ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

【最新 – ネット依存・ゲーム依存を理解するためのおすすめ本 – 実態と対策を知る】も確認する

スマホ・ゲームがやめられない心理から治療法までわかる

子供の症状や通院の難しさ、学校への対応などに困っている方にお勧めします。ゲーム業界では頻繁なイベントや課金制などユーザーを搾取する悪質な運営がされているという問題はありますが、ユーザーやその家族側の防衛策として本書は有用です。

まえがき

2011年7月に、私たちは久里浜医療セン ターにネット依存の専門外来を設立しました。それは、日本でインターネットへのブロードバ ンド(高速常時)接続が普及し、ネット利用の問題が目立ちはじめていた時期のことです。
当時問題になっていたのは、パソコンのオンラインゲームにはまり、日常生活に支障をきたしてしまうという例でした。とくに、10代の子 どもがゲームにのめりこみ、学校に通えなくなってしまうケースが多くみられました。

私はその頃の診断や治療の様子を2013年に本にまとめ、講談社から『ネット依存症のことがよくわかる本』として刊行しましたが、それから約5年が過ぎ、ネット依存・ゲーム依存の問題は、当時とは一変しました。

2018年現在、とくに目立っているのは、 スマートフォン(スマホ)への依存です。いつでもどこでも使えるスマホが普及し、スマホで 遊べるゲームが流行したことで、子どもだけでなく、成人も依存に陥ってしまうことが増えました。ネット依存・ゲーム依存の問題は、残念ながら、以前よりも深刻化しています。

そのように深刻な状況を受け、WHO(世界 保健機関)が「ゲーム障害」を病気として認定し、診断ガイドラインを定めて、最新の国際疾病分類に収載することを決めました。WHOの このとりくみには、私たち久里浜医療センターが中心となって研究協力しました。
依存の問題が深刻化するいっぽうで、診断ガイドラインができ、確かな診断・治療も少しずつ整備されています。そこで今回、いま目立っている症例と最新のガイドライン、そして久里浜医療センターでおこなっている現在の治療法 を、あらためて一冊にまとめました。
日々変化していく新時代の病気に対して、私たち医療スタッフも考えをこらし、手を尽くしています。この本の最新情報が、依存に苦しむ ご本人・ご家族の参考となれば幸いです。

独立行政法人国立病院機構
久里浜医療センター院長
樋口進

もくじ

まえがき
ネット依存・ゲーム依存とは?

第1章 ネットやゲームで生活が破綻した人たち
【ケース1 Aさん 10代男性】ゲームと動画で昼夜逆転、不登校に
【ケース2 Bさん 10代女性】SNSにのめりこんで個人情報・写真が流出
【ケース3 Cさん 20代男性】 ストレスからうつ病・ネット依存を併発

【ケース4 Dさん 30代男性】食事中も入浴中もスマホが手放せない
【ケース5 Eさん 40代男性】ガチャ課金が気づけば数百万円に
【ケースにみる 健康と依存の違い】注意されてやめられるならまだ「健康」
【ケースにみる 健康と依存の違い】やめたくてもやめられないのが「依存」
▶︎コラム データでみるネット依存 携帯を持つ10代の約8割がスマホを使用

第2章 なぜ、そこまで熱中してしまうのか
【社会的な背景】充足感が得られにくい社会になってきた
【社会的な背景】ネット・スマホが手軽なストレス解消法に
【ネット・スマホの特徴】ゲームやSNSをいつでも楽しめる
【ネット・スマホの特徴】利用頻度や利用額がエスカレートしやすい
【ネット・スマホの特徴】通知やボーナスが毎日あり、やめられない
【体への影響】成績不振や睡眠不足、情緒の乱れがみられるように
【体への影響】ゲームなどの刺激に脳が慣れ、物足りなくなる
【体への影響】脳機能が乱れ、アルコール依存のような状態に
▶︎コラム データでみるネット依存 日本人スマホゲームユーザーは約3300万人

第3章 どこまでのめりこむと病気なのか・
【病気に気づく】健康状態・人間関係がくずれたら受診のサイン
【病気に気づく】本人は自覚しにくく、家族が気づくことが多い
【病院を受診する】様子をみるのは危険、気づいたらすぐ病院へ
▶︎最新版 ネット依存・ゲーム依存を相談できる医療機関リスト
【病院でくわしく調べる】ICD-1の「ゲーム障害」診断ガイドラインが基準に
【病院でくわしく調べる】問診のほかに血液検査などがおこなわれる
【病院でくわしく調べる】うつ病や発達障害の併発がわかる場合も
▶︎コラム データでみるネット依存 日本には依存傾向に該当する人が約400万人

第4章 病院ではどんな治療が受けられるのか
【治療の流れ】診断後、定期的に通院して治療を受ける
【基本的な治療O カウンセリング】医師や心理士と対話し、依存を自覚する
【基本的な治療Q モニタリング】 行動記録をつけてネットの影響を確認する
【基本的な治療◎ 認知行動療法】確認した内容にそって考えと行動を見直す
【基本的な治療 運動習慣】ジョギングや水泳などの運動をとり入れる
【基本的な治療® 集団精神療法】グループで話し合い、改善のヒントをつかむ
【基本的な治療6 家族会】家族もネット依存のことをよく理解する
▶︎最先端の総合的治療 久里浜医療センターの治療プログラム 「NIP」とは
【特別な治療Q 治療キャンプ】 キャンプで1週間の「スマホ断ち」をおこなう
【特別な治療 入院治療】重症例では2ヵ月程度の入院が検討される
▶︎コラム データでみるネット依存 患者さんは10代中心、30~40代が増加傾向に

第5章 生活のなかで家族や本人ができること
【生活上の注意点】解決をあせらず、話し合いながら対応していく
【家族ができることの ネットを維持】 ネット・ゲームを急に遮断することはさける
【家族ができること。 会話を増やす】 ネットに興味をもち、本人との会話を増やす
【家族ができること。 家事を頼む】 本人に家事などを頼み、生活習慣を変えていく
【家族ができることの ルールづくり】 本人と話し合い、ネット利用のルールをつくる
【本人ができることの 利用時間を確認】 1日の流れを記録し、ネット利用時間を確認する 【本人ができること。 利用時間の見直し】 記録をもとに、利用時間の上限などを決める
【家族・本人ができること】家族全員でオフラインにする時間帯をつくる
▶︎コラム データでみるネット依存 病院受診の4分の1は本人不在、家族のみ

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