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【最新 – 外国人雇用を考える方へのおすすめ本 – 基礎知識から具体的な手続まで】も確認する
心得ておくべきことを確認
人口減少が続く日本で、中小企業の優秀な人材の確保はますます難しくなっていくことでしょう。しかし、「外国人雇用に慣れていないため不安が大きい」「採用しても定着してくれるのか不安」「申請や雇用管理などどう進めれば良いのかわからない」などの不安が、経営者を外国人雇用から遠ざけてしまっています。本書では、主に就労ビザの入国管理手続きについて解説していきます。
はじめに
初めに、この本を手に取っていただきありがとうございます。私は2005年に行政書士・社会保険労務士として開業して以来、多くの日系・外資系、様々な業種・規模の企業に対して外国人雇用のサポートをしています。企業が外国人雇用に興味を持つ動機は様々です。上場しているような大手の日系企業であれば、
・今までは外国人材を積極的に採用している訳ではなかったが、ここ数年、新卒・通年の採用募集で日本人に混ざり外国人が多く応募してくるようになった。これからは優秀な人材であれば国籍に関係なく、どんどん採用していきたい
というように、これまでの採用活動の一環で外国人雇用に踏み出そうとしている企業が多いように感じます。一方、零細・中小企業の外国人雇用の必要性はもっと切実です。
・人手不足の中小企業は、いくら求人募集をしても優秀な日本人社員が集まらない。優秀な外国人材がうちに来てくれるのであれば、大手よりも給与面で優遇するのでなんとか採用したい
・人口減少が続く日本では活路を見いだせない。海外への進出計画も立てたが、肝心の海外業務を担当するブリッジ人材がいない。日本人社員では代替できない。新しく優秀な外国人材を雇わなければ事業計画が頓挫してしまう
といった声があります。ただ、顧客企業の社長や人事担当者の話を聞いていて、大手と中小企業の外国人雇用の動機と緊急度にこのような差異はあるものの、両者に共通した悩みとして必ず挙がってくるのが、「外国人雇用には慣れていない、あるいは全く経験したことがないので不安が大きい」「採用しても定着してくれるのか不安だ」「採用に必要な就労ビザの申請や入社後の雇用管理など、何をどう進めればいいのかわからない」「優秀な外国人材を雇用したいのは山々だけれど、何から手をつけていいのか全く見当がつかない」ということです。
本書では、このような特に外国人雇用を喫緊の課題として検討している中小企業の代表者、人事担当者の皆様向けに、主に就労ビザの申請方法などの入国管理手続について解説しています。この分野は初めて外国人雇用を検討している企業にとって、最も馴染みが薄く、不安に感じている分野だと思います。本書が、御社の外国人雇用の成功の一助になるよう心から願っています。
2018年3月 若松絵里
目次
はじめに
第1章 外国人雇用に関する基礎知識
■外国人雇用の現状
■外国人雇用のメリットと成功させる重要ポイント
中小企業が外国人を雇用するメリット
中小企業が外国人雇用を成功させる重要ポイントは?~効果的な人事評価制度の導入が決め手になる~
■外国人の就労ビザとは?〜査証(ビザ)と在留資格の違いを理解する~
「査証(ビザ)」は日本に入国するための許可証。発行は海外の日本大使館
「在留資格」とは世間で言うビザ(外国人の滞在資格)と理解するとわかりやすい
■外国人雇用の対象は「高度外国人材(専門的・技術的分野の外国人労働者)」
■中小企業が外国人を雇用するのは難しいのか?
コラム①技能実習制度
●技能実習制度とは?
●技能実習制度の何が問題なのか?
第2章 初めて外国人を雇用するときの手続き
〈ステップ1・2・3〉~募集から雇用契約書の作成と取り交わしまで~
■採用から受入れまでのフロー
●〈ステップ1〉外国人をどのような方法で募集する?
◆IT企業はSNS等インターネットを最大限活用している
◆人材紹介会社は募集する職種・分野ごとに選択、若手外国人材を募集するなら日系ベンチャーの人材紹介会社も選択肢に
◆留学生を採用したいなら、留学生が多く在籍する教育機関への求人や外国人雇用サービスセンター、各種事業者団体が開催している就職説明会を利用
【既に日本に在留している外国人を雇用する場合】
(留学生を新卒で採用、あるいは転職する既卒外国人を中途採用するケース)
●〈ステップ2〉在留カードで就労ビザ取得が可能かどうか事前調査と確認をする
◆まずは在留カードの確認を!~適法に在留しているか確認する・在留カードの見方~
◆会社が在留カードの確認を怠って採用し不法就労をさせてしまうと、「不法就労助長罪」という罪に問われる可能性がある。
◆入社後に就く仕事が入管法上、就労ビザを取得できる内容(職種)なのか確認を
◎飲食店のホールスタッフやサービス業の販売職等、単純作業で就労ビザは取得できない
◎採用時はもちろん、入社後の配置転換にも注意が必要
◆「技術・人文知識・国際業務」は最も一般的な就労系の在留資格、分野ごとに取得要件も異なることに気をつける
◆職種が就労ビザ取得条件にマッチしたら、次は外国人本人の学歴や職歴条件の確認を
◎必要な学歴要件
◎日本の専門学校卒業者が就労ビザを取得する条件
◎既卒者の場合は、学歴要件を満たせなくても職歴要件を満たす場合も
◎通訳・翻訳業務などの「国際業務」は専攻科目に関係なく、4年制大学卒業者なら就労ビザが取得できる
◆留学生は就労ビザに変更するための「在留資格変更許可申請」を
◆転職の外国人は、状況に応じて「在留資格変更」「就労資格証明書」「在留期間更新」のいずれかを検討
【海外にいる外国人を呼び寄せて雇用する場合】
(海外にいる既卒外国人を採用するケース)
●〈ステップ2〉本人の学歴・職歴を確認し、就労ビザ取得が可能かどうか事前調査をする
◆海外にいる外国人を呼び寄せて雇用するためには、「在留資格認定証明書」申請を
◎在留資格認定証明書とは?
◎外国人の呼び寄せは、在留資格認定証明書を取得しておけばスムーズに
◆在留資格認定証明書(就労ビザ)が取得できるか、職種と本人の学歴・職歴の確認を
◎学歴で要件を満たす場合は、卒業証書(Diploma)のコピーを
◎職歴で要件を満たす場合は、在職証明書の提出を
◆就労ビザを取得するには雇用する会社の条件も必要
◎雇用主の「事業の適正性・安定性・継続性」が審査される
◎雇用主(スポンサー企業)は企業規模ごとにカテゴリー分けされている
◎大企業は就労ビザ申請時の提出書類が軽減されている。でも……、
◎カテゴリーごとに異なる就労ビザの審査期間
◆同職種の日本人社員と同等の報酬を支払うことも就労ビザ取得の条件
◆就労ビザ申請は本人まかせにせず雇用主企業も全面サポートを、
わからないことがあったら入国管理局や入管業務の専門家に相談を
●ステップ3>雇用契約書の作成と取り交わし
◆労働条件を示すことは、日本人・外国人に限らず雇用主の義務とされている
◆雇用契約書の取り交わしは就労ビザ申請手続に入る「前」に
◆「雇用契約書」と「労働条件通知書」の違い~一方的な労働条件通知より、労使双方が合意した「雇用契約書」の取り交わしが安全~
◆効果的な雇用契約書作成のために必要な五つのポイント
◎日本の労働法に従った過不足のない適法な雇用契約書を作る
◎できれば外国人の母国語または英語の翻訳文を添付する
◎トラブルが起こりやすい事項について、具体的・明確に記載されているか確認を
◎雇用契約書には、就労ビザの取得や更新ができた場合に発効する停止条件を
◎秘密保持誓約条項(Nondisclosureclause)は必ず記載、秘密保持誓約書も
◆外国人労働者用ハンドブック/8か国語による雇用契約書モデル版
コラム②留学生をアルバイトで雇用するときの注意点(資格外活動)
●週3時間の就労制限を守らないと大変なことになる?
●留学生のアルバイト時間の超過違反は入国管理局にわかってしまうのか
コラム③永住者・定住者・日本人の配偶者等・帰化
●在留資格「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の外国人が応募してきたら
●「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の社員はビザの延長ができているか確認を
●「永住」と「帰化」~永住者と帰化した元外国人の雇用上のポイント~
第3章 初めて外国人を雇用するときの手続き
〈ステップ4・5〉~就労ビザ申請と取得・受入準備まで〜
■就労ビザ申請から取得・受入準備まで
●〈ステップ4〉留学生や既卒転職者を採用するときの
就労ビザ申請手続(在留資格変更許可申請)
◆採用が内定した留学生を、卒業後に雇用する場合のフローとスケジュール
◆就労ビザ申請時の提出書類一覧(参考)
◆在留資格変更許可申請書の記載例(参考)
●〈ステップ4〉国内の外国人を中途採用するときの手続き
(就労資格証明書交付申請・転職後初めての在留期間更新許可申請)
◆転職後初めて行う「在留期間更新許可申請」と「就労資格証明書交付申請」にも雇用主に関する証明書類が必要
●〈ステップ4〉外国人を海外から呼び寄せるときの就労ビザ申請手続(在留資格認定証明書交付申請)
◆採用が内定した外国人の就労ビザを申請して、日本に呼び寄せる場合のフローとスケジュール
◆就労ビザ申請時の提出書類一覧(参考)
◆在留資格認定証明書交付申請書の記載例(参考)
◆雇用主作成の「雇用理由書」は重要な立証書類に
●〈ステップ5〉就労ビザを申請したら受入準備を早急に
◆受入準備~住居の手配~
◆受入準備~日本語学校の手配~
第4章 初めて外国人を雇用するときの手続き~入社後の労働保険と社会保険~
■外国人労働者の労災・雇用保険の手続き・注意点
●労災保険はどのような雇用形態で働く外国人であっても加入する
●雇用保険には留学生アルバイトとワーキングホリデー中の外国人は加入できない
●労災保険も雇用保険も、基本的に会社の外国人代表者・役員は加入できない
●雇用保険に加入しない外国人でも、入社・退職時にはハローワークや入国管理局に届け出る必要がある
◆会社が届出を行わなければならない外国人は?
◆ケースごとに異なる入社・退職時の届出の方法
■外国人労働者の健康・厚生年金保険の手続き・注意点
●健康保険と厚生年金保険は、加入条件に該当したら、外国人も全て加入する。健康保険と厚生年金保険はセットで加入する
●留学生のアルバイトは健康・厚生年金には加入できない。外国人雇用主は加入できる
●社会保険に「加入させなければならない労働者」「加入させなくてもよい労働者」とは?
「社会保障協定」締結相手国出身者のケース
●外国人の厚生年金保険~脱退一時金制度~
◆脱退一時金を受け取ることができる外国人の条件
◆脱退一時金の額
◆脱退一時金の請求期限と請求条件
コラム④高度人材ポイント制度
●高度人材ポイント制度・高度人材と優遇措置は?
●高度人材に該当するかポイント計算表で算出する
国籍別の人材傾向(ベトナム・ネパール・フィリピン)
就労者インタビュー
外国人を雇用するときに知っておきたい連絡先
用語解說