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人材マネジメントの基本を網羅
「人材マネジメント」とは、人が2人以上集まれば生じる誰にも求められる普遍的で大切な考え方であると本書では述べられています。特に、新型コロナウイルスの影響もあり、人材マネジメントのあり方も大きく変化しています。今の時代に合った人材マネジメントとこれからについて学べます。
この1冊ですべてわかる 人材マネジメントの基本
はじめに
本書は主に組織やチームのマネージャー、リーダーとして活躍する方々な ど「人」に関わる仕事で課題を抱き、工夫を凝らし、時に頭を悩ませている 読者の皆さんが手に取って頂くことを想定して執筆しています。
本書のタイトルである「人材マネジメント」は、人が2人以上集まれば生じる誰にも求められる普遍的で大切な考え方です。しかしながら大半の人に 学習経験がなく、また書店に並んでいる書籍も人事労務や給与計算など実務 に寄っているものが大半で、読み物として全体像を理解し、仕事に役立てる 書籍が少ないのが現状です。
本書を執筆するきっかけとなったのは昨今の組織と個人をめぐるトラブル の数々です。ある世界的に有名な大企業のトップが突然逮捕されたり、有名 な芸能人が所属事務所とのトラブルでお茶の間を騒がしたり……と、人と組 織をめぐる話題には事欠きません。また、大手企業でも問題視され、法改正 にまで至ることになった残業問題、パワーハラスメントなどは、日常的に企 業で働いている私たちと無縁ではありません。
加えて、これまで常識だった新卒一括採用が徐々に見直されつつあること、 大手自動車メーカーなど、これまで終身雇用の象徴だったような企業が続々 とそうした制度を維持することを前提にしない考えを示したことなど、組織 と個人を取り巻く環境は今、大きく変化しています。
そして、本書を執筆している今、まさに新型コロナウィルス(COVID-19) が世界を大きく変え、私たちの生活を変え、職場での働き方も変えました。 この大きな変化は本書のテーマでもある「人材マネジメント」のあり方に多 大な影響を及ぼしています。今こそ、私たちは人と組織のあり方、関係性を 見つめ、考え直し、行動することが必要とされています。 「具体的には、人材を単に企業にとっての「資源」と捉えるだけでなく、あ たかも「お客様」のように大切なパートナーとして位置づけていく必要性が 高まっています。
人材マネジメントは「ヒューマンリソース」から「ヒューマンリレーショ ンシップ」へ。これが、本書のコンセプトです。
従来からのヒューマンリソース(人的資源)という捉え方に加え、これか らはヒューマンリレーションシップ(人との関係性)を重視したマネジメン トがますます重要になります。
背景にあるのは価値観の変化です。価値観の変化は行動の変化につながり ます。これまでのように企業に就職して、毎朝同じオフィスに出勤し、直属 の上司のもとでデスクに向かって仕事する……といった環境はまさに変わりつつあります。
企業に就職せずフリーランスとして活躍する方、企業に就職するものの複 数の企業や業務に跨って仕事をする方、オフィスではなく自宅やどこか別の 場所で勤務する方……働き方は益々これまでの枠を超え、より自由度が高 く、個人に寄り添った仕組みに変化を遂げていくでしょう。
一方で気をつけなければならないことも多数あります。自由な働き方というのは同時に「自律」を求めるものです。これからの個人は自律できる人材 として成長することが求められます。また企業もそうした個人から選ばれや すくなるためには、社員を信用して新たな働き方に積極的に対応していくことが求められます。
このように企業と社員、組織と人を取り巻く環境は大きな変化の途上にあり、誰にも正解が分かる状況ではありません。まさに企業の経営者も人事部 も、そこで働く社員もみな、手探りしながら考えている、という状況です。
こうした大きな変化の中において、人材マネジメントの重要性、企業経営、 チーム運営における役割は益々高まっていくでしょう。
その際、避けるべきなのが「知らない」という状態でいることです。本書 を手にとられた皆さんは、すでに行動を起こすことで「知らない」状態から 「知る」という状態に切り替えようとしている方々です。 “無知の知”という言葉がありますが、「知らないことを知っている」という 状態にまずは自らを持っていくことが、こうした変化を乗り切る上でとても 大切になります。こうした変化の早い時代において、上司がまったく人材マ ネジメントについて知らなかったら……と考えるとどうでしょうか。リスク があるといえるのではないでしょうか。
本書は国内外問わず、日々、人材マネジメントの領域(特に、組織開発・ 人材育成)において活動しているコンサルタントやスタッフが中心となって 執筆したものです。人材マネジメント、という領域は大変広く、考えように よっては企業経営全般ともいえるものです。したがって、全体を網羅することよりも、特に現場で活躍されるマネージャーやリーダーの立場において、 時代の変化に対応するために重要なポイントに絞って、できるだけ分かりや すく解説することを心掛けました。 全体の構成は以下のようになっています。
序章:本書のコンセプトである「ヒューマンリレーションシップ」を軸に、人材マネジメントの背景にある重要な考え方について解説します。
第1章:人材マネジメントの具体的な「定義、目的、役割」について解説します。 第2章:人材マネジメントを取り巻く、特に重要な「環境変化とその対応方法」について解説します。
第3章:人材マネジメントの入口である「人材の獲得」に関するトレンドや
考え方、具体的な方法について解説します。 第4章:獲得した人材の「育成方法」についてOJTとOFF-JT の両側面から解説します。
第5章:「人材の評価」の考え方、具体的な方法と「目標管理」のあり方を新しいトレンドも踏まえて解説します。
第6章:「人材を輝かせる組織のあり方」「組織デザイン」について解説します。
第7章:企業や組織が人材と共に「持続的に成長するために必要な関わり」、「カルチャーの形成」に関する考え方と取り組み方法について解説します。
本書においては、単に客観的な事実や情報、理論をお伝えするだけではなく、日々コンサルティングや人材育成の現場で活動する立場から、ところどころに私たちの考えや主張も含めさせて頂いております。
また、できる限り本書執筆中に起きた新型コロナウィルス(COVID-19) がもたらす人材マネジメントへの影響や、その対処法についても解説いたし ました。
本書を手に取る組織、チーム、個人が、真に自律的で、自由で、生きがい を感じる働き方と出会えることを願っています。
目次
人材マネジメントの基本
はじめに
序章 「人材マネジメントの重要性が 高まっている
1企業と人材を取り巻く環境がこれまでになく大きく変化
改めて人材マネジメントを捉え直すべき時代
2 改めて「人材マネジメント」をゼロベースで捉え直す
人材に対する考え方を入れ替え、変化を自らつくり出す
3 ヒューマンリソースから、ヒューマンリレーションシップへ
社員を資源ではなく、大切な自立したパートナーと捉える
4 逆さまのピラミッド
求められる“羊飼い型”の人材マネジメント
5根底には相互に「信頼」「感謝」「尊重」し合う関係づくりが大切
人をあるがままに受け入れ合い、自律的に輝かせる文化を育む
第1章
人材マネジメントの目的と役割
1 人材マネジメントの目的と効果
個の能力を最大限に発揮することを通じて組織の目標を達成する
2 人材に対する企業の役割
人材を「人財」として扱い、物質・精神共に豊かにする
3 人材マネジメント3つのステップ
人材の獲得、活用、退出を効果的に運用する
4 経営戦略と人材マネジメント
経営理念と目標を達成するマネジメント
5「戦略」が先か、「人材/組織」が先か
経営戦略を実現する組織の効果的なあり方
6 ビジネスモデルと人材マネジメント
ビジネスモデルを支える3つの人材を確保する
7 職場のマネージャーにとっての人材マネジメント
職場のマネージャーが心がけるべき重要なポイントは何か
第2章
時代の要請と人材マネジメント
1 終身雇用、年功序列の終焉と変革
日本型雇用の変遷とこれからの人事制度
2 働き方改革
少子高齢化社会を労働生産性の向上で勝ち抜く
3 新卒一括採用から通年採用へ
競争激化の中で優秀な人材を獲得するためには
4 副業解禁&フリーランス時代の人材マネジメント
副業解禁で変わり始めた人材市場と社内事情
5 女性活躍の定着と抜擢人事
女性管理職登用のポイント
6 男性社員の育休取得
制度を利用できる風土づくりが求められる
7介護離職と休職への備え
「お互い様」といえる仕組みと文化の構築
8 シニア人材の活躍
シニア人材の可能性を最大限に引き出すマネジメントとは
9 外国人雇用の進展とダイバーシティ
押しつけず、認めることで風土が醸成される
第3章
「人材獲得」における人材マネジメント
1 人材獲得の代表的手法(採用、再雇用、契約、派遣、M&A)
激化する人材獲得競争
2 採用の変化と対策
採用手法の多様化とその背景
3 再雇用によるシニアの戦力化
早期のセカンドキャリア開発を促す
4 外部人材の戦力化(契約社員、フリーランス)
外部と内部の人材の有機的なつながりによる価値創造
5 派遣人材のマネジメント
派遣人材の“今”と派遣先企業におけるマネジメントのあり方
6 M&Aによる人材の獲得
経営戦略実現のための合理的な人材獲得手段
Column1 オンラインシフトで新卒採用に何が起きている?
第4章
「人材育成」における人材マネジメント
1 OJTとOFF-JT をどう使い分けるか
現場での業務と研修での学びをつなぐ
2 人を育てる上司がやっている習慣
自律型人材を育成する関わり方
3 “1on1”“リアルタイムフィードバック”が人材育成の要
コミュニケーションでの聴く、訊く、伝える
4 自然と人が育つチームの共通項
コミュニケーションが増える「場」の仕組みづくり
5 OFF-JT 代表的な3つの方法とその手法
階層別教育、選抜型教育、手上げ式教育
6 次世代リーダーを育てる“他流試合”と“修羅場の創造”
視点、視野、視座を揃えた経営人材のつくり方
7 ミドル、シニアを活性化する“リカレント教育”
中長期的な競争力確保のための戦略的な教育
Column 2 オンラインシフトで露呈した新たな課題とは?
第5章 「人材の評価と組織運営」における 人材マネジメント
1 評価の原理原則(役割、機能、効果など)
「評価」の位置づけを確認する
2 評価の代表的3つの手法絶対、相対、ハイブリッド評価
長所と短所を知り、評価に対しての視野を広げる。
3 評価者が陥る7つの罠
思い込みをなくして、事実を見る
4うまい処遇の伝え方
個人と組織をWin-Winにするフィードフォワード
5 問題を生む評価方法
社員が納得する評価制度を運用するには
6 プロセス評価(KPI)と結果評価(KGI)
「目標管理型組織」から「目標達成型組織」へ
7 PDCAやOODAで人を動かす
現場に合わせた適切なサイクルで業務を回す
8 シリコンバレーで導入が進む“OKR”
「月まで届く」目標でチームの方向性を一つにする!
9 不正対策をどう行うか
不正を生まない人材マネジメントとは
Column 3 外国人社員のマネジメントにおける要諦とは?
第6章
社員が活躍しやすい組織をデザインする
1 適材適所を可能にする人材データベース
戦略的な人事機能を構築する
2 人材の適性要件を体系化する
体系化とは見える化すること
3 職場の生産性をいかに高めるか
アウトプットの極大化×インプットの改善
4安心して働ける環境づくり(ソフト面)
人事ポリシーをベースとした環境づくり
5 安心して働ける環境づくり(ハード面)
ソフト面との連動と自社に合わせた環境づくり
6 “パワハラ”と“逆パワハラ”を生まない組織基盤構築
正しい知識と信頼関係を育む組織デザイン
7 SDGsに対応する人材マネジメント
社会と共生する企業と人材のあり方を追求する
8 事業モデル転換時の人材マネジメント
競争に勝つための人材マネジメント変革
9 最終手段になる前のリストラクチャリング
戦略的リストラを成功させるポイント
Column 4 オンライン化の経営的インパクトをどう乗り越えるか・
第7章
持続して成長する組織をつくる 人材マネジメント
1 経営と現場、上司と部下、同僚・他部署関係で「信頼」を育む
信頼を得る3つのコミュニケーション
2 互いに「感謝」し合う人間関係をどう構築するか
ものの見方次第で感謝は無数に生まれる
3 それぞれの個性を尊重し合う真のダイバーシティマネジメント
長期的に企業体力をつけていくためのマネジメント
4一人ひとりの“主体性を挽き出す”人材マネジメントへの変革
永く続く組織と人の基盤をつくり上げる
おわりに
索引
参考文献
本書で使用する社名、製品名は、一般には各社の登録商標または商標です。なお、本文中 では原則としてTM、Rマークは明記していません。 本書の内容は2020年6月現在の法律等にもとづいています。
カバーデザイン■ 志岐デザイン事務所(秋元真菜美)
本文デザイン・DTP■初見弘一
編集協力■深澤晴彦
序章
人材マネジメントの重要性が高まっている
ヒューマンリレーションシップを軸に人材マネジメントの背 景にある重要な考え方について解説します。時代の変化に合わせて変えていくべきところと、原理原則として維持していくところを見極めることが求められます。