子どもの未来が輝く「EQ力」

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EQ力を育てる

これまで多くの幼児教室ではIQを高める活動が中心でした。しかし、高いIQを活かすには、人間的な力「EQ力」が不可欠なのです。会社で必要とされ、頼られる人も頭がいい人ではなくEQ力が高い人なのです。本書は、これからの時代重要になってくるEQ力の鍛え方を紹介します。

浦谷裕樹 (著)
出版社 : プレジデント社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP

目次

はじめに——子どもには「EQ力」を!
わが子を、社会で活躍する人材に育てよう
いま求められる、「EQ力/Emotional Intelligence Quotient」とは?
可能性は無限大! 「EQ力」が備わった子どもの素敵な未来

プロローグ——いい「子育て」、悪い「子育て」
激変する「学力の3要素」。時代は、「IQよりEQ」へ
「活きる力」が身につく、「EQ力」育成のためには?
一流人を輩出する、幼児教室「EQWELチャイルドアカデミー」から学ぶ
「EQ力」を育成する、「8つのメソッド」をマスターしよう!
楽しい子育て8か条「うまくここちよく」

第1章 子どもを「否定しない」……メソッド1
01丸ごと受け止めると、どこまでも成長する
02 短所とは、どう向き合うか?
03 子どもの短所が気にならなくなる「長所伸展法」
04 「認める力」がメキメキ上がる、「まあ、いいか」のひと言
05 親子の関係を映し出す、「鏡の法則」
コラム 子どもの本音を引き出す「繰り返し問答法」

第2章 「夢中力」の育み方……メソッド2
01 能力を開花させる「好奇心の芽」
02 興味を持つことを、トコトンやらせる
03 行動を練達させる、「強化学習」のサイクルとは?
04 「ほめて伸ばす」の科学的妥当性
05 社会性を育てる、「ほめ育て」の効果
コラム 子どもの発達を促進する「5つの法則」

第3章 「ほめ方」「叱り方」の方程式……メソッド3
01 学力を「上げるほめ方」、「下げるほめ方」Part①
02 学力を「上げるほめ方」、「下げるほめ方」Part②
03 効果的な「ほめ方」~マジック・レシオとは?
04 子どもの将来を考える「叱り方」4つの指針
コラム ほめると「自尊心が高くなる」は、ウソなのか?

第4章 「言葉かけ」の常識、非常識……メソッド4
01 「あなたならできる!」という信念で子どもを変える
02 期待通りの結果を出させる「ピグマリオン効果」
03 だから思いが伝わる! 幼児期の「脳波」を知る
04 今すぐしたい、幸福感を高める「寝る前の振り返り」
05 東大生の親たちが実践する、子どもへの言動ルール
コラム 学力向上には欠かせない、幼少時からの「読み聞かせ」

第5章 「賢明な子育て」AtoZ……メソッド5
01 未来を決める、「4つのスタイル」とは?
02 「3つの愛」で、健全な子どもに
03 高い「基準」と惜しみない「愛情」~コリンズ式教育法
04 子どもの興味に寄り添い、楽しく導く
コラム 成功と失敗を分ける「マインドセット」

第6章 愛情豊かな「触れ合い」……メソッド6
01 奇跡を起こす、幼児期の「スキンシップ」
02 心をつなぐ、「抱きしめ」と「タッチケア」
03 「俯瞰力」を育成させる父親ミッション
04 愛のホルモン「オキシトシン」で社交性と信頼を
コラム 共働き家庭の「子どもとの接し方」

第7章 「やり抜く力」の伸ばし方……メソッド7
01 人生すべての成功を決める「やり抜く力」とは?
02 「マインドセット」を、「成長思考」に変換する
03 才能・結果ではなく、努力をほめて、継続・改善を
04 その進捗は、「毎日の取り組み」で決まる!
コラム 英語はいつ頃からはじめたらいいの?

第8章 「率先垂範」のススメ……メソッド8
01 禁句はコレ!「勉強しなさい」という6文字
02 あなたが、子どもにとっての最高の「見本」になる!
03 子どもが自ら育つ力、「子育ち力」を刺激する
04 主語を「私」に変えて、まず、自分が「なる」!
コラム 自己実現のためのイメージトレーニング

エピローグ——「EQ力」が道を拓く
最後の明暗をわける、「成功へのカギ」
子育てに、「間違い」は存在しない
もっとたくましく、さらに幸せに! 人生を変える「EQ力」

おわりに——「活きる≒イクウェル」
文部科学省提唱「キャリア教育」への土台を作る、幼児教室「EQWELチャイルドアカデミー」とは?

参考文献

浦谷裕樹 (著)
出版社 : プレジデント社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP

はじめに——子どもには「EQ力」を!

わが子を、社会で活躍する人材に育てよう

時代は変わりました。
AI(人工知能)技術の発達で、誰も経験したことのない、大きな変革期が訪れています。子どもたちは、この目の回るような時代の変化に適応し、力強く生きていかなければなりません。豊かで便利な世の中になった半面、これまで以上に、人としてのたくましさが求められるようにもなってきました。

今の日本はとても恵まれた国です。お金さえあれば、大人になっても、毎日ゲームをしながら、ほとんど家から出ることなく、コンビニのお弁当だけで生活することもできてしまいます。しかし、周りは待ってはくれないでしょう。

もし、これから数年の間、子どもが漠然と日々を過ごしてしまったら、あっという間に社会から取り残されてしまいます。誰にも必要とされず、ひっそりと生きていくことになるかもしれません。

いずれやってくる未来に活躍するのは、自分で目標を決め、自分の頭で考えて、仲間と協力しながら、課題を解決していくことのできる人です。AIがいくら優秀でも、物事を決めたり、人を説得することには向きません。

30周年を迎えた、EQWELチャイルドアカデミーでは、子どもたちの活躍する未来を見据えて、時代に合わせた「活きる力」を育て、磨くことを柱にしています。「活きる」とは、漠然と”生きる”ことではなく、自分の能力を”活かし”、社会の中で “活躍する”ことです。EQWELのレッスンは、テストの数字で測ることのできる基礎的な学力はもちろん、数字にできないコミュニケーション力や努力し続ける力を養う時間でもあります。

このEQWELメソッドは、30年の歴史の中で生み出されました。本書は、答えのない時代に迷いながらも、なんとか「わが子を幸せにしたい」「漠然と生きるだけにはなってほしくない」、そう願う保護者の皆さまに、「これからの時代に必須の力を高める子育ての8つのメソッド」を提供するためのものです。

いま求められる、「EQ力/Emotional Intelligence Quotient」とは?

EQWELチャイルドアカデミーの長い歴史の中で、活躍する子どもたちには共通の力があることがわかりました。それを、私たちは「EQ力」と名づけました。EQWELでは、特に「5つのEQ力」として「自己肯定感、やる気、共感、自制心、やり抜く力」を掲げています。

これらは感情をうまくコントロールしたり、周りと協調したりといった、筆記テストだけではわからない力で、最近では非認知能力とも呼ばれ、認知能力(IQ)の対になる考え方です。

これまで、多くの幼児教室では、IQを高める活動が中心でした。しかし、高いIQを活かすには、人間的な力、つまり「EQ力」が不可欠なのです。

会社で、「あの人と一緒にチームを組むと、なんだかうまくいく」「あの人のアイディアってどこから出てくるんだろう」と感じた経験はないでしょうか。頭が切れる人や、処理能力が高い人はもっとほかにもいるのに、会社に必要とされ、皆に頼られる人。これは、まさに「EQ力」の高い人です。

アメリカのIBMが開発した、スーパーコンピューター・ワトソンは、多くの医師よりも早く、正確に患者の病気を見抜き、最適な治療法を提案することができます。つまり、高IQの代表格だった医師の仕事でさえ、部分的にはAI搭載のコンピューターに奪われて高もしまっているのです。

単純な、ものを覚えるのが早い、計算が早い、データの並び替えが早いといった力は、確かに、生きていく上での基本的な能力ではあります。しかしながら、「それだけしかできない」のであれば、未来の社会で活躍できる大人になるのは、難しいでしょう。子どもたちに求められている力は、私たちが子どもだった時代からガラッと様変わりしてしまっているのです。

だからこそ、親世代にできるのは、自分たちが受けた教育の枠を超えて、新しい場所に飛び込むことです。人は、未知のものに遭遇したとき、怖気づいてしまい、考えるのをやめたり、批判したりしがちです。しかし、子どもたちの「EQ力」を高めるために、まずは、親が相手を受け入れる力(これもEQ力)を発揮できるよう、少しだけ意識を変えてみましょう。

可能性は無限大!「EQ力」が備わった子どもの素敵な未来

後ほど紹介しますが、「EQ力」と自信(特に自己肯定感)には、重要なつながりがあります。EQWELチャイルドアカデミーの卒業生たちは、幼い頃から親の愛情を受けて、自分のことを好きになることができたため、成長してからも人生が輝いているのです。

「EQ力」が、活躍につながっている事例を少しだけ紹介します。

最近では、本田3姉妹の活躍が注目を集めています。フィギュアスケートの世界ジュニア選手権で金メダルを獲得した真凜さんと妹の子役兼フィギュアスケーターの望結さん。一番下の紗来さんは、現在も教室に通っています。

ほかにも、水泳の日本代表として16歳でリオ・オリンピックに出場し、個人・団体合わせて21種目で日本記録(2018年8月時点)を持つ池江璃花子さん。

12歳でTOEIC920点、15歳で英検1級に合格。また、14歳のときに日本記憶力選手権で青年の部1位、成人の部でも3位に入賞した西口茉莉花さん。

高校の3年間で国際物理オリンピックに3年連続で出場し、すべてで金メダルを獲得。最後の大会では世界一の成績を得て、文部科学省からも「日本人初の快挙」と評され、その後、推薦で東京大学に入学した渡邉明大さん。

東京大学在学中に「ロボコン」で2連覇の立役者となり、大学院進学後は、人工知能(AI)研究で博士号を目指しつつ、学生起業もした日高雅俊さん。

国際教養大学を卒業後、世界一と称されるイギリスのオックスフォード大学院(合格率10%)に進学し、卒業したリベラトリわかなさん。

姉妹そろって、国立音楽大学でピアノを学び、卒業後プロのピアニストとして姉妹での連弾など、全国で活躍している上田麻リカさんと上田彩未さん。

4年間の大学生活の間に日本とアメリカの両方の学位を取得する傍ら、バイオリンでも数々の賞を獲得し、イギリスの大学院に進学した山口夏海さん。

このほかにも、たくさんのEQWEL卒業生が、世界中でさまざまな活躍をしています。

この本には、彼ら彼女らの成長を生み出した秘訣が記されています。子どもたちの素敵な未来を想像しながら、読み進めていきましょう。

浦谷裕樹 (著)
出版社 : プレジデント社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP

プロローグ
いい「子育て」、悪い「子育て」

激変する「学力の3要素」。時代は、「IQよりEQ」へ

2020年の教育改革に向けて、文部科学省が一つの方向性を示しました。
教育によって身につけるべき資質・能力として、新たな「学力の3要素」を発表したのです。

1.知識および技能が習得されるようにすること(知識・技能)
2.思考力、判断力、表現力を育成すること(思考力・判断力・表現力)
3.学びに向かう力、人間性を涵養すること(学びに向かう力・人間性)

このうち、特に重要なのは、3つ目に示された「学びに向かう力・人間性」です。

これまでの日本の教育は「知識・技能」に重きを置いていました。その代表的なものが、センター試験の実施で、高校3年生になると、その先をどう生きるかという重要な選択が、知識・技能のテストによって行われているのです。

しかし、すでに説明したように、試験に出るような単純な計算や暗記はAIが得意とするところ。そこで、文部科学省もAI時代に活躍できる人間を育てるために、3の「学びに向かう力・人間性」を学習の柱に盛り込みました。

これは紛れもなく、「EQ力」を構成する要素です。一方、知識・技能はいわゆるIQになります。2020年の教育改革では、現行のセンター試験にも変更が加えられます。また、すでに多くの大学や私立学校などの入学試験では、学力試験だけでなく、人間としての総合力を問うような課題が出されるようになってきているのです。

世の中は、間違いなくIQからEQへと舵を切りはじめました。

しかし、「EQ力」を養うことは、一朝一夕でできるものではありません。親世代にできることはなんなのか、一緒に考えていきましょう。

「活きる力」が身につく、「EQ力」育成のためには?

活きる力、つまり社会で活躍するための力は、どうやったら身につくのでしょうか。結論からいうと、幼少期に親や周りが「どれだけ意識して子どもに有効な接し方をしてきたか」にかかっています。そのため、今、幼児教育の重要性は、世界的な関心事になっているといえるでしょう。

ノーベル経済学賞を受賞したアメリカ・シカゴ大学の経済学者ジェームズ・ヘックマン教授は、幼児教育に関する研究でも注目を集め、2つの指摘をしています。

1.就学後の教育の効率性を決めるのは、就学前の子育て、保育の質である。
2.家庭外の安定した大人との関係が、「非認知能力」の発達を補償する。

すなわち、家庭も含めて、その時期の子育て、保育の質が高ければ、学校に入ってからの教育効果が高まり、さらに、保育園や幼稚園、幼児教室といった家庭外の安定した大人と接する環境があると、「非認知能力(=EQ力)」の発達が補われるというのです。

ヘックマン教授が根拠とした調査は「ペリー就学前プロジェクト」と呼ばれる、幼児教
育についての大規模な追跡調査でした。

プロジェクトは、1960年代に、3~4歳のアフリカ系アメリカ人を対象に行われました。2年間の幼児教育を受けた子どもたちと、受けなかった子どもたちを、その後10年にわたって調査しています。

その結果、幼児教育を受けた子どもたちの方が、40歳時点で学力や学歴、持ち家率、平均所得が高く、生活保護受給率や逮捕率が低いことがわかりました。そのため、ヘックマン教授は、「子どもが成人後に成功するかどうかは、(非認知能力の成長が促される)幼少期の介入の質に大きく影響される」と結論づけているのです。子どもの「EQ力」を伸ばす、いい子育ての最初の実践法は、「まずは幼児教育という選択肢を考えること」で、逆に、幼児期を漠然と過ごすようでは、残念ながら、「悪い子育て」だといわなければならないでしょう。

一流人を輩出する、幼児教室 「EQWELチャイルドアカデミー」から学ぶ

「はじめに」でも紹介したように、EQWELチャイルドアカデミーからは、実に多彩な人材が、毎年社会に羽ばたいていっています。その数は、30年間で、のべ25万人を超えました。

EQWELチャイルドアカデミーの取り組みが、長年支持されてきた理由の一つに、最新の研究成果や専門家の知識を柔軟に取り入れながら、根拠に基づいた教育を実践してきたことがあります。

幼児教育に関しては、さまざまな考え方があります。一方で、子どもたちの個性も多種多様。そのため、他の家の子に効果があったものが、果たして自分の子どもにも効果があるのか、兄弟、姉妹でも効果の良し悪しが出てくるのではないかという不安は拭えないのではないでしょうか。

さらに、幼児期の教育が大切だといっても、その時期はあっという間に過ぎていってしまいます。

だからこそ、EQWELチャイルドアカデミーは、科学を大切にしています。科学とはつまり、再現性があるということです。

レッスンでは、子どもたちの成長から、「この時期にやれる最善の活動」を提案していきます。そして、一つ一つの活動は、小手先のテクニックを用いたものではなく、「科学的な根拠を持ち、子どもの大きな”成長戦略” の中でこの位置を占めているんだ」という確信に基づいて行われるのです。

よい子育ては、目の前の成果に一喜一憂するものではありません。

「この子が大人になったときに、自分の力で、仲間を見つけ、充実した人生を切り拓くことができるようになっているか」と考えて、じっくりと向き合いながら行うものです。

この本で紹介するメソッドは、すべての保護者の方に、「よい幼児教育とはどういったものか」という大きな視点での考え方や実践方法を伝えるために生まれました。よい子育ての軸ができてしまえば、その後は親としても自信を持って、子どもと接することができるようになります。親が迷ってあれやこれやと世話を焼くより、どっしり構えてぶれない姿勢でいることが大切です。

「EQ力」を育成する、「8つのメソッド」をマスターしよう!

ぶれることなく、子どもの「EQ力」を養うために、よい子育てを大きく捉える「8つのメソッド」を紹介していきます。順番に確認してみましょう。

1.子どもを「否定しない」
EQ力を育むには、子どもを受け入れることです。そうすることで、子どもの自信が育まれ、さまざまなことに自由にチャレンジできるようになります。

2.「夢中力」を育む
子どもは、夢中になると思わぬ力を発揮するようになります。何かに夢中になることは、それ自体がかけがえのない能力です。その育み方を学びましょう。

3.「ほめ方」「叱り方」のルールを知る
ほめ方、叱り方で、子どもの未来はガラッと変わります。特に、幼児期にはほめることで、あらゆる面をよい方向に伸ばすことも可能です。

4.適切な「言葉かけ」をする
やる気を促す言葉かけ、反省を促す言葉かけ、言葉かけは確信を持って行うべきです。ぶれることのない、正しい言葉かけの方法を学びましょう。

5.「賢明な育て方」に挑戦する
子育てにおいては、賢明な育て方と呼ばれる方法が存在します。愛情を向けるだけでも、厳しく律するだけでも賢明とはいえません。

6.「触れ合い」を効果的に使う
幼児期の子育てでは、触れ合いの効果が抜群に出ます。そして、その実践は、親の側にも、劇的なよい効果をもたらすのです。

7.「やり抜く力」を育てる
困難に負けず、目の前の課題にチャレンジし続ける「やり抜く力」は、「EQ力」の本丸。世界が注目する「やり抜く力」の養い方を紹介します。

8.「率先垂範」の姿勢を学ぶ
子育てで、最も効果が高いのが「率先垂範」です。子どもは親の背中を見て育ちます。親がどういった態度で見本になればよいのかを学びましょう。

これからの章では、それぞれのメソッドを分解して、紹介していきます。

浦谷裕樹 (著)
出版社 : プレジデント社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP