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マンガで理解しやすい
人に伝えることを前提に書かれているように思われ、非常にわかりやすいです。ビジュアル的にも理解しやすく、記憶に定着しやすいです。管理栄養士を目指しているけど、化学に苦手意識を持っているという方や、参考書で覚えられない方はこの本から入ってみることをオススメします。
はじめに
栄養学に関する書物は、入門書から教科書、有機化合物の代謝を詳述した専門書まで、その数はもはや本棚に収まりきらないほどにあふれています。しかし、「自分は無機・有機化学や生化学が苦手だ」と思い込んでいる方は、栄養学に対してもアレルギー反応を示すことが多いようです。学習意欲をもって関連書籍を購入しても、いわゆる積読(ソンドク)もしくは枕代わりになってしまい、中身は中途半端なまま、わかったようでわからない状態が続いている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
栄養学は、基本だけでも正しく理解しておけば、その知識が自らの健康と長寿の一助になることは間違いありません。巷にあふれている健康情報の目利きになれますからウソっぽい情報に振り回されることもなくなるでしょう。地道に学んだ結果として、栄養学の根底にある「ヒトは何をどれだけ食べるべきか」「何のために食べ続けるのか」といったことも理解できるようになると思います。
とはいえ、食べ物に含まれている栄養素のこと、栄養素が体内でどのように変化する(代謝される)のかということ、代謝はいかにして調節されているのか、というような栄養学の本質の多くを性急に理解しようとすれば、化学反応に追いついていけずたちまちアレルギー反応が引き起こされてしまうのも事実です。
本書は、栄養素がもっている意義とその代謝の意味合いに主眼を置きました。マンガのストーリーを追ううちに、栄養学の要点とその概略がマスターできるつくりになっています。まずは何よりじっくりと栄養学に親しみ、基本をしっかり叩きこんでいただければと思います。お読みいただくとわかってきますが、主人公「網野りん」の名前は、アミノ酸とミネラルのリン(P)から名付けました。リン(phosphorus)は、「光を運ぶもの」という意味で、成人では、体重1kgあたり約10gもの量が体内に存在する必須元素(生元素)です。アミノ酸も生命体に不可欠な有機化合物で、必須元素の炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)でできています。種類によってはイオウ(S)も組み込まれています。ヒトは、必須元素がある方向性をもって組み合わさった産物によって構成されています。そして生き続けるためには必須元素を含む化合物を摂取し続けなければなりません。
マンガの中で、主人公の網野りんは学園祭のワンプレートコンテストにチャレンジすることになるのですが、そこに至るドラマをお楽しみいただきながらじっくりと栄養学の基本に触れてください。そのほかの登場人物の名前の由来も推理していただくと面白いかと思います。読者の皆さんは、ぜひ、網野りんに変身して栄養学の謎解きに悩んでください。読み終えるころにはきっと栄養学のポイントが頭の中でイメージできているものと確信しています。なお、異なる解釈が存在する箇所もありますが、本書は基本の理解を第一義とし、ストーリーおよび解説を展開しておりますことご了承ください。
最後に、根気よくお付き合いくださいましたオーム社開発部の皆さま、楽しいシナリオをつくってくださったビーコムプラスの皆さま、難解な内容を親しみやすいマンガで表現してくださいましたこやまけいこ様に厚く御礼申し上げます。
2013年9月
薗田勝
もくじ
プロローグ
第1章 栄養と栄養素 ヒトはなぜ食べるのか
1-1 食べることの目的
1-2 栄養とは
1-3 何をするにもエネルギーが必要
1-4 エネルギーの使い道は4つ
1-5 僕らは太陽を食べている―エネルギーの請負人・グルコース
知っておきたい化学の基礎知際
Column 1日が3食になった理由
第2章 エネルギー産生のしくみ生きることは ATP をつくり続けること
2-1 ATP とは
2-2 ATPを生み出す3つのステージ
2-3 ATP のホップ、ステップ、ジャンプ
2-4 三大栄養素からATP がつくられるルート
Column ATP 産生を阻害する「アンカップラー」
第3章 糖質の栄養 糖質は最大のエネルギー源
3-1 糖質の種類
3-2 糖質の消化・吸収・代謝
3-3 糖質同士の結合
3-4 空腹は血糖値低下のシグナル
3-5 血糖値を調節するホルモンたち
3-6 もう1つあったグルコースの貯蔵庫
Column 脳と赤血球はグルコースしか食べない偏食家
第4章 脂質の栄養中性脂肪は重要な貯蔵燃料
4-1 脂質の種類
4-2 脂質の消化・吸収・代謝
4-3 脂質の上手な摂り方
4-4 脂肪酸とは
4-5 中性脂肪は優秀な貯蔵燃料だ
4-6 細胞が大きくなれるのはコレステロールのおかげ?
4-7 脂質の運び屋リポタンパク質
第5章 タンパク質・アミノ酸の栄養 体タンパク質の分解と合成は生命維持の基盤
5-1 アミノ酸は体タンパク質をつくる材料
5-2 アミノ酸のバランス
5-3 タンパク質はこうしてできる
5-4 タンパク質の消化と吸収
5-5 タンパク質の変性
5-6 アミノ酸スコアの計算法
5-7 タンパク質が食物アレルギーを引き起こす
5-8 不要なタンパク質を尿として排泄する
Column コラーゲンを食べると健康的?
第6章 三大栄養素の相互関係 体内に備わった高性能蓄電システム
6-1 全力で血糖を維持します
6-2 糖新生の主要3ルート
6-3 糖新生の詳しい経路
6-4 脂肪酸からグルコースがつくれない理由
6-5 過剰に摂取したグルコースの行方
Column 糖新生を考える
第7章 ビタミン・ミネラル 体内ではつくれない微量栄養素
7-1 ビタミンとミネラルの共通点と違い
7-2 ビタミンの働き
7-3 ミネラルの働き
7-4 ビタミンの役割
7-5 ミネラルの役割
Column ビタミンEとビタミンCの活性酸素退治
第8章 水と酸素の栄養 生命活動にかかわる重要な栄養素
8-1 水は生命活動のすべてにかかわる栄養素
8-2 水の働き
8-3 酸素の働き
8-4 生物は酸素に順応して進化してきた
8-5 酸素が売ってホント!?
8-6 栄養素の燃焼は呼吸商”でわかる
エピローグ
付録 食と健康
参考文献
さくいん