【最新 – ネット依存・ゲーム依存を理解するためのおすすめ本 – 実態と対策を知る】も確認する
スマホゲーム依存への対策を網羅
スマホゲーム依存についての本ですが、スマホゲームに限らず依存について考えさせられます。スマホゲーム依存の患者さんに対する対処法だけじゃなく、スマホゲーム依存の患者さんを抱える家族や身近な人の対処法についても書かれている点もこの本の良いところです。
CONTENTS
序章 ネット依存治療専門外来に異変
電車の中、街の中、家の中でゲームに興じる大人たち
スマホゲーム人口は2800万人を突破
働き盛り・子育て世代になった「ファミコン・プレステ世代」
スマホゲーム市場は「無料」で拡大
気づかないうちにはまる静かな喫 なぜ怖い?
働き盛り・子育て世代のスマホゲーム依存
世界保健機関(WHO)が認めた「ゲーム部書」
スマホゲーム依存をあなどってはいけない
第1章 なぜ、スマホゲームにはまるのか?
ネット上に増殖するSOS
「やり過ぎ」といわれると、なぜカッとするのか?
「癇癪」と「依存」
「暇つぶし」はすぐに「生活の中心」へ
「退使用」と「依存」の見極めは難しい
【働き盛り・子育て世代のスマホゲーム事例①】
【働き盛り・子育て世代のスマホゲーム事例②】
依存の背景にある「現実逃避」
ゲーム依存の患者数は?
縦断研究でわかった「依存」しやすい人、しにくい人
ゲーム依存になりやすい人(危険要因)
ゲーム依存になりにくい人(防御要因)
第2章 スマホゲームの特徴を知る
「家庭用ゲーム機」と何が違う?
「スキマ時間」にプレーできる
頭の中の「バックグラウンド」でゲームが進む
依存状態に気づきにくい、周囲も実態を把握しにくい
ゲーム会社の戦略と跳争
無料で多数のユーザーを取り込む
「三種の神器」はスマホゲームとアニメとラノベ
忙しい大人は課金で「時間を買う」
6年で3倍! スマホゲームは過熱市場
アップデートできさせない
プッシュ通知がキュー(きっかけ)になる
「レアアイテム」「レアキャラ」「カード」「コイン」の誘惑
「クリア」という概念がない
「ガチャ」はギャンブル
働く世代に多い「ながらスマホ事故」
第3章 ゲーム依存の診断ガイドラインとスクリーニングツール
ゲーム依存の診断ガイドライン誕生秘話
ICD―11 ゲーム障害の診断ガイドライン
診断ガイドラインに基づいて事例を検証する
診断ガイドラインに基づいて実際の在例を検証する
セルフチェックに役立つスクリーニングツール
スマートフォン依存スケール
IGDT―10 (インターネットゲーム障害テスト)
科学的根拠のない「依存度テスト」に注意
第4章 スマホゲーム依存の脳の中で何が起きているのか?
脳のシーソーゲームを理解する
依存の脳内で何が起きているのか?
①前頭前野の機能低下―悪循環へのプロセス
②キュー(きっかけ)に満が選剰反応―やりたい衝動が止まらなくなる
③「報酬の欠乏|一定の利激では満足できなくなる
なぜ、プレー時間が長くなっていくのか?
依存脳になると「不幸」になる
ゲーム依存は脳を破壊する
スマホゲーム依存は治せるのか?
第5章 依存かな?と思ったらすぐに始めること
スマホゲーム依存を疑ってみる
プレー時間のモニタリング
モニタリングのコツ
続けるコツは「◎」「○」「×」
やってはいけない時間を作る
プレー時間の上限を設定する
やりやすいことから始める
スマホゲームを別の行動に置き換える
日々、失いつつあるものが何かを考える
スマホゲームをやらずにいれば、実現できたかもしれないことを考える
2週間経ったら振り返る
周囲に吹聴する
オフラインの時間を作る
「オフラインタイム」は夜間がおすすめ
キュー(きっかけ)から距離を置く
医療機関の受診をためらわない
第6章 スマホゲーム依存を治療する
医療機関で受診すべき状況とは?
依存忠者は小評価する
捉えどころのない「灰色」の者たち
医師・カウンセラーの「様子を見ましょう」に注意
スマホゲーム依存に投薬は有効か?
スマホゲーム依存の治療プロセス
①電話予約
②受診(インテークおよび診察)
③通院
NIP―久里浜医療センター独自の治療法
入院治療はあくまでも「例外」
ネット依存治療キャンプ
久里浜医療センターの新たな取り組み
第7章 スマホゲーム依存に悩む家族へのアドバイス
対応の基本は「対話」
【建設的対話の主なテーマ】
家族対応―四つの事前準備
①ゆるやかな見守り
②普段から「ポジティブ・ワード」を声にする
③話題と効果的なフレーズの選択
④適切なTPO
家族対応―七つの基本
①現実世界での役割の提供
②すぐの事実報告日
③「I&YOUメッセージ」をセットで使う
④「取り引き」には見極めが必要
⑤一喜一憂し退ぎない
⑥「統一戦線」を目指す
⑦今の自分自身を大切にする
家族対応―七つの応用
①ゲームについて本人に聞いてみる
②ルール作りは本人を交え家族全員で行う
③第三者の力を借りる
④スマホゲーム・機器・機能の知識を身につける
⑤本人の「現実生活」に関心を持つ
⑥スマホゲーム使用記録をつけてもらう
⑦ゲーム時間が減ったら褒める
スマホの取り上げやWi-Fiの切断は有効か?
ネット依存家族会
スマホゲーム依存の克服に必要な「三つの理解」
おわりに
参考文献
[巻末資料]「スマホゲーム依存」に関する相談が可能な医森機関一覧
電車の中、街の中、家の中でゲームに興じる大人たち
電車に乗って、座席に座り、ふと周囲を見渡してみると、ほとんどの人がスマートフォン(以下、スマホ)を手にしています。小さな面から片時も目を離さず、指先は忙しそうに液品画面をタップしています。大勢の人が集まる場所にいると、私はつい、みなさんの手元に注目してしまいます。国立病院機構久里浜医センター(以下、久里浜医療センター)で、インターネット依存の治録にあたる私にとって、この習慣は、いわば最業病とでもいえるものです。
電車の中や街の中、レストランでの食事中に、他人がスマホで何をしているのかをチェックしているなんて、いやらしいことだと思われるかもしれません。でも、液品画面をのぞき込むような失礼なことをしなくても、みなさんの指の動きを見れば、メールや「UNE」の返信をしている、インターネットでニュースをチェックしている、といった程度は察することができます。そして、最も簡単に見分けることができるのが、本書のテーマであるスマートフォンゲーム(以下、スマホゲーム)をプレーしている人たちです。
ひと昔前までは、家の外でゲームをしている人を見かけることはありませんでした。そもそもゲームは、家庭用ゲーム機やパソコンを使って楽しむものであり、持ち運ぶものではありませんでした。確かに、「ゲームボーイ」(1989年発売、任天堂)といった番型のゲーム機が流行した時代には、街中で子どもたちがゲームに夢中になっている姿を見かけたことはあります。ただ、それはあくまでも「子どもの遊び」であったと思います。ところが、通話を主目的とする携帯電話に代わって、インターネットやメール、音楽鑑賞やゲームなどが手のひらの上でできてしまうスマホが登場すると、この状況が一変しました。
2007年にApple社から「Phone」が発売された当時のスマホは、流行に敏感な人や、最先端のテクノロジーに興味がある人たちのモノでした。しかし、総務省の図査によると、2010年に10%ほどだったスマホの世帯保有率は、2012年に約8%になり、現在は10%を超えて推移しています(図表011)。また同じ調査から、どのような端末を使ってインターネットに接続しているのかを見てみると、1位がパソコンで58・6%、2位がスマホで57・9%と、その差はわずか0.7%です(図表012)*
図表0-1 情報通信機器の世帯保有率の推移
図表0-2 インターネットの端末別利用状況
スマホが、私たちにとって手放せないツールとなった以上、スマホゲームをプレーする人が増えたのも当然の成り行きといえるでしょう。私の感覚では、電車の中でスマホを手にしている10人のうち、3人ほどはスマホゲームを楽しんでいると見ていますが、現在のスマホの世帯保有率を見れば、それもあながち的外れではないと感じます。朝のラッシュアワーの風景も変わりました。混雑した電車内で、多くのサラリーマンが小さく折り畳んでるんでいた朝刊は、今ではすっかりスマホに取って代わられました。この変化は、何も男性に限ったことではありません。最近では、仕事を持つ女性たちが一心不乱にスマホを操作している姿をよく見ますし、ベビーカーの子どもをあやしながら、片手でスマホを操作する母親の姿を見かけることもしばしばです。