新しい高校化学の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)

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楽しく化学を学べるコンパクトな1冊

化学についての一般常識を身に付けたい社会人や、背伸びして高校化学を学びたい中学生におすすめの一冊です。身近な内容や最近の話題などを取り入れ、全体の内容としても面白いものとなっています。

はじめに

―もっと面白い、やりがいのある理科を!

化学、生物、物理、地学の4教科がそろったブルーバックス高校理科教科書シリーズは、すべての高校生に読んでもらいたい、学んでもらいたい理科の内容をまとめたものだ。理系だろうと、文系だろうと、だれもが学習してほしい内容を精選してある。
そして、本シリーズ4冊を読破することで、科学リテラシー(=現代社会で生きるために必須の科学的素養)が身につくことを目指している。
本シリーズの特長を紹介しよう。

(1)内容の精選と丁寧な説明
高校理科の内容を羅列するのではなく、検定にとらわれずに「これだけは」という内容にしぼった。それらを丁寧に説明し、「読んでわかる」ことにこだわり抜いた。
(2)読んで面白い
「へぇ~、そうなんだ!」「なるほど、そういうことだったのか!」と随所で納得できる展開を心がけた。だから、読んでいて面白い。
(3)飽きさせない工夫
クイズ・コラムなどを随所に配置し、最後まで楽しく読み通せる工夫をした。
(4)ハンディでいつでもどこでも読める
持ち運びに便利なコンパクトサイズ。電車やバスの中でも気軽に読める。

本書『化学』編も、以上の特長を備えている。
また、とくに次の諸点も工夫したつもりだ。
化学は「物質の性質、構造、反応を研究する学問」である。その学問の性格にふさわしく、いつも具体的な物質をメインに据えながら説明するようにした。物質にはくり返し化学式をつけて、化学式に自然に慣れ親しむようにした。
現在の中学校理科の化学領域では、原子の内部構造を一切学習しない。原子核も電子も「発展」として一部の生徒が学習するだけである。原子核、陽子、中性子や電子は高校で初めて学ぶのだ。そこで、そんな中学校理科の化学領域からでもスムースに入っていけるように、まず原子について丁寧にわかりやすく説明している。
原子のモデルについては、あえて、電子配置をボーアモデル(K,L,M,…殻)にとどめ、そのレベルで丁寧な説明をすることにした。
化学と生活、環境との関わりについては、とくに意識的に取り上げた。化学が生活や環境と密接に関係しており、化学を学ぶことで生活や環境を化学の目で見ることができることを願っているからである。

本シリーズ4冊は、高校生の他に、こんな人たちにも読んで欲しい。
・少しでも科学的な素養を身につけたいと願う社会人
・化学、生物、物理、地学をもう一度きちんと学習したいと考える社会人
・化学を勉強せずに工学部に入った大学生、生物を勉強せずに医学部に入った大学生
・試験の問題は解けるのだが、ものごとの本質がよくわかっていないと感じる大学生

なお、このブルーバックス高校理科教科書シリーズ4冊は、ベストセラーとなった中学版『新しい科学の教科書I~Ⅲ』(文一総合出版)と同様、有志が集い、教科書検定の枠にとらわれずに具体的な教科書づくりをした成果である。

最後に、ブルーバックス出版部には、原稿について忌憚のない意見をいただき、よりよいものに改善することができた。感謝申し上げる。

2006年1月20日
編著者 左巻健男

もくじ

はじめに

第1章 物質を作るおおもと——原子
1-1 ものは原子の建築物
1 そもそも「もの」って何?
2 物質を研究する学問——化学
3 「もの」を作るおおもと

1-2原子の内部はどうなっている?
1 原子の構造

1-3 化学反応と物質の量
1 私たちの周りは化学反応でいっぱい
2 化学反応と化学反応式
3 物質量
4 電子配置

第2章 原子と原子の結びつき——化学結合
2-1 イオンとは何もの?

2-2 いろいろな化学結合
1 物質のでき方
2 原子がくっつくパターンは3種類
3 陽イオンと陰イオンの結合
4 分子を作る結合
5 分子同士がくっつくと
6 分子にもあるプラスとマイナス
7 ダイヤモンド、フラーレン——ハイテク素材
8 金属結合と金属
9 結合による物質の分類とその性質

第3章 物質の状態
3-1 物質の三態
1 熱と温度と水(物質の状態変化)
2 気体の分子運動と圧力
3 液体の蒸発と蒸気圧

3-2 気体の性質
1 気体研究の歴史
2 気体の体積変化
3 気体の状態方程式

3-3溶液
1 なぜものは液体に溶けるのか
2 水に溶けやすいものと溶けにくいもの
3 固体の溶解——溶解量に限界があるのはなぜか
4 気体も水に溶ける
5 溶液の濃度の表し方
6 溶液の蒸気圧と沸点・凝固点
7 植物の吸水の秘密——浸透圧
8 溶液のように見えて溶液ではない——コロイド溶液

第4章 化学変化の仕組みといろいろな反応
4-1 化学変化と熱の出入り
1 物理変化と化学変化
2 化学変化と熱の出入り
3 エネルギーから見た発熱反応と吸熱反応
4 結びつくと熱が出る

4-2 反応速度と化学平衡
1 反応速度
2 反応速度式
3 反応速度とエネルギー
4 化学平衡
5 平衡移動の原理(ル・シャトリエの法則)

4-3 酸と塩基の反応
1 酸性
2 アルカリと塩基
3 酸・塩基の価数
4 酸・塩基の強弱
5 水のイオン積
6 pH
7 pH指示薬
8 中和反応の本質
9 中和反応の量的関係

4-4 酸化還元反応
1 酸化と還元
2 酸化数
3 酸化剤と還元剤
4 金属のイオン化傾向
5 電池
6 電気分解

4-5 空気の酸性化
1 「空気で消えるペン」と「色が消えるのり」
2 酸性雨とは
3 酸性雨の成分
4 解体屋・OHラジカル
5 SOxとNOx(硫黄酸化物と窒素酸化物)
6 酸性雨による被害
7 空気の酸性化

第5章 無機物質
5-1 非金属元素の単体と化合物
1 元素の周期表と五大物質
2 ハロゲンの単体と化合物
3 酸素とオゾン、硫黄
4 窒素とリン
5 炭素とケイ素
6 水素と希ガス

5-2 金属元素の単体と化合物
1 強い塩基になる元素
2 アルミニウム、亜鉛
3 鉄と銅
4 銀、金、白金
5 水俣病とイタイイタイ病——水銀、カドミウム

第6章 有機化合物
6-1 有機化合物とはどんな化合物だろう
1 有機化合物(有機物)とは
2 有機化合物の定義
3 有機化合物の特徴
4 有機化合物の構造と分類

6-2 脂肪族炭化水素
1 有機化学の基本——鎖状の飽和炭化水素、メタン系炭化水素(アルカン)
2 鎖状の不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素 (アルケン)とアセチレン系炭化水素(アルキン)
3その他の脂肪族炭化水素
4 脂環式炭化水素

6-3 芳香族化合物
1 ベンゼンの特別な安定性
2 その他の芳香族炭化水素
3 ベンゼン環上で起こる反応
4 芳香族化合物の側鎖で起こる反応

6-4 アルコール、アルデヒド、ケトンなどの有機化合物
1 アルコール、フェノール、エーテルの仲間
2 光学異性体
3 アルデヒド、ケトン、カルボン酸
4 アミン、アゾ化合物、カップリング

第7章 高分子化合物
7-1 天然高分子化合物
1 高分子化合物とは
2 糖・デンプン・セルロース
3 アミノ酸・タンパク質
4 天然繊維

7-2 合成高分子化合物
1 付加重合で作られるポリマー
2 縮合重合で作られるポリマー
3 熱硬化性の樹脂
4 ゴム

第8章 人間と化学のかかわり
8-1 生活と化学
1 食品の化学
2 リサイクルの化学
3 温室効果ガスと地球温暖化
4 水環境と化学

8-2 フロンとオゾン層
1 「夢のような化学物質」フロン
2 オゾン層のすがた
3 オゾン層が生まれる仕組み
4 フロンのゆくえ(ローランドとモリーナの考え)
5 オゾン層破壊の犯人をつきとめる
6 世界がふるえたオゾンホール
7 フロン禁止、そして
8 オゾン層破壊と異常気象
9 代替フロンはどんな物質か
10 フロン削減と環境問題

8-3 生命と化学
1 デオキシリボ核酸DNA
2 酵素・分子認識
3 強力な生理活性を持つ化合物
4 医療用材料の化学
5 医療技術の進歩

付録
参考図書
さくいん