンスを入門教科書で展開しているのは、本書の白眉と言える。
従来の教科書での定番教材としては、現代の教科書の元祖であるサミュエル ソンの「経済学」(1948年初版)で導入された「45度線モデル」(マクロ経済 を安定化される財政政策の乗数効果を説明するモデル)がある。しかし、現代のマクロ経済学は45度線モデルには立脚しておらず、乗数効果はゲーム理論での「戦略的補完性」の概念に基づいて説明されるようになっている。このことをはじめとして、現在、マクロ経済学では学部で学ぶことと大学院で学ぶことの乖離が大きいことが教育上の問題になっている。経済学入門コースで45 度線モデルをしっかり学んでも、レベルが上がるにつれて、45度線モデルで学んだことは不要になる。本書では戦略的補完性の技術的説明はしていないが、そのエッセンスを伝える説明をすることで、そのまま現代のマクロ経済学での議論につながる体裁をとっている(12章)。
金融に関しても、サブプライム・ローンの破綻から金融危機(2008~09年) が起きたことで、教科書の書換えが迫られていた。これまで金融危機が長らく起こらなかったことで、金融危機が起こらない経済の動きをうまく説明するようにマクロ経済学は発達し、教科書もそのような経済学に基づいて書かれてきた。いまやそれは不適切である。本書では、銀行の機能からリーマン・ブラザーズ証券の破綻を招いた現象である組織的銀行取付けに至るまで、金融危機がなぜ起こるのかを理解するために必要な概念を一直線に学べるように工夫されて いる(10章、11章)。

内容が複雑にならない、記述が難しくならない、という意味での「やさしさ」 については本書のレベルは、従来の教科書では一番やさしいとされる「マンキュー 経済学Ⅲ マクロ編」よりも少しやさしい水準だろう。また、重要な話題が精選されていることによって読みやすく、かつ学びやすくなっている。
翻訳でもそうした「やさしさ」を伝えることにひときわ気を遣った。原書で 使われている英語は非常に平易なものであるが、翻訳によっては学術的で固い日本語になってしまいがちである。日本語版を企画した東洋経済新報社の佐藤 朋保氏とも議論のうえに、本書は、高校生でも読めるような翻訳を目指した。そのため一部では、日本語として意味が通りやすい意訳を志向している。
アメリカでは、本書のようなレベルの教科書は、高校で大学レベルの授業をするAP(Advanced Placement) プログラムでも使用される。これは、日本での高大連携にあたる。ただし、日本の高校の社会科教科書の内容と比較して、 暗記よりも、考えることが重視されている。本書で扱われる問いは、たとえば、「2009年に破綻して、世界的な金融危機の引き金になった金融機関はどこか?」 を問うのではなく、「2007~009年の景気後退はなぜ起きたのか?」(12章)と 金融危機が起こった背景を問うものである。経済学を用いて考える力を養う本書は、高校生や社会人にとってもおすすめである。
経済学の内容を読者にやさしく伝えるために、本書ではアメリカの学生が経験する身近な事例を多数取り上げている。翻訳教科書のつねとして、そのような事例は日本ではなじみのないもので、逆効果になることもある。その場合は、 固有名詞を一般名詞に置き換えたり、日米の慣習や制度の違いについて訳注を付けたりして、日本の読者にも読みやすくなるようにした(原書注とは区別して、「*」を付して脚注としている)。また、日本のデータを参照した図をいくつか追加している(図表番号の終わりに「J」を添えている)。なお、原書のわかりにくさを改善するために、7章補論にあった経済成長モデルの数学的説明は割愛し、10章 (337ページ)の実質金利と名目金利に関する記述は第2版と差し替えた。
経済学のテキストを実際の大学の講義で使用するにあたっては、アメリカでは教科書に適合した様々なサポート教材が提供されている。本書でも、同様 のセットが日本語版として提供される。テキスト各章に対応した、図表スライド、講義用スライド、TestBank、eラーニング、章末問題の解答、アクティブラーニング用スライドなどの様々なサポート教材のセットについては、東洋経済新報社の茅根恭子氏に準備していただいた。

本書の著者の経歴と業績は巻末に紹介されているが、プロフィールの若干の補足をしておこう。
アセモグル教授は、その業績を要約することが難しいほど、多岐にわたる分野で活躍をしている。専門分化が進んだ現代の経済学の中で、1つの専門分野にとどまることなく重要な問題に次々と関心を移し、それぞれで影響力のある業績をあげ、稀有な存在として業界の尊敬と畏怖の念を集めている。教授の活 躍自体が、経済の様々な重要な問題をゴールドスタンダードに沿って検証するという本書のアプローチのお手本になっていると言ってよい。教授の知的好奇心は、最近では、人工知能(AI)の経済への影響に関する研究にも影響を発揮している。
レイブソン教授は、心理学の知見を取り入れて発展した行動経済学の確立に貢献した重鎮である。行動経済学の知見は、本書の経済主体の行動の説明の中 心に置かれていて、3つの重要な原理の1つである「最適化」について、本書では、誰もがつねに最適化ができているとは限らないが、人々は最適化を試みることによって、多くの場合にうまく最適化を行っている、という説明から出 発している。教授はまた、神経科学を取り入れた神経経済学、遺伝子情報をデータとして活用する遺伝子経済学でも活躍しており、隣接科学との交流によって経済学の方法論を大きく広げる活躍をされている。
リスト教授は、実験室内ではなく実際の社会で実験を行うという、フィールド実験を用いた研究の第一人者である。経済学の研究対象が自由貿易の是非のような国民経済全体に関わることであった時代には、経済学は自然科学とは違って実験ができない学問とされていた。しかし現代では教育、社会保障のような対個人サービスが重要な位置を占めるようになり、政策の効果の検証には実験が可能な研究課題が多くなってきた。それだけでなく教授は、人々の経済行動の研究にもフィールド実験を積極的に適用して、経済学の方法論を革命的に進歩させた。
こうした革新的な業績をあげ続けているスーパースターのチームが、教科書の世界を革新しようとする醍醐味を、本書を読むことで味わっていただきたいと思う。

最後に、佐藤氏に加えて東洋経済新報社の村瀬裕己氏と堀雅子氏には、本書の編集・校正作業にあたっていただいた。6000ページを超える大部を隅々までチェックして、数多くの不備を修正していただいた。みな様の深いプロ意識と 優しいサポートに厚く感謝を申し上げる。
この種の翻訳では複数人で分担して翻訳するところを、日本語版の意図を貫植する観点から、単独での翻訳を岩本千晴氏にお願いした。限られた期間で大 部の原稿を翻訳することで大変なご苦労をおかけしたが、すばらしい翻訳をされたことに厚く感謝を申し上げたい。

岩本 康志

マクロ経済学主要目次

第1部 経済学への誘い
1章 経済学の原理と実践
2章 経済学の方法と問い
3章 最適化:最善をつくす
4章 需要、供給と均衡

第Ⅱ部 マクロ経済学への誘い
5章 国の富 : マクロ経済全体を定義して測定する
6章 総所得

第Ⅲ部 経済成長と発展
7章 経済成長
8章 なぜ豊かな国と貧しい国があるのか?

第IV部 マクロ経済の均衡
9章 雇用と失業
10章 クレジット市場
11章 金融システム

第V部 景気変動とマクロ経済政策
12章 景気変動
13章 反循環的マクロ経済政策

第VI部 グローバル経済のマクロ経済学
14章 マクロ経済と国際貿易
15章 開放経済のマクロ経済学

目次

まえがき
謝辞
監訳者まえがき~日本語版刊行にあたって~

第I部 経済学への誘い
1章 経済学の原理と実践
1.1 経済学の対象
経済主体と経済資源
経済学の定義
事実解明的経済学と規範的経済学
ミクロ経済学とマクロ経済学
1.2 3つの原理
1.3 第1の原理:最適化
トレードオフと予算制約
機会費用
費用便益分析
EBE フェイスブックは無料か?
1.4 第2の原理:均衡
フリーライダー問題
1.5 第3の原理:経験主義
1.6 経済学は役に立つ?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

2章 経済学の方法と問い
2.1 科学的方法とは
モデルとデータ
経済モデル
EBE 大学を卒業すると、どれぐらい所得が増えるのか?
平均値
伝間に基づく議論
2.2 因果関係と相関関係
赤色の広告キャンペーン
因果関係と相関関係
実験経済学と自然実験
2.3 経済学の問いと答え
EBE義務教育が1年延びたら、賃金はどれぐらい上がるのか?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題
補論 グラフの作成と解釈
インセンティブに関する研究
実験のデザイン
変数の説明
原因と結果
キーワード
練習問題

3章 最適化:最善をつくす
3.1 最適化の2つの方法:焦点の違い
3.2 水準による最適化
選択の結果 人々は本当に最適化しているのか?
比較静学
3.3 差分による最適化:限界分析
限界費用
EBE 立地は家賃にどのように影響するのか?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

4章 需要、供給と均衡
4.1 市場
競争市場
4.2 買い手の行動
需要曲線
支払意思額
個人の需要曲線から総需要曲線を導き出す
市場需要曲線を作る
需要曲線のシフト
EBE ガソリン価格が安くなったら、もっとガソリンを買うだろうか?
4.3 売り手の行動
供給曲線
受入意思額
個別の供給曲線から市場供給曲線を導き出す
供給曲線のシフト
4.4 均衡における供給と需要
競争均衡における曲線のシフト
4.5 政府がガソリン価格を決めたらどうなるか?
選択の結果 市場価格を固定することによる予期せぬ出来事
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

第II部 マクロ経済学への誘い
5章 国の富:マクロ経済全体を定義して測定する
5.1 マクロ経済学の問題
5.2 国民経済計算:生産=支出=所得
生産アプローチ
支出アプローチ
所得アプローチ
経済循環
国民経済計算:生産アプローチ
国民経済計算:支出アプローチ
EBE アメリカの経済社産の1年間の総市場価値はどれほどの規模になるのか?
国民経済計算:所得アプローチ
データは語る 貯番か投資か
5.3 GDPでは測定されないもの
物的資本の減耗
家庭における生産
地下経済
負の外部性
国内総生産(GDP)と国民総生産(GNP)
余暇
GDPで幸福が買えるだろうか?
5.4 実質と名目
GDPデフレーター
消費者物価指数
インフレーション
名目変数の調整
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

6章 総所得
6.1 世界の経済格差
1人当たり所得の違いを測定する
データは語る ビッグマック指数
1人当たり所得の格差
労働者1人当たり所得
生産性
所得と生活水準
選択の結果 1人当たり所得を見ているだけではわからないこと
6.2 生産性と集計的生産関数
生産性の違い
集計的生産関数
物的資本と土地
集計的生産関数を式で表す
6.3 技術の役割と決定要因
技術
データは語る ムーアの法則
技術に関するいくつかの面
データは語る 企業レベルでの生産の効率性と生産性
企業家精神
データは語る 独占とGDP
EBE 平均的アメリカ人が平均的インド人よりずっと豊かな理由は何か?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題
補論 集計的生産関数の数学的説明

第Ⅲ部 経済成長と発展
7章 経済成長
7.1 経済成長の力
ひと目でわかるアメリカの経済成長
指数的成長
選択の結果 指数的成長がもたらす結果
経済成長のパターン
データは語る GDPは水準で比較すべきか? 成長率で比較すべきか?
平均成長率の計算
7.2 経済はどのように成長するのか?
最適化:貯蓄と消費の間の分割の選択
持続的成長は、どのように実現されるのか?
選択の結果 貯蓄率が上昇するのは、どんな場合にもいいことなのか?
知識・技術進歩・経済成長
EBE アメリカは、過去200年間にわたって、なり性人成長を続けることができたのか?
7.3 経済成長と技術の歴史
近代以前の経済成長
マルサスが考えた経済成長の限界
産業革命
産業革命以降の経済成長と技術
7.4 経済成長、不平等、そして貧困
経済成長と不平等
データは語る アメリカにおける所得格差
選択の結果 格差と貧国
経済成長と貧困
どうすれば貧困を減らすことができるのか?
データは語る 平均寿命とイノベーション
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

8章 なぜ豊かな国と貧しい国があるのか?
8.1 繁栄の直接的原因と根本的原因
地理仮説
文化伝説
制度仮説
歴史上の自然実験
8.2 制度と経済発展
包摂的経済制度と収奪的経済制度
経済制度が経済に及ぼす影響
データは語る 東ヨーロッパにおける分岐と収束
収奪的経済制度が選ばれる論理
包摂的経済制度と産業革命
データは語る 鉄道建設を阻止した理由
EBE 熱帯地域と亜熱帯地域の国は地理的条件が原因なのか?
8.3 対外援助は世界の貧困の解決策になるのか?
選択の結果 対外援助と腐敗
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

第IV部 マクロ経済の均衡
9章 雇用と失業
9.1 雇用と失業の測定
16歳以上人口の分類
失業率の計算
失業率の傾向 302
失業者の内訳
9.2 労働市場の均衡
労働需要
労働問要曲線のシフト
労働供給
労働供給曲線のシフト
競争的労働市場の均衡
9.3 失業はなぜ起きるのか?
9.4 ジョブ・サーチと摩擦的失業
9.5 賃金の硬直性と構造的失業
最低賃金法
選択の結果 ラッダイト運動
労働組合と団体交渉
効率賃金と失業
賃金の下方硬直性と失業の変動
自然失業率と循環的失業
EBE 企業が工場を閉鎖すると、地域の雇用と失業にはどのような影響が及ぶのか?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

10章 クレジット市場334
10.1 クレジット市場とはどういう市場か?
借り手と融資の需要
実質金利と名目金利
信用需要曲線
貯蓄の決定
選択の結果 なぜ貯蓄をするのか?343
信用供給曲線
クレジット市場における均衡
クレジット市場と資源の効率的配分
10.2 銀行と金融仲介機関:供給と需要をあわせて考える
銀行の貸借対照表上における資産と負債
10.3 銀行はどのような業務を行っているのか?354
利益につながる融資機会を見つけ出す
満期変換
リスクの管理
銀行取付け
銀行の規制と銀行の支払い能力
EBE 銀行の破はどのぐらい頻繁に起こっているのか?
選択の結果 大きすぎて潰せない
選択の結果 産価格の変動と銀行の破線
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

11章 金融システム
11. 1 貨幣
貨帯の機能
貨幣の種類
マネーサプライ
選択の結果 金に交換できた貨幣とできなくなった貨幣
11.2 貨幣、物価、GDP
名目GDP、実質GDP、インフレーション
貨幣数量説
11.3 インフレーション
インフレーションの原因は何だろうか?
インフレーションが及ぼす影響
インフレーションの社会的費用
インフレーションの社会的便益
11.4 連邦準備制度
中央銀行と金融政策の目的
EBE 1922~23年のドイツでは、なぜハイパーインフレーションが起きたのか?
中央銀行は何をしているのか?
準備預金
フェデラル・ファンド市場の需要サイド
フェデラル・ファンド市場の供給サイド、およびフェデラル・ファンド市場の均値
Fedはマネーサプライとインフレ率にどのような影響を及ぼすのか?
選択の結果 フェデラル・ファンド市場以外で準備預金を得る
フェデラル・ファンド・レートと長期実質金利の関係
選択の結果 インフレ期待の2つのモデル
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

第V部 景気変動とマクロ経済政策
12章 景気変動
12.1 景気変動と景気循環
景気変動のパターン
大恐慌
12.2 マクロ経済均衡と景気変動
労働需要と変動
変動の要因
データは語る 失業率と実質GDPの成長率:オークンの法則
乗数と景気変動
賃金が下方硬直的で乗数効果が働くときの短期均衡
中期的な均衡:部分的な回復と完全な回復
12.3 経済モデルの拡張
EBE 2007~09年の景気後退はなぜ起きたのか?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

13章 反循環的マクロ経済政策
13.1 景気変動における反循環的政策の役割
13.2 反循環的金融政策
フェデラル・ファンド・レートの操作
Fedが用いるその他の手段
期待、インフレーション、金融政策
データは語る 期待をコントロールする
金融引締め政策:インフレーションのコントロール
ゼロ金利制約
選択の結果 政策の失敗
政策のトレードオフ
13.3 反循環的財政政策
景気循環と財政政策:自動的な部分と裁量的な部分
支出を増やす財政政策の分析
減税による財政政策の分析
労働市場を直接の対象とした財政政策
政策の無駄と政策のラグ
13.4 財政政策と金融政策の境界が曖昧な政策
EBE 政府が支出を増加させると、GDPはどのぐらい上昇するのか?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

第Ⅵ部 グローバル経済のマクロ経済学
14章 マクロ経済と国際貿易
14.1 貿易はなぜ行われるのか?またどのように行われるのか?
絶対優位と比較優位
比較優位と国際貿易
効率性と貿易の勝者と敗者
貿易はどのように行われているのか?
貿易障壁:関税
データは語る 相互につながった世界で暮らす
14.2 経常収支と金融収支
選択の結果 関税と投票526
貿易黒字と貿易赤字
国際的な資金の流れ
経常収支と金融収支の仕組み
14.3 国際貿易、技術移転、経済成長
データは語る IBMからレノボへ
EBE ナイキのような企業はベトナムの労働者の敵なのか?
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

15章 開放経済のマクロ経済学
15.1 為替レート
名目為替レート
変動為替相場制、管理為替相場制、固定為替相場制
15.2 外国為替市場
政府は外国為替市場にどのように介入するのか?
過大評価された為替レートを維持する
当選択の結果固定為替相場制と政治腐敗
EBE ジョージ・ソロスはどうやって10億ドルを稼いだのか?
15.3 実質為替レートと輸出
名目為替レートから実質為替レートへ
名目為替レートと実質為替レートの共変動
実質為替レートと純輸出
15.4 開放経済におけるGDP
データは語る 中国政府が元の過小評価を維持させた理由
金利、為替レート、純輸出
ブラック・ウェンズデーの再考
データは語る 固定為替相場制の費用
まとめ
キーワード
復習問題
演習問題

用語解説
索引
著者紹介

ミクロ経済学主要目次
第1部 経済学への誘い
1章 経済学の原理と実践
2章 経済学の方法と問い
3章 最適化:最善をつくす
4章 需要、供給と均衡

第Ⅱ部 ミクロ経済学の基盤
5章 消費者とインセンティブ
6章 生産者とインセンティブ
7章 完全競争と見えざる手
8章 貿易
9章 外部性と公共財
10章 政府の役割:税と規制
11章 生産要素市場

第Ⅲ部 市場構造
12章 独占
13章 ゲーム理論と戦略的行動
14章 寡占と独占的競争

第IV部 ミクロ経済学の拡張
15章 時間とリスクのトレードオフ
16章 情報の経済学
17章 オークションと交渉
18章 社会経済学