廃棄物処理法の重要通知と法令対応

【最新 – 廃棄物管理を学ぶおすすめ本 – 入門解説から実務まで】も確認する

処理業者、排出事業者など実務者必見の1冊

通知が発出された背景から取り上げていて、そもそも通知の存在を知らない方にも伝わるようまとめられています。この本をきっかけに国や自治体が発出する通知に注目するようになります。通知の重要性がわかる一冊です。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

はじめに

この本は、環境省からの廃棄物処理法に関する通知の背景と内容の解説を主なテーマとして、ともに山形県、兵庫県と地方自治体の産廃行政で実務経験がある、BUNさんこと長岡文明と尾上雅典の共著でお届けするものです。
「通知」は、グレーな廃棄物処理法を詳細に定めていたりする、かなり重要な存在なのですが、読みづらく、そもそも通知の存在を知らない 方も意外と多く見受けられます。また、その通知が発出された背景を知らないと、まったくもって何のことなのかも理解できないものも存在します。そのようなところを、取り上げていければと思っています。
本書を読まれる方は「通知は重要なものだ」と思っていますか?
それとも、「通知は法律や政省令と比べて重視するほどのものでもない」と思っていますか?
根本は「法令」にあると思います。法令に根拠を置かない「通知」はやがて歪みが出てきて長続きしません。しかし、その「法令」をどのように「運用」したらいいのか、というレベルになると、途端に「通知」が威力を発揮します。
また、通知を実際に運用するのは現場を預かる自治体です。自治体が納得しない通知は、幾ら国が発出しても、大きな動きにはなりません。法律はそう度々改正する訳にはいきません。小回りが利いて、不都合が 起きないように、現状に合わせた運用が大切です。
本書を読まれる方は、これを機会に国や自治体が発出する通知に、注目していただければ幸いです。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

目次

はじめに
序章 通知とは何か
1 そもそも<通知>とは? …
2 通知の取扱いに関する通知…….

第1章 重要通知! ピックアップ解説
1 「0円回収通知」買い取りでも廃棄物処理法を適用
2 「手元マイナス通知」逆有償でも廃棄物処理法の適用除外事例……
3 「手ばらし疑義」 分別・未処理でも処理済みの法運用
4 個別事案の疑義照会通知の読み方 汚泥への草木混入の事例等
5 規制改革通知その1 規制改革重点通知の概要…
6 規制改革通知その2 通知利用の背景と「コンテナ保管」「分社化の取り扱い」
7 規制改革通知その3 先行許可証、書類の統一
8 規制改革通知その4「実験・実証」

第2章 建設廃棄物に関する元請と下請の注意点
1 平成22年改正で排出事業者の保管届出、建廃処理で元請責任……
2 建設工事の排出事業者は下請の例外規定を除き元請
3 建設現場での保管は下請事業者も排出事業者とみなす…
4 代金500万円以下の維持修繕工事等で下請事業者が排出事業者…
5 元請と下請の排出事業者責任の法運用の整理……
6 建設廃棄物保管場所の届出義務

第3章 廃棄物処理法に規定されていない下取り回収の運用法
1 一廃に言及しない下取りの収運許可不要の法運用
2 業許可不要な下取り行為が成立する要件・・
3 持ち帰った廃棄物の排出事業者は誰なのか?….
4 ケースごとの考察………

著者略歴・奥付

(おことわり)
本書の長岡文明氏の執筆文につきましては、株式会社リヴァックス社のウェブサイトであるメールマガジンに連載したものを加筆、修正したものです。

序章 1

そもそも〈通知〉とは?
通知は「お知らせ」だが、世の中は「通知どおり」に動く
まず最初に、そもそも「通知」というものについて、確認してみたいと思います。
私たち国民は、国からの「通知」というものに、どの程度従わなければならないものでしょうか?
「通知」は、いくら国の偉い役職の人が発出したものであっても、制度上は大臣告示として官報に載った訳でもないし、閣議決定された訳でも、ましてや国会で決議されたわけでもありません。その制度に携わっている単なる一公務員が「こんなふうにやってね」とお手紙を出したっていう程度の位置付けです。したがって、国の公式な制度として認められている訳ではなく、極めて「脆弱な制度」と言えるでしょう。
では、その程度の「お知らせ」なのに、どうして世の中全体がその「通知」のとおりに動くのでしょうか?
筆者は、次のように考えています。
役所の「通知」は、役所の中では「それなりに」偉い人が発出します。民間会社でも社員は社長の言うことに従いますね。社長の指示に従わなかったら、お給料ももらえないし、へたすりゃクビにされてしまいます。
ということは、理屈としては部下の方は部長の言うことも、課長のいうことも、従うことになります。時々は無視することもあるかもしれませんが、少なくとも建て前としては「上司の言うこと」には従います。
それは、単に「偉い」ということだけではなく、組織としての意志であったり、経験が豊富な先輩の言葉として、その指示に従った方が間違いは少ないという捉え方もあるからだと思います。国をはじめとする役所の「通知」も、それと似たようなものと思えば、ある程度理解できます。
広く国民全体に対しては、強制力はないとしても、上司の出した通知には「部下」は従わなければいけません。役所の偉い人の通知なら、その人より下の人は、その通知に従う。役所は法律を動かすところです。実際にその法律を運用する第一線の行政マンが、上司から「こういうふうに運用しなさい」と指示が出されていれば、普通はそのとおりに法律を運用します。ここが、民間の一企業の「通知」と、役所の「通知」の違いと言えるかもしれません。
つまり、一企業の通知は、その企業の社員にしか強制力がありませんが、役所の「通知」は「役所の内部にしか強制力がない」ものであっても、その通知に従って行政指導されれば、一般的に国民はそれに従うということになってしまいます。
現在、いろんな法令分野で登場する「マニュアル」「ガイドライン」「指針」なども、たいていは「通知」という形で、行政のかなり上の役職の人の名前で発出されます。もちろん、法律ではないのですから、通知どおりに取り組まないからと言って「法律違反」ということにはなりません。
しかし、実際には、こういった「マニュアル」「ガイドライン」「指針」などは、法律そのものを作った人が、その法律をうまく動かせるように、分かりやすく書かれています。ですから、前述の「先輩、経験者からのアドバイス」と同じように、尊重した方が何かと便利で不都合がないということがほとんどでしょう。では、そういった通知に従わないとどうなるのでしょうか?
前述の通り、普通は、行政は「偉い人」の方針通りにやらせる方が、(やってもらう方が)何かとトラブルも少なくうまくいきます。だから、「そういうふうにやってくれませんか」と行政指導を行います。
昔は「強力な行政指導」を行った分野もありましたが、最近は行政手続法の規定も整備されてきたので、同意を得られない行政指導はあまりやらなくなりました。その上で、争議になれば裁判で決着付けようという時代になったということです。
たいていの人は裁判まではやりたくありませんから、無難な道を選択したい。何も苦労して茨の道を進みたくありません。結局、たいていの場合は、「通知」どおりに世の中が動いていくことになります。
仮に「通知」が間違った方向なら困りますが、国や役所が出している「通知」は、「よかれ」と判断して発出しているものですから、いいものと捉えるべきでしょう。
繰り返しになりますが、「通知」は、制度上は国民の総意である「法律」ではありませんし、「告示」でもありません。

政省令・通知は法令を受けて規定、実態として強い拘束力
折角の機会なので、政令と省令についても触れておきます。
皆さんは、どうして法律に従うのですか?
従わないと罰せられるから? 従っていると褒められるから…?
それもあるかもしれませんが、そもそも法律とは、みんなで決めた「ルール」な訳です。 たとえば、「1+1=2」のような宇宙の真理とも言うようなルールは、特段、人間が決めなくても、一向に構いません。ところが、「右側を歩くか?、左側を歩くか?」は、本来であれば、どっちでもいいことです。しかし、狭い道で、みんなが好き勝手に「俺は右を歩く、私は左を歩く」とやりだしたら、衝突が起きたり、歩くのが困難になります。
そこで、宇宙の真理ではないけれど、お互い同士の「ルール」として、「右側を歩きましょう」とルールを決める訳です。
このルールはみんなで決めたルールですよね。
じゃ、ルールに従わなけれどうなりますか?
そうです。自分も不便だし、他の人たちにも迷惑をかける。そして最後には「あいつはみんなで決めたルールに従わないのだから、私たちの仲間には入れないようにしよう」となってしまう訳です。つまり、「みんなで決めたことはみんなで守ろう」。これが、ルールであり、それを守れない人は「仲間」から仕打ちを受けたり、「仲間はずれ」にされてしまうことになります。
国民みんなのルールが「法律」と言うわけです。ですから、法律は国民の代表である国会でなければ制定することはできません。そして、そのルールに従わなかった時の「制裁」も国民の総意である「法律」でなければ原則的に制定できない訳です。(ここが、民主主差の日本のいいところで、「罪刑法定主義」の社会です。)ですから、罰則は法律でないと規定されません。
ちなみに、政令とは「閣議決定」する「ルール」で「特に法律の委任がある場合を除いては罰則を設けることができない。(憲法第73条第6号ただし書)」「法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない(内閣法第11条)」という規定があります。
省令とは各所管大臣の命令であり、その大臣の決裁で制定することができます。「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(国家行政組織法第12条第3項)。」という規定があります。
このように政令や省令は法律ではありませんから、罰則をかけることはできないというこ とになります。
こうなると、不心得者などは「どうせ、こんなルール守らなくても罰則は無いんでしょ」と思ってしまいます。そこで、たいていの政省令(政令と省令をあわせて表現する文言)では、「法第○条第△項に規定する○○については、次のとおりとする」のように規定するんですね。つまり、政省令に罰則は無いけれど、その規定を守らないってことは、法律の「第○条第△項」に違反していることになる、と規定する訳です。これで間接的に「政省令違反は法律違反」となるように作るわけです。
さて、今回のテーマの「通知」も、ほとんどの場合、政省令と回しような「作り」にしています。すなわち、「このガイドラインは廃棄物処理法第○条第△項第◎号で規定する○○基準について示すものである」のようにして発出されています。
また、法令は様々な制限があり、わかりにくい文章表現しか取れない場合もあります。
例えば、法令の中に挿絵が入ったのを見たことがある人はいませんよね。昔から、「百聞は一見にしかず」という諺がある位なので、何百文字の文章より、たった一つの絵の方が判りやすい場合は多々あります。最終処分場基準省令を読まれた方も大勢いらっしゃると思いますが、あれを文章で読んだだけで理解できる人物はおそらく世の中に存在しないと言えるでしょう。でも、通知や「維持管理マニュアル」に登場する挿絵やフロー図を見れば、概略を理解することができます。
ここまでの確認と復習をしてみましょう。

①そもそも「通知」とは、国や自治体の「偉い役職の人」が組織内の部下に対して発出した文書である。
②だから、組織内の人間には強制力、支配力はあるが、組織外の人間には強制力はない
③行政組織で発出された「通知」は、行政担当者には支配力があるから、行政担当者は「通知」に従って、行政指導を行う。
④行政指導を受ける民間も、自ずと、その方向で行動する。
⑤結果として、「通知」は広く世の中で、「そのとおり」に運用される。
⑥そもそも「通知」は、その多くは制度を作った立場の人が、法令ではわかりにくい表現、箇所を解説したものが多いから、多くの場合、「通知」に従った方が民間も得になる。
⑦政省令とは、法律とは違って、国会が決めたものではない。よって、罰則は規定できない。
⑧しかし、たいていの政省令は、法律を受けた形で制定されていて、政省令に違反する行為は、間接的に法律に違反すると判断される場合が多い。

法律はもちろん、政省令や通知も安易に発出しているものではありません。自分だけの目先の事柄だけを見て判断するのではなく、その政省令が出された、通知が発出された背景や経緯なども考えて、上手くお付き合いしていくことが大切だと思います。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

序章 2

通知の取扱いに関する通知
本格的な尾上先生の講義に移る前に、この本のテーマであるである「通知」そのものに関する「通知」を紹介しておきましょう。それが、次の平成12年の通知です
この通知の内容は、次のようなことです。
「これからは地方分権の時代だ。廃棄物処理法をはじめとする法定受託事務は地方自治体にお任せしたのだから、その解釈、運用もお任せする。ついては、今まで国が示してきた「疑義応答」などの通知は廃止する。具体的に廃止する通知は、次の22の通知である」。(下図参照)

通知の取扱いについて
平成一二年一二月二八日生衛発第一九〇四号各都道府県・各政令市宛環境省
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律等の施行に伴う通知の取扱いについては、(中略)その事務の運営にあたってよろしく配慮願いたい。

1 「地方分権の推進を…法定受託事務とされた廃棄物の処理及び清掃に関する法律(中略)に期定する事務に係る通知等については、地方分権一括法による改正後の地方自治法に規定する技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求の趣旨となるものであること。(中略)
4 次の通知を廃止する。
⑴昭和四十七年一月十日付け環第二号厚生省環境衛生局環境整備課長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」
(2)昭和五十年四月九日付け環整第三六号厚生省環境衛生局環境整備課長通知「廃棄物の定義について」
(3)昭和五十二年十一月五日付け環産第五十九号厚生省環境衛生局水道環境部参事官通知「廃棄物の 処理及び清掃に関する法律の疑義について! (中略)
(22)平成十年十一月十三日付け衛産第五一号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策 室長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について」

これにはびっくりしました。廃棄物処理法を勉強されている読者の皆さんならわかってい ただけると思うのですが、法令の規定なんて、日本語か?と思うほどの難解な書きぶりがあり、結局、実際の運用は通知に従って動いていることがたくさんあります。
別の言い方をすれば、「通知」をルール、基本として判断、行動してきたのに、そのルールを取り払われるという混乱を招き兼ねない事態に陥った訳です。そもそも、「法定受託事務だ」「地方分権の時代だ」と言ってみたところで、法律を作るのは国です。自分たちで作っておいて、その後の運用だけを自治体が勝手にやっていいよ、と言われたところで、どうやっていいものか運用に困ります。日本はアメリカやロシアと違って、国土がそう広いわけではありません。言語も一つ、歴史や文化もそんなに違いはありません。ましてや、産業廃棄物の処理は一つの自治体で処理が完結するものでもありません。筆者は今でも、少なくとも産業廃棄物に関するルールは、「中央集権で十分」と感じています。
国からこのような通知が出され、今まで根拠としていた「通知」、しかも、廃棄物処理法 を運用していく上で、最も問題となることについて解説していた「法律の疑義について」という通知が、ほとんど廃止されてしまいました。
自治体によっては、その後独自に解釈通知を発出したところもあるようですが、ほとんどの自治体で改めての通知は発出せずに、それまで国 (具体的には旧厚生省)から発出されていた「廃止通知」を前例踏襲の形で、「そのまま」運用してきているのが、実態です。
本来であれば廃止された通知は、いろんな文献からは削除されるのが通例ですが、こういう実態にあることから、(一財)日本環境衛生センター刊行の「廃棄物処理法の解説」には、「廃止通知」も掲載しています。 以下に抜粋して紹介しましょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について
昭和47年1月10日 環整第2号

廃止:平成12年12月28日(なお、以下の通知の廃止日も前述の通り、全てこの日です)
問1 処分の用語の定義を明示されたい。
答 中間処理及び最終処分の意である。なお、中間処理には、焼却、脱水、破砕、圧縮等があり、最終処分には、埋立処分と海洋投入処分がある。
問2 一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分の方法は、埋立処分と海洋投入処分に限るものと解してよいか。
答 そのとおりである。なお、放流方式による下水道、又は公共の水域への排出は、最終処分の一方法と考えられるが、それぞれ下水道法又は水質汚濁防止法の定めるところにより行なわれるものである。
問16 第一条第二号に規定する輸入木材の卸売業に係る木くずとは、輸入木材の輸入を業務の一部又は全部として行なっている総合商社、貿易商社等の輸入業務活動に伴って生ずる木くずをいうものであると解してよいか。
答 責見のとおり解して差し支えない。

昭和52年11月5日 環産第59号
間12 産業廃棄物の処理に関し、廃棄物処理法第七条第六項に規定する事項を記載した伝票を綴じて保存している場合は、同項にいう帳簿を備えたこととなるか。
答 当該伝票が領の一部として使用することを予定されているものであれば、伝票を綴じて保存していることによって帳簿を備えたものと解する。
問19 廃棄物処理法施行令第七条第一号から第八号までに掲げる産業廃棄物処理施設の一日当たり処理能力とは、何を意味するか。
答 当該施設が一日24時間稼動の場合にあつては、24時間の定格標準能力を意味する。それ外の場合は、実稼動時間における定格標準能力を意味する。ただし、実稼働時間が、1日当たり8時間に達しない場合には、稼動時間を8時間とした場合の定格標準能力とすること。

昭和54年11月26日 環整第128号・環産第42号
問1 10%の銅を含むレンガくずを有償で売買しているが、レンガくずだけを廃棄物と考えられるか。
答 総体としてレンガくずは有価物である。
問2 水力発電所のダムの管理に当たり、不要として排出された流木は一般廃棄物と解して良いか。
答 お見込みのとおり。
問3 野犬狩りの後保健所がその死体を焼却した際の残灰は、一般廃棄物と解してよいか。 答 お見込みのとおり。
問4 個人家屋を自ら解体する場合の廃木材はどのように扱うべきか。
答 個人家屋を自ら解体する場合の廃木材は当該住民の排出する一般廃棄物である。
問10 事業活動に伴って排出された使用済みの活性炭は産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 不純物が混在すること等によりでい状で排出されるものは汚でいに、固型状で排出されるものは燃えがらに該当する。
問11 コンクリート・ミキサー車のミキサーから生ずる生コンの残りかすであつて、不要とされた時点ででい状を呈しているものは法第二条第三項に規定する汚でいと解してよいか。
答 お見込みのとおり。
問15 事業活動に伴って排出される、①液状の廃合成塗料、②塗料以外の不純物が混合して、でい状となっている廃合成塗料、③溶剤が揮発し、固型状(粉状のものを含む)となつている廃合成塗料はそれぞれ産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 ①は廃油と廃プラスチック類の混合物に、②は汚でい(油分を五%以上含んでいる場合にあつては汚でいと廃油の混合物)に、③は廃プラスチック類に該当する。
問21 金属の研磨工程から排出される研磨かすは産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 金属くずに該当する。ただし、粉末状又はでい状を呈し、金属としてとらえることが困難な場合には汚でいに該当する。
問28 動物霊園事業として愛がん動物の死体を処理する場合廃棄物処理業の許可を要するか。
答 愛がん動物の死体の埋葬、供養等を行う場合、当該死体は廃棄物には該当せず、したがって廃棄物処理業の許可を要しない。
問29 いわゆる下取り行為には収集運搬業の許可が必要か。
答 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済のものを無償で引取り、収集 運搬する下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。

昭和57年6月14日 環産第21号
(地下工作物の埋め殺し)
問11 地下工作物が老朽化したのでこれを埋め殺すという計画を有している事業者がいる。この計画のままでは生活環境の保全上の支障が想定されるが、いつの時点から法を適用していけばよいか。
答 地下工作物を埋め殺そうとする時点から当該工作物は廃棄物となり法の適用を受ける。(墓の廃棄)
問12 古い墓を除去して廃棄しようとする場合、廃棄物として取り扱ってよいか。
答 墓は祖先の霊を埋葬、供養等してきた宗教的感情の対象であるので、宗教行為の一部として基を除去し廃棄する場合、廃棄物として取り扱うことは適当でない。

(清掃後の産業廃棄物)
問14 清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。
答 当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。

今回、この「廃止通知の通知」をなぜ紹介したかというと、現時点でも、とても需要が高いからです。とても、30年前、40年前の疑義応答とは思えないような、今日現在セミナーをやれば、常連のように提出される質問ばかりです。
しかも、簡潔明瞭でわかりやすいですね。これが廃止されたのは、正直痛かったです。
大阪府はじめ幾つかの自治体では、府民・県民の要望 にお応えして、かつてあった疑義応答を、(多少、時代変化に合わせて、バージョンアップして)ホームページに掲載しているところもあるので参考にしてみて下さい。なお、これらの疑義応答のうち幾つかはピックアップして、改めて取り上げたいと思います。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP