4泳法がもっと楽に! 速く! 泳げるようになる水泳体幹トレーニング

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体幹トレーニングで美しい泳ぎを身につける

推進力をあげたい、抵抗の少ないストリームラインをつくりたいなど、水泳に取り組む上で直面する悩みは様々です。そんな悩みを解決するための1つの方法が「体幹トレーニング」です。それぞれの泳法に必要な動作を理解し、本書に沿ったトレーニングをすることで、より速い泳ぎを実現することができます。

小泉 圭介 (著)
出版社 : マイナビ (2014/5/24)、出典:出版社HP

【著者紹介】

小泉圭介(こいずみ けいすけ)
1971年1月、福井県出身。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。理学療法士。日本体育協会公認アスレティックトレーナー。日本水泳連盟医事委員・競泳委員。フィットネスクラブでインストラクター経験を積んだ後、複数の病院で理学療法士としてリハビリテーション業務に携わり、東京衛生学園専門学校専任教員、国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部アスレティックトレーナーを経て、現在は日本スポーツ振興センターマルチサポート事業競泳専任メディカルスタッフ。帯同トレーナーとしてロンドン五輪など数々の国際大会で日本代表チームのサポートを行なっている。

Introduction

体幹を鍛えることで、泳ぎが飛躍的に変わる

体幹を鍛えることで得られる「感覚の違い」
水泳動作の中で、体幹の筋肉は非常に大きな役割を果たしています。水に浮くときに、最も大きな浮力となるのが肺です。肺の浮力を利用して体幹の筋肉を使い、下半身のポジションを引き上げることで重心を前に乗せられるようになるのが、体幹トレーニングの最大の目的です。
泳ぎの中で体幹を使えるようになると、まず感覚としてボディーポジションが変わります。下半身が沈まない高い位置で泳げるようになると、泳いでいるときに手脚の疲労を減らすことができます。泳いでいる以上、水圧を感じるのは同じですが、ボディーポジションが低いと体の前面にブレーキがかかるぶん、感じる水の抵抗も大きくなります。
実際に速く泳げているときは、水をかくのが軽く感じられるものです。これは、水をとらえていないからではなく、自分が進んでいるから軽く感じられるのです。一方で、体が沈んでいても水をかくのが軽く感じられることがあります。この場合は、水の上を手が滑って、水が逃げてしまっているので軽く感じるのがいいわけではありません。うまく泳げているかどうかの判断は、水をかいているときの感覚ではなく、「思いのほか疲れていないのにタイムがいい」ときがベストです。
体幹を使って下半身を高いポジションに保てるようになれば、より疲れずにより速い「効率のいい泳ぎ」が実現します。

体幹と合わせて大切な胸郭のスムーズな動き
水泳で体幹と合わせて大切なのが胸郭の動きです。胸郭の使い方は、熟練者と非熟練者で大きく異なります。
息を吸い込んだときに、胸郭の下部に空気を入れることができれば、胸郭は左右に広がって、水の中で体が安定します。それとは逆に、胸郭の上部に空気を入れてしまうと、胸郭は前後に丸く広がって、水中で体が回転しやすくなってしまいます。
さらに、胸郭を柔らかく使えるようにすることで、肩甲骨が動きやすくなります。肩甲骨が動くときは、つねに胸郭も動いています。肩甲骨を動かしたいなら、その土台となっている胸郭を柔らかく動かす必要があるのです。
この胸郭や肩甲骨の使い方は水泳ならではの動きです。トレーニングを通じて、これらの水泳独特の感覚をつかめるようになりましょう。

泳ぎのパフォーマンスを上げケガをしない体を作るには陸上トレーニングが不可欠

水泳のための体になることで生じる危険性
スポーツのトレーニングを行なうとき、その競技と同じ動きで鍛えることが大切だと言われています。とはいえ、水泳だから水の中だけでいいということではありません。
水泳選手は、日ごろから水泳の練習で水の中にいることが多いので、もともとリスクがあります。毎日、部活で泳いでいる選手で、「子どものころは陸上でも足が速かったが、成長につれて足が遅なった」というケースをよく見ます。それは、徐々に水泳に特化した体になり、陸上生活に向かない体になってしまっているということです。ウエイトトレーニングということではなく、陸上で体を使って動かすことがほかの競技よりも大切なのです。
それをおろそかにすると、陸上で行なう体育の授業やウエイトトレーニングでケガをしてしまうのです。そうならないためにも、水泳選手は陸上で体を鍛えて、重力に負けない筋力をつけておく必要があります。
また、水泳に特化した体になってしまうことは、もともとの人間の構造に合っていない体になることなので、水泳でも故障しやすくなります。
例えば、平泳ぎ以外の水泳選手はほかの競技の選手とはふくらはぎの形が違います。水泳のキック動作では腓腹筋だけが発達して、ヒラメ筋があまり発達しないのです。また、お尻の筋肉を使わないため、ジャンプ力があまりないのも特徴です。

プールでは鍛えられない筋肉を陸上で補強する
また、水泳ではひざが真っすぐ以上に反る(過伸展)反張ひざの選手が多く見られます。中学生くらいになると反張ひざになってくる選手が増え、それはいい選手ほど顕著に現れます。その原因はまだ研究中ですが、毎日キックで水をとらえ続けた結果、成長過程で水泳に特化した体に変化したのではないかと考えられます。
しかし、反張ひざになることで日常生活におけるひざの負担が大きくなるのは間違いありません。人によっては、ひざの靭帯が機能しなくなったり、走るだけでケガをすることもあります。
これらのリスクを回避するためにも、プールで行なうスイムトレーニング以外に、必ず陸上トレーニングを行なって、陸上生活においても1カ所にストレスが集中しない体作りをしておく必要があります。

小泉 圭介 (著)
出版社 : マイナビ (2014/5/24)、出典:出版社HP

CONTENTS

Introduction
体幹を鍛えることで泳ぎが飛躍的に変わる
泳ぎのパフォーマンスを上げケガをしない体を作るには陸上トレーニングが不可欠

本書の見方

PART1 スイマーのための体づくりとは

陸上トレーニングで左右差をなくし、感覚を研ぎ澄ませる
泳ぎの特徴 クロール
泳ぎの特徴 背泳ぎ
泳ぎの特徴 バタフライ
泳ぎの特徴 平泳ぎ
すべての泳法に共通する基本の姿勢「ストリームライン」
正しい「ストリームライン」を作るために必要な身体能力

トレーニングを行なう前にやっておきたいストレッチ
①イスに座って行なう胸郭ストレッチ
②広背筋ストレッチ
③胸郭ストレッチ
④腸腰筋ストレッチ
⑤あお向け大腿四頭筋ストレッチ
⑥横向き大腿四頭筋ストレッチ

正しい「ストリームライン」を作るためのトレーニング
トレーニングを行なう前にドローインで腹圧の入れ方を練習しよう
①ドローインで片脚上下
Advance① ストレッチポールの上で行なう
Advance② ストレッチポールの上で手を挙げて行なう
②ドローインで片脚広げ
Advance① ストレッチポールの上で行なう
Advance② ストレッチポールの上で手を挙げて行なう
③フロントブリッジ
Advance① ひじとひざで支持する
Advance② ひじと足で支持する

PART2 キャッチで効率よく水をとらえるためのトレーニング

日常生活やほかの競技にないもっとも特殊な動きがキャッチ
キャッチ動作に必要な身体能力
肋骨の動きをよくすることで、腹筋を使ったキャッチができる
①ドローインで脇腹上げ
Advance 手を挙げて行なう
②片手挙げフロントブリッジ
Advance① ひじとひざで支持する
Advance② ひじと足で支持する
③ドローインで床押し
④ローラー腹筋
⑤片ひじつきツイストクランチ
⑥プルオーバー
⑦ウォールパウンド(両手・片手)
⑧ひざ立ちメディシントス
⑨ローテーターカフエクササイズ

PART3 大きな推進力を生み出すプルのためのトレーニング

姿勢に無理がなく大きな力を発揮できるプルポジション
プル動作に必要な身体能力
体幹を安定させ、広背筋を使って左右対称に腕を動かす
①ワイドスタンスブッシュアップ
Advance① 手と足で体を支える
Advance② ストレッチボールを使う
②チョッピング腹筋
③パートナープルアップ
④プルダウン
⑤ローイング
⑥チュービング①
⑦チュービング②
⑧メディシンボールたたきつけ
Column1 ケガをせずに安全にトレーニングを行なうために

PART4 リカバリーで受ける抵抗を小さくするトレーニング

スムーズなリカバリー動作が効率のいい泳ぎにつながる
リカバリー動作に必要な身体能力
スムーズなリカバリー動作のポイントは胸郭と肩甲骨
①トランクツイスト
②うつ伏せツイスト
③バランスボールツイスト
Variation① 胸から上をひねる
Variation② 脚を伸ばして胸から上をひねる
④フロントブリッジツイスト
⑤肩甲骨4動作(バランスボール)
⑥肩甲骨4動作
Advance うつ伏せドローインで行なう
Column2 筋肉痛さえなければ毎日でもできる体幹トレーニング

PART5 キックで大きな推進力を生むためのトレーニング

骨盤を固定して高い腰の位置で効率のいいキックを打つ
キック動作に必要な身体能力
大きな推進力と小さな抵抗を両立するために必要な腹圧
①ドローインで両脚上げ
②うつ伏せ片脚上げ
③あお向け骨盤後傾エクササイズ
④アウトサイドブリッジ
⑤フロントブリッジ片脚上げ
Advance① 両ひじと両ひざで支持して行なう
Advance② 両ひじと両足で支持して行なう
⑥あお向け片脚上げバランス
Advance 手を挙げて行なう
⑦あお向け両脚下ろし
Advance① メディシンボールを使用して行なう
Advance② パートナーが脚を振り下ろす
⑧股関節外旋筋ストレッチ
Column3 前日の疲れを残さずに効率よくトレーニングする

PART6 スタートとターンの能力を高めるトレーニング

タイムの短縮に直結する飛び出す力の強化
スタート&ターンに必要な身体能力
スタートやターンでお尻の筋肉を使えるようにする
①両脚バックブリッジ
②片脚バックブリッジ①
③片脚バックブリッジ②
④レジストステップ
⑤片脚グッドモーニング
Advance 長い棒を持って行なう
⑥アンバランススクワット
⑦フロントスクワット
⑧大臀筋ジャンプ
⑨バーピージャンプ
⑩ふん転がし
⑪雑巾がけ

PART7 動作の協調性を高めるトレーニング

複雑な動きのトレーニングで動きの協調性を高めておく
①ロケット胸郭リフト
Advance ひねり動作を入れながら上げる
②ロケット腹筋リフト
Advance ひねり動作を入れながら上げる
③キャタピラ
Advance キャタピラーつま先タッチ
④ローリングタッチ
Advance 片手片脚タッチで行なう
⑤V字腹筋
⑥シャクトリムーブ
⑦ワイドスクワット&ツイスト
Advance 棒を背負って行なう
⑧アリゲーターウォーク
⑨あお向け骨盤リフト
Advance① 片脚を横に広げる
Advance② ボールを挟んで行なう
⑩インサイドブリッジ
Advance 下側の脚を上げる
⑪フルアークストレッチ

付録
目的に応じて、無理のないトレーニングメニューを考える
MENU① 基本のウォーミングアップ例
MENU② 上半身強化のトレーニングメニュー例
MENU③ 下半身強化のトレーニングメニュー例

著者&モデルプロフィール/おわりに

本書の見方

本書では、ストリームライン、キャッチ、プル、リカバリー、キック、スタート&ターン、コンビネーションの水泳動作に必要な体の使い方や筋力アップを目的とした陸上でのトレーニングを分かりやすく写真で解説しています。

小泉 圭介 (著)
出版社 : マイナビ (2014/5/24)、出典:出版社HP