語彙力がないまま社会人になってしまった人へ 【超「基礎」編】

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51語に絞ってまなぶ重要語彙

本書は、『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』の続編であり、基礎中の基礎の語彙を51語に絞って解説した一冊です。本書の特徴として、言葉の意味だけでなく語源、成り立ち、歴史についても触れているため、おもしろく言葉を身につけることができます。

山口 謠司 (著)
出版社: ワニブックス (2018/1/23)、出典:出版社HP

はじめに

アホか有能かは、言葉のレベルで評価されてしまう

言葉の選び方、使い方で、社会人としてのレベルを判断されてしまう。いい悪いは別として、そういう現実があります。
つまり、語彙力のレベルによって、知性や教養がない、思慮が足りない、言い方はよくありませんがアホだと思われてしまうことがあるのです。逆もしかりで、語彙力によって有能だと判断され たりもします。
どんなにいい考えを持っていても、言葉で表現できなければ評価されません。 どんなに実績があったとしても、相手が使う言葉を理解できないだけで、社会人としてのレベル を低く見積もられてしまいます。
あなたの頑張りや能力ではなく、語彙力によって社会人としての評価を下されてしまうのはもったいない。語彙力に関する悩みを抱えている人は多いのです。

そこで、私は社会人の語彙力向上のために、「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ (第一弾)』『頭の中を「言葉」にしてうまく伝える。』という二作の書籍を書いてきました。 おかげさまで、この「社会人のための語彙力シリーズ」は一七万部を突破しました。
特に、『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ(第一弾)』は、「週刊文春」でも語彙 力に関する本のブームのはしりとして紹介されました。

読者の方々からの反響も大きく、たくさんの感想をいただきました。その中で、一番多かったご要望が、もっと初心者向けの本を書いてほしいというものです。 『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ(第一弾)」は、「知性と教養を感じさせる語 棄」「一目置かれる語彙」を中心にご紹介した内容でした。
そこで、今回は、「超基礎編」ということで、社会人のみなさんに、使えると便利で、知らない と恥ずかしい語彙をご紹介しています。

そこで、言葉の「成り立ち」 「語源」「歴史」などに関連するエピソードから、おもしろく言葉 を身につけられるようにしました。
私の専門は、書誌学、音韻学、文献学です。つまり、言葉に関する研究をしてきました。これま での研究から、特におもしろいと感じた話から、楽しく、苦痛なく言葉を身につけられるようにしました。

口言葉を使う喜びを知り、人間関係をつむぐ

人生の質は、語彙力によって決まる――。
私たちが抱える問題の多くは、「人間関係」にあるのではないかと思います。夫婦、親と子、友。 人、会社での上下関係、得意先、お客様との関係……。そんな、人間関係をつむいでいるのは、 「想い」であり、「想い」を形にした「言葉」です。
その言葉が、時と場合に合わせて的確に相手に伝われば、人間関係、コミュニケーションはとてもスムーズにいくことでしょう。 ところが、日本人の多くの人が、手紙を書いたりすることに苦手意識を持っていると言われています。
それは手紙だけにかかわらず、コミュニケーション全般において「自分の想いを言葉にできな い」という先入観に起因するのです。

特に、書いたこと、言ったことが誤解されたり、否定されたりというような過去の失敗経験があると、文章を書いたり、話をすることに「苦手意識」を持ってしまうのです。 「自分には、文章力がない」「言葉のセンスがない」などと言って、あきらめている人が数多くいます。

でも、語彙力は、学べば誰でもつけていくことができます。
言葉を正しく理解し、どのようなシチュエーションで使うのが最適かということを学ぶことは、 決して難しいことではありません。
知らない言葉に出くわす機会をたくさんつくること、そして、知っている言葉に対しても新鮮な 気持ちで向き合うことです。

間違えて注意されるようなことがあっても、恐れず、どんどん新しく覚えた言葉を使っていけばいいのです。
言葉は人をつくります。
たとえば、美しい風景、美味しいお料理、素晴らしい芸術作品、そうしたものを自分なりの言葉で表現することができれば、人は言葉を使うことの喜びをさらに感じることになるのです。
本書は、言葉を使うことの素晴らしさを実感するための入門書でもあります。

「説明」「説得」「コミュニケーション」…..に役立つ言葉の数々
本書では、次のような語彙が、おもしろく身につくようにしました。
「短く、わかりやすく、相手に伝えるための言葉」
「好感を与える”あいさつ。連絡””感謝””褒め言葉」
「相手の気分を損なわず “謝罪する。 ^要求を断る。言葉」
「同音異義、重複表現、そもそも間違って覚えている可能性が高い言葉」
「目上の人に使うべき 言い換え・言葉」
「社会人として最低限知っておきたい“共通カタカナ 用語」
「自分の気持ちを伝える言葉」
これらを、厳選して五一語ご紹介しました。「説明」「説得」「コミュニケーション」で役立つ言葉です。
また、これだけでは物足りないと感じてしまう人のために、「知性と教養を感じさせる」言葉もご紹介しています。 さらに、「語彙の質を高め、量を増やす簡単なコツ」もお話ししました。
言葉を使うことの恐れや不安を払拭し、自分の想いを言葉にする力を手に入れていただく 礎となれば、これほど嬉しいことはありません。

山口謡司拜

語彙力があると、ここまで評価が上がる!

1 社会人としてのレベルの底上げができる
評価される人は、相手、場にふさわしい言葉選びができる人
2 知性と教養が話のはしばしに表れる
使う言葉の質が上がれば、話も文章も知的さが増す
3 理解力が高まる。
文章、会話で使われている言葉をしっかり理解できる人は結果が出る
4 短くわかりやすく伝えられる
語彙力があれば、回りくどい言い方、長い説明が不要に!
5 頭の中の考えを表現することができる
社会人は、思考をアウトプットしてこそ評価される! ― 「なんて言えばいいんだろう ……」がなくなる
6 人を動かすことができる
魅力的な言葉と表現は、人を動かす力がある
7 人に好印象を与えられる
どんなに伝えにくいことでも、言葉次第で相手は気分よく話を聞いてくれる
8 コミュニケーションがうまくいく
社内外の仕事の関係者が使う最低限の共通用語を理解していれば、コミュニケーション がうまくいき、信頼関係が築ける

山口 謠司 (著)
出版社: ワニブックス (2018/1/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章 社会人として最低限知っておきたい言葉
まずは、「ベースとなる語彙」を身につけよう
1 凡庸
文字を”九〇度回転させる。と本来の意味が見えてくる
2失念
「本当は知っているんだけど」という雰囲気を出せる便利な言葉
3 且つ
料理人がまな板に向かうシーンを思い浮かべてみよう
4慮る。
ぱかばでいつ教育を受けたのかがわかる?
5 つつがない
「ダニに刺されなければ健康!」
6 言質
言葉の人質
7 是々非々
本当の性悪説とは? 人間は個人でいる限りは善である?
8拝読
「拝」という漢字は「右手と左手を合わせた」形を表す

第2章 あいさつ。 メール!連絡で使えると便利な言葉
社会人としての常識中の常識
9 幸甚
「幸い」よりも、感情・品格をもう一段上のレベルで表現しよう
10 平素
「常日頃からの感謝」を伝えられる格式が上がる表現
11 ご自愛ください。
本当の愛とは、そもそもなんなのか?
12 ご鞭撻
絶対に手幅。を付け忘れてはいけない!
13 查収
責任問題にならないための「きちんと見てくださいね」というメッセージ
14 謹んで新春のお慶びを申し上げます
春のあいさつ
15 暑中お見舞い申し上げます
夏のあいさつ
16 菊薫る秋となりました
秋のあいさつ
17 師走の候
冬のあいさつ

第3章 深く「感謝」し、上品に「褒める」ための言葉
もう一段上の好感を与える技術
18 恐縮
「日本人ならではの感覚」がベースとなっている珍しい言葉 こうじょう
19 ご厚情
「天と地と」での武士の憤りとは?
20 ご高配
高い地位を得る人ほど人々に気を配る理由
21 圧巻
最上級の褒め言葉 かったつ
22闊達
米兵がまぶしく見えた瞬間
23 脱帽
「降参する」という意味を褒め言葉として使える

第4章 相手の気分を損なわず「謝罪する」「要求を断る」言葉
真摯に反省し、穏やかに断り、言いにくいことを言う
24 深謝いたします。
“木”ではなく「火」であったとわかれば、昔の人の暮らしぶりが見えてくる
25 ご容赦
日本ならではの和製漢語
「日本に浸透した美意識」があるからこそ持てる言葉
26僭越
布団をかけてあげたのに首をはねられた?
27 語弊
ボロッボロの布を左右に引き裂くイメージをしよう

第5章 うっかり間違えると恥ずかしい言葉
「そもそも間違えて覚えている」「同音異義」「重複表現」に細心の注意をしよう
29押しも押されもせぬ
「押しも押されぬ」という言い間違いに注意しよう
30 取り付く島がない
「島」が暇”になったのは江戸っ子のせい?
31 普遍・不備・不変
グローバル、聖人、占い師
32 遡求・遡及・訴求
同音異義語を使いこなすポイントとは?
33 各位殿ほか、五つの重複表現
無意識にやってしまっている同じ意味を重ねる表現
34 気が置けない。
自然に接することができるのはお雪さん? あの奥さん?
35 琴線に触れる
楽器の琴をイメージすれば意味を間違えることはない
36 進捗
よく使うので「しんぼ」と読み間違わないように注意!

第6章 目上の人に使うべき「言い換え」言葉
避けるべき表現、尊敬の念を伝える表現
37 ご一緒→ ご相伴
社会人の言葉づかいとして「ご一緒」では軽すぎる
38 了解しまし → 承知いたしました
了”という文字自体にあまりよい意味がない
39 感心しました → 感銘を受けました
「皮肉の意味」も込められているので避けたほうが無難
40 頑張ってださい → ご活躍をお祈りいたします
「前畑頑張れ! 前畑頑張れ!」
41 言い忘れていましたが → 申し遅れましたが
「心が空っぽ」だと思われないための一工夫
おわかりですか?
ご理解いただけましたでしょうか?
目上の人に達成度を確認することは失礼
43 やることがない → 所在ない
新人が知っておくと便利な表現

第7章 意思疎通で困らないための「共通カタカナ」用語
思考停止しないために知っておくべき語彙
44 プライオリティ (priority)
できる人ほど使っているこの言葉の真の意味とは?
45 コンセンサス (consensus)
物事をスムーズに決めていくための根回し言葉
46 マイルストーン(milestone)
ローマ帝国の法律がはじまり
47 フレキシブル (flexible)
カタカナ語の意味は”言葉を二つに分ける。となんとなく予想がつく!
第8章 自分の気持ちをうまく伝える言葉
「やる気」と「真剣さ」をかもし出す語彙
48 がむしゃら
働きながら小説を書き続けた小林多喜二の姿とは?
49 粉骨砕身
強烈な言葉だからこそ、言葉遊びにならないように!
50 速戦即決
戦国時代から変わらぬ「勝つための提」
51 渾身
全身全霊、すべてを振り絞れば、誰も無下にはできない

第9章話のはしばしに「知性」と「教養」が表れる言葉
ここまで知っておけば絶対安心な知的な語彙
1拙速
どんな立派な絵でも最後に目を描き忘れては台無し
2内向的・外向的
ヒマワリはどこに顔を向けている?
3 適宜
屋根の下にたくさんの肉が積み上げられる儀式
4ストラテジー (strategy)
軍事用語からビジネス用語へ変化してきた言葉
5戦々就々
「恐」よりも「競」の意味を知る

終章 「どうすれば語彙力は高まるの?」
理解力と表現力がある人の質を高め、量を増やす。ちょっとしたコツ
「知性」「教養」「品格」のある社会人の語彙力トレーニング
朝と夜の「一分間音読」で語彙力は驚くほど高まる
“直接的ではない文章”をながめれば語彙の幅が広がる
まずは、「年上で、あなたに愛情のある人」が使う言葉を大切にしよう
「工具書」と「電子書籍」は手軽に語彙力を高められる便利なもの
幸田露伴の本ほど語彙力をつけられるものはない
言葉は、五回目で調べる 五回口に出してみる に限る!
正岡子規になったつもりで「写生文を四〇文字」でつくってみる
おわりに

素材提供: Thomas Amby, urbrandstock, Inga Linder/Shutterstock.com

山口 謠司 (著)
出版社: ワニブックス (2018/1/23)、出典:出版社HP