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時代の変化に商社がどう対応しているか
総合商社は、人と人とのつながりが重要部分を占める業態です。大規模な設備を持たないことで、他業態に比べて相対的により柔軟に組織・ビジネスを作り替えることができます。本書では、7大商社がこれからの時代の変化に対してどのような取り組みをしているのかを解説していきます。転職や就職に役立つ最新情報もたくさん掲載しています。
はじめに
「現在は、ネットワークの時代だ」とは第3版の「はじめに」の書き出しでした。そしていま、目前に迫る5G導入を控え、まさにネットワーク社会/産業が本格的に動き始めるタイミングだといえます。これから2030年に向う10年間は、従来にはないまったく新しいサービスや、まったく新しい産業が芽生える非常に重要な時期となるはずです。
これから社会に出る皆さんが就職して中堅として社会を担うころ、2033年にもなると、21世紀も3分の1が終わるタイミングです。おそらく、21世紀的社会/産業の形はほぼ見えてきているでしょう。目に見えて変わるのは自動車かもしれません。自動運転は2030年代の技術ともいわれます。そうだとすれば、2030年代はドライバーレスカーが街を走る自動車のマジョリティを占めてくる時代になります。世界に先駆けて、ロボットタクシーの商用化を始めた米ウェイモは地下鉄や小売、ホテルなどと提携しており、これら産業を利用する消費者に便利で快適な移動を提供することになります。ロボットタクシーは多くのビジネスに対してビジネスモデルの転換を迫ることになるのです。
AI利用もこれからどんどん広がって行くでしょう。様々な新しいサービスが登場してくるとき、目には見えないけれども背後でAIが使われている、ということがこれから普通に起こってくることでしょう。
こうした新しい取組みの多くがスタートアップと呼ばれる生まれたばかりの企業によるものです。大企業もその多くが、スタートアップの買収で新たな機能を取り込んでいるのです。
総合商社は、資金力を別にすればもともと人の集まりであり、人と人のつながり、あるいは、つながりを生み出す力が強みの重要部分を占める業態です。大規模な設備を持たないことで、他業態に比べて相対的により柔軟に組織・ビジネスを作り変えることができる、作り変えてきた業態である、とも言えようかと思います。上にあげたような変化に対しても果敢にチャレンジしている姿を見出すことはそれほど難しいことではないでしょう。本書を通じて、そういう商社の側面を少しでも紹介できることができましたら幸いです。
最新総合商社の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版] ●目次
はじめに
第1章 商社業界の歴史
1-1 開国と商社誕生
1-2 旧財閥系と関西繊維系
1-3 第二次世界大戦までの商社
1-4 戦後から高度経済成長期
1-5 高度経済成長の終焉と商社冬の時代
1-6 バブル崩壊後の業界再編
1-7 最近の業績は堅調
1-8 なぜ日本で総合商社が発達したのか
コラム 社会のために尽くした商社の先人たち
第2章 商社の基本機能
2-1 商社の役割
2-2 商取引
2-3 投資・経営
2-4 情報・物流・金融
コラム 幻の総合商社 鈴木商店
2-5 リスクマネジメント
2-6 オーガナイザー機能
第3章 7大商社比較
3-1 商社業界概観
3-2 当期純利益比較
3-3 株主資本比率比較
3-4 ネットDER比較
3-5 ROA・ROE比較
3-6 キャッシュフロー比較
3-7 三菱商事―豊かな社会の実現に貢献することを目指して
3-8 三井物産―大切な地球と、そこに住む人びとの夢溢れる未来作りに貢献
3-9 伊藤忠商事―伊藤忠ブランドのさらなる価値向上を目指す
3-10 住友商事—変化を先取りし新たな価値を創造するグローバル企業を目指す方
3-11 丸紅―「正・新・和」の精神に則り、誇りある企業グループを目指す
3-12 豊田通商―人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりを目指す
3-13 双日―誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造する
コラム 企業の儲けが読み取れる損益計算書
第4章 商社の組織
4-1 商社の組織はこうなっている
4-2 張り巡らされた海外ネットワーク
4-3 組織の横の連携を強化する動き
4-4 子会社との連携プレー
コラム 企業の富を表す貸借対照表
第5章 商社の人材育成
5-1 商社は「人がすべて」
5-2 商社が求める人材とは?
5-3 商社の採用
5-4 商社の人材戦略
5-5 充実した研修制度
5-6 ダイバーシティへの取り組み
コラム お金の流れが一目瞭然のキャッシュフロー計算書
第6章 商社で働く
6-1 新入社員A君の場合―商社パーソンの一日①
6-2 入社10年目Bさんの場合―商社パーソンの一日②
6-3 最先端で活躍するC課長の場合―商社パーソンの一日③
6-4 商社の仕事、実は地味?
コラム 商社はドメスティックだった?
6-5 海外出張・海外駐在
6-6 商社パーソンはどこまでも行く
コラム 時差ぼけに負けない出張術
第7章 商社を取り巻く環境
7-1 金属資源・エネルギー価格の変動
7-2 ESG・サステナビリティ経営
7-3 グローバルなバリューチェーンの構築
7-4 M&Aの動向
7-5 中国―新興市場国の台頭①
7-6 ASEAN―新興市場国の台頭②
7-7 サブサハラ―新興市場国の台頭③
7-8 不確実性の高まり
7-9 コンプライアンスへの取り組み
コラム 丸紅が誇る「丸紅コレクション」
第8章 商社のビジネスモデル
8-1 食料
8-2 資源・エネルギー開発
8-3 インフラ事業
8-4 発電所経営
コラム 商社を題材にした経済小説
8-5 再生可能エネルギー
8-6 アパレルブランド導入
8-7 ITソリューション導入
8-8 流通加工と関連サービス
8-9 金融
第9章 商社業界の課題と将来
9-1 「モノ」だけではなく「機能」を売る
9-2 ビジネスコンセプトの変化
9-3 複数事業のクロスオーバー
9-4 事業創造への取り組み
コラム 20世紀起源の技術が花開くのは何時?
9-5 ヘルスケア―新ビジネスを拓く①
9-6 モビリティ―新ビジネスを拓く②
9-7 環境―新ビジネスを拓く③
9-8 水素エネルギー―新ビジネスを拓く④
9-9 更に時代の先へ
Data 巻末資料
●総合商社と主な商社業界関連団体
索引