未来を変える目標 SDGsアイデアブック

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大人から子供までSDGsについて学べる!

入門編としてSDGsの雰囲気をつかむのに最適です。SDGsが掲げる17の目標を各目標ごとに大変にわかりやすく説明しています。また、アイデアブックと言うだけあって、アイデアがぎっしり詰め込まれています。この本で紹介されている豊富な事例から学べることも多いはずです。

Think the Earth (著), 蟹江憲史(慶應義塾大学大学院 教授) (監修), ロビン西(マンガ) (イラスト)
出版社: 紀伊國屋書店 (2018/5/8)、出典:出版社HP

未来を変える目標 SDGsアイデアブック
編著 = 一般社団法人 Think the Earth
監修=蟹江憲史 マンガ=ロビン西

未来を変える目標

SDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉を聞いたことがありますか?

Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標

2030年までに、先進国も新興国も途上国も、国も企業もNPOも個 人も、あらゆる垣根を越えて協力し、より良い未来をつくろうと国連で 決まった17個の目標のことです。

SDGsは、今よりもっと良い世界にしたいと想った世界中のたくさ んの人たちが力を合わせてつくりあげた「未来を変える目標」です。そ して、世界には新しい未来を信じて、ユニークなアイデアと情熱ですで に行動を始めている人がたくさんいます。この本に載っている素敵なア イデアにぜひ触れてみてください。同じ時代に、同じ星で生まれた地球 「人として「私も新しい未来づくりに参加してみたい!」と思えてくるの ではないでしょうか。

この本は国連、企業、NPO、教育者、専門家、クリエイターなどジ ヤンルを超えた多数の方々の協力があって完成することができました。 でも本の完成は通過点に過ぎません。これからは「未来を変える目標」 の実現のために行動する人が、ひとりでも多く巣立っていける学びの環 境をつくっていきたいと思っています。ここまでご一緒いただいたみな
さまに心からの感謝を申し上げます。そしてこれから出会うみなさんと ご一緒できることを心から楽しみにしています。

上田壮一
SDGs for School 実行委員
一般社団法人 Think the Earth

Think the Earth (著), 蟹江憲史(慶應義塾大学大学院 教授) (監修), ロビン西(マンガ) (イラスト)
出版社: 紀伊國屋書店 (2018/5/8)、出典:出版社HP

Contents

序文
SDGs解説
根本かおる SDGsを自分ごとにしよう
蟹江憲史 2030年の経済・社会・環境を考えよう。
すべての目標はつながっている
ロビン西SDGs部物語
山藤旅聞/山本崇雄ともに学び、ともに行動しよう
中高生と考えた「未来への問い」
マンガ
未来の教室より
17個の目標と 「未来を変えたアイデア」
貧困をなくそう
●グラミンバンク
●おてらおやつクラブ
飢餓をゼロに
●テーブル・フォー・ツー
●学校給食プロジェクト
すべての人に健康と福祉を
●母子健康手帳
●ジップライン
質の高い教育をみんなに
●みんなの学校プロジェクト
●グリーンスクール
ジェンダー平等を実現しよう
●シャクティ舞踊団
●ルーミネイト
安全な水とトイレを世界中に
●ハンディポッド
●ワルカウォーター
エネルギーをみんなに そしてクリーンに
●アフリカン・クリーンエネルギー
●ソーラールーフ・タイル
働きがいも 経済成長も
●タラブックス
●スモールビジネスサタデー
産業と技術革新の 基盤をつくろう
●留職プログラム
●クライシスマッピング
人や国の不平等をなくそう
●ファッションレボリューション
●ラクチンきれいシューズ
住み続けられるまちづくりを
●インクレディブル・エディブル
●シェア金沢
つくる責任つかう責任
●サステナブル・ラベル
●テラサイクル
気候変動に具体的な対策を
●トランジション・タウン
●ダイベストメント
海の豊かさを守ろう
●オーシャン・クリーンアップ
●南三陸戸倉っこかき
陸の豊かさも守ろう
●生物多様性ホットスポット
●熱帯林監視システム
平和と公正をすべての人に
●武装解除広告
●ユネスコ MGIEP
パートナーシップで 目標を達成しよう
●ESG投資
●国連と吉本興業

コラムDSDGsを読み解く視点
1途上国と先進国
2教育の未来
3ダイバーシティ社会
4まちづくり
5エシカル消費
6テクノロジーの未来
7生物と生態系
8企業の役割
9金融の役割
10 平和と非暴力
●稲場雅紀
●北村友人
●須藤シンジ
●紫牟田伸子
●末吉里花
●村井 純
●足立直樹
●田瀬和夫
●河口真理子
●小山淑子
もっと学びたい人へ
SDGs for School/SDGs.TV
おすすめの本、ウェブサイト

17個の目標と「未来を変えたアイデア」の構成

それぞれの目標は、インフォグラフィックとテキストで概略を説明したページと、2つの代表的なアイデア事例を紹介したページで構成されています。
(概説ページ)
17個の目標の下には、さらに細かい169個のターゲットと、成果測定のための232個の指標が定められています。このQRコードを使 えば、目標ごとのターゲットと指標、また事例のリンクが掲載されたサイトにアクセスできます。
http://www.thinktheearth.net/sdgs/

ほかの目標との関連性や、対象と なる課題から派生する問いを示しました。SDGsを複眼的にとらえるヒントとしてお使いください。
目標に関連するたくさんのデータがある中で、代表的なデータをインフォグラフィックで表現しています。最新の数値やほかのデータは、自分で調べてみましょう。

(事例ページ)
目標どうしのつながりを可視化するため、関連する目標をハイライトしています。
※目標17は、国連や各国政府と協働の場合
目標に関連するキーワードの解説や、ちょっとした豆知識が得られるクイズを掲載しました。
個々の活動内容について詳しく知りたい人はぜひアクセスしてみよう!

序文:SDGsを自分ごとにしよう

「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2015年9月に国連で採択されましたが、その決定プロセス自体がとてもユニークなものでした。3年を かけて世界中で政府・国連・市民社会・企業・研究者・女性・若者などのさまざまな立場の人たちが協議を重ね、世界から1,000万人もの人々がオ ンライン調査を通じて声を届けることで成立した「みんなのための・みんなで支える」目標なのです。ですから、SDGsは政府・国連に加えて、 企業・自治体・個人など誰もが参加できる枠組みになっています。つまり、 世界中の一人ひとりが主役なのです。
今世紀に入って気候変動が猛烈なスピードで深刻化して人々の暮らし を直撃し、貧富の格差が広がり、紛争の数が増え、難民・避難民の数が 第2次世界大戦以降、最高の水準になっています。このままではこの美 しい地球を子・孫・ひ孫の代につないでいけない、という強い危機感のも と生まれたSDGsは、すべての国連加盟国が約束した、経済・社会・環 境の側面を包括的に推し進めながら、2030年までにあらゆる形態の貧 困に終止符を打つという非常に野心的な「世界レベルの社会契約」です。 目指すべき到達点から逆算して、あらゆるレベルのアクターが行動を起 こさなければ、とても達成できるものではありません。私がいろいろな 機会をとらえて「SDGsを自分ごとに」と強調しているのは、このよう な背景があるからです。

SDGsの実践には、「ザ・正解」というものはありません。しかし、 SDGsに向きあうと、課題同士、担い手同士のつながりへの意識が深まり、ものごとを有機的につなげながら統合的に思考する力や、想いとリ ソースをもった人を業界の垣根を越えて結びつけてより良い方向を目指すプロデュース力が鍛えられます。

さらに先進国から途上国まで、すべての国が普遍的に取り組むSDGs は、いわば世界共通の物差しです。ゴール達成に向けたすべての活動が、 この物差しに沿って評価され、優良事例や教訓を世界に向かって発信し、 共有しあえる仕組みになっています。また、SDGsには民間部門や地方 自治体が世界レベルの議論に直接つながることのできる「入り口」の役 割もあり、やる気のある団体を巻き込んでいく推進力があります。もちろん子どもだって参加できます。教科書に載っているから、試験に出る から学ぶのではなく、自分自身がアクターになって未来をつくるために 学ぶことで、学びの面白さがグンと増すのではないでしょうか。

難民・避難民の権利の保護に長く携わってきた私にとって、人権に根 差した「誰も置き去りにしない」というSDGsの考え方は難民をはじめとする取り残されがちな人々を包摂しようというもので、ぜひ強調したいポイントです。
未来の子どもたちが歴史を振り返ったときに、SDGsをポジティブな 遺産として感じてもらえるよう、将来世代の芽を摘むことなく多様な 人々が自分らしく暮らしていける社会を、ぜひご一緒に実現していこう ではありませんか!」

国連広報センター 所長
根本かおる

SDGs解説1

2030年の経済・社会・環境を考えよう

蟹江憲史●慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授
みなさんが大人になったとき、自分の住んでいるまちや日本の社会 そして世界の様子がどうなっているか、想像したことはありますか?
おそらく、考えている以上に、これからの世の中は今とは違った世の 中になっていることでしょう。車はガソリン車よりも電気自動車が多く なり、自動運転も進化していることでしょう。もしかしたら、車は家ごとにもつのではなく、共同で「シェア」してもつ人がますます増えているかもしれません。太陽光発電や風力発電も、今よりもずっと普及し、 自然の力でエネルギーをつくることが当たり前になっているように思い ます。会社に行かなくとも、仕事は自宅からコンピュータ経由で行える ようになり、その結果電車の混雑も緩和されることでしょう。そもそも、 インターネット社会の進化や人工知能の発達で、仕事の種類も変わっていることでしょう。

そんな世の中で、みなさんが何をして、どんな社会を目指せば良いか、 その「道しるべ」となるのがSDGsです。
SDGsとは、2030年の世界の姿をあらわした目標の集まりです。なんとすごいことに、国連のすべての加盟国がこの目標に合意しています。 そして、あらゆる分野の目標がカバーされています。

あらゆる、といっ ても、大きく言えば3つの種類に分けることができます。
ひとつ目は、経済に関すること。どうやって経済を成長させるか、ど のように産業や技術を革新していけば良いか、仕事の仕方はどうすれば 良いか、といったことがここには含まれます。

2つ目は、社会に関すること。貧しい人や飢餓に苦しんでいる人をなくし、健康な人を増やしていく。教育がいき渡り、生活しやすいまちや都市をつくる。男女の差をなくして、みんなで協力して平和な社会をつくっていく。差別や格差をなくしていくという考えが基本にあります。

3つ目は、環境に関することです。環境と言うと、海や陸地の環境が 真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。気候 変動のような地球環境問題は、エネルギーの使い方や、私たちが日ごろ から口にする食べ物や水といった資源のつくり方や使い方、そして処理 の仕方に大きくかかわってきます。
こういった課題をすべて集め、17個の目標にまとめあげたのが、 SDGsなのです。17個の各目標の下には「ターゲット」といわれる、 より具体的な目標が掲げられており、その数は全部で169個に及びます。 17の目標と169のターゲット。これが、2015年9月の国連総会で採択 されたSDGsなのです。

「測る」ことが生み出す効果

国際的に決められた、と言うと、規則や規制など、法的な枠組みを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、SDGsに関しては、それは当たりません。SDGsは法的な義務をもつ取り決めではなく、自主的な取り 組みを促すための目標なのです。したがって、やり方は十人十色であり、 国や企業、老人や子どもなど、それぞれに合わせたやり方に委ねられて います。その唯一の仕組みは、「測る」ことです。2017年夏には、 SDGsの進捗を世界全体で測るための232個の指標が決まりました。 もちろんこれだけですべて測れるわけではないので、指標は今後も進化 し続けますが、まずは測るためのスタート地点が決まったことになります。 「測る」ということは、「比べる」こともできるということです。比べ られると、より良い成績を収めようという競争心も出てきます。これが、 SDGsの狙っていることです。自由な競争の中で、より良い成績を残す。

そのための競争が始まったと言えるでしょう。 ではなぜ競争をしたがるのでしょうか? それは、目指すべき方向性 に、みんなが納得しているからです。SDGsは2年間の国際交渉を経て つくられましたが、その間、国連史上で最大の意見聴取が行われました いろいろな立場の人や国の意見が、直接、あるいはインターネットを高じて届けられ、交渉にもそうした人が意見を出しました。現場の声が反 映された目標だからこそ、みんなが納得し、できるだけ早くそこに到達 したいと思うわけです。

「もうひとつ、競争をしたがる理由は、世界が向かうべき方向をSDGs が示しているからです。今、世界は「持続可能でない」ところから「持 続可能な」ところへと変化しようとしています。これを早く実現すれば、 その先にある「持続可能な」世界で、いち早く自分たちの立場を確立で きるのです。次なる世界のリーダーを目指す競いあいが始まった、と言い換えることもできます。

誰も置き去りにしない世界

SDGsの魅力のひとつは、その理念にもあります。「誰も置き去りに しない」世界をつくること、これがSDGsの目指す世界です。
SDGsの前には、「ミレニアム開発目標(MDGs)」という国際目標が ありました。これは、おもに開発途上国の経済及び社会面での開発を視 野に入れたもので、8個の目標からできていました。2015年を目標年 として2000年につくられたMDGsは、1日1.25ドル未満で生活する といわれる、いわゆる「絶対的貧困」の半減や、初等教育の普及といった目標を掲げ、一定レベルの成功を収めました。しかし、2015年の世 界のふたを開けてみると、アフリカの一部地域で「置き去りにされて」 しまったところがあったり、先進国の中でも「相対的貧困」という、格 差社会の中で貧困に陥ってしまった人々も増えたことがわかりました。
脅威となっているテロの主な原因も、元をたどれば、貧困や格差にたどり着くこともわかってきました。
こうしたことから、「誰も置き去りにしない」世界の確立こそが重要 だということになっていったのです。

未来の目線で今を見る

SDGsが2030年の世界の姿を示しているとすれば、我々がしなければならないのは、未来の姿の立場に立って、今の世界を見ることです。「今から未来の世界を見ていくと、SDGsが描く世界に近づくことは難 しそうに見えることもあります。例えば、目標12の下にある12.3と いうターゲットは、「2030年までにひとり当たりの食品廃棄物を半減 する」と言っています。食品廃棄物には、食べ残したものだけではなく、 食べ物がつくられるときに捨てられるものや、形が悪くて選別されてしまう食べ物なども含まれます。さらには、売れ残りの食べ物や賞味期限 切れの食べ物などにも及びます。しかし、これらの食料が捨てられていることにも理由があり、例えば、捨てないと食品業者の儲けがなくなる といった、今の経済の論理が働いているのです。

ではどうすればいいのか? 未来の立場に立って問題を見てみる、と いうのがSDGs的解決方法です。上の例に立ってみれば、「ひとり当たりの食品廃棄物が2015年から半減された」世界から考えることです。 そうすれば、売れないものを捨てないと成り立たない経済の仕組みが間 違っていることや、形を見て味や栄養を見ない選別の仕方が間違っていることに気づいてくるでしょう。
未来の目線で今を見る。そのための新しい方法がSDGsです。柔軟 な頭こそ、SDGsの世界を実現する原動力となるでしょう。

Think the Earth (著), 蟹江憲史(慶應義塾大学大学院 教授) (監修), ロビン西(マンガ) (イラスト)
出版社: 紀伊國屋書店 (2018/5/8)、出典:出版社HP