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会社法の仕組みを簡潔に
本書は、平成26年改正会社法を踏まえて、会社法全体のしくみを、その土台からわかりやすく簡潔に説明するものです。2ページ読み切り形式で図表をまじえながらわかりやすく解説しています。会社法を勉強する人から企業の法務部、新入社員といった実務で会社法を知りたい人まで、幅広い読者を対象としています。

まえがき
改正会社法が平成26年6月20日に成立し、平成27年5月1日に施行されました。会社法が、平成17年6月29日に商法等から独立し新たな法律として制定されて以来、9年を経ての初めての大改正です。
この改正は、コーポレートガバナンス(会社統治)の強化、親子会社に対する規律の整備等を目的としたもので、大企業にも中小企業にも重要な影響を与える内容が多く含まれています。本書は、これら改正の内容を盛り込み、最新の会社法全体のしくみを、その土台からわかりやすく簡潔に説明するものです。
会社に関する法律は、商法等の時代から、技術的でとっつきにくい、細かくてわかりにくい、というイメージがつきまとっていました。そんな商法の全体的な分野について、わかりやすく著した『入門の法律 商法のしくみ』は、平成4年(1992年)の初版以来版を重ね、非常に多くの読者の方々に恵まれました。本書は、これを受け継いだ『図解でわかる会社法』を、今回の会社法改正に対応させたうえ、内容の見直しも加えて一新したものです。
本書が、企業のトップから、法務部門、新入社員まで、会社法を勉強しようとするあらゆる方々、さらに、条文の根拠をもって会社法の最新知識をまとめておきたいと思われる法律実務家の方々、これら会社法を必要とするすべての皆さんにとって、そのしくみを理解することに役立つことができれば、幸いです。
平成27年6月1日
弁護士 中島 成
※本書で示されている条文は、特に法律の名前が明記されていないかぎり、会社法の条
文を示しています。
※本書の内容は、2019年2月28日現在施行されている法令に基づいています。
目次
まえがき
第1章 会社法とはどのようなものか
平成26年会社法改正の最重要ポイント
1 ◆会社法とはどのようなものか
企業活動を支える技術的な法
2 ◆平成26年会社法改正の最重要ポイント
コーポレートガバナンスの強化と親子会社関係ルールの整備
第2章 会社とは何か
コーポレートガバナンス、内部統制
3 ◆会社とは何か
会社には4種類ある
4 コンプライアンス(法令遵守)
リーガルリスクと社会信用リスクの回避
5 ◆コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの議論とは
6 ◆会社の「目的」の範囲とは
会社が政治献金をすることに会社法上の問題はないか
7 ◆内部統制システム
会社法・会社法施行規則・日本版SOX法
8 ◆親子会社に関する規制
子会社を利用した親会社支配の歪曲化を防ぐ
9 ◆会社の商号に関するルール
類似商号が使われたらどうする?
10 ◆会社法上の犯罪
特別背任罪は10年以下の懲役で時効は7年
第3章 株式会社
第1節 株式会社の特徴
11 ◆株式会社の特徴
株式の制度&所有と経営の分離
12 ◆資本の制度は何のためにある?
資本の制度と剰余金分配規制で債権者保護を図る
第2節 株主と株式
13 ◆株主の権利と義務
自益権と共益権、単独株主権と少数株主権
14 ◆株主平等原則とはどんなもの?
多数派株主の株主権濫用から他の株主を守る
15 ◆株主優待制度は株主平等原則に反しないか
実質的にみて不平等が軽微であれば違反しない
16 ◆株主名簿は何のためにある?
議決権行使や利益配当などの基準となる
17 ◆種類株式とは(1)
配当や議決権などについて異なる内容の株式を発行できる
18 ◆種類株式とは(2)
拒否権付株式は敵対的買収への強力な対抗手段
19 ◆株式の譲渡制限
譲渡に会社の承認を要する株式
20 ◆株式譲渡承認請求の手続き
会社は請求から2週間以内に決定内容を通知する
21 ◆単元株
議決権行使に必要な株式の数は会社が定款で決める
22 ◆株券をなくしてしまったらどうする?
株券喪失登録制度がある
23 ◆自社株の取得・保有・処分
自社株の取得・保有・処分は原則として自由
24 ◆相続人に対する株式売渡請求
会社は相続人に譲渡制限株式の売渡しを請求できる
25 ◆少数株主の株式をすべて買い取る制度
新たなキャッシュアウト制度の創設
26 ◆ストック・オプション
付与対象者の限定はない
27 ◆インサイダー取引規制
証券取引の公正に対する投資家の信頼を守る
28 ◆株式の消却・併合・分割
自己株式の取得による財務指標改善、消却による市場評価向上
第3節 組織と運営
29 ◆株式会社の機関の種類(1)
株主総会、取締役、取締役会
30 ◆株式会社の機関の種類(2)
代表取締役、会計参与、監査役、監査役会
31 ◆株式会社の機関の種類(3)
執行役・代表執行役、委員会、会計監査人
32 ◆社外取締役・社外監査役
社外性要件の厳格化
33 ◆機関設計のポイント
定款で定めることで様々な機関設計が可能
34 ◆株主総会の意義と権限
基本方針を決める最高意思決定機関
35 ◆株主総会の招集手続きと決議方法
取締役会設置会社の場合
36 ◆取締役会を設置しない会社の株主総会
招集手続きの簡略化が可能
37 ◆会社関係手続きのIT化
eメールでの議決権行使も、貸借対照表のホームページ公告も可能
38 ◆種類株主総会とはどんなもの?
種類株主の意思決定が必要なときに開かれる
39 ◆株主総会決議取消しの訴え
決議の日から3か月以内の提起が必要
40 ◆株主総会決議の無効と不存在
決議取消しの場合と異なり主張方法に制約がない
41 ◆総会屋対策
最高意思決定機関である株主総会を守る
42 ◆取締役の役割、資格、人数、任期、選任・解任
株式譲渡制限会社では取締役の資格を株主に制限できる
43 ◆取締役、執行役の競業の制限、利益相反取引の制限
会社に忠実義務を負う取締役、執行役に対する規制
44 ◆取締役の報酬、賞与、退職金についての定め
お手盛りによる過大な報酬決定を防ぐために
45 ◆取締役等の第三者に対する責任
故意や重大な過失があるときに追及される
46 ◆代表取締役、代表執行役の専断
取締役会等の決議を経ないでした代表取締役、代表執行役の行為の効力
47 ◆表見代表取締役、表見代表執行役
代表権がない者の行為の効果が会社に及ぶとき
48 ◆取締役会の権限、招集手続きと決議の方法
書面またはeメール等で取締役会決議があったとみなせることも
49 ◆特別利害関係人
取締役会と株主総会では取扱いが異なる
50 ◆会計参与
中小企業の決算の正確性を増進する。損害賠償責任も負担
51 ◆監査役
会計監査と業務監査の双方を行うのが原則
52 ◆監査役会
大規模な会社の組織的監査
53 ◆会計監査人は会計のプロ
小規模会社でも設置できる
54 ◆指名委員会等設置会社とはどのような会社か
3つの委員会で経営の透明性を確保する
55 ◆指名委員会等設置会社の取締役、取締役会の役割
強い権限をもつため、取締役の任期は1年と短い
56 ◆指名委員会等設置会社の委員会(1)
指名委員会と報酬委員会の役割
57 ◆指名委員会等設置会社の委員会(2)
監査委員会の役割
58 ◆執行役、代表執行役
執行役は取締役でなくてもよい
59 ◆監査等委員会設置会社
新しい会社統治システムの創設
60 ◆役員等の会社に対する損害賠償責任
過失責任が原則だが、無過失責任の場合もある
61 ◆株主代表訴訟
株主が会社に代わって役員の責任を追及する
62 ◆多重代表訴訟
親会社の株主が子会社の役員に株主代表訴訟を起こせる
第4節 ファイナンス(資金調達)
63 ◆新株発行(1)
資金調達方法と新株発行手続き
64 ◆新株発行(2)
現物出資規制、デット・エクイティ・スワップ、新株発行の差止め
65 ◆支配株主を変更する新株発行と株主総会決議
公開会社でも新株発行に株主総会決議が必要とされる場合
66 ◆授権資本
機動的な資金調達と既存株主の地位確保のバランス
67 ◆新株予約権
資金調達にもストック・オプションにも利用できる
68 ◆社債(1)
社債にも大企業版と中小企業版がある
69 ◆社債(2)
機動的な社債発行、新株予約権付社債
70 ◆株式公開のメリット、非公開化のメリット
非公開化(ゴーイング・プライベート)を目指す会社も
第5節 決算と配当
71 ◆会計帳簿と計算書類
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
72 ◆決算
臨時計算書類、連結計算書類もある
73 ◆資本、準備金
剰余金分配規制と相まって会社財産を維持する
74 ◆剰余金の分配規制
債権者保護の役割を担う剰余金分配規制
75 ◆違法な剰余金分配の責任
財源規制に違反して剰余金分配がなされたらどうなる?
76 ◆資本の減少、準備金の減少
株主総会の普通決議で減資できる場合も
第6節 組織再編とM&A
77 ◆M&Aとデュー・ディリジェンス
M&Aの目的と手段はさまざま
78 ◆合併とは
吸収の対価は自社株でも親会社株式でも金銭でもよい
79 ◆事業譲渡とは
合併とは異なるメリット・デメリット
80 ◆子会社株式の譲渡と親会社の株主総会決議
一定の子会社株式譲渡には親会社の株主総会特別決議が必要
81 ◆純粋持株会社、株式交換、株式移転
完全親子会社をつくる
82 ◆会社分割とはどのようなものか
事業譲渡を組織法的に行う
83 ◆簡易組織再編と略式組織再編
株主総会決議が不要となることも
84 ◆組織再編の差止め
会社の合併等を事前に差し止められる
85 ◆株式取得、TOB、MBO
会社の支配を獲得する
86 ◆敵対的買収に対する防衛策(1)
新株や新株予約権の発行
87 ◆敵対的買収に対する防衛策(2)
ポイズンピルと黄金株
88 ◆債権者を害する会社分割や事業譲渡に対する規制
濫用的会社分割への対抗策
第7節 設立・解散・清算
89 ◆株式会社のつくり方
定款作成、株式発行価額の払込み、設立登記
90 ◆現物出資・財産引受け・事後設立
目的財産の評価が問題になる
91 ◆設立費用
会社設立にかかった費用は誰が負担するか
92 ◆解散とはどのようなものか
会社を清算して法人格をなくすための出発点
93 ◆清算とはどのようなものか
通常清算と特別清算がある
第4章 持分会社、有限会社
94 ◆持分会社とはどのような会社か
合名会社、合資会社、合同会社の3つ
95 ◆合同会社の特徴(1)
社員は有限責任社員のみ
96 ◆合同会社の特徴(2)
設立、ガバナンス、利益配当、持分譲渡、退社、定款変更
97 ◆合名会社はどのような会社か
無限責任社員1人でも存続可能
98 ◆合資会社の特徴は
合名会社と合同会社の中間
99 ◆株式会社、持分会社の組織変更
すべての持分会社は株式会社に組織変更できる
100 ◆有限会社
現在でも整備法上の特例有限会社として存在する
索引