図解超入門!はじめての廃棄物管理ガイド―これだけは押さえておきたい知識と実務

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初心者から上級者までおすすめ

イラストや実例に沿った解説などもあって、取っ付きやすく、初心者にも親切なつくりになっています。とにかく理解しやすい構成となっている点がこの本の良いところで、知識の整理にも便利です。この一冊で一通りのことを学ぶことができ、理解が難しいポイントもビジュアルで直感的に理解できます。

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

まえがき

この本は、排出事業者が知らなければいけない廃棄物管理のイロハから実務のポイントまでを、できるだけわかりやすく、そして網羅的にまとめたものです。基本的な本書の構成として、左ページには解説文、右ページにはそれを具体的にイメージできるようなイラストや図表を載せています。はじめて廃棄物管理の仕事をする読者は当然ながら、さらに理解を深めたい実務経験者の読者にも役立つような内容になっています。
本書では、はじめに廃棄物管理の仕事が内包するリスクについて紹介しています。廃棄物を取り扱うことは、常にリスクと隣り合わせにあるということです。最近はちょっとした廃棄物処理法の違反でも簡単にニュースになります。たとえば、収集運搬業者 が許可されていない種類の廃棄物を運搬するのは違反ですが、その廃棄物を委託した 排出事業者も無許可業者への委託となり、それがニュースに取り上げられることがあります。このようなリスクをまず認識してもらうために、実際に起きた事例などを紹介しています。リスクを踏まえることで、廃棄物管理の業務を隈なく理解することの必要性が 認識できると思います。
筆者は産業廃棄物処理業を行う会社の法務部として、処理業者の実態を数多く目に してきましたので、処理業者が陥りやすい不適正事例を認識しているつもりです。また、 数多くの排出事業者から廃棄物管理に関する困りごとの相談を受けてきました。本書で はそれらの経験を活かし、排出事業者の目線から、廃棄物管理の実務をわかりやすく、体 系的に解説することに努めました。
この本の主人公は、はじめて廃棄物管理を学ぶ「五味丸学くん」です。ページが進むにつれて成長する彼の姿を追うことで、読者も一緒に廃棄物管理についての理解を深めていって欲しいと思います。また、章末の彼と上司との会話のやりとりは、復習や 業界話の紹介を兼ねていますので、ぜひそちらも息抜きとしてご覧ください。
平成30年4月、廃棄物処理法の改正が施行されました。本書の改訂にあたり、第7章でその法改正のポイント解説を追加し、全体の内容も法改正に沿って更新しました。また、その他のさまざまな情報も最新のものに更新してあります。
末筆ながら、本書が皆様の廃棄物管理にとって役に立つものとなり、少しでも企業の リスク最小化につながることをお祈りしています。
2018年6月
坂本 裕尚
お断り
本書では、廃棄物の中でも排出事業者に関係の深い「産業廃棄物」の法的なルール等を
主に解説しています。一般廃棄物の解説は一部に留めていることをご了承ください。

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

CONTENTS 目次

まえがき
本書の読み方
みどりさんの新人研修

第1章 業務の前に知っておくべきこと
1 廃棄物管理は法を遵守する業務
2 排出事業者責任は最終処分終了まで
3 法令違反をしたらどうなるのか?
4 あとを絶たない法令違反
5 廃棄物処理法違反での検挙状況
6 刑事罰と行政処分はどう違うのか?
7 そもそも処理業者は信用できるのか?
コラム1 排出事業者責任が問われた事例

第2章 廃棄物管理業務の5つのポイント
1 知らないではすまされない
2 処理委託せざるを得ない.
3 “四位一体”での管理
4 国と自治体の役割
5 社内内部監査の活用と処理業者の監査
コラム2 許可権限をもつ自治体
コラム3 法律・条例の基礎知識
コラム4 自治体の廃棄物対策課

第3章 廃棄物の基礎知識
1 廃棄物とは?
2 排出事業者は誰か?
3 廃棄物の流れ
コラム5 事業系一般廃棄物
コラム6 家電4品目の廃棄
コラム7 総合判断説
コラム8 廃棄物処理法の関連法令(フロン、アスベスト)
コラム9 専ら物等の再生利用
コラム10 特別管理産業廃棄物管理責任者
コラム11 誰が排出事業者になるか?

第4章 廃棄物管理の実務(法的義務編)
1 処理業者への処理委託手順
2 実務に関する5つのポイント
3 許可証
4 委託契約書
5 マニフェスト
6 廃棄物の保管
コラム12 優良な産廃処理業者を認定する制度
コラム13 国許可証の違反と対策
コラム14 有価物の売買契約書
コラム15 廃棄物のテスト搬入・処理
コラム16 マニフェストの紛失対応
コラム17 電子マニフェストのよくある間違い
コラム18 “報告不要”の電子マニフェスト

第5章 処理業者への実地確認(努力義務編)
1 監査の方法
2 収集運搬業者への監査
3 処分業者への監査
コラム19 横流し等の予防措置
コラム20 本音を引き出す監査

第6章 廃棄物管理の継続的維持
1 正しい情報を得る
2 廃棄物管理のルールブック
3 継続的な教育
4 内部監査で遵法性を確認
5 処理業者とのコミュニケーション

第7章 水銀改正・平成29年改正
1 水銀に関する改正
2 電子マニフェストに関する改正
3 親子会社による一体的処理の特例
4 許可取消し等に伴う処理困難通知等の義務づけ
5 有害使用済機器の適正な保管等の義務づけ

資料編 自治体独自のルール

本書の読み方

はじめて廃棄物管理の担当者になった初心者は、廃棄物管理の仕事がなぜ重要かを知るために第1章から読みましょう。もう基礎は分かっていて実務のポイント を知りたい中級者は、第4章から読むことをおすすめします。

第1章 業務の前に知っておくべきこと
廃棄物の業務はリスクと隣り合わせです。この音では不適正事例から廃棄物を扱うリスクを認識し、処理業者の実態を紹介します。

第2章 廃棄物管理業務の5つのポイント
適正な廃棄物管理には“四位一体”での管理が必要です。内部監査などを活用 することも有効です。

第3章 廃棄物の基礎知識
実務を学ぶ前に廃棄物の基礎知識を理 解しておきましょう。廃棄物とは、排出事 業者は誰なのか、廃棄物の処理の流れなどを解説します。

第4章 廃棄物管理の実務(法的義務編)
処理業者への委託手順を確認し、許可 証、委託契約書、マニフェスト、廃棄物の 保管など、排出事業者の実務について詳 しく解説します。

第5章 処理業者への実地確認(努力義務編)
リスク最小化のために監査はとても有 効です。社内ルールから事前準備、処理 業者ごとの確認ポイントを見ていきます。

第6章 廃棄物管理の継続的維持
廃棄物の適正な管理は担当者が代わっても維持されなければなりません。最後 の章では、維持していくための手法をいくつか紹介します。

第7章 水銀改正・平成29年改正
適正な廃棄物管理のためには法改正へ の対応も不可欠です。水銀に関する法改 正、平成29年の法改正のポイントを解説 します。

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

各章の対象レベル

登場人物紹介
五味丸 学(ごみまるまなぶ)くん
大手食品メーカーに勤務する入社3年目のエネルギッシュボーイ。このたび品質管理部 門から環境部門に配属され、はじめて廃棄物管理の業務をすることに。長所は何でも吸収し ようとする前向きなところ。
江子野みどり(えこの)さん
長年環境部門に在籍する廃棄物管理のエキスパート。学くんに廃棄物管理の何たるかを 教えてくれる頼もしい上司であり、学くんの成長を楽しみにし ている。

みどりさんの新人研修
研修生 五味丸 学くん
指導員 江子野 みどりさん
廃棄物の管理にあたって 守るべき法律は何ですか?
それはね、 廃棄物処理法よ!
会社から出たこれらのゴミはすべて産業廃棄物なんですか?
廃棄物の区分は大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分かれ るのよ。産業廃棄物は事業活動に伴って排出されるもので、汚泥 や廃プラスチック類など20種類が法令で定められているわ。それ以外のものは一般廃棄物になるのよ。
なるほど。ところで、産業廃棄物と一般廃棄物って何が違うんですか?
いろいろあるけど簡単にいえば、産業廃棄物は排出事業者に処理 の責任があり、一般廃棄物は市町村に処理の責任があるところね。
えっ? 排出事業者に責任があるってどういうことですか?
それは「排出事業者責任」と呼ばれているけど、つまり一番大事 なことは、排出事業者は産業廃棄物を最後まで適正に処理する責 任があるということね。
自分の会社で産業廃棄物を処理できないときは、廃棄物を処理する業者に処理を頼みますよね?そのときに「委託基準」というも のを守らないといけないと聞いたんですが、それは何ですか?
いい質問ね。委託基準を要約すると、・委託する廃棄物を処理できる許可をもっていること・委託する前に委託契約を締結することマニフェストを交付することが主に挙げられるわ。
廃棄物を処理する業者のことを「処理業者」というそうですが、そもそも処理業者とはどのような業者なんですか?
まずは廃棄物を運搬する「収集運搬業者」、その廃棄物を焼却や破砕などを行う「中間処理業者」、その中間処理業者の処理後の 廃棄物、例えば焼却後の燃え殻を埋立処分する「最終処分業者」 に大きく分かれるわね。
では廃棄物の収集運搬を委託する場合、収集運搬の許可をもって いる業者であればいいんですね?
いや、許可をもっていればいいということではなく、その業者の許 可証を確認して、委託する廃棄物の種類などが扱える業者かどうかを判断しないといけないわね。
なるほど。許可さえもっていればよいのでは ないのですね。普通免許では大型車の運転 はできないようなものですかね。じゃあ、運 転免許証みたいに有効期限があるんですか?
いいところに気づいたわね。そのとおりよ。「許可証」の有効期 限切れが原因で無許可業者への処理委託になることもあるのよ。
委託基準の中で許可業者への処理委託 のほかに、契約とマニフェストがありまし たが、マニフェストって何ですか?
マニフェストとは、「委託する廃棄物が適正に処理されているか」 が確認できる伝票のことよ。排出事業者は処理業者に処理を委託 するときには必ずマニフェストを交付しなければならないのよ。それに交付したらそれで終わりではなく、処理業者から処理終了のたびにB2票、D票、E票などが返送されてくるから控え伝票と の照合確認が必要になるのよ。
なるほど。そのマニフェストで最終処分終了の確認をすることに よって、排出事業者責任を果たすということですね。
そうね。でもマニフェストの確認だけでは足りないこともあるのよ。実際、マニフェストE票で最終処分終了を確認していても処理委 託した食品廃棄物が横流しされた事件もあったしね。 だから排出 事業者責任を果たすためには、処理業者への実地確認(監査)が 重要になるのよ。
マニフェスト
そうなんですね。でも中には悪い業者もいるかもしれないけど、処理業者の多くは問題ないんじゃないですか?それにもし処理業 者が何か不祥事を起こしたとしても、それはその業者の責任です よね?
もう一度、排出事業者責任という言葉を思い出して!もし処理業 者が不適正処理を行った場合でも、その責任は排出事業者にもあるのよ。
そうか…。じゃあ処理業者が不適正な処理をするかどうかをどう やって見極めればいいんでしょう?
そのあたりを一言でいうのは難しいから、あとでじっくり説明する わ。でも廃棄物に関する排出事業者のリスクは思った以上に大きいということは理解しておいてね。じゃあ、まずは排出事業者のリスクから見ていきましょう!

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP