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アフリカで働く人々から学ぶ
本書は、アフリカ大陸での生活はどんなものか? 貧困や感染症は?といったことはもちろん、青年海外協力隊、NPO活動、NGO活動、ボランティア活動、起業、ビジネス等、知られていないアフリカを知ることができます。
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はじめに
「アフリカ」と聞くと、多くの日本人は「砂漠」「サバンナ」「不便、不衛生」「飢餓」といった言葉を連想するのではないだろうか?
確かにアフリカ大陸にある各国は欧米や日本と比較すれば、経済が発展途上の国が多い。また、日本からすれば距離の問題もあり、なかなか現地に足を踏み入れる機会も少ないだろう。
しかし、日本人は肝心なことを忘れてはいないだろうか?
かつて、日本の商人(商社)たちは世界の海を渡り、あらゆる大陸に商売の種を植えにいっていたことを。その種が番となり、やがて大輪の花を咲かしたことを。残念ながら、今の日本は保守的な思考が蔓延していると感じる。豊かで便利さに満たされた日本は、かつてのローマ帝国と同じ道を辿っていると思える。「パックス・ロマーナ」で平和と繁栄に満たされたローマ帝国の終焉の原因は実はこの「パックス・ロマーナ」を享受した人々の堕落にあるといわれている。豊かさと便利さを享受する先進国、特に日本はそれが永遠に続くと信じているのかもしれない。かつてのローマ時代の人々のように。
不便であり、不衛生、そしてインフラもままならない環境においても人々は逞しく生活をしている。それは東南アジアのビジネスの現場を3年以上見続けてきた私たちの率直な感想だ。そこに、ICTなど生活を一変させる技術が津波のように押し寄せてくる。ICTなどの高度な技術でなくても構わない。日本のような先進国が数十年の間で築き上げてきた技術や経験、ノウハウをもってすれば、多くの場面でイノベーションを起こせる現場を目の当たりにしてきた。それこそが途上国や新興国のビジネスの醍醐味であり、日本が失いつつあるイノベーションによる社会変革の姿なのだろう。道路や鉄道が整備され、ストレスなく目的地に到達できる日本において、これ以上速く人間が移動する手段を考えることは無理があるのではないだろうか?労働力不足が深刻化する日本でこれ以上、人間によるサービスの高度化を求めることは必要なことであろうか?日本が世界に貢献するならば、今まで築き上げてきた高度な技術やノウハウをいかに世界に伝播させ、その土地で真のイノベーションを生み出すことにもっと目を向けるべきなのではないだろうか。
東南アジア各国は途上国から新興国と呼ばれ、力強い経済成長力を見せている。
しかし、そこには、社会や経済に変革を起こすイノベーションの余地がまだまだ残されている。一方でアフリカには多くの政治問題、民族問題の影響もあり、20世紀から1世紀にかけた途上国、新興国の経済成長の波に乗り遅れた国々が多い。だからこそ、この土地にイノベーションの可能性を賭ける人々も少なくない。
本書はそんなアフリカ大陸と共にさまざまな分野で懸命に生きる人々にフォーカスを当て、紹介させていただいた一冊である。ここに登場する人たちの他にも多くの人たちが現地で奮闘していることは間違いない。本書で取り上げたアフリカと共に生きる人たちはその一部であることを申し上げておきたい。これからも広いアフリカ大陸で活躍する方々をすべからく紹介し、1人でも多くの日本人にその生き様を伝えていきたい。
若者から人生の大ベテランの方々まで本書を多くの人たちに手にとっていただければと思う。そして、皆さまの人生における無限の可能性を感じていただければ幸いである。
ブレインワークス
目次
はじめに
Alphajiri Limited 薬師川智子
Paradise Beach Bungalows 三浦砂織
KAI LIMITED 薬師川恭平
VIVIA JAPAN 株式会社 大山知春
有限会社Moringa Mozambique 山家友明
Kenya Fruits Solutions Ltd. 山本 歩
元青年海外協力隊(コミュニティ開発) 吉岡繭
Maki & Mpho ナカタマキ
WBPF Consultants.LTD / CourieMate 伊藤淳
NPO法人AYINA、株式会社African Network 内藤俊輔
Burundi Japan Friendship ドゥサベ友香
アフリカ工房 前田眞澄
Life Style Rwanda Ltd. 唐渡千紗
一般社団法人アフリカ協会 淺野昌宏
レキオ・パワー・テクノロジー株式会社 松尾泰介
RWAMITTU LTD. 木下一穂
社団法人アフリカ開発協会/早稲田大学招聘研究員 佐藤正幸
NPO法人まちのつながり推進室代表理事、狭山市議会議員 矢馳一郎
Chuui (チューイ) 坂本厚子
株式会社3WM 川地茂
Alizeti (アリゼティ) 根津朋子
モンスーンジャパン合同会社 横山和歌子・川尻翔太
Zimba Mission Hospital 三好康弘
国連開発計画(UNDP) Youth Volunteer 備瀬千尋
EXCIA East Africa Limited, 松本義和
アジア・アフリカと共に歩む会(TAAA)南アフリカ事務所 平林薫
特定非営利活動法人ケニアの未来 橋場美奈
サイディアフラハ 荒川勝巳
国際NGO野生生物保全協会 西原智昭
KISEKI CORPORATION LTD 山田耕平
大分工業高等専門学校 久保山力也
モリンガの郷 藤井千江美
阿南工業高等専門学校名誉教授 青木茂芳
株式会社きとうむら 中川公輝
任意団体「NPO学校をつくろう」 堀田哲也
日本ベアフットランニング協会 吉野剛
国際協力機構(JICA) 山形茂生
国境なき医師団 菊地紘子
NGOアフリカと神戸俊平友の会 神戸俊平
一般社団法人エチオピア・アートクラブ 山本純子
アフリカ女性子供を守る友の会 長島日出子
JKUAT NISSIN FOODS Ltd. 荒殿美香・飯村 学(ンポテ★飯村)
ワンブルーム株式会社 伊藤弘幸
COTS COTS LIMITED 宮下芙美子
KISEKI Authentic Japanese Restaurant 山田美緒
日本食堂兼日本人宿「和心」 原田翔太
株式会社Asante (AFRIKA ROSE) 萩生田愛
株式会社ヴェルデ 田野島鐵也
特定非営利活動法人アフリカ日本協議会 津山直子
会宝産業株式会社 山口未夏
GOODEARTH 藤原宏宣
株式会社ブレインワークス アジアビジネスサポート事業部 渡辺慎平
全ての人が、自ら人生を選び取れる社会をつくるために
Alphajiri Limited 代表取締役社長 薬師川智子
私は2016年から、ケニア最西端にあるミゴリ県を拠点に、現地法人Alphajiri Limitedという大豆商社を経営しています。4人の社員とともに、約500名の小規模農家と大豆栽培契約を結び、種子の配布から集荷、選別、加工メーカーへの卸売をしています。
私は中学時代から、「不公平な社会を変えたい。生まれつきの貧困や差別により、自分で人生を選び取ることができない人々の暮らしを変えたい」という強い思いがありました。しかし具体的に何をすれば良いか分からなかった私は、進路を国連職員として国際協力をしようと決めました。その進路に向けてアメリカの大学に進学し、必死で勉強し努力をしてきましたが、就職しても具体的に何をしたいのかがわからず苦しむ毎日でした。そんな中、現場を肌で感じながら仕事をしたいと青年海外協力隊に応募したことで、私の人生は大きく切り開かれました。
協力隊として赴任したのはケニアJAバンクとの仕事をしていた経験が活かせるようにと思い、第一志望として「大豆農家組合とともに大豆の栽培と加工の普及を行う」という要請に応募しました。私は幸いにも第一希望に合格しました。
協力隊の活動で痛感したのは、ボランティアができることの時間的・金銭的限界、そして国連など公的機関ができる支援の範囲の限界でした。貧しい人々が、満足な教育・健康・収入を得るという使命は同じです。しかし教育や栄養やお金は、与えるだけではその人には生かされないということを実感しました。自身の労働から対価を得ることと、その対価を何に投資するかという各々の意志が必要だと気づいた私は、ビジネスによって、その使命を叶えられるのではと考えました。
統制された農協のほとんど存在しないケニアでは、市場のある農産物を作っても、農家がメーカーの望む量・品質・納期に応えることができないため、作っても売れないことが日常茶飯事です。
そして農家の自助努力では、到底市場の要求に応えることは難しく、生産者と市場のロジックを取り持つ存在が必要であるという結論に至りました。そこで私は、協力隊時代に深く関わった大豆で、農家との契約栽培(組織化や種子・農業資材の貸付も含む)から品質管理、在庫管理、営業と都市部の加工メーカーへの卸までを行う商社を設立しようと決めた のです。
今は、ケニア西部ミゴリ県の小規模農家約500名と栽培契約を結び、集荷・調整した大豆を、首都ナイロビの食品加工メーカーのオーダーに合わせて出荷しています。この仕事で何より嬉しいのは、生産者や社員の成長を見られること、生産者・社員・お客様から感謝の言葉をいただけることです。基礎教育を満足に受けていない農家と上手に対話し協力してもらうこと、ビジネスでの教育を受けた経験の全くない地方のケニア人社員に、基礎的な事務やビジネスマナーを教育すること、先進国と一切異なる商習慣において、ケニア人と交渉し売り上げをあげていくことなど、どの側面を切り取っても、簡単なことなど一つもありません。
しかし今後も、現在の事業を着実に成長させ、近い将来には当社自身が加工の一端を担ったり、ケニアにとどまらずアフリカ各国で、大豆だけではない農業のサプライチェーンを改革する事業へと手を広げたいと考えています。
まだまだ私自身も会社も発展途上です。今10代の人たちに何かメッセージを送るとしたら、「自分が正しいと思うことを、決して諦めずにやり続けて」と言いたいと思います。志を実現するためには、社会で様々な人や事象と関わり、そこに自分自身がどう向き合うかという作業を、丁寧に行うことしかありません。それは、日本であろうと、アフリカであろうと、どの場所・時代でも、不変のことです。私は、意志を切り開いた始めの一歩が、たまたまケニアだったというだけです。もし、自分の意志の実現がアフリカにある気がする、そんな方がいらっしゃったら、まずはとにかく来て、体験し考えてみてください。応援しています!
プロフィール
1988年奈良県生まれ。2011年テキサス大学アーリントン校にて、政治学およびフランス語学士号を最優秀で取得。同年農林中央金庫へ入庫、長崎県内のJAバンクに対する財務モニタリング・業務推進等を担当。2014年より青年海外協力隊員としてケニアに赴任、大豆栽培・加工の普及に従事。2016年、大豆商社Alphajiri Limited設立。
企業名 : Alphajiri Limited (アルファジリ)
ケニア国内の農産物流通に不足している「包括的なサプライチェーン」を提供すべく、小規模農家との大豆契約栽培・買取・加工メーカーへの卸業を行う。
パジェの愉快な仲間たち
Paradise Beach Bungalows オーナー 三浦砂織
東アフリカ、タンザニア連合共和国東のインド洋上に浮かぶ島、ザンジバル島で宿泊施設と日本の家庭料理レストランを始めて、2017年7月で早9年になります。
ペパーミントグリーンの海を見渡す浜辺にバンガロー3軒で始めて、現在は2棟のバンガローを欧米、日本、中国、韓国など世界中のお客様にお貸しして、日本の家庭料理と、ここザンジバルのスワヒリ料理でおもてなしをしています。最近はアジアのお客様向けに朝、お粥もお出ししています。始めたころは、村にはまだ水も電気もなく、トイレのない家庭も多く、村人は浜辺で用を足していらっしゃいました。
現在ここではWi-Fiも使え、お湯のシャワーもあります。料理はガスで調理し、パンは木炭で焼いています。始めは何年も、バケツの水をカップですくう式のシャワー、夜の明かりは石油ランプ、料理も木炭とまきで作っていました。そして、水は井戸から釣瓶であげていました。釣瓶で水をくみ上げてくれていたおじいさん(ムゼールーム)はもう亡くなり、今はその息子さん(ティンベ)が働いてくれています。彼も歳を迎え定年です。
ここに来る前の仕事は、毎日放送ラジオ局のリポーター。その後、和歌山放送ラジオ局のアナウンサーを務めさせていただきました。加えて司会業では10組以上のカップルの結婚式で司会させていただき、そのときの貯蓄がこのパラダイスを始めるにあたっての資本金になっています。
ここでは現在、7人の従業員を雇っています。私以外は全員タンザニア人です。ほとんどが隣村の村人。そして夜の警備員には、恐れ知らずのマサイ族のモラン(若い戦士)を雇っています。村人たちにとっては初めてのホテルレストランでの仕事で、教える事が山積みです。毎週木曜日には全体ミーティングです。初めは声も出なかった子たちが少しずつ不足している物品や、故障個所などを言えるようになりました。もう少し高度なビジネス、サービスの向上を目指す意見交換の場にしたいのですが、それは無理でしょう。ホテルに泊まったことがなく、レストランで食事なども私が連れて行く以外にはしたことがない皆さんです。そして終わりには私達パラダイスの決まりを参加者の中から1人選んで言ってもらいます。
「お客様へ、そしてスタッフへも必ず挨拶をする」。現地の年長者には挨拶をしますが、私など外国人には挨拶をしません。「謝る」。彼らはミスを犯しても決して謝らず、相手の非を探します。自分のミスでなくともその場では謝り、後で説明をする。「嘘はつかない」。皆さん嘘つきです。「ごみはひろう。ポイ捨てをしない」。現在は、以前にはないプラスチックやビニール袋があり、昔捨てていた果物の皮や種のようにそれも捨ててしまう。家庭では教える人がいません。「ありがとうと言う」。お礼を言うというしつけがされていない。まるで幼少児教室? そうかもしれませんがこれが私たちの現実です。
それでも私の小言に耐えて、料理人は漬け丼、てんぷら、煮つけ、グラタンにタコのザンギと、私の好物を何種類もとても上手に作ります(ファトゥ、ムアへ、アミーナ)。読み書き計算が苦手だった子にも、運転免許を取らせて、今では1人で街へ買い出しに行きます。簡単な電気水道工事ならできるようになりました(タッキー)。英語が得意ではないと言っていた子には英語の専門学校に入学してもらい、いいレセプショニストとしてお客様の信頼を得ています。おまけに日本語まで話します(アリ)。
皆チャーミングでかけがえのない私のファミリーです。
さて、私の仕事は集団生活での基本的なマナーを教える事。料理もすべて何度も作って見せて教えました。掃除も注意しています。クリスマスには飾りつけをして、暇になると焼き肉パーティーを催して、評判のいいレストランには料理人、ウエイターを連れて行き、朝は起きてから予約の管理をして、犬にしつけをして、ネコにえさをやり、新しいスタッフのインタビュー、いつも数珠つなぎで起こる問題の解決。私の行動のすべてが仕事につながっていると言っても過言ではありません。
そこでストレスもたまります。子宮筋腫になりました。一昨年に初めて帯状疱疹を出しました。日本大使館の医務官に個人的に大変お世話になりました。お守りまでいただきました。本当にありがたく思っております。
考えてみますと、資金は少なかったですが、若くて体力のあるうちにこの仕事を始められたことが良かったと思います。そして元気で素直で、柔軟な精神を持つ人間に私を育ててくれた両親に本当に感謝しています。加えていつも勇気づけてくれて、笑わせてくれて、心からのアドバイスをくれる友人にも心から感謝しています。
そしてここで過ごしてくれたお客様方、これからお越しくださるお客様に感謝しています。お元気で、毎日楽しく生きましょうね。
プロフィール
1959年北海道室蘭市生まれ。1982年に京都女子大学文学部国文科卒業後、毎日放送ラジオレポーターとして入社。1985年-1990年4月、和歌山放送ラジオアナウンサーとして活躍。1990年日本アフリカ文化交流協会スワヒリ語学院入所(ケニア ナイロビ)。1992年7月4日Paradise Beach Bungalows(パラダイスビーチ バンガローズ)を建築し、現在に至る。
Paradise Beach Bungalows URL: http://nakama.main.jp/paradisebeachbungalows/
東アフリカ・ケニア初となる持ち帰り寿司の販売を開始
KAI LIMITED (カイリミテッド)代表取締役社長 薬師川恭平
なぜ、アフリカなのかというと、チャレンジしている人間がまだまだ少ないからです。2003年に2歳でベトナムへ留学した時もそうでしたが、人と違うことをしたいという思いを強く持っています。日本人にとって物理的にも心理的にも遠いアフリカ進出している日系企業も少なく、まして起業家は数えるほどです。また、マーケットとしても、先進国 や東南アジアの途上国と比べても手がつけられていない事が多く、自分が成すべき事を見つけられる場所だと思ったからです。
本当はベトナムにおいて飲食業で起業したいと考えていました。しかしなかなか踏み出す勇気が持てず、そのうちにベトナム経済はどんどん成長しました。初めて訪れた2003年からの10年間で、名目GDPは約4倍となりました。個人資本で商売を始めるには難しい時代になったと感じました。そんな時、参加していた勉強会でアフリカの話題が持ち上が りました。また知人が駐在していたこともあり、一度行ってみることにしました。
2014年6月にケニアと南アフリカを訪れました。アジアとの文化の違いはあるにせよ、特にケニアは、10年前に見た発展前のベトナムを思い出させました。このチャンスを逃せば後はないという強い思いから、7月には退社し、9月にはケニアに移住をしていました。当時ベトナムで勤務していた会社には大変迷惑をかけましたが、20代前半から持ち続けた起業への思いに突き動かされました。
ナイロビを中心に展開している中間富裕層向けのスーパーマーケットチェーンと提携し、現在6店舗にて持ち帰りスタイルの寿司を販売しています。まだまだ売上自体は小さいですが、購入してくださるお客様の半数近くは意外にもアフリカの方で(主にケニア人)、今後のポテンシャルを大変感じます。また、寿司には欠かせない鮮魚やお米についても、小さい規模ではありますが独自の取り組みを行っています。そもそも生食がない食文化ですから、内陸に位置するナイロビでは新鮮な魚は手に入りません。ケニア第二の都市で港町であるモンバサに毎月通い、漁師や仲買人との関係作りに時間を使い、新鮮な魚を入手するためのルートを構築しています。また、お米については、これまで灌漑公社にて研究目的で 栽培されていたコシヒカリの籾をいただき、専門家から栽培を学んだ農家と契約し、独自に栽培してもらっています。収穫したお米は現在、弊社の寿司にのみ使用していますが、マーケット調査を行い、卸売や小売を始める予定です。
アフリカと一口に言うのは難しいですが、ケニアに来て良かったと思うことは、ビジネスにおいてチャレンジしている人が少ない、手をつけられていることが少ないという点です。また一方でナイロビなどの都市部ではある程度のマーケットがすでにあり、今後の成長も大いに期待できる点です。また、容易なことではありませんが、自分が取り組むべき社会問題を見つけられたことも、短い人生において大きなことだと思います。
直近では、内陸国で隣国であるウガンダの首都カンパラにオープンする日本食レストランへ、モンバサからナイロビを経由して鮮魚を供給します。
また今の事業規模からはまだまだ夢物語ですが、目標としていること、今後取り組みたいことは次の通りです。
1 寿司がバーガーやピザと同じ外食の一つに位置付けられる時代を作る。
高所得者だけでなく、中間層の人にも寿司を広める。
2 もともと肉食で、魚を食べるとしても淡水魚(ナイルパーチ・ティラピア)というこの食文化において、海の魚が一般的に食べられる時代を作る。
3 資源枯渇を抑制するため、また安定的に鮮度の良い魚をマーケットに供給するために、海洋面での養殖を行う。
すでに最後のフロンティアとしてアフリカは注目されています。ビジネスにおいても、社会問題にしても、あなたが取り組むべきことは必ずあると思います。しかし、それは一朝一夕に成せるものではありません。この地の人と共に生き、骨を埋める覚悟で臨まなければ痛い思いをするだけでしょう。特に「人」のマネージメントは大変難しいです。毎日、目を、耳を疑うことが起きます。強い覚悟がなければ、それらの困難を乗り切ることはできません。私自身、まだまだ駆け出しで、時に心が折れそうになることもあります。しかし、前述の将来像を思い描くといつも魂が震える思いで、今日もまた頑張るぞと力が出ます。あなたが本気なら、退路を絶ってこのブルーオーシャンに飛び込んでみてください。良くも悪くもあなたの人生を方向づける何かが見つかるはずです。
プロフィール
大阪外国語大学(現・大阪大学)外国語学部地域文化学科ベトナム語専攻(在学中に2年間休学しベトナムへ留学)卒業後、ニ ュージーランド、シンガポール、ベトナムにて物流会社で勤務。2014年、ケニア・ナイロビに渡り最初の会社を設立し、日 本食レストランをオープン。2015年末にビジネスパートナーに譲渡。2016年KAI LIMITEDを設立し、現地のスーパーマ ーケットと提携し、持ち帰りスタイルの寿司の販売を開始。現在6店舗にて販売。 企業名 : KAI LIMITED
URL : https://www.kai.co.ke FB: https://www.facebook.com/kailimited/
生命の木「モリンガ」を通して、アフリカの豊かさを日本に
VIVIA JAPAN 株式会社 代表取締役 大山知春
私とアフリカの最初の出会いは、2012年、オランダのビジネススクール在学中のことでした。世界9カ国から集まった3名の学生たちと、1年間同じキャンパス内の寮で家族のように暮らす中、打ち解けやすく自然と仲良くなっていったのが、アフリカ出身のクラスメイトでした。周囲との協調や調和を大事に考えるアジア人と通じるところがあり、教養 が高く、自国の文化や歴史に精通し、気張ったところもなくオープンで……これまで関心がなかったアフリカに好感を持つきっかけになりました。
ガーナは、近年、商業用オイル生産が始まったこともあり、アフリカの中でも特に経済成長が目覚ましい国でした。当 時、まだオンラインショッピングサイトがないと知り、ガーナ人クラスメイトと共に、卒業論文を兼ね、現地で1ヶ月以 上マーケットリサーチを行い、会社を登記しました。その様子を見守ってくださっていた前職からお世話になっていた個 人投資家が投資してくださり、卒業後、そのままオランダからガーナに移住しました。
1年かけて、ようやくガーナ初のファッションに特化したオンラインショッピングサイトをソフトローンチした頃、舌 癌を疑い検査のため日本に戻りました。ステージ2の舌癌でした。無事、手術は終わりましたが転移・再発の可能性が高 いこと、2、3週間毎に経過観察の必要があることから、現実的にアフリカで暮らすことが難しくなりました。転移予防 のため何ができるか調べ「体に取り入れるものが、そのまま体になる」と考え、自分なりに食事療法を取り入れることにしました。
この先どうしようか悩みながら、病院のベッドで、乾燥で痒くなった肌にクリームをつけていたときのこと。ヌルっと するだけで、肌はいっこうに潤わずパサパサのまま全く効かないので、何が入っているのか表示を見ると、よく分からない原材料が何十種類も一つのクリームの中に含まれていました。「ガーナで使っていたモリンガオイルを取り寄せよう」と思い、ハッとしました。
何でもある日本にないものは、これではないだろうか? 肌につけるものは、10分で体内に吸収されていきます。毎日 使うスキンケアは、食事と同じ。アトピーで悩んでいた人が、毎日入浴できるとは限らないアフリカの生活で改善した面 白い事例があります。癌も現代病と言われ、物質的に豊かなはずの先進国で患者が増加しています。どれも化学物質の多 用が要因として懸念されていました。ガーナのあまり知られていない素晴らしい天然素材を、日本に紹介しよう。
モリンガは、ガーナで「生命の木」と呼ばれており、運命的なものを感じました。%の栄養素を持ち、葉、実、種、 茎、花、根、全て活用できるモリンガ。世界で唯一、人間に必要な必須アミノ酸を全て含む植物です。とても生命力が強 く、痩せた土地でも一定以上の気温があれば、1年で4~5メートル成長していきます。一般の植物の3倍の二酸化炭素 を吸収し、水を浄化する作用もあることから、貧困、環境問題の解決策として注目されています。
そうして、モリンガオイルや、ガーナの特産シアバターなどを用いた、誰もが安心して使えるアフリカの自然生まれの ナチュラル・スキンケアブランド、JUJUBODY [ジュジュボディ]を創設しました。これまで、多くのメーカーが素材 としてアフリカを利用してきましたが、アフリカにアイデンティティーを置くブランドは見たことがありません。
ガーナの人は、未精製素材を好んでスキンケアに使うため、JUJUBODYも未精製素材にこだわっています。白米より 玄米に、より栄養価が含まれるように、未精製の天然素材は栄養が豊富ですが、気温によって素材感が変化するので扱い にくく、スキンケアに使われるのは稀です。皮膚科に通っても治らなかった肌トラブルに悩んでいた方から、出来物がな くなった、ステロイドを使わずにすむまでにアトピーが改善したという声をいただくようになりました。
モノなんかなくても笑顔と生きる喜びが溢れる、そんなガーナの「豊かさ」と共に、本物の素材を味わうという最高の贅沢を届けていきたいと思います。
プロフィール
1983年、千葉県出身。東京、バンコクの金融業界で勤務後、オランダでMBA取得。卒業後、ガーナで起業中に舌癌発症の ため日本に帰国。療養を機に、化学物質に依存したライフスタイルに疑問を抱き、ガーナの伝統医療の価値を再実感するように なる。生命の木「モリンガ」などを用いた、アフリカの自然生まれのオールナチュラル・スキンケアプランド「JUJUBODY」 〈ジュジュボディ>を2015年8月に日本で発表。
企業名 : VIVIA JAPAN株式会社
URL: www.viviajapan.com
www.jujubody.com