「高校の化学」が一冊でまるごとわかる

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高校化学を網羅した1冊

説明が非常にわかりやすいだけでなく、記憶に残る言い回しで、要を得て簡潔にまとめられているところがこの本の良いところです。非常にわかりやすく、読み終わった頃には著者の先生の授業を受けてみたい!という気持ちになっているかと思います。

竹田 淳一郎 (著)
ベレ出版 (2018/12/12)、出典:出版社HP

はじめに

この本を手に取っていただいて、ありがとうございます。著者は毎日、中学生・高校生に化学(ときには地学、物理、生物も!)を教えている現役の教員です。生徒にはエラそうに教えている私ですが、自分の高校生時代を振り返ると成績はいつも真ん中よりも下で、特に理系科目はどれも赤点スレスレでした。通知表が渡されるたびに毎回ヒヤヒヤしたのを今でもよく覚えています。そんな中でも一番好きだった化学を専門に選んで、大学で化学の本当の楽しさに目覚め、化学の面白さを伝えたいという気持ちが抑えきれなくなって、とうとう化学の教員になってしまいました。今でも高校の友人に会うと「お前が教員なんて・・・教えられるの?」と真顔で聞かれます。昔は「いやあ、なんとかやってるよ、テへへ。」と苦笑いしてごまかしてきましたが、今では20年近い教員生活で生徒がつまずきやすいところもわ かり、どう教えれば理解しやすいか、イメージをつかみやすいかいろいろなアイデアもたまってきたので、「そんな私だからわかりやすく教えられるのさ」と自信をもって答えられるようになりました。

最近では社会人の方々にも化学を教える機会も多くありますが、「先生の講義を本にまとめてくれたら絶対に買いますよ」とたくさんの受講生の方々にほめていただき、今までに貯めたアイデアを惜しみなく盛り込んで書き上げたのが本書です。
どうぞ目次を見ていただき、興味をもったページを開いてみてください。「化学ってこういうことだったのか」という新鮮な発見があることを保証します。

竹田淳一郎

竹田 淳一郎 (著)
ベレ出版 (2018/12/12)、出典:出版社HP

CONTENTS

基のマークは高校の「化学基礎」で学ぶ内容です。
はじめに

第1章 基礎化学 物質の基本粒子
(1) 基 原子と元素はどう違う?
(2) 基 中性子にはどんな役割があるのか?
(3) 基 同じ元素でも重さが異なります
(4) 基 周期表はなぜ中央がくぼんでいるのか?
(5) KとCaはなぜもう一つ外側のN殻に電子が入るのか?
(6) 基 イオンになる原子、ならない原子の違いとは?
(7) 基 イオンになりやすさを比べる2つの指標

第2章 基礎化学 化学結合
(8) 基 陽イオンと陰イオン、合体させるときの作法と命名法
(9) 基 イオンにならずに安定になるには?
(10) 基 共有結合? イオン結合?見分け方のコツ、教えます
(11) 基 分子の極性の有無は結合だけじゃなく全体の形を見よう!
(12) 基 金属が電気を通す理由も「結合」というキーワードで説明できた!
(13) 基これを知っていれば化学通!
(14) 基 結合のまとめ、いろんな結合の違いの確認
(15) 基 固体の構造をミクロの視点で見てみると

第3章 基礎化学 物質量と化学反応式
(16) 基 モルがわかると化学がわかる
(17) 基 原子量、式量、分子量、正しく使い分けられますか?
(18) 基 化学反応を化学式を使って表す
(19) 基 化学反応式を学ぶと何の役に立つのか?
(20) 基 モルがもう少しだけ続きます

第4章 理論化学 物質の状態変化
(21) 基 圧力とは何か? 化学におけるもっともわかりにくい単位
(22) 固体、液体、気体を粒子の視点で見てみよう
(23) 基 「打ち水」は水が冷たいから涼しくなるわけではありません
(24) 富士山の山頂では水は88°Cで沸騰します
(25) ドライアイスはなぜ液体にならず、直接気体になるのか

第5章 理論化学 気体の性質
(26) 気体の性質を数式で表すと
(27) 気体の計算でいちばんよく使います
(28) 混合気体のそれぞれの圧力はどう考えるの?
(29) 実在するのはいつも理想から離れているものですね

第6章 理論化学 溶液の性質
(30) 基 塩と砂糖、どちらも水に溶けるがそのメカニズムは異なります
(31) 基 水100gにNaClは何gまで溶けるでしょうか?
(32) スキューバダイビングで注意しなければいけないことは?
(33) 煮立った味噌煮込みうどんは100°Cを大きく超えています
(34) 氷+食塩で冷凍庫なみに冷やすには?
(35) 計算法をマスターしてもう一歩上へ
(36) 青菜に塩、このことわざも化学で説明できます
(37) 名前はマニアック、でもどこにでもあるんです
(38) 人工透析はどんな仕組みで血液をきれいにしている?

第7章 理論化学 化学反応と熱
(39) カロリー(cal)とジュール(J)、熱を表す単位とは
(40) 化学反応に伴う熱の出入りをどう表すか
(41) 化学変化どころか物理変化まで熱化学方程式で表せます
(42) 熱化学の計算問題には必ずと言っていいほど出てくる法則
(43) 共有結合を切断するのに必要なエネルギーは?
こうこう化がくの窓 本来は吸熱反応は自然にはおきない!?

第8章 理論化学 反応の速さと平衡
(44) 化学反応のメカニズムを結婚に例えると
(45) 化学反応の速度も結婚に例えてみます
(46) 鉄がさびるのは反応速度が遅い反応です
(47) 活性化エネルギーを下げて反応速度を上げる
こうこう化がくの窓口 触媒と第一次世界大戦の密接なかかわり
(48) 行ったり来たりできる反応と一方通行の反応
(49) 化学平衡を数式で表すと
(50) 水に溶けない塩でも実は本当に少しだけ溶けています
(51) 平衡がどちらに移動するかはどう判断するの?

第9章 理論化学 酸と塩基
(52) 基 酸と塩基とは何だろう
(53) 基 酸と塩基の強さはどうやって表す?
(54) 基 酸と塩基をもう少し詳しく分類すると
(55) 基 酸と塩基を混ぜると・・・?
(56) できるやつは電離度は使いません。その理由は・・・
(57) 中和反応をpHの変化で見てみよう1
(58) 中和反応をpHの変化で見てみよう2
(59) 基 中和滴定はどんな実験器具を使って行なうか?

第10章 理論化学 酸化還元反応
(60) 基 「酸化」というと悪いイメージが? 本当のところはどうなのでしょうか
(61) 基 酸化と還元を判断する強力な武器
(62) 基 酸化剤と還元剤にはどんな種類があるのか
(63) 基 重要な酸化剤、還元剤の特徴を押さえよう
(64) 基 誰でも酸化還元反応式が書けるようになれます
(65) 基 酸化還元反応を用いてモル濃度を計算で求めるには?
(66) 基 CuとZnのイオンになりやすさを実験で比較するには?
(67) 基 金やプラチナが永遠に輝くわけ.
(68) 基 電池はなぜ電気エネルギーを取り出せるのか?
(69) ボルタ電池の弱点を改良しました
(70) 基本的な構造は100年以上前から変わっていません
(71) エコカーに搭載されている電池の違い
(72) 自然界には存在しないNaの単体を得るにはどうする?
(73) 銅の純度を99%から99.99%に上げるには
(74) 電流とmolの関係は?
(75) 電気分解の総まとめです

第11章 無機化学 典型元素の性質
(76) 無機化学に本格的に入る前に知っておきたいこと
(77) ヘリウムHe、ネオンNe、アルゴンAr、クリプトンKr、キセノンXe、ラドンRn
(78) フッ素F、塩素CL、臭素Br、ヨウ素、アスタチンAt
(79) 炭素C、ケイ素Si、ゲルマニウムGe、すずSn、鉛Pb
(80) 空気中にたくさんあるのに使える形にするのは難しい
(81) 窒素N、リンP、ヒ素As、アンチモンSb、ビスマスBi
(82) 黄色いダイヤとよばれたこともありました
(83) 酸素の化合物をどれだけ言えますか?
(84) リチウムLi、ナトリウムNa、カリウムK、ルビジウムRb、セシウムCs、フランシウムFr
(85) ベリリウムBe、マグネシウムMg、カルシウムCa、ストロンチウムSr、バリウムBa、ラジウムRa
(86) ルビーからお金まで、意外なものに含まれています
(87) 水銀と鉛、昔は毒性が知られてはいませんでした

第12章 無機化学 遷移元素の性質
(88) スカンジウムSC、チタンTi、バナジウムV、クロムCr、マンガンMn、鉄Fe、コバルトCo、ニッケルNi、銅Cu
(89) 身近にあるけど奥は深い
(90) 足尾銅山鉱毒事件の原因になりました (91) 古くから人類が追い求めてきました
(92) 遷移金属の名脇役
(93) 混ざってしまった陽イオンを分けるには?
(94) ガラス、陶磁器、セメント、まとめてなんとよぶ?
(95) 10円玉は銅でできている? いやいや実は合金なんです

第13章 有機化学 脂肪族化合物」
(96) 有機化学、有機農業、有機肥料・有機って何だろう?
(97) 無数にある有機化合物を分類して整理しよう
(98) 異性体を理解すると有機化学が理解できる!
(99) 都市ガス、ライター、ガソリン、灯油…主に燃料に使われます
(100) 構造異性体の見つけ方と命名法のコツ
(101) “不飽和”という言葉はとても重要!
(102) 三重結合という固い絆
(103) アルカンとアルケン、一文字違うだけで反応性は大きく違う?
(104) 「アルコール好き」は本来は「エタノール好き」というべきなのです
(105) ヘキサンとエタノールを区別するには?
(106) 麻酔薬として非常に優秀です
(107) 聞いたことはなくても身近で活躍しています
(108) 酢酸は世界一有名なカルボン酸です
(109) 原材料に「香料」と書いてあるときはたいていエステルが入っています
(110) バターとサラダ油の違いを化学の視点で見てみる
(111) 洗剤はせっけんの弱点をカバーしてくれます
(112) 脂肪族有機化合物の総まとめ

第14章 有機化学 芳香族化合物
(113) ベンゼンを含む有機化合物だけ特別扱いします
(114) ベンゼン環は壊れずに置換基が置換されていきます
(115) 洋服ダンスの防虫剤に使われるナフタレンが代表的です
(116) ベンゼンがおこす重要な3つの反応
こうこう化がくの窓 爆薬を作るのに重要な役割を示すニトロ化
(117) 重要な芳香族有機化合物です
(118) プリンターのインクの原料です
(119) カルボン酸から作られるアスピリン錠は世界で 年間1500億錠も消費されています
(120) 混ざっている芳香族有機化合物を分けるには?

第15章 高分子化学 天然高分子化合物
(121) 原子が無数につながった化合物
(122) 砂糖と一口に言っても色々な種類があります
(123) 料理に使う白砂糖は二糖類です
(124) デンプンも食物繊維もばらばらにすれば同じグルコースです
(125) 我々の体は20種類あるアミノ酸からできています
(126) 三大栄養素の一つがタンパク質です
(127) 触媒の有機化合物バージョンです
(128) 木綿、絹、羊毛…共通点は天然高分子化合物
(129) 「化学」と「生物」のすみ分けができています

第16章 高分子化学 合成高分子化合物
(130) 養蚕業に大ダメージをもたらした原因です
(131) ビニロンは日本で発明された合成繊維です
(132) これなしではもう生活できません
(133) 世界初の合成樹脂は熱硬化性樹脂でした
(134) ゴムは化学の視点で見るとどんな分子構造をもっている?
(135) 高分子化合物は素材として活躍するだけではありません

参考文献
さくいん

竹田 淳一郎 (著)
ベレ出版 (2018/12/12)、出典:出版社HP