21世紀の貨幣論

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お金とは何か?

本書は、歴史を振り返り、マネーの本質を捉え直している本です。定説とは異なる歴史の検証を行い、世界的に関心が高まっている資本主義の今後についても考えるきっかけになります。著者が本書で、従来のマネー論を覆していく様は、多くの読者に知的な刺激を与えます。

フェリックス マーティン (著), Felix Martin (原著), 遠藤 真美 (翻訳)
出版社 : 東洋経済新報社 (2014/9/26)、出典:出版社HP

21世紀の貨幣論――目次

第1章 マネーとは何か
石貨の島、ヤップ
標準的な貨幣論の過ち
石器時代の経済学?
信用取引・決済のシステムこそマネー
タリーの悲劇
陸に上がった魚――マネーが「見えない」理由
銀行のない経済におけるマネー
マネーという問題の核心
視点を変えれば世界が変わる

第2章 マネー前夜
マネーの歴史――思想が紡ぐ物語
アキレスの怒り――マネーが発明される前の世界
古代メソポタミア――官僚主義の原点
古代世界のシリコンバレー
測定単位の統一――国際度量衡総会へ

第3章 エーゲ文明の発明―経済的価値を標準化する
ドルは何を測っているのか?
マネーの欠けた環――普遍的な経済的価値
マネーの約束――社会移動と政治の安定
昔からあった市場帝国主義の問題

第4章 マネーの支配者はだれか?
アルゼンチンの通貨危機
国民通貨の統治を逃れる――プライベートマネー
ユートピアのマネーvs現実世界のマネー
「天下を平安におさめる」――マネーシステムという道具

第5章 マネー権力の誕生
失楽園――古代ローマのマネー社会
ヨーロッパにおけるマネーのルネッサンス
マネー権力の誕生
オレームのマネー改革案

第6章 「吸血イカ」の自然史――「銀行」の発明
リヨンの謎の商人
信用ピラミッドの秘密
銀行業の本質とは
ハイリスクの国内銀行業
順風そのものの国際銀行業

第7章 マネーの大和解
プライベートマネーと市場の規律
マネー権力者の成功
イングランド銀行の設立
現代マネーシステムの祖先

第8章 ロック氏の経済的帰結――マネーの神格化
大改鋳論争
ジョン・ロックの改鋳案
オリュンピア祭のシュロの葉の冠
金本位制
マネー社会の神格化

第9章 鏡の国のマネー
マネー社会のアキレス腱
古典学派の根本的な欠陥
鏡の国のマネー――それは夢
アイルランドへの援助問題
見えざる手の信奉者たちの失敗

第10章 マネー懐疑派の戦略――スパルタ式とソビエト式
マネーに対する不信の起源
関係を断ち切る社会的技術
スパルタ人の解決策
ソビエトの解決策

第11章 マネーの構造改革――ジョン・ローの天才とソロンの知恵
ジョン・ローの解決策
フランス王国のフィアットマネー
ミシシッピ会社
「システム」の破綻
ソロンの知恵
誰がマネーの価値を決めるのか――神、専制君主、民主政治

第12章 王子のいない『ハムレット』――マネーを忘れた経済学
女王エリザベス2世の質問
オーバレンド・ガーニー商会
「事業運営におけるあらゆる悪弊の典型例」
パジョット『ロンパード街』
経済学が忘れたもの

第13章 正統と異端の貨幣観
バジョットの指摘vsセイの法則
頭のいい馬鹿の経済学
ケインズの古典派批判
一般均衡理論の登場
なぜそれが問題なのか――女王の質問に対する答え

第14章 バッタを蜂に変える――クレジット市場の肥大化
「社会の役に立つ銀行」は幻想か
ノーザン・ロックへの支援
ノーザン・ロックの国有化が意味するもの
武装した軍隊よりも恐ろしい
「互恵」から「一方的な贈与」へ
クレジット市場のクーデター
クレジット市場でのマネー創造
新しい「影の軍隊」

第15章 大胆な安全策
マネーの反乱鎮圧戦略
歪んだリスク配分
リスクを個人化するか、社会化するか
異端の貨幣観から導かれる三原則

第16章 マネーと正面から向き合う
マネーの誕生からロックの貨幣観まで
経済学を一から作り直す
マネーを管理するのは誰か

謝辞
訳者あとがき
参考文献
本書全体に大きな影響を与えた文献について

フェリックス マーティン (著), Felix Martin (原著), 遠藤 真美 (翻訳)
出版社 : 東洋経済新報社 (2014/9/26)、出典:出版社HP