外国人雇用 はじめの一歩

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実務の手順に沿って手続を解説

近年、様々な理由から外国人雇用を始める企業が急速に増えています。しかし、ここで高いハードルとなるのが、外国人雇用のルールを定めた「入管法」に従って雇用しなければならないということです。本書では、入管手続専門の行政書士として多くの外国人や企業の相談を受けてきた筆者が、初めて入管法に触れる初心者でもすぐに実務に活かせるようにわかりやすく解説した一冊です。

矢澤 めぐみ (著)
出版社 : 日本法令 (2020/8/20)、出典:出版社HP

はじめに

近年、外国人雇用を始める企業が急速に増えています。
「優秀な人材であれば日本人と同様に採用したい」、「人手不足なので外国人にも働いてもらいたい」、「国際化に向けて新しい考え方を社内に取り入れたい」など、外国人雇用に踏み切る理由は様々です。
しかし、ここで高いハードルとなるのが、外国人雇用のルールを定めた「入管法」に従って雇用しなければならないということです。
外国人のビザ手続を依頼できる専門家として、行政書士がいます。しかし、ビザ手続を専門家に任せれば、それでOKというわけではありません。ビザ手続の前には、ビザの要件に合う外国人を採用する必要がありますし、ビザを取得した後には、入管法のルールに従って不法就労とならないよう慎重に雇用管理しなければなりません。
私は長い間、入管手続専門の行政書士として多くの外国人や企業からビザに関する相談を受けてきましたが、ここ数年は、外国人雇用を始める企業からの相談が急増し、それに伴い入管手続に関するトラブルを抱える企業も増えています。
例えば、外国人を採用したのでビザを取ってほしい、という相談を多くいただくものの、外国人の経歴等がビザの要件に合わずビザ申請ができないというケースは多くあります。より深刻なケースでは、ビザで認められている範囲外の仕事をさせてしまったという理由で、従業員のビザの更新が許可されなかったというトラブルも珍しくありません。
このようなトラブルの原因となるのは、企業の担当者が入管法を知らなかった、または理解していなかった、という場合がほとんどです。そしてこの背景には、入管法を学ぶ必要性があることが広く周知されていないこと、そして、入管法が難解な法令であるために、必要な情報が十分に行き渡っていないという現状があります。
このような中、初めて入管法に触れる初心者でもスムーズに入管法を理解でき、すぐに実務に活かせるような本を世に送りだしたい、という思いから本書を執筆しました。
本書では、誰もが気軽に読めるよう、理解を助けるための図表も用い、難しい法的な表現は平易な言葉に言い換えて解説しています。また、実務の手順に沿って手続きを解説していますので、実務で困ったときに手に取れる一冊、そんな本になればと思っています。
今後は少子高齢化が進み、外国人雇用の必要性はますます高まると予想されています。2019年4月には外国人労働者の受入れに関する新制度が始まり、今まで単純労働とみなされて外国人の受入れが認められてこなかった分野にも門戸が開かれることになりました。
このような背景のもと、入管による外国人の管理体制も今まで以上に強化されており、企業に対してはより一層のコンプライアンスが求められています。
このため、基本的な入管法の知識は外国人雇用をする企業のほかも、企業をサポートする社会保険労務士などの士業や、外国人との共生に関する政策を担う地方自治体、人材紹介/人材派遣会社など、幅広い分野において必要不可欠なものとなっています。
入管法の基礎知識をコンパクトにまとめた本書は、このように多岐にわたる場面で活用していただけるものではないかと思います。
なお、本書を執筆中に、新型コロナウイルスの感染拡大により全国に緊急事態宣言が出されるという未曽有の事態が生じました。これにより、私たちの生活は一転しただけでなく、今後の企業活動の在り方も大きく変わっていく必要があるといわれています。なかでも、今後起こり得る同様の事態に備えて国内で需要を満たしていく必要性や、その一方で深刻化していく少子高齢化による労働力不足は、今後企業が重点的に取り組んでいくべき大きな課題となるかもしれません。そして、外国人雇用は、そのような課題に対応していくための一つの選択肢となると思われます。
現在、そして今後において、一社でも多くの企業がトラブルなく、安心して外国人雇用を進められるようにとの思いを込めて本書を執筆しました。本書が少しでも皆様のお役に立てれば大変嬉しく思います。

2020年7月
行政書士 矢澤めぐみ

本書の使い方(3部構成)

外国人雇用のルールをゼロから解説
基礎編
◆外国人雇用のために知っておくことは?
◆外国人の在留資格とは?
◆自社で使える就労ビザの種類は?

トラブルなく、外国人雇用ができる
実践編
■外国人の採用のしかたは?
■就労ビザの手続きのしかたは?
■受入後の手続きと注意点は?

知識を深めて実務の効率をUPする
応用編
■就労ビザをもっと詳しく知りたい
■海外の取引先を招へいするには?
■インターンシップや研修をするには?

矢澤 めぐみ (著)
出版社 : 日本法令 (2020/8/20)、出典:出版社HP

目次

はじめに
本書の使い方

外国人雇用お役立ち資料
[業種別] 在留資格一覧
介護業
外食業
建設業
農業
漁業
飲食料品製造業
製造業
宿泊業
造船・舶用工業
ビルクリーニング業
自動車整備業
航空業
IT業界
コンビニ業界
まずはイメージ 外国人雇用の流れ

I 基礎編 【外国人雇用の基礎知識】
第1章 在留資格の基礎知識
【ガイダンス】 在留資格と外国人雇用の関係
1 在留資格とは
コラム かつて在留資格は番号だった!?
2 在留資格とビザの違い
コラム 外国人の4つの滞在目的
3 在留資格の2つの基本ルール
4 雇用できる外国人の見分け方
コラム 『難民ビザ』の外国人
5 不法就労させた雇用主の罰則
コラム 不法就労助長罪での検挙
6 安定的な外国人雇用のために
第2章 就労ビザの基礎知識
1 就労ビザのレベル分け
コラム 「特定技能」創設の背景―「技能実習」との違いとは
2 自社で使える在留資格を知っておこう
コラム 「技能」ビザとは
外国人雇用の3つのポイント

Ⅱ 実践編 【外国人雇用の実務】
第1章 STEP1 外国人の採用
【ガイダンス】 外国人の採用手順を確認しよう
1 継続雇用と人材配置の工夫(採用計画)
2 在留資格に応じた募集方法
3 人材紹介/人材派遣会社を使いこなす
4 採用時の在留カードの確認
5 就労ビザ取得のためのチェック項目
6 雇用契約書の作成
コラム 国内採用と海外採用の違い
第2章 STEP2 就労ビザの手続き
【ガイダンス】 2種類のビザ申請を使い分けよう
1 国内採用時のビザ申請(在留資格変更許可申請)
2 海外採用時のビザ申請(在留資格認定証明書交付申請)
3 転職者を採用したときの手続き
4 「技術・人文知識・国際業務」の申請書類
5 「特定技能」の申請書類
コラム 「特定技能」に関心を持つ留学生
6 就労ビザの審査
7 不許可時の対応
第3章 STEP3 受入後の手続きと法令遵守
【ガイダンス】 受入後の手続きと注意点を確認しよう
1 法令違反によるトラブル事例
コラム 社内の不法就労はわかってしまう!?
2 法令遵守のための確認事項
3 届出① ハローワークへの届出(外国人雇用状況の届出)
4 届出② 住居地の届出
コラム 外国人の届出はなぜ必要?
5 届出③ 所属機関に関する届出
6 届出④ 氏名・国籍等の変更届出
7 届出⑤ 在留カードの再交付申請など
8 ビザの更新
コラム オンライン申請

III 応用編 【在留資格を詳しく知ろう】
第1章 「技術・人文知識・国際業務」
1 「技術・人文知識・国際業務」の仕事
2 「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するには
3 外国人に必要な学歴
4 実務経験を生かしてのビザの取得
5 「技術・人文知識・国際業務」の受入手順
コラム 幅広い業務に従事できるビザ
第2章 「特定技能」
1 「特定技能」の仕事
コラム 「特定技能1号」と「特定技能2号」
2 「特定技能」の試験
コラム 特定技能の試験問題を解いてみよう
3 受入企業の義務―外国人への支援
4 「特定技能」の受入手順
5 特定技能の届出
コラム 受入れにかかる費用
6 受入企業が満たすべき基準
第3章 「技能実習」
1 「技能実習」の仕事
2 技能実習生の受入方法
3 技能実習の流れ
4 技能実習生を長期間雇用するには
第4章その他の在留資格(高度人材のビザ)
1 幅広い業務に従事できるビザ―「特定活動」(46号)
2 優秀な外国人が優遇されるビザ―「高度専門職」
3 会社経営者・管理職のビザ―「経営・管理」
4 外国料理の調理師等のビザ―「技能」
5 介護福祉士のビザ―「介護」
コラム EPAの受入枠(「特定活動」(EPA))
第5章 ビジネスシーンに応じたビザ手続
1 海外の事業所からの転勤―「企業内転勤」
2 商談・会議などで招へいする―「短期滞在」
3 研修を実施する―「研修」など
4 インターンシップで受け入れる―「特定活動」など
5 従業員の家族を呼び寄せる―「家族滞在」
6 従業員の永住申請―「永住者」
コラム 永住ビザと帰化のどちらを選ぶ?
新型コロナウイルス感染症に関するビザ手続

外国人雇用お役立ち資料

[業種別]在留資格一覧(2020年7月時点)

まずはイメージ 外国人雇用の流れ

在留資格の理解
従事する業務の範囲や就労期間など外国人の就労制限は在留資格(ビザ)によって異なります。在留資格のルールに基づいて雇用できるよう在留資格の基本を理解しておきます。

募集
利用する在留資格に適した採用ルートで外国人を募集します。「技能実習」など、特定の機関を通して受け入れなければならない在留資格もあります。

選考
学歴などの在留資格の取得要件を確認し、在留資格を取得できる外国人だけを採用します。

雇用契約
雇用契約を結び、雇用契約書や労働条件通知書を作成します。これらの書類は、後のビザ申請で提出するため、ポイントを押さえて作成します。

ビザ申請
外国人と雇用主双方の書類を準備し、地方出入国在留管理局でビザ申請をします。

就労開始
在留資格が取得できたら、就労の制限を超えないよう在留資格のルールを遵守しながら外国人を雇用します。

ハローワークへの届出
外国人を雇い入れた際は、その旨をハローワークに届け出る義務があります。

ビザ更新・届出
雇用開始後は必要に応じてビザの更新や各種届出を忘れずに行います。

矢澤 めぐみ (著)
出版社 : 日本法令 (2020/8/20)、出典:出版社HP