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【最新 – 外国人雇用を考える方へのおすすめ本 – 基礎知識から具体的な手続まで】も確認する
外国人雇用を学ぶ上での基礎固めに
日本の社旗・経済の今後を考えると、現状維持のままでは事業は縮小していってしまいます。今後も事業を展開していきたい、グローバルな企業にしたいと望むなら、外国人雇用は避けて通れない道です。本書は、外国人社員の受け入れ態勢を整えるための人事や法務の知識を網羅して紹介しています。
はじめに
・外国人雇用にチャレンジできるかどうかが、中小企業の生き残りを左右する
本書を手にしたみなさんは、外国人の雇用に興味をもっていらっしゃることでしょう。具体的な話に入る前に、お伺いしたいことがあります。企業の将来を考えたとき、次の項目に当てはまるものがあるでしょうか?
①事業を永続的に伸ばしていきたい
②グローバル展開をしていきたい。
どちらにも当てはまらない場合は、外国人雇用を考える必要はありません。日本の社会・経済の今後を考えると、現状維持で行けば自然と事業は縮小していくものです。外国人雇用はいろいろな面で「面倒くさい」ところがあり、そういう会社はあえて取り組む必要はありません。しかし、今後も事業を展開していきたいと望むなら、外国人雇用は避けて通れず、しかもたくさんのメリットをもたらしてくれます。
人口が減り続ける日本では、国内需要は自然と減少します。今後、外国人観光客によるインバウンド需要への依存は高まり、地域によっては死活問題となるでしょう。労働力不足を見ればすでに危険水域です。介護や外食産業など多くの業種が外国人労働者なしに成り立たなくなっているのはご存じの通りです。日本人だけをターゲットにしたビジネスモデルは先細りになります。労働力にも市場にも、外国人の力を取り込めなければ、企業の生き残りは困難です。
・外国人雇用で企業の「筋力」は養われる
日本企業が外国人雇用を考えるとき、最大の課題は、「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」という文化の違いです。ハイコンテクスト文化とは、日本人同士のように「言わなくてもわかる」文化を指します。共通認識がとても多いので、言葉にしなくても多くのことは理解し合えます。一方、ローコンテクスト文化とは、多文化社会のアメリカのように、「言わなくちゃわからない」文化。それぞれ異なる文化的背景をもち、共通認識が少ないため、言葉で説明する必要があります。
ハイコンテクスト文化に慣れた日本人には、ローコンテクスト文化の人々とわかり合うのは難しいことです。「当たり前」と思っていたことを、すべて言葉にして説明する必要があるからです。冒頭で、外国人雇用を「面倒くさい」と表現したのは、こうした理由によるものです。また、これまで日本企業は、「健全な日本人男性」だけのものでした。健全な日本人男性なら、企業側が社員に特別配慮することなく、仕事至上主義で働いてもらうことができます。
一方で、言葉の通じない外国人、子育て中の母親や高齢者、障害のある人など、配慮が必要な弱者は、(たとえ制度があれども)「面倒くさい」ために排除されてきました。けれども、これから働き手が不足する日本社会では、老若男女、日本人・外国人を問わず、ありとあらゆる人が活躍できるダイバーシティな組織にしていかなければ生き残れません。
とくにグローバル展開を望む企業には、母国の商習慣や消費者の視点を伝えてくれる外国人社員の存在は欠かせません。さまざまな文化的背景をもつ社員が産み出す企画や製品は、より多くのニーズに、柔軟に対応できるようになり、大きな利益を産み出すでしょう。日本人しか雇用していなかった会社が外国人雇用を始めるとき、困難が生じやすいものです。でも、そこで生じる問題は、「変わらなくてはいけない」という、組織への貴重なメッセージでもあります。問題に向き合い、解決策を探る過程で、組織や仕事の進め方などの見直しを迫られます。「慣例」として暗黙のルールだったものに焦点が当てられ是非が問われます。
こうしたプロセスをくり返すうちに、企業の「筋力」は養われていきます。無駄のない筋肉質な組織に生まれ変われば、時代の大きな変化にも対応する体力を得ることができます。国は今、外国人雇用の枠を広げようとしています。大切なのは、日本に来た外国人に活躍できる場を作ることです。私たち日本人も彼らから学び、変化していくことが求められます。5年後、1年後、日本はどんな社会になっているでしょうか。
私が描いているのは、たくさんの外国人が日本人とともに働き、日本社会で活躍している姿です。実現すれば、人口減少のなかにあっても、日本社会は活力をもち続け、世界で存在感を示すことができます。外国人雇用への挑戦は、企業に大きな飛躍のチャンスを与えてくれるのです。本書がみなさんにとって、一歩を踏み出すきっかけになることを願っています。
株式会社グローバルパワー
代表取締役 竹内幸一
目次
はじめに 外国人雇用にチャレンジできるかどうかが中小企業の生き残りを左右する
初めての採用でも安心&活躍できる外国人材がわかる。雇用者がおさえておくべき在留資格の基礎知識
*日本に在留する外国人の数は上昇中!282万人以上が暮らしている
*長く日本にとどまる意思をもつ「定住外国人」を狙って採用
*日本で暮らすために必要!在留資格は4タイプある
*つねに携帯している「在留カード」で在留資格を確認
*ニーズに合わせて方向転換外国人労働者の受け入れ態勢の変化
*2019年入管法改正幅広い仕事を担う在留資格が登場
◆在留資格一覧表
PART1 外国人雇用のメリットを理解し、成長企業に改革
●労働市場の変化
日本の労働人口は減少。外国人と一緒に働く時代がやって来た
●企業側のメリット
組織のイノベーションと、グローバル展開を促す
●クリアすべき課題
言語や商習慣の違い、偏見を乗り越えることが重要
●中小企業が求める外国人材在留資格ごとに許される
業務の水準や内容の違いを理解する
●技術・人文知識・国際業務
学問として体系的に学んだ知識や、「外国人だからこそ」の知識を使う
●特定活動46号
国内四年制大卒なら日本の新卒生と同じキャリアプランで働いてもらうことができる
●特定技能1号・2号
人手不足の4業種では、労働力として外国人を雇用できる
労働力の手段ではない「技能実習生」
●アルバイト
「留学」や「家族滞在」の資格者が、パートタイム労働に就くことが多い
◆主な外国人材の違い一覧表
「特定活動9号」が抱える社会のニーズとのズレ
PART2 書類・面接で技能を見抜き、即戦力となる外国人材を選ぶ
●採用フロー
年齢制限を緩め、通年採用にすると集まりやすい
●求人1
外国人専門の採用ページを作る。学校求人、ハローワークもフル活用
●求人2
求めている外国人材が知りたい情報を明確に伝える
●書類選考
履歴書は参考程度に。書類で落とすより、面接したほうがいい
●各種選考1
面接でのコミュニケーション能力と、日本語能力の伸びしろ、順応性をチェックする
●各種選考2
自社の経営方針を正直に伝え、ミスマッチを防ぐ
●その他の採用ルート
インターンシップやアルバイト経由で採用すればミスマッチを防げる
ブルーカラーや技術系人材を探すときに!人材紹介・人材派遣を選ぶポイント
PART3 法的問題をクリアし、トラブルなく外国人を採用する
●雇用契約
雇用契約書・労働条件通知書で労働条件を明らかに示して合意を得る
●就労ビザの申請1
採用時の状態に応じて必要な申請が異なる。転職採用の場合、届出のみのことも
●就労ビザの申請2
技術・人文知識・国際業務への資格変更の提出書類は企業の規模で変わる
●就労ビザの申請3
特定活動3号への資格変更は学歴や日本語能力を証明するものを提出
技術・人文知識・国際業務特定活動始号の在留期間更新許可申請
●就労ビザの申請4
申請取次行政書士、弁護士なら、書類作成から提出&出頭まで一任できる
●技術・人文知識・国際業務の審査のポイント
大学等で修めた学問との関連が問われる。専門学校卒ではより厳しく審査される
●ハローワークへの届出
雇入れの際にハローワークに届け出ないと30万円以下の罰金
●雇用者(企業)側の義務
労働基準法、健康保険法などもすべて日本人と同等に適用される
ワーキングホリデーの外国人を正規雇用する
PART4 外国人の実力を引き出し、会社に定着させる
●受け入れ態勢
「なぜ外国人を雇うのか」ビジョンを全員で共有する
●配属先の合意
なぜその部署なのかを説明したうえで配属する
●ジョブディスクリプション
職務記述書で、役割や職務内容を明文化して渡す
●上手な指示の出し方
婉曲表現は避け、すべての指示に理由を添える
●上手な叱り方
人前では絶対に叱らない。勤務時間内に一対一になれる場所で指導
「すいません=謝罪」ではないことを教える
●評価の下し方
評価基準に従い、よい点、改善すべき点をはっきり正確に伝え、目標を掲げる
●サポート体制1
同期をバディに、先輩をメンターにつけ、孤立させない工夫をする
●サポート体制2
定期的にミーティングをし、悩みをこちらから聞き出す
●サポート体制3
日本語の間違いは「外国人だから」と大目に見ず、思いやりをもって直す
ルールを覚えて多言語対応
知っておきたい「やさしい日本語」
●サポート体制4
帰属意識をもたせるために勤務時間内で交流の機会を作る
外国人雇用のトラブル・お悩みQ&A
在留資格
試用期間中の解雇
休暇制度
違法行為
ハラスメント
給与額
心身の問題
海外勤務
退職
おわりに
外国人と一緒にワンチームに。やり遂げた企業は必ず強くなる
索引/参考資料